禪院家に強術式の男として生まれても詰むことあるんだ……   作:ある日の残り香

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最終決戦!
お酒の勢いで一樹くんの服装を魔法少女にしたことを後悔している。
もどして……。












第三十話【東京第一結界-堕天-】

 

視点:禪院一樹

 

 突如出現した巨大な【鵺】、そしてソレが放つ極雷。

 

「……乙骨殿。」

「そうですね。」

 

 乙骨殿が【リカ】を完全顕現させ、コピーした吾輩の術式を用いる。

 

「【悟廟】」

 

 召喚したのは、外付けの【無下限呪術】。本体が貧弱な吾輩を守ることで、魔虚羅の強制解除を防ぐ策……と宿儺には思わせる。

 

「直哉殿、()()()()()()を。」

 

 その合図に、直哉殿が飛び出していく。

 結界内に満ちている、呪いの王の呪力。

 

「吾輩の読みが外れた。どうやら伏黒坊が受肉されたようである。」

「……ふぅ。────どちらにせよ、魔虚羅をぶつければ勝ちです。」

 

【ガコン】【ガコン】【ガコン】【ガコン】【ガコン】

 

「伏黒君が肉体の主導権を取り戻してくれれば楽なんですけどね。」

「16本分であるからな……中々起きてはくれぬだろう。」

 

 ……乙骨殿、なんかムスっとしておるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:乙骨憂太

 

 僕、事前に確認しましたよね。伏黒君が器なら、虎杖君から隔離しなくていいのかって。伏黒君は結界外に逃がせるだろうって。そうしたら──

 

 

 

「安心したまえ、条件は揃っておらぬ。そして、目の前で吾輩が死ぬか、津美紀嬢が死ぬか、虎杖悠仁が死にでもしなければ条件を満たすこともなかろうて。」

「詳しく説明してください。」

 

 どうやら、伏黒君は虎杖君と同じで「檻」になり得るとかなんとかで、宿儺はそんな危ない橋は渡らないとかで。むしろ、こちらから干渉しようとすれば何かしら勘づかれて作戦が失敗に終わる可能性が高いとか。

 あとは、天使……来栖華が伏黒君への執着を抱いていて、引き離すには彼女も説得しなければならないが、虎杖君と一緒に行動しているはずだから、宿儺には勘づかれずにコトを進めるのは難しいと。

 

 

 

 ──いや、普通に乗り移ってるじゃないですか。

 

「一体何が起きたのか……まあきっと、一樹さんが省いた情報の中に答えがあるんだろうな。」

 

 怒りはない。呆れももはやない。あるのは、ただ直面した問題に対処しなければならないという責任感。

 

「上手くいくと、いいんだけど。」

 

 僕は、【贋作・草薙剣】を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:両面宿儺

 

 伏黒恵の自我が浮上してくるまで多く見積もって300分……といったところか。その間に絵描きの女と小僧を【十種影法術】で殺害し、伏黒恵の魂を折る。

 

 取り回しが良くなく、雑魚の間引きにしか使えない【鵺】を解除しながら、ホテルの屋上へと上がり、眼下を見下ろす。

 

 結界内には、あの時の贋作の気配がある。事前に召喚していることを考えると、少なくとも斬撃や炎には適応されているだろう。正面から相手するならば十種の式神で破壊することになるのだろうが、おそらくそれも不可能。だが──

 

「ケヒッ…馬鹿な奴だ。」

 

 隠れることなく術師本人が姿を晒している。抱えているのは……【悟廟】とか言ったか。五条悟の術式を模した式神。こちらも展延で突破できる。本体の柔さはよく知っている。簡単に捻り潰せるだろう。

 

 問題があるとすれば憑霊の餓鬼と投射の男か。奴らはとことん術師だ。絵描きの女のような甘さもなければ、術式への理解や呪力の出力も高い。コイツらが妨害してくる中、絵描きの女を殺すのは現実的じゃないな。決め手となる技も、絵描きの女より多いだろう。

 幸いなことに投射の男はその速さを生かして生存者の保護でもしているようで、しばらくは前線に出てこないだろう。こっちは出てきたところを潰せばいい。

 

 まずは憑霊の餓鬼から仕留める。次に投射の男、そして最後に絵描きの女だ。

 

