一般TS転生村娘Aちゃんの、因縁とか全部台無しにする脳筋ゴリ押し成り上がり 作:ゴリゴリ
やっぱり冒険者になったら、最初は魔物退治か薬草採取からの魔物乱入だろう。
別に異世界モノのお約束をコンプリートしたいわけではないが、依頼を受けるとなったらまず間違いなくその二つが候補にあがる。
他にも街の中の雑用にも、色々と候補はあるみたいだけど、セノ曰くそっちは大抵街の子どもが受ける依頼だそうな。
まぁ、既にお互い顔を見知ってる相手の方が、街の雑用は色々楽だからね。
セノについて街の雑用を受ける、街の外から来た子供達に混じって薬草採取をする。
色々選択肢はあったけど、せっかく本登録がかなったのに討伐依頼を受けないのはもったいない。
ということで、私は魔物討伐を請け負うことにした。
狩るのは当然――
「さて、ゴブリンはどこにいますかねぇ」
ゴブリン、異世界モノの定番雑魚敵。
この世界でも、色んなところで悪さをしているのがゴブリンだ。
こいつらの厄介なところは、倒しても何の旨味もないところ。
だって、人型魔物を倒して捌いて肉にするのはこう……いやじゃん?
その感覚は異世界人も変わらないようで、村の人たちにとってもゴブリンは邪魔だわ食べるところがないわの嫌われ者だった。
私も、見つけたら即座に頭を蹴り飛ばすことにしている。
村と違って、美味しいものは食堂で食べれるから、自分で狩らなくていい。
そういう理由もあって、恨み骨髄のゴブリン畜生共を討伐することにしたのだ。
「とりあえず、いつも通り聴力を強化して……」
私の狩りは非常にシンプルだ。
魔力で聴力を強化して――耳の耐久性も強化しているから、音が聞こえすぎても鼓膜が破れるとかはない――周囲から音を感じ取る。
気配は……あちこちに転がっていた。
無数の聞こえてくる音の位置を、長年鍛えてきた経験則で割り出す。
まぁ大体この位置だろうなぁ、という程度のざっくりしたものだが。
「多分、あっちですね」
んで、割り出した位置から、
魔物は、種類によって群れていたり群れていなかったりする。
群れている場合でも、いっぱい群れているか少数かで判別が可能。
ゴブリンの場合は
そこを目指せば、自然とゴブリンが見つかるのだ。
ただし私はこの時、田舎の山奥と町のそばにある森では、勝手が違うことに気づいていなかったけど。
「うわちゃ、そういうパターンもありますよねえ」
気配をできるだけ消しながら、割り出した位置に到着して私は思わず額を抑える。
そこにいたのはゴブリンではなかった。
「ここは町の近くなんですから、
そこにいたのは、四人からなる冒険者パーティ。
全員二十代くらいの若い人たちだ。
うーんこれは、ゴブリン探しが難しくなるなぁ、と思いつつ彼らに気取られないようその場を離れた。
完全に隠密してきてるからね、これで向こうにばれたらこっちが敵扱いだ。
謎の魔物Aちゃん討伐依頼なんてものが出されたらことである。
「よし、次はゴブリンです」
それから、全速力で別方向に移動すること数分。
私はやっとゴブリンを見つけることができた。
敵の数は三、ゴブリンの群れとしては比較的少なめ。
とはいえ倒す分には問題ないから、私は勢いよく飛び出してゴブリンの脳天めがけてケリを放った。
今の私の姿は、一言でいえばスリット大き目のスカートと胸当てといった感じ。
これは村にいたころから使っている装備……というか衣服で、両親がしつらえてくれたものだ。
スカートなのは、せめて少しでも女性らしさを私に持ってほしいから。
結果として、スリットから生足丸見えなんだけど、いいんだろうか。
個人的には結構癖を感じるので嫌いではない。
胸当ては、昔冒険者をやっていたという爺さんからのおさがりである。
『グギャ!?』
ゴブリンの一匹は、ほとんど自分が脳天を蹴り飛ばされて絶命したことを知る由もなかった。
私の戦闘スタイルは徒手空拳、特にリーチの長い足技を多用しがちである。
といっても小柄な背丈だから雀の涙みたいなリーチ差なんだけど。
んで、一匹目を強襲で殺してから、即座にもう一匹へとびかかる。
「そら!」
勢いよく回し蹴りで、顔を横から薙ぎ払って首の骨をへし折る。
魔物を倒すときは、基本的に首の骨を折るのが一番楽だ。
まずもって胴体を貫通させる威力だと、返り血が飛び散って後処理が大変である。
その点、首の骨は判りやすくどんな生物にとっても急所で、たたきやすい。
ゴブリンなんかは特に、二足歩行で人体と同じ構造をしているからやりやすかった。
「三体目!」
それから、何とか気を取り直した三体目のゴブリンが繰り出す攻撃を、ギリギリで避けながら私は肘を振り上げる。
そのまま、勢いよく肘を首元にたたきつけると、鈍い音がしてゴブリンは倒れ動かなくなった。
即死したほか二匹と違って、まだ息があるようなので足で首を踏みつけてとどめを刺す。
いくら魔物とはいえ、いたずらに苦しませるのは私の流儀に反するからね。
「えーっと、討伐証明部位をそぎ落として持っていけばいいんでしたね」
村ではそういうことをする必要はなかったから、少し手間取る。
しかも肉をそぎ取るから、なんとも言えない不快なにおいが鼻につく。
これ、あんまりやりたくないなあ、と考えながら切り取った部位をギルドから借りてきた袋に詰めて次の獲物を探すことにした。
それから結局、私は二回に一回、魔物と冒険者パーティを間違えてしまった。
音だけで探知している関係上、どうしても数と方向しか察知できないのが私の察知方法の問題点だ。
まぁ中には魔物と戦闘中のパーティに出くわして、そのパーティが明らかに負けそうだったから助けたなんてこともあったけど。
それはそれとして、時間をだいぶ食ってしまったのは問題だ。
普段ならゴブリンを狩ると決めたら一日に三十は狩っていたのに、ここではその半分程度しか狩れていない。
なんだか自分の腕が鈍った気がして、癪だった。
結局、一日かけて十六体ゴブリンを狩ったところで日が暮れ始め、帰還。
初日くらいはちょっと張り切っちゃおうかなぁと思っていたのに、この成果はがっかりである。
が、しかし――
「じゅ、十六体も狩ってきたんですかぁ!?」
受付さんの反応はこうだった。
どうやら狩りすぎだったらしい。
「ダメでしたか」
「いえ、ゴブリンは非常に厄介な魔物ですから、討伐してくれる分にはいいんですけど……十二歳の本登録したての冒険者が、一日で十六体は異常すぎます……!」
「といっても、普段はその倍くらい狩ってましたしねぇ」
「ば、倍……!?」
個人的にはそれくらい普通だと思うのだけど、どうやら違うようだ。
またしてもなにやらざわざわと、周囲をにぎわせて視線を集めてしまった。
ううん、生活をよくするために冒険者としての実績は欲しいけど、あんまり目立ちたいわけじゃなかったんだけどなぁ。
ところで、さっきから私のことを見ている視線が一つ。
なんか見覚えのある子なんだけど、私に一体何の用だろうか……
まずはゴブリンより始めよ、的な。
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