禪院家に強術式の男として生まれても詰むことあるんだ…… 作:ある日の残り香
なんか思った以上に読まれててビビる。
ちょうどアニメやってる時期だからかな。
ひとことメモ
「__」←これをずっと罫線だと思っていた。
視点:禪院一樹
「貴様は術式の本質を理解しておらん。だが、それによってこの術式の弱点でもある駆け出しの時期には試行錯誤しか出来ず、弱くなるという弱点を克服していたのも事実。」
「褒めておるのか?」
「喝ァーッ!!」
「ぐぇっ!!」
吾輩は生徒たちへの授業を終えると、五条悟に言われた通りに【猿仏僧】との個人修行を行っていた。
五条悟は多忙であり、実際に吾輩へ手解きができる時間は限られる。そこで頭を悩ませた五条悟に、伏黒恵のレビューを元に【猿仏僧】の話をしたところ、五条悟は彼が不在の間は吾輩に【猿仏僧】を用いた修行をするように言い含めた。
しかし、これが思った以上にストレスである。
「そもそもだ、貴様は鳥獣戯画をしっかりと理解しておるのか?」
「日本最古の漫画であろ──」
「俗な認識だ!喝ァーッ!!」
「猿め……。」
「拙僧をそう呼ぶのは結構だが、今の貴様はその猿以下だ。」
「実際、貴殿は猿ではないか。」
この猿……【猿仏僧】は、想像以上に上から目線で、こちらを強い言葉で貶してくる。口が悪すぎる、本当に悟りを開いたのか?
「では、鳥獣戯画について説明してみせよ。吾輩に偉そうに説いたのだから、答えられよう。」
「うむ、では拙僧が学のない貴様に説いてやろう。」
いちいち腹が立つ。
「鳥獣戯画とは、甲乙丙丁の全四巻からなる絵巻であり、国宝の一つに数えられる。だがそんなことはどうでも良い。注目すべきは内容だ。」
「兎や蛙などを中心とした動物が描かれているだけであろう。あとは貴殿、仏僧の猿などが。」
「そうだ。だが、一番の特色は甲巻を中心にそれらが擬人化されているということだ。見た目こそ獣のままであるが、その行動は人間と相違ない。」
「……それがどうしたのだ?」
「拙僧はキッカケしか与えん。鳥獣戯画についてはこれで終わりだ。」
なんだこいつ。
「話は変わるが、貴様は五条悟を召喚しようとしたができなかった。それはなぜだと考える?」
「最強だからであるか?」
「では伏黒恵ならば召喚できるか?」
「試したことがないのでわからぬな。」
「では答えを教えよう、不可能だ。」
【猿仏僧】が、錫杖で吾輩の頭をコンと叩く。
「貴様の術式の本質は、描いた式神の召喚である。」
「それくらいはわかっておるが?」
「いいや、わかっておらん。でなければ、五条悟の召喚など試すわけがない。」
つまり何が言いたいのだ、と吾輩がジトーっとした目線を向けると、【猿仏僧】はやれやれだというかのようにため息をつき、語り始めた。
「五条悟が式神として使役されている姿を想像できるか?」
「……あ。」
「この術式はあくまでも、式神を使役する術式だ。式神として成立しない存在をそのまま喚び出すことはできぬ。特に、人間はな。」
「つまり、召喚可能であるのは妖怪や神霊が限度である……か。」
「貴様の今の想像力ではな。」
「む……。」
ということは、何か抜け道があるのだろう。そう思い、吾輩は【猿仏僧】の方を見つめる。その視線に、【猿仏僧】は心底呆れたように息をついた。
「──なんでも答えを求め、ただ口元へ運んでもらうことに甘えた雛であるうちは、貴様に教えることは何もない。去ね。」
そう吐き捨てると、術式が解除された。
「え、終わり!?」
「ウキーッ!!キッキッ!!」
伏黒坊はこんな猿から領域展開のヒントを得て、実際にそれを成し得たというのか?
