禪院家に強術式の男として生まれても詰むことあるんだ……   作:ある日の残り香

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 死滅回游、解体開始。

 最近、一樹くんの脳内再生CVが記憶から消え失せてしまったせいでずん●もんで再生されてしまう呪いにかかった。
 読者の皆さんはどんな声でイメージしてるんでしょうか。










回游解体編(最終章)
第二十八話【寒さ/妹/笑えない】


 

視点:伏黒恵

 

"──伏黒坊、虎杖悠仁。もしも大切な家族が悍ましい存在に成り代わられたらどうする?それでも愛すか?殺すか?"

 

 意識が遠のく中、かつて一樹さんが俺たちに問いかけた言葉がリフレインする。俺は、その質問になんと答えたのだったか。

 

「……取り、戻す。」

 

 ああ、そうだ。最後まで足掻くと答えたんだった。取り戻すために。

 

 一樹さん、アンタも……俺たち高専の仲間で……家族だ。虎杖も、釘崎も、真希さんも、きっとアンタを……。

 

 だからまだ成り果てていないなら、応えてくれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:虎杖悠仁

 

「あ゛ー!!!」

「パトラッシュ!!」

 

 俺は日車との戦闘後、伏黒を探していた。そんな時に髙羽とは出会った。伏黒を知っていたようなので、捜索を手伝ってもらっていたところ、伏黒が天使の羽を生やした女の子に運ばれているところを目撃した次第だった。

 

「伏黒を助けてくれたのか?」

「ええ、まあ。」

 

 その子は来栖華って名乗った。協力的な泳者がいてくれて、正直安心したところはある。

 

「とりあえず、伏黒やべーよな……どっかで休ませねえと。」

 

[リンゴンリンゴンリンゴーン!!]

 

 そんな時だった。

 

[泳者による死滅回游へのルール追加が行われました!!]

 

[〈総則〉11、泳者は他泳者にコガネを通して通話をすることができる]

 

 突如、死滅回游のルールが追加された。連絡手段の確保か!となると、高専の誰かが……いや、ちょっと待て。

 

「……コガネ。1分以内に100点以上ポイントが変動した泳者を羅列してくれ。」

 

 だとしたら、泳者に拘るのはおかしい。高専が目指しているのは、コロニー内外の連絡を取るためのルール追加のはずだ。

 

[出たぜ!こいつぁ桜島結界を枯らしちまった女と、仙台でブイブイ言わせてる男さァ!]

 

 表示された名前と得点に息が詰まる。

 

 禪院一樹

  得点:075 変更:01回 滞留結界:桜島

 乙骨憂太

  得点:190 変更:00回 滞留結界:仙台

 

「ルールを追加したのは、羂索──っ!」

「なにっ!?」

「羂索って、天使が言ってた……!」

 

[リンゴンリンゴンリンゴーン!!]

 

「また!?」

 

[泳者による死滅回游へのルール追加が行われました!!]

 

[〈総則〉12、得点を50以上保有している受肉体と呪霊を除く泳者はコロニー内外への移動が可能となる]

 

「今度は誰が追加したルールだ……コガネ、さっきと同じ条件で検索かけてくれ!」

 

[ほい、出たぜ]

 

 禪院直哉 

  得点:005 変更:01回 滞留結界:大阪

 

「直哉さん……このタイミング、明らかに繋がってるよな。」

「フム、俺にもわかるように説明してくれないか、少年!」

 

 俺が説明を受けたいくらいだよ、ほんと。

 

「後で落ち着いたところで話したい。コガネ、禪院一樹が移動したらその都度居場所を教えてくれ。」

[しょーがねーなー!]

