シラヌイヲイジメヌンデ……   作:蒙古の尖兵

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不知火陥落の兆し

 

【WARNING!!!】

 

ループしては何度も目にした警告の文字。時には赤い、時には漆黒のデジタル文字が激しく点滅を繰り返しは主張する。

 

世界は終焉を迎える、ゆえに備えよ。そんな風に俺の眼前へと突きつけてくる。

 

「なんで急に土下座なんか…。気味が悪い」

 

【CORRUPTED:99.99...】

 

「ああ、何か不知火に隠し事をしているんですね?だから土下座なんて…。あはは、ダメですよ、司令。頭を上げてください」

 

【CORRUPTED:100.00%!!!】

 

【SYSTEM DOWN!!! ERORR!! ERORR!!!】

 

「謝ったところで不知火は許しませんから」

 

爆ぜる。同時に暗転。

 

【CAUTION! CAUTION!!】

 

「勝手に不知火の体に触れただけでなく、まさぐりまわすなんて…」

 

【FATAL ERORR】

 

【GAME OVER】

 

「不快です」

 

眩い閃光。再び暗転。

 

俺は何度も選択を間違えた。そして不知火の黒い炎に巻かれて幾度となく焼き殺された。

 

それでもまたこうして彼女と対峙する。

 

ループから抜け出せないからではなく、俺は自分の意志で彼女と向き合おうとしている。

 

「…司令?」

 

そして何度も死に戻りを繰り返したことで気が付いたのだが、やはり急に唇を奪ったり、体に触れたりというのは結婚した仲であってもご法度らしい。

 

特に不知火はその点のセンサーが敏感なようで、そんな不埒を働こうものなら一瞬で消し炭にされてしまう、というかされた。

 

「…司令?何を物思いに耽っているのですか?」

 

また曖昧な態度や合理的でない対応についても同様だ。速攻で燃えカスにされることこそないものの、数値の上昇を止める手立てとして時間稼ぎにすらならない。

 

見ろ、こうしている間にも数値は上がり続けている。警告を促す文言はいつの間にか魔女の誕生を表す言葉へと変わり、漆黒のベールに包まれた不知火がそこに顕現する。

 

だからそれは奇跡だったのかもしれない。

 

「ありがとう、不知火」

 

「え?」

 

突拍子もなく、感謝の言葉が出た。何の脈絡もなく、ただ偶然に俺の口からその言葉は飛び出した。

 

不意打ちをくらった不知火は怪訝そうにこちらを見ている。

 

合理的ではない対応に数値は…。 

 

いや、感謝を伝えることに合理的もクソもあってたまるか。そもそも愛してあげるということの始まりは、相手にありがとうを伝えるところから始まるのではないか?

 

ありがとう、と言葉を伝え、絆を紡ぎ、愛を深めていくんじゃないのか。

 

土下座の時とは明らかな違い。俺は不知火と向き合い、ありのままにありがとうを伝えることにした。

 

「…… 司令、熱でもあるのですか。あるいは、いよいよ仕事のやり過ぎで頭が……」

 

いつものように毒づく不知火。けれどもさっきまで視界を埋め尽くそうとしていた警告の赤黒い文字は、嘘のように動きを止める。

 

「いや、違うんだ。いつも傍にいてくれて、コーヒーを淹れてくれて、……俺の、至らないところを支えてくれて。本当にありがとうって、そう思ったんだ」

 

真っ直ぐに見つめると、不知火の瞳が泳いだ。

 

彼女は合理的でないものを嫌う。けれど、心からの言葉は、どんな者にでも届きうる。

 

「な……っ。今更、何を。それが不知火の……秘書艦としての、義務ですから…」

 

【CORRUPTED: 80.00%... 75.00%...】

 

数値が下がっていく。これは今までにはなかった大きな変化だ。

 

黒い炎の予兆だった漆黒のベールは霧散していく。

 

「義務じゃない。俺が君にいてほしいんだ。不知火、大好きだよ。愛してる。ずっと伝えたかったんだ」

 

俺は一歩、彼女に歩み寄る、ただ彼女の温もりを感じるために。

 

「……っ。……ばか、司令、……本当に、お馬鹿さんですね。……不知火が、どれだけ……」

 

不知火が顔を伏せた。

 

しかしその隙間から見える耳は真っ赤に染まっていて。

 

彼女は震える手で俺の袖口をぎゅっと掴んだ。

 

「……もう一度、言いなさい。……聞こえませんでしたから」

 

そう言って見上げてきた彼女の瞳には、あの絶望のハイライトオフなんて微塵もなくて。

 

潤んだ瞳がただ真っ直ぐに俺だけを映しているだけだったった。

 

「聞こえませんでした、だと? いいよ、何度だって言う。不知火、君は世界で一番美しい。…その冷たいようでいて、実は俺を誰よりも案じてくれている瞳がたまらなく愛おしい」

 

「な……っ!? な、何を、そ、そんな歯の浮くようなセリフ…」

 

【CORRUPTED: 50.00%...】

 

数値は面白いほどに下がっていく。あれほど忙しなく蠢いていた黒いパラメーターは静止、完全停止した。

 

「コーヒーの淹れ方ひとつだってそうだ。俺の好みを完璧に把握して、一番仕事が捗るタイミングで出してくれる。そんな細やかな気遣いができるのは、世界中で君だけだ」

 

「そ、それは……秘書艦としての、スキルの、一環で、当たり前の…」

 

「スキルじゃない、愛だよ。不知火にしか出来ないことなんだ。そして君の深い愛を俺は今まで当たり前だと思って甘えていた。不知火、君のその照れると少し早口になるところも、実はすごく可愛いと思ってる」

 

「ひ、ひゃいっ!? か、か、可愛い……!? 不知火に向かって、何を……っ!!」

 

【STABILITY】

 

ついに不知火が膝をつき、両手で真っ赤になった顔を覆い隠した。指の隙間から潤んだ瞳が震えながら俺を仰ぎ見る。

 

「もう……やめてください…。司令のくせに、そんな……そんな恥ずかしいこと、よくも、スラスラと……っ、……不知火は壊れてしまいます……」

 

「壊れさせないさ。…愛してるよ、不知火。君のすべてが俺の宝物だ」

 

【LOVE 100.00%!! OVERFLOW!!!】

 

「うぅ……っ。……ばか、卑怯者……。……そんなこと言われたら、もう、怒れないじゃないですか……っ」

 

 

アンケート↓

 

不知火の今後

  • 甘やかされてすぎて赤ちゃんみたいになる。
  • 言葉責めを受けすぎてメロメロに絆される。
  • 今までの逆襲で調教されてメス犬になる。
  • 愛が暴走してヤンデレになる。
  • 愛されていたのに急に嫌われて壊れる。
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