「何が言いたかったのだ、この猿は……吾輩の想像力の限界……それを破れば、妖怪や神霊に限らず、ナニカを喚び出すことができる、と?」
考えても答えが出ない。一体吾輩にはどんな想像力が足りないのだというのだろうか。
「……【猫】。」
なんの術式も持たない猫を召喚し、その子を持ち上げる。なぁなぁと鳴いているその猫の腹を、そのまま吾輩の顔の方へ近づけた。
「すぅー……。」
あの猿によって与えられたストレスを、猫吸いによって発散する。術式効果はなくとも、精神の安定においてこの式神は最強だ。
「はぁ……猿め。」
「一樹……?」
視線を声の方へ向ければ、そこには驚愕の表情を浮かべた真希がいた。
視点:禪院真希
放課後、鍛錬を一通り済ませ、寮に戻ろうとした時、空き教室の中で猫を吸っている一樹を見つけた。
先日のこともあり、何か思うところもあるのかもしれない。だとしたら、気にすんなって喝を入れてやらないと。
そう思って教室に足を踏み入れた時、聞いてしまった。彼女の口から漏れた言葉を。
「……猿め。」
その一樹の様子と隣に立つ袈裟を着た猿が、嫌な記憶を思い出させる。一年前、百鬼夜行を引き起こした元特級術師であり、呪詛師。非術師を猿とみなし、殺し尽くさんとしたテロリスト。
「一樹……?」
私の声に気付き、一樹は猫を膝の上におろしてからこちらへ視線を向けた。
「真希か、顔色が悪いがどうした?」
猫の腹を撫でながら、私の名を呼ぶ彼女の姿は、いつもと変わらない。直哉から苦言を呈され※、つい先日からナチュラルメイクをするようになり、髪も整えてるようになったことを除けば。
※その時の会話
「女がメイクせえへんなんて男が伸ばすわけでもないのに髭剃らんようなもんやろ。これから禪院家でパパに文句言いに行くっちゅうのにそれはアカンで。身だしなみが終わっとるわ。ぶっちゃけ、甚壱くんと同じレベルやで。」
「そこまでであるか!?」
「そっちこそ……疲れてんのか、一樹。」
「うむ、少々な。」
「ウキッ!」
一樹はその猿の声が不快だとでも言うように手を払い、その猿の式神を解除した。
「──禪院家で、何があった。」
「……次代当主に関する話と、何者かによって唆された術師による襲撃があった。」
その言葉を告げる時、一樹の顔色は一層曇った。起きた出来事に対しても一樹は言葉を濁した。唆された術師というのが親父であることを話さなかった。それは、私を気遣ってのことなのだろう。だが、そんな気遣いはいらない。
「クソ親父が死んだことは母さんから聞いてる。その襲撃者ってのは、クソ親父のことだろ。」
「……扇殿である、が……彼は唆されただけだ。彼も本意ではないはずである。彼はただ、禪院家を守りたかっただけのはずなのだ。」
「アイツがそんな殊勝な志を持ってると思うか?」
「腐っても当主の弟だ。襲撃は禪院家の未来を憂いてのことだった。」
一樹はクソ親父のことを庇った。自分の命を狙ったというのに。
「吾輩は彼の説得を諦め、殺してしまった。貴殿らの親父殿を──」
「勝手に抱え込んでんじゃねえよ。正当防衛だろうが。気にすんな。」
「……。」
「そもそもだ、親父は昔からお前を殺したがってた。」
「──なんと?」
記憶を遡る。幼少の記憶を。ことあるごとに私たちを出来損ないと怒鳴りつけ、一樹と私たちが逆だったらよかったのにと嘆く親父の姿を。一樹に憎悪を巡らし、粗探しをしては貶す親父の姿を。いつか一樹を殺してやりたいと夜な夜な呟く親父の姿を。
「アイツは、お前にコンプレックスを刺激されてたんだ。自分の子が出来損な──」
「真希も真依も出来損ないなどではないッ!!」
ヒステリックな金切り声が耳を刺した。一樹からは、初めて聞く声だった。
「……ぁ、すまない。声が……変に。」
その声に最も困惑していたのは、一樹本人だった。その姿は、まるで迷子になった子供のようだった。その姿が痛々しくて、私は見てられなかった。
「っち……悪い、話を変えるか。」
「……気遣わせてすまぬ。」
そんな一樹の様子に調子が狂わされながらも、その地雷から離れるように話を逸らすことにした。
「……で、次期当主に関する話ってのは?」
「吾輩が、次期当主候補としてリーチがかかった。条件は、魔虚羅……伏黒坊の奥の手と同程度の奥の手を我輩が得ることだ。」
「……家の奴らの反応は?」
「女が当主になれるわけがないなどと吠えておったが、黙らせた。その上、直毘人が加えた条件もあり、反対意見は上がっておらん。」
あの膿腐った男尊女卑の禪院家で反対意見が上がらないって、一体何をしたんだ。いや、それより──
「──ジジイが加えた条件?」
「吾輩が当主となる資格を得た時、吾輩に決闘を申込み、勝ったものが代わりに当主となる。」
「……なるほど。」
たしかにそれなら、実力に自信があるやつはその時に黙らせればいいとしてその場は収まるし、実力がないものは納得せざるを得ない。ジジイもよく考えたもんだ。
「問題はな、吾輩が負けた場合……吾輩は其奴に嫁がねばならず、吾輩が勝ち残った場合は直哉殿が吾輩に婿入りしてくることである。」
「は?」
前言撤回、ジジイはカスだ。
「つまり、どうせ勝っても直哉負けても直哉なのである。」
「……いや。」
私は一樹が嫌いだ。だが、恩を忘れたわけじゃない。今こそ、その恩を返す時ではないのか?
