呪術廻戦の世界でMobが頑張る話   作:不知火りん

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【日記形式】第3話 初任務に向けて!

●1994年 7月15日

 早いもので修行を始めて、もう2ヶ月ほどが経った。最近は家人の指導の下、毎日朝から小依(こより)と一緒に術式の訓練をしている。父さんは基本的にいないが、たまに来ては少しコツを教えてくれる。

 

 術式を自覚してからというもの、小依の成長が目覚ましい。あの日、初めて塩を動かせてから、毎日毎日、休憩も惜しんで練習して、今ではもう簡単な形なら作れるようになっている。昨日は小さなうさぎの形を作って見せてくれた。

 あいつ、本当に俺と同じ5歳児だよな……?よく考えたら喋りも上手いし、あいつが俺と同じ転生者だと言われても驚かない自信がある。

 

 俺の方は、術式の応用技術を習得中だ。塩の硬度を上げて盾にしたり、鋭利な刃物のように成形したり。父さん曰く「本来なら十年はかかる技術」らしいが、自然とそこまで苦労することもなく会得できている。

 

 このままの成長速度でいけば、本当に最強になれるんじゃ……なんて、過信はやめておこう。油断大敵。この世界は呪術廻戦なんだから。

 

 

 

 

●1994年 7月20日

 今日も今日とて修行の日々。今日は小依と一緒に、島の海岸で修行した。

 海水には塩分が含まれているから、俺たちの術式と相性がいい。試しに海面から塩を抽出して、巨大なうさぎを作ってみせたら、小依が目をキラキラさせて喜んでくれた。

 調子に乗って、もっと大きなうさぎを作ろうとして、呪力切れでぶっ倒れた。どうやら、術式で何かから塩を分離するというのは相当大きな呪力を消費するらしい。いくら呪力総量が多くても、使い方を間違えればすぐに底をつく。

 

 小依が泣きそうな顔で大慌てで駆け寄ってきて、若様、若様、大丈夫ですかと何度も何度も尋ねてくるので、少し申し訳なかった。

 

 結局、そこで修行は中止。手持ち無沙汰だったので、二人で砂浜に座って、夕日を眺めた。オレンジ色に染まる空と海。

 

 小依が俺の体調を心配そうに聞いてきたので、平気だと答えた。

 

 この平和な時間が、ずっと続けばいいのに。

 

 そんなことを思いながら、俺は夕日を見つめていた。

 

 

 

 

●1995年 3月22日

 修行を始めて、もうすぐ一年になる。

 

 小依の術式は、もう俺と遜色ないレベルまで成長している。あいつ、本当に天才なんじゃないか?

 今日は二人で、塩の人形を作って戦わせる遊びをした。小依が作ったうさぎと、俺が作った龍。

 

 結果は……小依の勝ち。

 

 くそ、悔しい。初めて小依に負けた。まさか、小依のうさぎに気を取られている隙に、背後から別のうさぎで奇襲されるとは。どうやら、俺に内緒で2つの塩の造形物を同時に操る技術を会得していたらしい。あいつ、どこでそんな戦術まで。

 

 でも、小依が嬉しそうに笑っているのを見ると、まぁいいかという気持ちになる。

 父さんも母さんも、最近は俺たちの修行を見に来ることが多くなった。特に父さんは、俺の成長を見るたびに満足そうな顔をする。そして、無口な父さんが、「よくやった」と短く褒めてくれる。

 その顔を見ると、なんだか嬉しくなる。前世では、親に褒められることなんてほとんどなかったから。

 

 

 

 

●1995年 10月8日

 最近、呪術界の情報が少しずつ入ってくるようになった。

 どうやら、五条悟は相変わらず大暴れしているらしい。六眼と無下限呪術を使いこなし、すでに一級呪霊を単独で祓っているとか。おい、本当に6歳かよ化け物が。

 

 俺と同い年でそこまでやるのは、さすが最強の呪術師である。

 でも、俺だって負けていない。修行は順調だ。塩の硬度をさらに上げる技術も習得したし、もう100個以上の塩の造形物を同時に操ることもできるようになった。

 小依も、日に日に強くなっている。あいつと組めば、大抵の呪霊には対処できるはずだ。

 いつか実戦を経験する日が来るんだろうけど、その時は二人で力を合わせて乗り越えてみせる。

 

 

 

 

●1996年 2月18日

 今日、父さんから来年度の話を聞かされた。

 俺は小学校には通わせないと。教育は全て家で行うらしい。呪術の修行もあるし、普通の子供と同じ環境に置く必要はないと父さんは言った。

 

 ホームスクーリングってやつか。

 でも、待てよ。日本って義務教育があるはずだよな……?これって違法なんじゃ……。

 

 そう思って聞き返そうと父さんの顔を見たが、父さんは至って普通の顔をしていた。そもそも法律がどうこうなんて考えてもいない顔だ。まぁ、この家の権力なら、教育委員会とかそういうのもどうにかできるのかもしれない。