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:禪院一樹

 

11月12日 15:45

 

「桜島コロニーは非好戦的な泳者を残して平定した。残っているのは13人。吾輩の持ち点を1点ずつ配ってもコロニー移動の最低要件は満たせておる。」

『お疲れ様です。適応は進んでますか?』

「うむ、乙骨殿の見立て通り"受肉体への適応"が始まった。とはいえ、まだ吾輩が望む適応結果ではない。次のコロニーへ移って新たに受肉体を焚べるつもりだ。」

 

 吾輩は、更地となったコロニーの中心にて乙骨殿と通話を行っていた。魔虚羅は順調に適応を続け、遂に受肉体への適応が始まった。とはいえ、今の魔虚羅では受肉体を殺してしまう。目指すのは、呪物と魂の分離だ。そのためにはまだ、適応が足りない。おそらくあと少しだとは思うのだが……。

 その時、どこからか冷たい風が吹いた。もうすぐ冬、冷え込む季節がやってくるのだということを実感した。それより、生足をさらけ出しているせいか、くすぐったくてたまらない。

 

「……直哉殿との縛りとはいえ、落ち着かんな。この服装は。スカートの丈が短すぎるのではないか?」

 

 吾輩が思うに、こういった衣装はもっとあどけない少女が着るもので、20歳の吾輩はギリギリアウトだと思うのだ。そこまで童顔でもなければ(自己評価)、目つきも悪いのでな(純然たる事実)。それに、こう見えて吾輩は寒がりなのだ。トンビコートを年中着ておるくらいには。

 

『戦闘に支障が?』

「いや……その、支障はないんだが。寒くてな。」

 

 とはいえ、吾輩がこうして魔虚羅の横に立っておると、此奴が魔法少女モノの使い魔に見えてしまうようで、そのせいか他の泳者たちに覚醒型の泳者だと勘違いをされている。そのお陰で受肉型泳者や好戦的な泳者が舐めて向こうからやってきてくれるというのは有り難かった。

 

「にしても、本当に寒──」

「羂索じゃないな、貴様。」

 

 その凍てつくような声を、吾輩は知っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:裏梅

 

11月12日 11:30

 

「やりましたね、甚壱さん……!!」

 

 何かを勘違いした下郎が、限界を迎えたようで死に絶えた。私は手に持った凍ったままの生首を地面に放り投げる。その首はパシャンと音を立てて砕け散った。

 

「まったく、羂索の奴は何をしている。禪院家は支配下に置いたのではなかったのか。」

 

 傷は深いが、もう周囲に敵はいない。落ち着いて反転術式を回す。

 

「羂索の奴め、裏切ったか?」

 

 違和感。

 

「いや──禪院一樹、羂索の新しい肉体が……何か悪さでもしたか。」

 

 渋谷で会敵した術師。五条悟と同じ無限を纏い、私の妨害を行ったあの術師。

 

「……コケにされたままでは、宿儺様に顔向けもできない。」

 

 私は、禪院一樹の残穢を追い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:禪院一樹

 

「なんだそのふざけた服装は。」

「縛りである。」

 

【ガコン】

 

 裏梅との会敵により、魔虚羅の適応が再開する。今の魔虚羅ならば、受肉体である裏梅を一撃で葬り去ることができるし、氷漬けにも先ほど戦闘した覚醒型の泳者によって適応している。そのため、裏梅には魔虚羅への有効打はなく、一見負けなしである。

 

【ガコン】【ガコン】

 

 問題は、吾輩という弱点がここにいるということ。

 

「魔虚羅っ!!」

 

 だが、一撃でも魔虚羅の剣が触れれば勝利なことには変わらない。

 

【ガコン】【ガコン】【ガコン】

 

 ここまできて、吾輩が死んでしまえば全てが無駄になる。

 

【ガコン】【ガコン】【ガコン】【ガコン】

 

 ……それにしても、原作でこんなに魔虚羅の方陣が回ることがあっただろうか。もはやぐるぐる回っておるのだが。

(※田中静香の死後掲載された展開のため、一樹が検索しても出てこない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:裏梅

 

 私の周りには、誰もいなかった。

 私は術式を制御できず、周りの人間が皆冷たくなっていった。

 父様も母様も私のせいで同じように死んだ。

 

「ついてこい、童」

 

