モブはAクラスにいっきまーす!! 作:軽井沢に冷水かけたい龍園そこ変われ
Cクラスがいっちゃん好き
4月
桜の木と、立派な校門、入学おめでとうと書かれた横断幕、目の前の美少女。とドキドキソワソワなモブ。
つまりだ、そう入学式である。
新しい環境。
思春期の若者にとっては、それはもう誘惑が凄い。ちょっとテンション上がってやらかしてしまうものである。
そして都合の良いことに、中学時代の知り合いがこの学校には入学してないときたならば当然、…キャラ作りをしてしまうのがお決まりであろう。
私は入学早々、猫を被ってしまったのである。
だがそれも、雨や風に打たれて数ヶ月経てば、少しずつメッキが剥がれて元々の素材が浮き彫りになってくるものだ。
塗装というものは、元々の物を見栄え良く見せるためのものだ。剥がれたら、不恰好だ。そしたら買い替えるか、修復したりなんなりする。
貧乏性の私は、見栄えとか気にしないので買い替えないし、修理にも出さない。使えたらいいのだ。
つまりだ、いま私はそういう状況である。
そうそう、知ってた?料理って、調理する過程も大事なんだけど、もともとの素材で大きく味が変わってくるんだって。
300円の牛乳のシチューと、900円の牛乳のシチューは、900円のほうが美味しいんだよ。なんか、300円よりまろやかで、クリーミー。
この上記から私が伝えたいことは、もともとの私を愛してねってこと。
私の中身を見て欲しいな。(猫被ってたやつのセリフとは思えない)
ちなみに、料理は調理する人の技術次第でどうとでもなると思いました。
私は、ギャルをしている。オタクに優しい系ギャルだ。
いや、ギャルはみんなに優しいんだ。
私は、それに比べて見た目詐欺である。中身が伴っていない。
「〜でさーマジで平田くんイケメンなのね。このまえのサッカーの試合めっちゃカッコよくてさー。足速いしめっちゃタイプなんだけどお…って、
別に私は中身がギャルではないので、つるんでる連中も、ギャルではない。というか、この学校ギャルらしいギャルはいない。
なんちゃってギャルはいる。もしかして、私の中のギャルという存在が古いのだろうか?これが時代の変化か…
「んー、ああ。カッコいいよね松田くん」
「違うし、平田だよ。平たい田んぼだよ、松がある田んぼじゃねえ。やっぱ話聞いて無いじゃん。さいてーだし」
「まあまあ志保ちゃん倫は割といつもさいてーだしさ」
「たしかにw」
「てか倫、最近ぼーっとしてない?寝不足ぅ?」
「ぼちぼちー」
「やっぱ寝不足じゃんウケる」
これまでの会話で、ウケる部分がどこにあったというのだろうか。
そして、平田。お前はだれだ。最後に、足速いのがタイプって、小学生かよウケる。あ、ウケる部分あったわ。ごめん
「マジ、ウケるわー」
「急にどした。てか棒読みかよ」
「変なのー」
「それはいつもだって」
「それな」
「でさー、このまえ買ったコスメが〜〜〜………
名前が平田か、松田か、田中かよくわからん足が速いやつの話から、最近志保が気に入って使っているコスメの話に変わる。なんだっけ、好きなドラマの女優がCMしてるんだっけ。あー、恋愛もののあの、なんだっけ、タイトル。まいいわ。
話が長くなりそうだなと思ったのと、今までの会話から、私は睡眠不足だという新事実が発覚したので、睡眠を確保するために机に突っ伏して、目を瞑る。
いや、私早寝早起きが取り柄なんだけどね。睡眠不足らしい、知らんかったわ。
拝啓お母さん。元気にしてますか?