 状況の分析を終えると同時に、目前に現れた憑霊の餓鬼と呪いの女王、そして魔虚羅の肩に乗って【悟廟】を撫でている絵描きの女。

 

【解】

 

 挨拶代わりに憑霊の餓鬼に向けて【解】を数発放った。しかし、憑霊の餓鬼には傷一つつかなかった。八割が手に持った呪具で切り払われ、それを掻い潜って的中した【解】さえも、憑霊の餓鬼の薄皮一枚切ることすら叶わなかった。

 

「硬いな。」

 

 あの呪具の術式はおそらく、呪力の霧散……天元の語っていた【黒縄】と似て非なるものだろう。まったく、どこでそんなものを手に入れたんだか。

 問題は的中時のダメージの少なさだ。憑霊の餓鬼の呪力量と出力は目を見張るものがあるが、俺の【解】を受けて無傷でいられるほどではない。何かカラクリが……なるほど、伏黒恵か。

 意識がないというのに、無意識下で同胞への攻撃を察知して俺の出力を下げている。まったく、そう簡単にはいかんか。

 それよりも……

 

【ガコン】【ガコン】【ガコン】【ガコン】【ガコン】

 

 贋作の方陣が回り続けている。渋谷の時とは違う、攻撃を受けるたびに方陣が回っているわけではない。常に回り続けている。こいつは、一体何に適応している?

 絵描きの女は死滅回游において、複数の結界を枯らしている……この女は、現代の基準で言えば確かに強者だが、平安の術師を圧倒する程とは思えない。おそらく、この贋作に何か種がある。

 とすれば、贋作がしているのは受肉体への適応か、あるいは……敵対した術師の存在そのものに適応して、存在ごと消し去るか。この式神の術式があらゆる事象への適応であるという俺の読みが当たっているなら、この辺りが答えだろう。

 ならば、一発だろうとこの贋作の攻撃を受けてはならんだろうな。上手く絵描きの女から引き剥がし、その隙に本体を殺す。展延で【悟廟】を破壊し、その隙に【満象】で潰してしまえば良いだろう。

 

「見え見えだ。そしてお粗末だ。」

 

 本当に、舐められたものだ。この程度の付け焼き刃で俺を殺せるとでも思ったの──

 

「詰みやで──領域展開。」

 

 背後で掌印を組んでいた男に気付いたのは、領域が展開される直前のことだった。

 

 

 

領域展開【時胞月宮殿】

 

 

 

「──領域の要件を変えてな、必中術式の対象を細胞単位から通常通りのものに変えたんや。動いたらフリーズするで。」

「当たれば、な。」

 

 領域の展開と同時に【彌虚葛籠】で必中効果を防いだ。だが、他の連中はどうだ。憑霊の餓鬼も絵描きの女も領域内にいて、必中術式を受けている。

 

「他を顧みない圧倒的な個、厄災……それを形だけ真似たか?」

 

 群がることでしか強者に勝てない身の程の虫ケラが、身の丈に合わない戦い方をする……何とも滑稽で愚か──

 

「詰みってのはな、何しても終わりやから詰みなんや。初手で領域展開しなかった君の落ち度やで。」

 

 ──領域内を、まるで何もないかのように平気で歩く存在がいた。

 

「動けば俺の領域でフリーズして魔虚羅に斬られ死亡。動かなければそのまま魔虚羅に斬られて死亡。腕がもう2本あれば話は変わったんやろけどね。」

 

 それは、方陣が回り続ける音と共に俺の目の前に現れた。

 

「なるほど、事前に貴様の術式にも適応させたのか。」

「一樹くんは馬鹿やし、乙骨くんは人を疑わんからね。俺だけでも狡猾でいないとアカンのや。」

 

 【悟廟】と憑霊の餓鬼の式神はブラフ、本命はコイツの領域と魔虚羅によって俺を詰ませることだったか。

 だがまだ手は打てる。まったく、この程度で詰みなど片腹痛い。【解】ならば何の予備動作もなく放つことができるし、俺はまだ受肉による変身を残している。領域を展開して全員を切り刻んで【竈】で焼き尽くしてしまうことだってできるはずだ。だが、俺は──

 

「地獄で裏梅?ちゃんが待っとるで、はよ行ってやり。」

 

 気づくと、俺の身体は動いていた。

 

 

 

 

 

 

視点:禪院直哉

 

