月は無慈悲な夜の女王 ―― TV版25話からの初期プロット√のエヴァンゲリオン 作:◆QgkJwfXtqk
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久方ぶりに着たプラグスーツ。
その拘束感に惣流アスカ・ラングレーは何というか違和感、或いは疲労感を覚えていた。
碇シンジと二人三脚での努力によって回復基調にあるとは言えまだまだ細い、枯れ枝の様になってしまった体には、プラグスーツが体に密着しようとする機能すらも拘束する様に感じられたのだ。
「ま、コレが最後と思えば__ 」
髪をたくし上げ、そして流す。
笑う。
笑った。
不思議と今、嘗ての様な
勿論、エヴァンゲリオン弐号機の専属パイロットである、もしくはあった事への自負は消えていない。
だがそれは、自分の努力の結果に対するモノとなっていた。
シンジとの
その過程でかなり腹を立てたし、或いは物理的喧嘩に発展しかけた事もあった。
否、ある意味で発展したのだ。
それが
2人共である。
淹れたてだったが為にまだまだ熱いソレを頭から被る羽目になった2人は悲鳴を上げ、慌てて風呂場に駆け込んで冷たいシャワーを浴びたのだ。
服を着たままにずぶ濡れになるという不様な格好に、互いに笑いあった。
誠にもってバカバカしい、或いは不様さであり、そうであるが故に笑いが出たのだ。
そして、笑ったが故に怒気はどこかへ行ったのだった。
平穏と言うには少し違う日々。
だが、本音を隠さずに居る日々。
そうであるが故に心に届いていた。
アスカにも、そしてシンジにも。
互いに届いていた。
「アスカ、行くわよ」
最後に情けない姿を見せたくない。
その思いがアスカの背筋をいつも以上に伸ばさせた。
人影。
アスカが頬を緩める。
「居たんだ」
「居るよ」
当然だと言うシンジ。
頷き合い、そしてハイタッチをして2人はエヴァンゲリオン弐号機のあるケイジに向かうのであった。
NERV司令官公室。
「そうか、判った。構わぬ。適切に行動する事を許可する」
陰気な口調で受話器を介して報告を受け命令を発するのは勿論、碇ゲンドウであった。
そこに感情の色は無かった。
「何かあったのか?」
公室のソファを我が物顔で使っている冬月コウゾウが、湯呑を片手に尋ねた。
休憩、そして情報交換の時間であった。
碇ゲンドウが主にエヴァンゲリオン初号機の改造、そして
日本政府との折衝、或いはSEELEの人類補完計画への対応と指示だ。
「ふん、些事だ。現弐号機パイロットによる起動テストが成功したとの報告だ」
「それは………いや、老人どものエヴァンゲリオン開発が加速する事にならんか?」
「問題はあるまい。既に初号機改造はStage3に達している。
「老人どもの切り札、祭事用エヴァンゲリオンは戦闘用では無いからな。だが、慢心は足元を掬われる事に繋がりかねんぞ」
「問題ない。始まってしまえば、奴らに出来る事など無い」
自負と自信と共に言うその言葉は過言では無かった。
碇ゲンドウのエヴァンゲリオン初号機は本質が戦闘用であり、対してSEELEのエヴァンゲリオンは儀式用 ―― 月の中枢、アルカへの道を開く為の道具にしか過ぎないのだ。
例え、ロンギヌスの槍のレプリカを全機が携えているとしても、敵では無かった。
「折角の大計画だ。そうである事を祈るよ」
「ああ」
葛城ミサトは静かな空間に居た。
薄暗い、非公然の部屋。
それは独房であり、閉じ込められているのは赤木リツコであった。
「アスカは弐号機の再起動に成功、ね」
「ええ。シンクロ率は最高値の更新にまでは届かなかったけど、それでも最高値の8割には届いてたわ」
「完全復活って所かしら? 凄いわね。ナニかあったのかしら」
「あー、うん。そりゃもうシンジ君がべったりでね」
「………
「そうとも言える」