 

 そして、小依も同じく、小学校には通わないらしい。

 二人とも、家庭教師をつけて、学問も呪術も全てここで学ぶことになった。

 父さんの言葉は絶対だ。俺に選択肢はない。

 まぁ、正直なところ、小学校に通うのも面倒だし、小依ともずっと一緒にいれるし、これはこれでありだな。

 

 

 

 

●1996年 4月2日

 7歳になった。本来なら、小学校の入学の年だ。

 でも、俺は相変わらず島で、家庭教師の指導を受けている。国語、算数、理科、社会。正直、前世の記憶があるから、小学校レベルの勉強は余裕すぎて、今はもう中学の範囲をやっている。これには家庭教師の先生にも最初は気味悪がられたが、今ではもう慣れたようで、淡々と中学の内容を教えてくれる。

 

 小依も一緒に勉強しているが、あいつも飲み込みが早い。本当に6歳でこの理解力は異常だ。一度説明を聞けば、すぐに理解して応用できる。というか、小依がいるから、俺もただの天才少年程度の扱いで済んでいる気がする。

 

 家の中では俺の方がよく天才天才と持て囃されるが、本当の天才は小依の方である。一度聞いたことはなんでも覚えてしまう飲み込みの速さに、その覚えたことをすぐに別のことにも活かせる応用力の高さ。そして、持ち前の呪術スキル。こいつがなんで原作に出てこなかったのか分からないほどのスペックの高さである。

 

 午後は呪術の修行。これが本当のメインだ。

 

 今日、修行の休憩中に小依から将来のことについて聞かれた。ずっとこの島で過ごすのかと、不安そうな顔で。

 

 俺は高校くらいになったら本土に通えるんじゃないかと答えた。父さんも、俺が将来的には高専に進学することを考えているみたいだし。

 

 高専。つまり、東京都立呪術高等専門学校だ。五条悟や夏油傑が通うあの学校。

 まぁ、父さんが考えているのは「京都府立」呪術高等専門学校の方かもしれないが、そこはどうにかゴリ押しで東京校の方に進学するつもりでいる。夏油の闇落ちを防ぐには、東京にいないと意味がない。

 

 そう話すと、小依は自分も一緒に高専に行けるかなと、期待に満ちた目で聞いてきた。

 

 もちろんだと答えて、二人で一緒に高専に行って、一緒に強くなろうと約束した。小依は嬉しそうに俺の手を握って、約束ですよと笑った。

 

 

 

 

●1996年 5月3日

 父さんから連絡があった。俺の初任務が決まったと。

 

 ついに来た。いつかは来ると思っていたが、まさかこんなに早く。

 任務の内容は、本土の廃トンネルの調査。低級呪霊の吹き溜まりの祓除らしい。報告書を見せてもらったが、4級程度の呪霊が数体いる程度。俺一人でも余裕でクリアできそうな内容だ。

 

 小依も一緒に連れて行くと父さんは言った。小依と一緒なら、心強い。二人で協力すれば、さらに余裕だろう。

 

 日付は、3ヶ月後の8月15日。

 夏休みの真っ最中だ。……俺たちに夏休みも何も関係ないけど。

 父さんは少し厳しい顔をしていたが、最後に俺の肩をぽんと叩いて、油断するなと言った。普段の父さんからは想像できない言葉で少し驚いた。いつもは無口で厳格な父さんが、こんなに感情を出すなんて。

 まぁ、初任務だし、心配してくれているんだろう。

 

 

 

 

●1996年 8月14日

 明日、任務に出発する。

 今日は小依と最後の修行をした。これまでの総仕上げ。朝から夕方まで、ほとんど休憩も取らずに術式の確認を繰り返した。術式の精度も、呪力のコントロールも、完璧だ。

 低級呪霊相手なら、二人で協力すれば余裕だろう。

 

 夕方、修行を終えて部屋に戻ると、少し疲れが出た。でも、心地よい疲労感。明日への準備は万全だ。

 

 夜、母さんが俺の部屋に来た。驚いた。母さんが自ら俺の部屋を訪れるなんて、珍しい。いや、記憶にある限り、初めてかもしれない。

 

 その手には、二つのお守り。

 

 白いお守りは俺に、黒い方は小依に渡すらしい。必ず無事に帰ってきなさいと、母さんは優しく微笑みながら手渡してくれた。

 

 少し戸惑ったけど、悪い気はしなかった。むしろ、嬉しかった。母さんがこんなに優しい顔をするなんて。やっぱり、初任務だから心配してくれているんだろう。

 

 俺は深く考えずに、お守りを受け取った。

 

 小さな、白い布で作られたお守り。中に何が入っているのかは分からないけど、母さんが作ってくれたものだ。

 

 なんだか、胸が温かくなった。

 

 小依と高専に一緒に行くために、まずは明日の任務を絶対に成功させてみせる。

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