一発ネタのつもりだったのに、何故か感想が二つ付いた件。
いや〜....やっぱ需要ってあったのね。
まぁ、Fateシリーズは面白いからね仕方ない。
ハリポタシリーズも面白いからね仕方ない。
Fateシリーズとは、伝奇系商業ゲームとして名を馳せた伝説のゲームである。
元々はエロゲとして発売されたものの、独自の世界観とキャラクター達の群像劇に加えて、色んな意味でプレイした人間の情緒がおかしくなる展開も相まって、続編やソシャゲ等の多くのメディアミックス作品が作られていき、今では日本を代表するコンテンツの一つとして知られるようになっていた。
Fateシリーズの各作品に共通していることは、七人のマスターが七騎の英霊を使い魔として召喚し、聖杯戦争と呼ばれる願望器を求める争いに身を投じる....という感じの展開が多く、二次創作界隈でも絶大な人気を誇っているのだ。
現に、前世の俺もFateシリーズの二次創作をしていたしね。
ただし、それはあくまで前世の世界の話。
魔法使い・魔女が実在するこのハリポタ世界において、Fateシリーズのような作品はおろか、そういうサブカル系の作品がほぼほぼ無いに等しい状態だった。
むしろ、そういうオタクは良くない目で見られているのが現状だったため、文学クラブ内でも友人達もオタクであることを周囲に話すことはしなかった。
つまり、サブカル文化とオタク文化がまだ発展していないのがこの世界の現実だった。
もちろん、一番は金稼ぎのためだけども.....そういう現状も踏まえた上で、Fateシリーズを執筆することに決めたというわけなのだ。
けどまぁ.....Fateシリーズを小説として書くとしても、一作目の【Fate/stay night】自体も三つのルートがあるから、まずはセイバールートの方を書いている。
ただ、18禁的な内容になると色々とヤバそうな予感がするので、とりあえずは全年齢向けの内容にする予定だ。
「と言うわけで、金稼ぎのために小説を書くことにしたわ」
文学クラブの部室にて、借金返済と小遣い稼ぎも兼ねて本格的に執筆活動を始めると宣言する俺。
一方、その言葉を聞いた文学クラブの仲間達はポカーンとしていたものの、俺の書く小説のクオリティが高いことや実家の状況を知っていることもあってか、それぞれ納得したような表情になっていた。
エドガーはエドガーで、友人である俺がようやく腹を括ったのか的な表情になった後、ふざけるかのように肘でチョンチョンと突いていた。
....やっぱ、持つべきものはオタ友だな。
「金稼ぎのために執筆活動....か。何かお前らしい理由だよな」
「そういうもんか?」
文学クラブのメンバーで俺の友人こと、レイブンクロー生のステファンの言葉に対して、紙袋の中から原稿(セイバールート)を取り出しながらそう答える俺。
ステファンはレイブンクローに選ばれるだけあって、かなり頭が良い部類のオタクだ。
と言うのも、この文学クラブを立ち上げたのはホグワーツのOBであるステファンの兄貴らしく、その兄弟の背中を追って文学クラブに入ったとか。
最も、そのステファンの兄貴は文学マーケットと呼ばれるイベントの....魔法界におけるコミケ的なイベントの開催者として知られているけどな。
「あ、ステファンも思ってたのか」
「そりゃ俺だってコックスの小説のファンだからな」
俺に向け、無邪気にケラケラと笑いながらそう言うエドガーとステファン。
二人は俺の実家の状況を知ってもなお、友達として接してくれている。
それに加えて、エドガーもステファンも俺と同じく魔法文学やマグル文学込みで本が大好きだ。
だからこそ、俺達は本が好きなオタク同士ということで仲良くなったのかもしれない。
そう考えつつ、書きかけの原稿をエドガーに手渡す俺。
いくら魔法の世界とは言え、Fateシリーズのようにたまに人の心あるか的な展開のある作品が受け入れられるのか?