その脳裏には事実上の家主権利を握ったシンジとアスカのベタベタな姿が蘇っていた。
一緒に勉強して、一緒に食事して、一緒に家の掃除をして、一緒に散歩に行って。
そして、一緒にお風呂に入る。
キスもしている。
一緒に同じベットで、同じ布団で寝ている。
「アレで
「ピュア、なのね?」
「どうかしら。なんつーか、時々、エラい湿度を感じるのよね」
「アスカから?」
「
「あら」
「シンジ君、第17使徒戦から隔意を感じるというか距離を取られてる感じで…………で、時々、アスカが胸にシンジ君の頭を抱いているのを見るのよ」
「とき、どき?」
「一応。何なのかしらね、アレって」
「あら。家族に判らないなら、私に判る訳ないじゃない」
家族。
その言葉に苦みの深い顔になる葛城ミサト。
独房暮らしの慰みに、と土産にと持ってきたタバコの箱の封を勝手に切って咥え、火を点ける。
深呼吸を一つ。
「………前に言ったじゃない、その通りだったってだけよ。しょせんはごっこ遊びだったって思い知らされたわ」
「そっ………」
「あの2人、そうね。何というか、上手く互いを見て、慰めて、助け合っているって感じだわ」
「ある意味で相互承認、って事かしらね」
「………独り身には辛い話題ね」
「そうね、止めときましょう」
男が死んだ女と、男に捨てられた女。
そんな2人から見て今のシンジとアスカは眩し過ぎた。
「飲む?」
「ありがとう」
差し出されたビール缶のプルタブ丁寧な仕草で開いて飲む赤木リツコ。
この独房は、収監されている人間の出入りが制限されているし情報端末も厳禁であるのだが、それ以外の持ち込みに関しては余りにも自由であった。
ツマミの類すら、乾きモノが主体とは言え持ち込まれているのだ。
殺風景である事以外に、住む上での問題は無い。
そういう場所であった。
だからこそ、葛城ミサトは疑問に思った。
「つか、何時までここに居るの?」
「さぁ? 碇司令が何かを思いつくか、それとも覚悟を決めた時までじゃないの」
とは言え赤木リツコは理解していた。
全ては、人類は碇ゲンドウの人類補完計画でご破算になる。
だから己の事を看過しているのだろう、と。
だが、その事を葛城ミサトに告げる積りは無かった。
科学者としての好奇心が、碇ゲンドウの人類補完計画によって何が起きるのかを知りたがっていたからであった。
業の深い話であった。
それを飲み込む様に、ビール缶を傾けるのであった。
「シンジ、これからのメニュー、タンパク質もっと多くして」
「物足りない?」
「違うわ。味にも量にも文句なんて無かったわ。でも、それは過去形。アタシは
「細いアスカだって可愛いけど?」
「アリガト。でも
「うん」
「だから体を作るたんぱく質をタップリと取って、そしてトレーニングよ!!」
「うん。その、頑張って?」
「アンタバカァ? アンタもするのよ」
「そんな! 使徒はもう来ないんだよ!?」
「バッカねぇ。ミサトが言ってたじゃない。今後もエヴァが作られ、
「あ、うん」
「やるわよ、シンジ」
「判ったよ」
「この細い体を鍛え上げ、そう、アンタはアタシをお姫様抱っこ出来る様にするのよ!!」
「えっと、そう言う理由なら頑張れるかな?」
「出来たら、その都度でキチンとご褒美を上げるから、頑張るのよ」
「だったらアスカ。手付が欲しいかな」
「はーん、バカシンジの癖に言うようになったじゃない」
「アスカの教育が良いからね」
「そっ、なら__ 」
2つの人影が1つになった。
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※
サツマンゲリオンからの手癖で、アスカが何となく主人公側に成ってしまっている感ががが
まーナンだ
今の状況だと割とイベントがあるのはアスカの側だから仕方ないね!
では、最終回もさーびす さーびすぅ