 そんな私を拾ってくれた御恩を、私はきっと死しても忘れない。

 

 

 

 

 

 

 

「おかしい。私はたしか、戦闘中で──」

「裏梅殿。」

 

 パチパチと火の爆ぜる音が聞こえる。見れば、焚かれた火の側にあの女が腰掛けていた。先ほどのふざけた格好ではなく、着物を着ていた。

 

「貴様……」

「わかるだろう、座りたまえよ。」

 

 その景色には見覚えがある。

 

「……負けたのか。」

 

 術師との戦いの最中、稀に相手と繋がることがある。そして、それは今際の際であることが多い。あの状況、私は一撃を受け流してから最大出力の【霜凪】を放つつもりであった。つまり、私は攻撃前であり、この戦闘の決め手はあの式神が振り放った初手の斬撃なのだろうと推測できる。

 

「辱だ。」

「貴殿は強かった。こちらのズルが刺さっただけのこと……あ、焦げた。」

 

 女は、肉を焼いていたようだが下手くそすぎて焦がしていた。

 

「……違う、こうやるのだ。」

 

 命のやり取りは完結した。ならば、もはや敵意を見せることすら馬鹿馬鹿しい。私は、死んだのだから。

 

「──女、羂索はどうやって倒した。」

「それがよくわからなくてな。」

 

 女は必死に説明をしているが、その内容は悉く理解できない。

 

「意味がわからん。」

「吾輩もわからぬのだ。」

 

 とはいえ、あの式神があるのならば宿儺様でも骨が折れるだろう。虎杖悠仁から肉体の主導権を奪えなければ、問答無用で死に絶える可能性も否定できない。

 

「貴殿の敗因は、受肉体であったこと。もし受肉体でなければ、吾輩ではいくら背伸びしても、逆立ちしても勝てはしなかっただろう。」

「……。」

 

 パチパチと火が爆ぜる。

 

「貴様はなんのために、あの式神を育てている。」

「大切な者を取り戻すためである。万はわかるか?彼奴に受肉されてしもうてな。」

「……それは不憫だな。」

 

 受肉されたことについてではない。万に受肉されたことについてそのように感じた。

 

「裏梅殿、貴殿にとって両面宿儺とはどのような存在であるか?」

「強欲な奴だな、貴様は。宿儺様の話を聞きたがるなど。」

 

 肉が焼けたので、それを差し出す。

 

「──長くなるぞ。」

「この空間では時間が圧縮されておるようだ。どれだけ長くなっても構わん。」

「ならば、畏れ多くも語らせてもらおうか。あの御方が、どれほど強大であったか。」

 

 

 

 

 

 

 

視点:禪院一樹

 

「……。」

 

 足元に転がるのは傷一つない少女と、その傍らには砕け散った呪物の破片。呪物の破片は、まもなくザフっと音を立てて消失した。

 

『一樹さん、大丈夫でしたか?』

「……ん、ああ!問題ない。裏梅を撃破した。」

『それにしてはポイントの変動が──もしかして……!!』

 

 足元の少女に目を移す。脈を測れば、生きていることがわかった。

 

「強い呪力に当てられ続けたことで意識は失っておるが、うまく分離できたようである。」

 

 ついに、魔虚羅は吾輩の求める完成へと至った。吾輩は少女を抱えると、結界の中心に向かった。

 

「それでは乙骨殿、変わらずコロニー平定を進めておくれ。時が来るまで。」

『それでは、また後ほど。』

 

 結界の中心についた吾輩は、コガネを呼び出す。

 

「コガネ、この結界内に残留するすべての泳者に1点ずつ譲渡したい。」

[わかりました。]

 

 瞬間、結界内のあらゆるところから点数譲渡の報告をコガネが行う声が聞こえた。

 

「続いてコガネ、この結界内の泳者全員に通話を行いたい。」

[お手数ですが、一人ずつおかけください。]

「……面倒くさい。」

 