 一樹くんは馬鹿でアホや。未来の記憶を持っとるらしいけど、これまでもずっとガバガバやった。やから、ここ一番ってとこでも大ポカやらかすんやろと思っとった。

 例えば一樹くんの記憶違いで、いざ攻め込みに行ったら普通に宿儺が悠仁くんの体の主導権を取ったり、恵くんに移ったりするとかな。そんで、うまく魔虚羅を当てれずに【悟廟】をなんらかの方法でブチ抜かれて死亡とかな。

 

 せやから、そういう場合のプランBを用意させてもろてん。俺が生存者の救護に向かったと思わせて宿儺の意識から外し、一樹くんと乙骨くん相手に集中したところで俺の領域で足止めして、事前に俺の術式に適応させた魔虚羅を領域内で動かしてトドメ刺すってな。もしそれでもダメなら乙骨くんの【呪言】か、乙骨くんがコピーした【鳥獣戯画法術】の【蘭眼】で足止めや。

 

 それで、詰ませる事ができる。

 

 事実、上手く行った。俺の作戦勝ちや。

 

 呪いの王、史上最強の術師を俺の策で嵌めてやったんや。

 

 ああ、たまらなく笑いが込み上げてきて、涙が出そうやわ。

 

 

 

「地獄で裏梅?ちゃんが待っとるで、はよ行ってやり。」

 

 

 

 そのせいやろか、いらん一言を吐いてしもたのは。

 

 宿儺の目がギョロリと俺を睨むと、俺のそばに近寄ってから、掌印を解いて俺の頭を掴んだ。

 

【捌】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:虎杖悠仁

 

 全身の痛みはもはや他人事のように感じた。瓦礫の中から起き上がり、俺は伏黒を……宿儺を探す。

 

 そうして顔を上げた時、領域が崩れ去る光景が目に入った。

 一体誰の領域だ?

 

 地面を蹴り、その場に駆けつける。そこには、伏黒と乙骨先輩、それから直哉さんの肩を揺らし続けるイッツーがいた。

 直哉さんに外傷はない。だが、ぴくりとも動かない。

 

「イッツー……乙骨先輩?」

「──虎杖君。」

 

 乙骨先輩が振り向いた。その顔はひどく疲れ切って見えた。

 

「宿儺は、倒した。伏黒君も取り戻したよ。今は意識を失っているけれど。」

「……直哉さんは、何が。」

「宿儺に集中的に【捌】を放たれ続けて、脳を破壊された。僕の反転術式じゃ、脳までは治せない。」

 

 宿儺が倒された。だけど、犠牲がないわけじゃないらしい。

 

「直哉殿は死んでおらぬ。」

「一樹さん、でも……」

「事実、伏黒坊に得点の変動は起きておらぬではないか。直哉殿が死んだのなら、5点が伏黒坊には追加されておるはずだ。」

 

 イッツーの声は、震えていた。乙骨先輩は、それを沈痛な面持ちで見ていた。

 

「イッツー。」

 

 俺は声をかけたが、続ける言葉が出てこない。

 

「……虎杖悠仁か。髙羽と来栖は無事か?」

「わからない。」

「では、探しにゆかねばならぬな。直哉殿を……頼む。」

 

 イッツーはそう言うと俺の肩をポンと叩いて去っていった。

 

「俺のせいだ。」

 

 俺が、もっと強く伏黒の同行を拒否していれば……。

 

「違うよ、虎杖君。」

 

 乙骨先輩が力強く俺が漏らした言葉を否定する。

 

「宿儺の──」

「なんや、お通夜か?」

 

「「ん?」」

 

 そこには、鼻から血をダバダバ流している直哉さんがいた。

 

「脳の破壊と再生……案外やれるもんやね。中途半端に壊されたモンより、完全に壊した方が上手く治せるもんや。死に際で掴んだで、反転術式の極致。」

「意味がわかりません。」

 

 ゴメン、先輩。俺もよくわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:禪院一樹

 

 吾輩のせいだ。

 

 吾輩のせいで直哉殿を巻き込み、死なせてしまった。

 

 また、運命が収束していく。直哉殿が死んで、原作と死者の帳尻があっていく。

 

「吾輩の存在意義とは、果たしてなんなのだろうな。」

 