入学して数ヶ月が経ちました。
恥ずかしながら、心機一転高校デビューというやつをしました。ワイワイした女子グループとつるむのは最初は楽しかったけど、最近なにかと会話でさえ疲れてきました。たすけて
みなさん身の丈にあった高校デビューしましょうね。
ありのままでいいんだよ
君は素晴らしいんだ
この学校は、国が運営しているはずなのに、クソです。なんだよ全寮制って、外出したい。お家帰りたい。女子怖い、羽伸ばしたい。連絡先交換した程度の仲で、なんで位置情報共有強要してくるの?こわい。私の行動監視したいの?ちょっと重いかな。
最近はいろいろと進んでいるのだなと実感する日々です。
てか、この手紙も、書いている途中で気づいたのですが、お母さんに送れません。なんだこの学校クソかよ。手紙すら駄目とは、どれだけ外部との接触手段を遮断したいのやら。刑務所に入った気分です。
ああ、刑務所でも会おうと思えば面会できますよね。この学校はそれもできないんでした。たまげたなあ
監視カメラでストレスはフルですが、ご飯は美味しいですよ。
ああ、山菜定食?すごい良いと思いますよ。栄養バランスと味があまり考えられていない点が素晴らしいですね。
多分お母さんに、こんなことを言えば、もっと美味しいものたくさん食べなさいっ!!と言って仕送りをしてくれるのだろうと思いますが、外部との接触はできないですし、そもそもの話、この学校独自の通貨があるんですね。
国立の学校でこの国の通貨が使えないなんて、よく考えたら頭おかしい話なんですが、事実なのが辛いところです。
なので、学校独自の仮想通貨がないと、私は碌な食べ物にもありつけやしません。いい加減に、友達のスペシャル定食からつまみ食いするのが怒られそうになってきたので、早急になにか手を打たないといけません。
この通貨は、プライベートポイントと言われています。
プライベートポイントは、
前から、お母さんにはこの癖を直しなさいと言われて気をつけているつもりなのですが、たまにやってしまいます。ごめんなさい
話は戻りますが、このプライベートポイントは、Sシステムというもので成り立っています。あまり詳しくは覚えていませんが、簡単に言えば、監視カメラで生徒の行動を監視し、毎月評価を付け、それに応じた額が月の始めにスマホに振り込まれるいうものです。
これが、ひとりひとりの評価であれば、文句は無かったのですが、なんとクラス全体の総合評価なので、私がどれだけ規範に沿った行動をしても、クラスメイトが遅刻をすれば、私の支給される額も減るのです。
なので、10万ポイントが4万ポイントになるわけですよ。最初の月は私の猫被りは完璧だったので、早々ポイントが10万から減ることなんてありえません。
クラスは4クラスあり、ABCDに割けられていますが、Aクラスが支給された額はおよそ九万八千ポイント。私はCクラスで、4万ポイント。かなりのポイント差にまたもやブチギレた記憶が朧気にあります。なんか、サングラスをかけた男の人に八つ当たりをした気がします。私は人様に迷惑をかけてばかりです。
で、です。ここからが、重要なのですが、ABCDと支給されたポイントがなんとも綺麗に並んでいるんですね。数ヶ月前なので、細かい額は覚えてませんが、ざっとこんな感じ。
Aクラス 9万
Bクラス 6万
Cクラス 4万
Dクラス 0
綺麗すぎて、嫌なことに気づきました。
私はハズレクラスを引いたようです。まあ、大ハズレではないので、良かったのか?なんか、どうやらもうクラス単位でカーストが出来上がっているらしいです。学校から見て、私は下から2番目の評価の生徒らしいです。
うーん。ちょっと悲しいです。
多くは望みませんが、お金はあれば、あるだけ欲しいところです。
どんなに私が頑張っても、クラスメイトが駄目なら私も駄目。お金は減る。ならば、クラス替えすれば良い!!とお母さんは思ったでしょう。私も思いました。なんと、この学校3年間クラス固定らしいです。ああ、怒りでどうにかなってしまいそうだ。
しかも、お母さんが心配していたあの「
坂上先生という、気難しくて融通が効かなそうな先生からの説明によると、Aクラス限定の特権だそうです。お前らは、Cクラス。いいか?底辺から2番目だ。ポイント貯めてAクラスに上がれば、進路100%だニチャァみたいなことを言っていました。いや、せいぜい頑張るんだなフッ。なんか違うな。まあ、なんか、応援してくれていた気がします。良い先生です。