 それから吾輩は、この結界内の全ての泳者に一人ずつ、もはやこの結界内では殺し合いを行う必要がないこと、そして、この死滅回游が数日以内に終わることを告げた。

 

「……真依を助ける最低条件は整ったが、まだ実例は一件だけ。データを集めなければ安心して決行はできぬな。」

 

 吾輩は近くの民家のベッドに氷見汐梨を寝かせてから結界を出た。次の結界を目指して。

 

 

 禪院一樹

  得点:061 変更:01回 滞留結界:--

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:禪院真希

 

「一樹から電話だ。」

 

 薨星宮で待機している私たちの元へ、一樹から連絡が来た。

 

『吾輩だ。桜島結界を平定した。魔虚羅の適応も一応は望む形に至ったが、まだ成功例が一つしかないのでな、隣の結界も平定してくる。』

「そうか。こっちからも伝えることがある。」

 

 天元様から聞いた話、禪院家の壊滅を伝えた。

 

『……ま、こと……か?』

「直接この目で見たわけじゃない。だが、天元様からの報告だ。」

 

 正直、私からすればスカッとするような出来事でもある。だが、一樹にとっては……

 

『せ、生存者は……?父上は?母上は?甚壱殿、蘭太、長寿郎殿は?』

「……。」

『……そう…で、ある……か。』

 

 一樹にとっては、あんなクズどもでも家族だった。

 

「天元様が言うには、裏梅……件の氷の術師の仕業らしい。」

『なら、安心するといい…彼奴は、吾輩が……討ち取った。』

 

 明らかに、声に覇気がない。動揺も感じ取れる。

 

「……一度、こっちへ戻ってくるか?」

『いや、結界の平定を進めつつ……真依を取り戻す手段を確実なものにしなければ。』

「馬鹿が、そんな状態で──」

 

 今のメンタルで戦場に立てば、どこかで隙が生まれるかもしれない。そうなれば魔虚羅を連れた一樹だろうと死にかねない。

 なんとかメンタルを回復させなければ……。

 

「代われるか、真希。」

「──悠仁の兄貴が代われるかって聞いてるがどうする?」

『うーむ……まあ、脹相から虎杖悠仁へ情報が流れることはなかろう。構わん。』

 

 私は携帯を脹相に渡した。

 

「きょうだいを失ったのか。」

『……否である。吾輩には血の繋がった兄弟はおらぬ。だが、父上と母上、それから世話になった者たちを失った。』

「そうか。」

『吾輩が留守の間に、家族を皆殺しにされてしまったのだよ。吾輩は。吾輩の選択が、皆を殺した。吾輩が残っていれば……皆を逃す時間くらいは稼げたはずである。』

 

 一樹にとって、禪院家の人間は家族だった。少なくとも、両親と甚壱、蘭太、長寿郎、直哉と私たちは。大して親しくもないクソ親父を殺してしまった時ですら強いショックを受けるくらいに繊細な一樹のことだ、親しかった全員を同時に失ったのだから、その心中は量り知れない。

 

「違う。」

「は?」

『何が、違うというのだ。』

「まだ生きているだろう、オマエの家族は。」

 

 脹相が、私を見た。

 

「……真希と真依。オマエにはまだ守るべき家族がいる。そして、オマエの兄貴分もいるだろう。」

『真希、真依……ついでに直哉、か。』

「そして一樹、オマエは俺とは違う。オマエは家族たちを殺していない。」

 

 脹相が息を吸い込んだ。その手は震えていたが、目は真っ直ぐだった。

 

 

 

 

 

 

 

視点:脹相

 

 俺は一樹に後悔を語った。楽な道を選んだことを。ただ俺が人として苦しむ弟たちを見たくなかったがため選んだ道で、人として苦しんでいる悠仁に出会い、弟を死なせ、悠仁を独りにしてしまったことを。

 

「──オマエは違う。オマエは自分にとって楽な道ではなくとも、苦難の道であったとしても、真依を救う道を選んだ。」

 

 真希たちから話は聞いている。

 

「ブレるな、オマエの進む道は間違ってない。たしかに、家族を失ったかもしれない。だが、オマエは救うと決めたのだろう。立ち止まるな。」

『……ああ、必ず真依を救う。そのためなら、なんでも犠牲にするつもりだった。』

「ならば、後悔するのは今じゃない。オマエも、姉ならば。最後まで走るんだ。それが、失った家族たちにも報いることになる。」

『……ありがとう、お兄ちゃん。』

 

 お兄ちゃん???

