一般TS転生村娘Aちゃんの、因縁とか全部台無しにする脳筋ゴリ押し成り上がり 作:ゴリゴリ
転生者といえば、周囲から侮られつつ本当の実力を表してSUGEEされるものだ。
しかし、私には関係ないことだと思っていた。
なにせ私の能力は魔力によるゴリ押し。
脳筋とかゴリラとか呼ばれることはあっても、周囲から侮られるようなことはないだろうと考えていた。
さっきドルスをうっかりふっとばしたことで、私を侮る理由もないだろう、と。
そういう考えもあったのだが――
「では、この水晶に手をかざしてください、アルナさん」
「えーと、こちらの大きな水晶はどういったものなんですか?」
「そちらはアルナさんには関係ないと思いますよ」
私は冒険者登録を行うため、ギルドの受付に並んでいた。
セノが今私が手をかざすよう指示された水晶に手をかざして、カードを受け取っているのを先程見ている。
だけどその前の大きな魔女っ子っぽい帽子を被った同い年くらいの少女は、大きな水晶に手をかざしていた。
「すいません、気になったことは聞かないと気がすまない質でして。お聞きしてもいいですか?」
「そうですねぇ。後ろに人が並んでいるので簡単に説明しますと、こちらが冒険者の本登録用の水晶となっています」
「本登録」
「冒険者の仕事のうち、外に出て魔物を狩ったりする仕事には本登録が必要になります。アルナさんはまだ十二歳なので、仮登録の方がいいですよ」
ああ、十二歳の仮成人と十五歳の本成人の違いみたいなものか。
でもそれだと少し困るな、多分一人で暮らしていく分には仮登録で三年やってもなんとかなるんだろうけど。
私は村に仕送りがしたいし、魔物と戦う事自体は既に何度も経験してるから問題はないと思う。
「私も本登録はできますか?」
「え!? だ、ダメですよ! 仮成人で本登録ができるのは、スキルを持っている人だけです!」
「スキル」
え、なにそれ初めて聞いた。
いや異世界ならそういうのもあるかもしれないけど、この世界にスキルがあるってのは初耳だ。
「く、ははは! おいおい、お前スキルの存在も知らないのかよ! とんだ田舎者だなぁ!」
「そういう貴方はドルスさん。……え、わざわざ起き上がって私をバカにするためだけにここまで来たんですか?」
なにそれ怖い。
私が叩いた手を痛そうに抑えながら、並んでいる列の横を通って私をバカにしに来たのだ。
手は完全に折れてるけど、あのやり取りは多分この世界だと私の正当防衛で話が終わると思う。
ドルスもそこは指摘するつもりなさそうだし。
「スキルってのはなぁ、魔術や剣術を有効に使うために絶対に必要なもんなんだよ。スキルを持ってるのは一部の人間だけだ。てめぇみてぇな田舎モンのガキにスキルなんて宿ってるわけがねぇ!」
「……それ、ドルスさんもスキルは持ってないのでは?」
「うるっせぇな!」
……なんか、叩けば響く感じは割と楽しいな、この人。
それに私にスキルのことを教えてくれたし。
案外親切か?
「十二歳の仮成人で本登録を行う際にはスキルが必要になるだけですから、十五歳で成人になるのを待って本登録を行ったほうが、経験も積めますし絶対いいですよ!」
「いえでも、私田舎にいた頃は普通に魔物と戦ってましたよ? このあたりの魔物に負けるつもりはありません」
「えっ」
「はぁ?」
そもそも私がさっき、ドルスさんを一発でふっとばしたのは受付さんも見ていたと思うんだけど。
いやもしかして……早すぎて見えてなかった?
何が起こったかわからなかったから、皆目を逸らしたんだろうか。
ありえなくもない。
「ま、魔物と戦っていたんですか!? アルナさん、まだ十二歳ですよね!?」
「ええ、田舎で魔物が出てくることも結構あったので。大人たちより強かったですから、私。一人で狩ってお肉とかは村で食べてました」
「スキルを使える子どもでも、一人で魔物と戦うなんて普通じゃありません!」
知らなかったそんなの……
だって私の田舎じゃ、大人たちも罠を使って魔物を狩ってたりしたし。
出てくる魔物もそんなに強くなかったから、特に問題になることもなかった。
みんな私が強いって知ってたし、止める人もいなかったなぁ。
「と、とにかく。どちらにせよ本登録を行うにはスキルか一定以上の魔力を保有しているか、仮登録で実績を重ねて推薦を行うことが普通です!」
「……ん? 一定以上の魔力? それでもいいんですか?」
「え、ええ……でもムリですよ、スキルを持ってないのに魔力が本登録の基準を満たすことはアリえませんから」
そうは言っても、私の戦闘力は概ね魔力によって保証されているものだ。
だったら、冒険者として本登録をするために魔力の保有量が一定以上の水準にないと困るだろう、とも思う。
ここで魔力保有量が一定以上を超えていないなら、素直に仮登録から出直し。
そうでないなら、本登録で一足飛びに正式な冒険者になるべきだ、と個人的には思った。
「とりあえず、やるだけやらせてもらえませんか? ダメならそれで諦めますから」
「う、ううーん……規則的には問題ないんですけど……でもなぁ……人も並んでますし……」
「はっ! やらせればいいだろ、どうせ田舎の村娘なんかに基準が満たせるわけがないんだからな!」
横からドルスが茶々を入れてくる。
そういう君は、十二歳になる前に冒険者として実績を積んでないだろうし、多分今日が初めての仮登録なんだよな……?
とか気になってしまうけど、まぁ突っ込むのは止めておこう。
セノにまかせてしまえばいいかな。
既に登録を終えてこの場を離れているから、この場にはいないので誰もドルスに突っ込みはいれないけど。
「それに、だ。さっきから後ろで並んでる連中、お前らの話を聞いて盛り上がってるぞ?」
「え? そうですか?」
「はは、お前みたいなガキに、本登録ができるわけないと侮ってるんだよ」
「私には、何か面白いことが始まりそうだからワクワクしてるように見えますけど……」
「うるさいな!」
で、結局。
上の人に確認を取って、私の提案は受け入れられることとなった。
というのも、私の言っていることが本当なら、私は期待株だからだ。
十二歳で単独の魔物討伐を経験してるとか、いずれ大物になるに違いない。
それが、本当なら。
だから、私の言っていることの真実を推し量るためにも、ここで試してみるのは悪くないという話になったらしい。
ところで、ギルドから了承がでたタイミングで列の人たちに拍手されたんだけど。
なんか皆面白がってない? ノリいいな。
「さぁ、やってみろよ田舎の村娘! せいぜい恥を晒して田舎に帰ってママのおっぱいでもすすってるんだな!」
「この人、コロシアムの司会とかさせたら輝きそうじゃないですか?」
「いいからやれ!」
というわけで、ドルスに急かされながら私は大きな水晶に手をかざし魔力を通す。
すると――
ピシっと、水晶にヒビが入った。
ああ、これは――――魔力が――――多すぎたんだ――――
結局。
すわ、弁償か!? と慌てる私に対し、許可したのはこっちだからと言ってくれたギルド。
しかも本登録も認めてくれて、私は無事冒険者としての第一歩を踏み出すことになるのだった。
転生者の花形を一通りこなして、周囲の知名度をバクアゲした上で。
ううん、これからどうなってしまうんだぁ……?
転生者なので、こういうイベントは必須だと思います。