「──私がお前に勝って当主になる。」
私が勝って当主になれば、女同士のため結婚はできない。故に、一樹は誰とも結婚せずに済む。このふざけた儀を無かったことにできる。
「真希……」
その強い覚悟を持って一樹の方へ視線を向けると、一樹は顔を真っ赤にして口元を押さえていた。
「わ、吾輩は……ま、真希は……その……乙骨くんと、な?」
「あ?」
「真希は、自由に……好いた男と幸せになってほしいのだ、が……」
おい待て、何か勘違いが生まれてないか?
「……フィジギフビンタ。」
「あたっ!?」
てか薄々感じてたが、こいつは私と憂太をくっつけようとしてやがったのか。余計なお世話だ。
「女同士なら結婚しなくて済むだろ、だから私が当主になってそのふざけた儀を無かったことにしてやるって言ったんだ。」
「あぁ!そうなのか!よかった……心臓が止まるかと……。」
こいつはホント、何考えてるのかわからねえ。
「……そうだ、最後に。」
「なんであるか?」
「──非術師は、嫌いか?」
いずれにせよ、この教室に入ってきた時の発言。あれについては確かめておきたかった。
「む?好きであるぞ。小説も、お酒も……大抵は非術師が作ってくれるものであるからな。」
「そうか、なら良かった。」
全てはきっと、杞憂だった。
視点:釘崎野薔薇
「真希も真依も出来損ないなどではないッ!!」
廊下に突如響いた金切り声。禪院一樹、今の私たちのクラスの教育実習生兼副担任の声だ。
「一樹さんの声、だよな?」
「にしては内容が剣呑だし、ヒスってるわね。」
私は伏黒とアイコンタクトを取る。それから、気配を殺して音の出どころへ向かった。
そこは空き教室だった。中には、膝の上に猫を乗せた一樹先生と、その傍に立つ真希さんがいた。
ってか、一樹先生ってメイクするようになったんだ……かなり自然だし、真希さんが教えたのかな。元が男とか思えね〜。
私たちは頷くと、息を潜めて彼女たちの会話に耳を傾けた。
「問題はな、吾輩が負けた場合……吾輩は其奴に嫁がねばならず、吾輩が勝ち残った場合は直哉殿が吾輩に婿入りしてくることである。」
「は?」
「つまり、どうせ勝っても直哉負けても直哉なのである。」
危うく、私も声が出るところだった。伏黒に関しては苦虫を噛み潰したような顔をしている。伏黒は何か知ってたみたいね。
あ〜、やっぱり術師の家柄って気持ち悪い。女を道具としか思ってないんだわ。腐ってる。しかも一樹先生は元は男、二重の意味で腐ってんじゃないかしら。きっしょきっしょ。
そんな感想を抱いていると、教室の中から真希さんの力強く、それでいて優しげな声が聞こえた。
「……いや──私がお前に勝って当主になる。」
え、なに?告白?え?