 

『あ、いや!ま、間違えた!!』

 

 

 

 瞬間、俺の脳内を駆け巡る……存在しない記憶。

 

 

 

 

 

 

 

 

 母の亡き後、父が再婚した。

 

「紹介するよ、一樹だ。」

「殺してくれ。」

 

 歳の差が大きい結婚だった(大体1000歳差だろうか)。むしろ、俺たちの方が歳が近いだろう(俺とは大体130年差、悠仁とは4つ差だ)。およそ、彼女の意思で選んだものではない。

 

 

 

 

「……大丈夫か。」

「大丈夫である……吾輩は……。」

 

 彼女はよく、他の兄妹たちが寝静まった後一人で縁側に座って泣いていた。俺はそんな場面に立ち会った。

 

「無理はしなくていい。あんな奴に嫁入りなんて、嫌だったろう。」

「……仕方がなかろう、家が決めた結婚にとやかく言うことは出来ぬのだから。」

 

 彼女は涙を拭うと誤魔化すように笑った。

 

「ははっ、こんなこと息子にする話ではないな。すまなかった。まだ齢も20で、母親というものの勝手がわからなくて……!」

「俺のことは息子として扱わなくてもいい、俺はオマエより年上だからな。」

「……いや、でも!」

「家族であることには、変わりない。俺が守る。」

 

 そんな時、彼女が呟いた言葉。

 

「お兄ちゃん……。」

「ん?」

「あっ!いや、違うのだ!!」

 

 それはきっと、彼女の実家の兄弟と俺を重ねてのことだったのだろう。それでも、兄と呼ばれたからには応えよう。

 

「いや、今日から俺はオマエのお兄ちゃんだ。一樹。いくらでも頼っていい、いくらでも甘えても良い。俺が守る。」

「……いいの、かな。」

「文句を言うとしたら加茂憲倫だろうが……俺が文句を言わせはしない。家族を、きょうだいを守るのが兄の務めだ。」

 

 その言葉を聞いた彼女は笑った。月明かりに照らされて綺麗に、まだ幼さの残る顔で笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……妹よ。」

『何かバグっておらぬか?』

「叩けば治るか?」

「お兄ちゃん、それは流石にないぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:髙羽史彦

 

[禪院一樹が移動したぜ!]

 

 伏黒少年をホテルのベッドに寝かせたところで、虎杖少年のコガネが告げた。

 

「……その禪院一樹って人が、今の羂索……この死滅回游を開いた黒幕なんだ。」

「ふむ……。」

「イッツーは俺たちの副担任で……すげー優しくて強い人だった。」

「──受肉されたんですか?」

「いや、たぶん殺されて……死体を、乗っ取られてる。」

 

 虎杖少年は拳を握りしめる。

 

「……。」

 

 そんな中、俺はつい考えてしまったのだ。

 

 不謹慎と言われるかもしれないが、頭に浮かんできた。

 

 ……口に出さなければセーフだよね?

 

 "一樹さんを羂索から救う方法を、いつの間にか検索!"

 

 うむ、面白いダジャレだ。"一樹さん"と"いつの間にか"を掛けてるだけでなく、"羂索"と"検索"を掛けている。自分の才能に惚れ惚れす──

 

[ピコン]

 

「……何したんスか?」

「なんか、出てきましたけど??」

 

[検索結果:乗っ取られてない]

[もしかして:羂索の魂が負けてる]

 

「いや……俺はただ──"一樹さんを羂索から救う方法を、いつの間にか検索!"って心の中でつぶやいただけで……。」

「ということは……」

「これって……」

「……ああ、少年!」

 

「「「禪院一樹/イッツー/一樹さんは生きている!」」」

 

 良かった、若人が笑っている。お笑い芸人やってて良かった!