現時点で、私が知っている情報を大雑把で簡単にお母さんのために整理すると
・学校には、クラスポイントと、プライベートポイントが存在する。
プライベートポイントは、生徒たちに支給されるもので、
クラスポイントは、クラスの順位を決めるポイントで、ポイントが高いクラスから、ABCDと順番のクラスになる。クラスは変動する。
・定期的に、クラス対抗イベントがある
報酬はクラスポイントだったり、プライベートポイントだったりする。
こういったイベントで、クラスポイントを貯める
・Aクラスが独走状態
うちのクラスは勉強ができない。運動はできる
私も足速い=モテるらしい
うそだ。男子は足速い女子よりも、可愛い方が好きだ
ああ、多分女子も(ある程度顔が整っている)足が速い人が好きだ。
・山菜定食は
総括すると、クラス対抗!!進路合戦!!ポイント貯めて、Aクラス目指そう!!的な学校方針である。
まあ、冷静にこのシステムのことを考えてみました。
最初は、クラス単位での評価に不満があったのですが、よくよく考えてみれば、1生徒単位の評価ではなくて良かったなと。
もし1生徒の評価でポイントが支給されていたならば、多分今よりも、カーストが色濃くでていたと思うんです。成績、品行方正(別にそれが悪いとは言っているわけではない)が優秀な生徒だけが、優遇されるシステムならば、勝手な想像ですが、生徒たちに何位中何位とか、そういう明確な順位ができて、もっと殺伐とした生活になりそうだなあなんて。
その点、学校はクラス対抗という形で競わせることで、蹴落としあいの争いでも、協調性をつけることができて、そこらへんは評価できるのではないかなと思いました(デレ)仲間意識をなくさないのは良いことだと思う。
まあ、私はクラスメイトを私のお金を減らしてくるゴミだと思っているし、この学校はクソだと思うけどね!!(豹変)
というか、かなり長くなってしまいました。
そして、大半グチばかりになってしまいました。
それに、この手紙はお母さんの手には届かず、今時点では、誰にも読まれることはないのでしょう。
ですが、私は諦めません。プライベートポイントは、なんでも買えると坂上先生はおっしゃっていました。ならば、外出できる権利とまでは言いませんが、文通をする権利くらいは買えると思います。
坂上先生と交渉してみようと思います。高くなりそうなので、できるだけ値切ろうと思います。
もし、今お母さんがこの手紙を手に取って目を通しているのならば、私は権利を買えたのだと思って下さい。
この学校のルールにそって、私なりにAクラスを目指そう思います。また、面白いことがあれば、手紙を送ります。
では、お身体に気をつけてお過ごしください
倫より
追伸 彼氏ができました
「倫ー、おーい!ねーってば」
「これ、置いていっていいやつ?」
「んあ?」
「お、やっと起きた寝不足さん。」
「化学。次、移動教室だよ」
「わかった」
いやー、取り繕うの疲れたね。けど、まあ、品行方正、成績優秀?でAクラス目指してて頑張るとするか。
私1人頑張ったところで、まあ、特に目立つところの無いモブだけど、
「Aクラスにいっきまーす!!」
「っわ、びっくりした。急に叫ばないでよ」
「いや、他クラスの教室行ってどうすんの」
「てかさ、化学の課題今日提出だったよねヤバいやってない」
「え、マジ?私もやってないんだけど」
「倫は、やってるよね。見せてよー。」
オマエラ、今私は幻聴が聞こえた。クラスポイントが、減る音がなあ!!
てめーらマジで、人が目標掲げたところだっつーのに、台無しにしやがって。
そういうとこだぞ、だからクラスポイント減って、月4万なんだよ!!
このゴミどもが!!
チ、仕方ねえな。私のお金のためにも、はやく私の答え全部写せよな!
「急げ、はやくかけ」
「「「倫、あいしてるー!!!」」」
ケッ、コイツらときたら、テスト期間が来たら、また私が勉強を教えないと。くそがよお
これは、Cクラス一丸となって、Aクラスを目指す青春の物語である。
ストックがあるうちは毎日投稿される予定です