チラッと顔を出して教室を覗くが、一樹先生は見たこともないような顔をしていた。完全に乙女の顔だった。アイツ、元は男だよな?なんであんな恋する乙女の顔を描けって課題で100点を取れそうな顔をしてるワケ?
伏黒の方を見る。伏黒はうんうんと腕を組んで頷いていた。え、そういう趣味あんの?
ってか、一樹先生の言ってた憂太って例のアフリカ行ってる乙骨憂太のこと?なに?親戚の娘が男の子と歩いてたら付き合ってると勘違いするタイプ?
「女同士なら結婚しなくて済むだろ、だから私が当主になってそのふざけた儀を無かったことにしてやるって言ったんだ。」
「あ!そうなのか!よかった……心臓が止まるかと……。」
……私も心臓止まるかと思ったわ。真希さんがイケメンすぎるから。
あの剣呑な金切り声から一時はどうなることかと思ったが、なんとかなったようで安心し、私たちは教室を離れた。
「にしても伏黒、アンタ百合豚だったのね。」
「オイ、何があったらそんな発想になるんだ。」
視点:禪院一樹
心臓がまだ早鐘を打っている。本当に心臓に悪い。
真希ってあんなにカッコよかったか?
……ダメであるな。思考が少しバカになってしまったようである。
これも無為転変の影響か?
それとも、前世の記憶を以前よりも取り戻したからか?
「お待たせ、一樹……って、どうしたのその顔。」
「な、なんでもないぞ。」
気づくと、五条悟が目の前にいた。もうそんな時間になったのか。
「そ、じゃあ行こうか。」
「……うむ。」
校庭に出る。吾輩は「着物じゃ動きづらいでしょ」と言われて五条悟から渡されたジャージに着替えている。呪具は置いてこいと言われたので部屋に置いてきた。
「これから君は僕と手合わせをする。時間は、開始の合図をしてから1分間だ。いつ始めるのかは僕が言うから、今からもう気を抜かないようにね。奇襲への対応力も見るから。」
「その前に悟殿、一つ質問があるのだが。」
「どうぞ。」
「ジャージでは呪符があまり持ち運べないのだが、どうすれば良いのだ?」
今吾輩は、ジャージのポケットに入れた八枚の呪符、【円鹿】【貫牛】【大蛇】【鵺】【満象】【
「ああ、忘れるところだった。それ、ちょっとそれ全部召喚してみて。」
「うむ?こうであるか?」
言われた通り召喚して見せた。
「ふーん、式神八体を同時に召喚しても問題なさそうだね。昔なら呪力のロスが大きくてできなかったはずだ。」
「そこまで深刻であったのか、かつての吾輩の呪力効り──」
次の瞬間、それらは青い光に吸い寄せられるように潰され、所持していた式神全てが破壊された。
「じゃ、今から1分間式神なしで僕の攻撃に対応してね!」
「は」
五条悟は、軽くストレッチを行うと一瞬にして間合いを詰め、あの時の同じ【蒼】の拳をこちらへ振り抜いた。
吾輩は突然のことすぎて、全く対応できなかった。
拳が、無防備な腹へめり込む。内臓が破裂する感覚がする。
「ぅ……ゔぉえ……っ!!」
「君の問題点なんだけどね、式神に意識を割きすぎてる。結局強い術師同士の戦いは、本体の体術が問われる。君の術式、式神はその補佐にすぎない。」
痛みで涙が止まらない。前にやられた時よりも威力が高い気がする。
「今みたいに式神が全部一気に潰された時とか、そもそも敵が式神全部抜いて君を直接攻撃しにきた時とか……って、反転術式回しながら聞いてね。手加減したとはいえ、死ぬから。」
「……さ、悟殿、これは本当に……おぇ……手合わせなので、あるか?」
「手合わせになるまで、徹底的にシゴきます。だからまずは痛みという感覚と別れを告げようか。それが終わるまでは、式神関係に手を出すのは早い。」
「ひぇ……」
足が震える。吾輩は軽く見ていたのかもしれない。五条悟が直々に「育てる」と言って吾輩を拾った、その真意を。
「当主になっても、腐ったミカンたちに潰されるようじゃ意味がない。逆に潰せるくらいになっておかないと。」