 ホテルの一室、瓦礫の下で身動きが取れず気絶していた来栖華を抱えながら、そう呟く。髙羽史彦の術式の影響か、彼女にはちゃんと息がある。

 となれば、髙羽史彦もそばにいるはずだ。吾輩は焼けこげた室内を歩き回る。

 

「髙羽殿、どこにいる。」

「ム、魔法少女!」

 

 【鵺】の電撃のせいか、アフロヘアになっている髙羽史彦が瓦礫の中から現れた。

 

「ところで、俺と君は初対面のはずだがなんで名前を……もしかして俺のファンか?」

「……コガネから聞いたのだよ。生憎と吾輩はお笑いには造詣が浅くてね。貴殿のファンではない。」

 

 宿儺の【鵺】を受けてもピンピンしているあたり、やはり此奴はアッチ側だ。

 

「少年たちはどうなった?」

「宿儺……堕天は打ち倒された。伏黒坊は無事だ。」

「そうか……よかった!」

 

 その時、腕の中の来栖華……の頬にニュッと口が現れた。天使だ。

 

「堕天という呼び名を知っているのか。」

「うむ。貴殿が天使殿であるな?」

「いかにも、私がそうだ。」

「吾輩は禪院一樹。禪院家の現当主だ……もっとも、もはや禪院家は滅んだといっても過言ではないのだが。」

 

 それから、軽くことのあらましを天使に話した。前世や未来に関することは省いて。

 

「……して、貴殿には死滅回游の平定に協力してもらいたいのだ。」

「ふむ……利害は一致する。」

「ところで、貴殿の器の少女……来栖華は起きぬのか?」

「華は肉体へのダメージもあるが、精神的ショックが大きい。とはいえ、じきに目を覚ますだろう。」

「で、あるか。」

 

 とはいえ、今は宿儺を倒せたことを喜ぶべきなのだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:伏黒恵

 

11/18 13:45

 

 ベッドから起き上がる。どうやら、高専敷地内のようだ。酷く悪い夢を見たような気がする。俺に宿儺が受肉する夢だ。

 だが、そんな悪夢の中でも現実よりマシなこともあった。一樹さんの額には縫い目があったが、それでも一樹さんのままだったこと。俺を取り戻そうと必死に戦ってくれたことだ。

 ……何故か服装が魔法少女だったが。

 まさか、アレが俺の深層心理で求めているものとかじゃないよな。絶対にありえない。俺が魔法少女に良さを感じたことは……ない、はずだ。

 

 ベッドから出て、廊下を歩く。途中、伊地知さんと合流した。その時に聞いたのだが、どうやら俺の夢は夢ではなく現実らしい。

 

 俺は駆け出した。詫びと礼を皆に言わないといけないという義務感に駆られて。

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、これはどういう状況なんだ。」

 

 俺が見た光景は、死装束を着た直哉さんを魔法少女姿の一樹さんがボコボコとグーで殴っている姿だった。

 

「どうもこうも、此奴!死んだふりをしていたのだ!吾輩が軽くショックを受けて喪に服していたというのに!」

「勝手に死んだことにされとったから、おちょくったろうと思ったらこれや。」

 

 いや、でも直哉さんは宿儺が脳に対して何度も【捌】を刻み込んでたはずだ……なんで生きてるんだ?

 

「にしても、後遺症とかないんか?」

「はい、特には……」

 

 それから落ち着いた一樹さんによって、これまでの経緯が説明された。

 

 俺や虎杖が得点さえあれば結界を出入りできたことから、俺たちはもう受肉体としては扱われていないこと……つまり、残る宿儺の指も共振によって消滅している可能性が高いということ。

 天使……来栖華や乙骨先輩の協力、一樹さんの魔虚羅の力もあって、死滅回游は近いうちに平定されること。

 津美紀も、安全な結界内で死滅回游が終わるのを待機していること。

 今一樹さんが着ている衣装は、直哉さんとの縛りによるもので、魔虚羅を召喚している最中はずっとこのままであり、事実上死滅回游の終了までこの格好らしいこと。

 

「吾輩は真依も取り戻した。禪院家はなくなってしまったがこれで全て解決である。」

「いや、禪院家はなくなっとらんで。たしかに滅んでしもたけど、もう一度興したるんや。ってわけで、今の当主は俺な。」

 

 津美紀が危険に晒されることもない、一樹さんも羂索に乗っ取られてなかった。これで全てが解決──

 

「待ってください。大切なことを忘れてませんか?」

「む?」

「なんや?」

「五条先生は、どうしたんですか。」

 

 瞬間、目の前の二人の動きがピタリと止まった。

 

「……忘れてたんですね。」

 

 どうやら皆五条先生のことを忘れていたようで、急いで封印解放の準備が行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:総監部のお爺さん(モブ)

 

「……クッ。」

 

 宿儺は祓われ、死滅回游ももうすぐ終わる。そんな中、五条悟が解放されたらどうなる?