そんな思いが湧き出たかと思えば、泡のようにパチンと胸の中で消えていく俺を尻目に、エドガーは原稿の一枚目を読んだ......かと思えば、何故か興奮した様子でその目を大きく見開いた後、物凄い勢いでペラペラと原稿の紙を捲っていた。
その顔に、とんでもない作品を読んだという表情を浮かべながら。
「.....エドガー?」
俺がそう言葉を掛けた瞬間、エドガーは現実世界に引き戻されたかのような雰囲気になったかと思えば、その顔には信じられないとばかりの表情と化していた。
それはまるで、歴史に名を残す名作と出会ったかのような顔だったので、俺はそこまでなのか?と思っていたが....どうやら、俺が書いた【Fate/stay night】のセイバールートを基にした小説は、オタクであるエドガーにクリティカルヒットしたようで
「コックス、この小説に何ガリオン払えば良い?」
「いや、これはまだ途中までしか書いてな―」
「そっか、なら完成した時に払わせてくれ」
傍目から見れば、押し問答のような会話を俺とエドガーは繰り広げたのだった。
....エドガーがここまで興奮するってことは、やっぱFateシリーズの作品の完成度が半端じゃないってことか。
というか、まさか試し読みでガリオンを払いたいってエドガーが懇願するとは思わなかったな。
まぁ、俺も二次創作とかで良質な作品にタダで巡り会えた時は思わずそう思うけども。
だとしても、やっぱりこの世界とFateシリーズの相性は抜群なのかもしれないな。
「え、そんなに面白いのか?」
「面白いも何も.....お前も読んでみろよ」
そう言った後、その原稿をステファンに手渡すエドガー。
原稿を手渡されたステファンは、興味津々な様子でその原稿の内容を読んだのだが....さっきのエドガーのように一気に読み終わると、俺が天才だと言わんばかりの顔になっていた。
いやいやいや、俺はただ著作権をガン無視して書いただけだぞ?
あくまでそれは異世界産の物語だぞ?完全オリジナルじゃないぞ?
というか、二人をここまで熱中させるFateシリーズ凄すぎだろ。
「コックス、俺の全財産を払うから続きとかは」
「書くつもりだけど、それはこの作品が無事に出版した時にやってくれないか?」
エドガーとステファンに対して俺がそう言うと、納得した顔になる二人。
この様子を見るに....どうやら、エドガーとステファンは俺の書いたセイバールートの話が余程気に入ったらしい。
うんうん、そうだよな。
セイバーはFateシリーズの看板ヒロインだもんな。
Fateシリーズを愛したオタクとしては、その気持ちは分からんでもないよ。
それに、今の時代的には只今絶賛第二次世界大戦中だ。
戦時下というこの状況において、少しの間だけでもFateシリーズの世界観に浸ってくれたのなら、俺的にはそれで十分なのだ。
「何というか....【Fate/stay night】に登場するサーヴァント達がどんな英霊なのかを予想するだけでも楽しいわ〜」
「そうそう!!んで、魔術師とか英霊とかの設定もかなり凝ってて読み応えもかなりあるから、途中まで読んだとしても満足感が半端じゃないんだよな」
二人が口々にセイバールートについてそう言うと、同級生でオタ友のその貴重な意見を聞いた俺は、照れながらもその言葉を笑顔で受け止めていた。
....あぁ、前世の世界で自分が好きだった作品がここまで褒められるとなると、何だか嬉しいな。
これもオタクとしての本能ってやつなのか?
そう思いつつ、文学クラブの面々によって原稿が回し読みされている様子を見守る。
原稿を読んだ文学クラブの仲間達の反応は様々で、早くこの小説の結末を知りたいと呟いたり、エドガー達と同じようにガリオンを払おうとしたり、挙げ句の果てにはグッズが欲しいとボヤいたりと、皆それぞれオタク的な反応を見せていた。
そりゃまぁ、Fateシリーズは日本が誇るメディアミックス作品だからね仕方ない。
と言うか、これを見て二次創作しない方がおかしいと言うか何と言うか。
「ところでよ、諸々のことはスラグホーン先生に伝えたのか?」
「あぁ、それでこの小説が完成したタイミングで話し合いをするっぽい」
友人から絶賛されたとしても、まずは教師からの許可を取らないとな。
それに、セイバールートの方の小説が完成したとしたら....次は凛ルートと桜ルートの方も執筆することも踏まえた上で、スラグホーン先生にと話をするか。
そう考えつつ、俺は作家として執筆活動をする決意を改めて決めるのだった。
エドガー・パリューグ
コックスの友人の一人で、文学クラブの仲間。
父親がマグルの書いた小説....もとい、マグル文学研究の第一人者であるためか、マグル文学オタクと化している。
ただし、コックスと同じくスリザリン寮内でのカーストは最下位のポジションなので、虐められることはないが陰口を叩かれている。
オタ友兼文学クラブの仲間であるコックスの理解者の一人で、彼の物書きとしての才能に誰よりも先に気づいていた。
ステファン・フライ
コックスの友人の一人で、文学クラブの仲間。
兄がホグワーツ生で文学クラブOBであることもあってか、かなりの本好き。
マグル文学というよりかは、マグルが描く魔法使いや魔女の姿に興味を示している。
レイブンクロー生ではあるものの、同じオタ友としてコックス達と仲良くしている。
エドガーと同じく、オタ友兼文学クラブの仲間であるコックスの理解者であるためか、彼の描く小説を読むことを誰よりも楽しみにしていた。