五条悟は、目隠しを取る。その目は、日頃の剽軽な性格からは想像できないほど冷たくて。
「だから、強くなってもらうよ。僕に追いついて来るまで。」
反転術式の治癒が終わり、吾輩は立ち上がる。
「生徒たちにはこんなやりかたはできない。危険すぎるからね。少なくとも、今はまだ。憂太と金次ならまあ、頼まれたらやってあげなくもないけど。」
「……反転術式を習得していることが最低条件か。しかし、こんな一方的な戦いに意味はあるのか?」
「禪院甚爾ってわかるよね。僕は奴との戦いで死にかけた。」
「……ああ、甚爾殿には直哉殿が執心していてな。その戦いの話は何度も聞かされた。もっとも、誇張だと思っていたが。」
「僕はその時、死にかけて初めて呪力の核心を掴んだ。死闘にて得られるものは多い。そういう同格以上の相手との戦いが、大きな成長をもたらすんだ。」
「だからと言って、式神なしでは……」
「僕もあの時は【蒼】しか使えなかった上に、無限も破られた。そういう不利な状況で試行錯誤するのが、死にかけるのが……経験として大事だと思うんだよね。」
その日は反転術式を回す呪力が尽きるまで、五条悟に殴られ続けた。最後に反転術式の治癒が終わるちょうどのところで綺麗に呪力を使い尽くしたのを見るに、五条悟はすべて計算した上でわたしにダメージを与えているのだろう。
「これ、僕がいる日は毎晩ね。君が1分間僕の攻撃に対応できるようになるまで。」
「……はい。」
わたしはそそくさと校庭を後にしようとしたが、五条悟に引き止められた。
「そういえば、お猿さんはなんて言ってた?」
「猿……【猿仏僧】、ですね。」
「なんで敬語なの。」
「……は、またであるか。」
前世で殴られた記憶が蘇ったせいか、また口調が変わってしまったようだ。だが、五条悟にこの原因を話す必要はなかろう。
前世だなんだというのはバレると頭がおかしくなったと思われるか、情報を全て引き出されて吾輩の知らぬ展開になり、吾輩や周囲の死亡率が上がりかねない。吾輩は真希と真依……それから授業をしているうちに愛着が湧いた伏黒坊、釘崎嬢、虎杖悠仁と、余裕があれば直哉殿の危機以外には干渉しないこととすることに先日決めたのだ。それだけならば、原作の流れが大きく変わるのは真希という戦力の喪失のみ。吾輩がその穴を埋められるだけ強くなれば良い。
「気にしないでくれたまえ。【猿仏僧】は……たしか、なんだったか。鳥獣戯画の本質を知らないだの、吾輩の想像力では妖怪や神霊がせいぜい召喚できる限界だとか。」
「ふーん……まあ、それは今は置いといていいや。式神を使っていいのはまだまだ先だから。今の様子じゃ、一週間は無理だね。」
「一週間……。」
今は10月14日。宵祭りが10月19日だったか。
宵祭りも渋谷事変も、吾輩は止めるつもりはない。宵祭りで仮に与幸吉が生存した場合、羂索サイドは計画を大きく練り直すはずだ。そうなれば、前世の記憶というアドバンテージが消えかねない。可哀想だが、与幸吉には犠牲になってもらうし、渋谷事変は開門させる。
七海建人はまあ、真希を助けるついでに救ってしまおうか?彼は善人だからな。直毘人は自分でなんとかしてくれるはずだ。最悪、漏瑚は吾輩が【円鹿】奈良公園行進作戦で押さえつけてしまおう。
……いや、七海建人が死ななければ虎杖悠仁とイノタク殿の成長が鈍化する恐れがある。彼の命も見捨てるべき……なのか。難しい。くそ、呪いが廻っている。
「なに、予定あった?」
「……いや、特には何もない。」
吾輩は冷酷に選択しなければならない。
なお、この禪院一樹とかいう術師は見捨てようと思った伏黒を虎杖の言葉を聞いて助けに戻るようなクソ雑魚メンタルである。
五条悟「まず、痛みを忘れてもらうところから。反転術式の出力的に腕を飛ばすのはまだ早いよね……。だから、内臓をぐちゃぐちゃするくらいで留める。そっちなら治し慣れてるでしょ。」
モジュロ最新話!!!!!!(絶命)