 夜蛾正道の処刑、虎杖悠仁の死刑即時執行、羂索との繋がり……流石の五条悟でも、儂らを許さないだろう。確実に、鏖殺だ。

 

「あっちに逃げたぞ!」

 

 今儂は、加茂家の新当主に追われている。五条悟の封印解除を目論む勢力に追われている。羂索と総監部が繋がっていた証拠を全て抹消しようとかき集めていたところを目撃されたのだ。

 

「……ぐぅ!」

「もう逃げ場はないぞ。」

 

 クソ、生意気な。

 

「これ以上寄ってみろ、五条悟を宇宙に放逐する。」

「なっ……!!」

「下がれ!!これは脅しじゃないぞ!!」

 

 五条悟は既にロケットに搭載済みだ。ボタンひとつで宇宙の彼方へ飛んでいく。

 

「誰が、なんだって?」

 

 背後に感じた気配。それは間違いなく──

 

「五条悟──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:宿儺

 

「よぉ宿儺、オマエが先に来るとはな。」

「……いたな。悪いが話すつもりもない。」

 

 後ろからギャーギャーと何か言う声が聞こえるが、もはやどうでもいい。

 

「おい!どこ行くんだよ!」

「どこへ、か。くだらんな。俺は負けたんだ。自らの呪いに焼き殺されたのだ。」

 

 だからこうして、終わらせる。それが俺の身の丈だっただけのこと。

 

「ただ消えるだけだ、俺という呪いは俺を焼き、そして祓われたのだから。」

 

 俺は一人、暗闇の中歩みを進める。

 

「──オイ。」

 

 気づくと、誰かが俺の手を握っていた。

 

「オマエはもう俺の従者ではない、好きにしろ。」

「ならば、宿儺様のお側にいさせてください。」

「……贅沢者め。」

 

 俺たちは二人、暗闇の中歩みを進める。

 

「宿儺様は何故私の近くにいても、冷たくならないのですか?」

 

 ふと、その童は訊ねた。

 

「………クハッ、それはオマエも同じだろう。裏梅。」

 

 俺の側にいて、冷たくならなかったのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





一樹はまだ、真依と再会していない。

「こんな服装で会えると思うか?!」
「知らねえよ。」



真依は避けられていると思っている。

「一樹さんの身体を貫いた時の感覚が……今も……」
「どうせアイツは気にしてねえよ。」



間に挟まれる真希……

「なあ憂太、アイツら面倒くせえよな。」
「あ、あはは……」

と、その愚痴を聞く憂太……

「フッ、青春だな。」

の側に気づくと座ってた東堂。







禪院一樹
 直哉が死んだと思ってから生きていると気づくまでの数日間、本当に憔悴していた。「直哉殿はな、吾輩の親友でもあり……兄のような存在でもあったのだ。今はただ、心にぽっかりと穴が空いてしまったようでな……。」などとも言っていた。
 死装束の直哉が現れたので殴った。
 


禪院直哉
 本人は気づいていないが、脳を完全に再生できておらず、領域展開が出来なくなっている。長生きはできない。少なくとも乙骨依織の誕生を見届けることはできない。


両面宿儺
 次の人生などいらない。ここで終わりにしたい。その気持ちで無への旅路を征く。だが、その側には裏梅がいた。本編ほどの救いはない。


五条悟
 封印から解放された。親友を弔わなければ。


鹿紫雲一
 宿儺の死を知り、魔虚羅との決闘を望んだ。頑張った。
 推しの扱いか?これが?


加茂憲紀
 裏で頑張ってた人。







うだうだ悩んでも仕方ないので、多少は粗があっても完結させます。
3月中の完結を目指してたんですけど、これキツそうですね!
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