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:禪院一樹

 

[通話です。]

「誰からであるか?」

[虎杖悠仁からです。]

「切れ。」

[ガチャン。]

 

 何故だ。何故虎杖悠仁から連絡が来るのだ。怖いもの知らずにも羂索に接触しようとしている……いや、そんな無謀な行いはしないだろう。

 

[通話です。]

「切れ!!着信拒否である!」

 

 まさか、吾輩の情報が漏れたのか?

 だとしたら一体どこから……乙骨殿?直哉殿?いや……違う。彼奴らが情報を漏らすとは思えない。高専に残ってる者たちも同様だ。

 

「………あぁ!!?」

 

 すっかり忘れていた。

 

 東京第一結界には、あの男がいる。

 

「……なんの因果か、やれやれ。」

 

 原作において、羂索との決戦に臨んだ男。

 羂索の宿敵であり、好敵手であり、相方。

 【超人(コメディアン)】、髙羽史彦。

 

「いや、普通に笑えないが?」

 

 もしも髙羽史彦の術式によって、吾輩の生存がなんらかの理由で虎杖悠仁にも開示されている場合、それは宿儺も……羂索の死と吾輩の悪巧みに気づくという事。

 

「……のんびりは、していられぬな!!」

 

[5点が追加されました。]





仙台結界のアニメ、良かった。





呪術読者、ほぼ全員脹相のことを「お兄ちゃん」と呼んでしまうので危険。
そして、今の一樹は羂索であり、同時に加茂憲倫の嫁であるためお兄ちゃんセンサーがバグ挙動で発動する。





現在の各所

乙骨:仙台平定。【贋作・草薙剣】のお陰で体力呪力の消耗は抑えたが、それでも継戦不可。休息中。
石流:乙骨に生かされている。人外魔境新宿決戦が起こった時の保険。
烏鷺:乙骨に生かされている。人外魔境新宿決戦が起こった時の保険。
直哉:大阪(仮称)平定。普通に呪力が底を尽きたので休息中。
一樹:桜島平定、広島(仮称)半分平定。道中で術式反転によって式神や呪霊(【呪霊操術】を得たことで、呪霊を式神として捉えることができるようになった)を墨に変換して呪力を補給。そもそも戦闘はほとんど魔虚羅に任せていているため消耗が少ない。
大道:【穢筆】を奪って一樹の両手両足を斬り落とすも、首までは落とせずに、魔虚羅の"受肉体への適応"が進み死亡。
三代:まだ桜島結界に到着してなかったので生存。
裏梅:呪物と肉体を切り離され死亡。
秤:シャルル、鹿紫雲に勝利。鹿紫雲は受肉体だから現状のルールだと外に出られないことを忘れている。
鹿紫雲:宿儺と戦う事を条件に一時同盟。なお。
星:結界外で待機。
虎杖:一樹と通話したい。
宿儺:妙な胸騒ぎを感じている(裏梅の死)。
来栖:伏黒の寝顔を見ている。
天使:羂索がそう簡単には終わるか?と疑心暗鬼。
髙羽:わかんない。
伏黒:おねむ。
釘崎:結界外で待機。
天元:万と雑談中。
万:そろそろ年寄りの長話に疲れてきた。
真希:脹相に引いてる。
脹相:新しく生えた妹を応援中。
九十九:天元と星漿体の話をしたいのに、ずっと長話してるから話をするタイミングがない。
津美紀:伊地知さんと雑談。
伊地知:平和に雑談。
日下部:楽な仕事だぜ!(津美紀の護衛中)
禪院本家の皆さん:全員死亡。
五条:ロケットに搭載完了。12月24日に宇宙へ放出。
その他:ほぼ原作と一緒。





だいぶ終盤です。
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