バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第20話「休息と決意」

勝利のアナウンスからしばらく経った控室。

全員がそれぞれの席に腰を下ろし、整備や治療を受けていた。

だがその空気は重く、歓喜よりも疲労と葛藤が支配している。

 

「……強かったな、さっきの連中。」

タイチが水を一口飲んで呟く。

ユウロが肩に止まり、小さく羽を震わせた。

「人間が前線に立つ……想像以上でした。」

 

「おまえ、前に出てたじゃないか。俺たちだってやればできるだろ。」

レントが重い鎧を脱ぎながら低く言う。

「……でも、危険すぎる。」とナナミが即座に返す。

「もしあたしが前に出てミミミが傷ついたら……考えたくない。」

ミミミがナナミの手を握りしめ、震える声で言った。

「私は……ナナミさんを守るって決めました。でも、ナナミさんが無茶をしたら……私、怖いです。」

「……ごめんね、ミミミ。そんなこと言わせたくないのに……」

 

ナイアはそんなやり取りを黙って聞いていたが、やがて口を開いた。

「……今日の戦いを見て、俺は思った。バイオロイド主体で戦う限り、どこかで限界がくる。」

「……でも。」

ハイネが顔を上げる。

「俺たちは……パートナーを守るためにここにいる。俺はまだ、リラリを盾にして前に出る気にはなれない。」

 

リラリがその横顔を見つめて、小さく首を横に振った。

「ハイネ様……私を盾にしたことなど、一度もありません。」

「え……?」

「私は……あなたのそばにいるために戦っています。あなたを守ると誓ったから、武器を取るのです。」

ハイネは言葉を失い、そして深く息を吐いた。

「……そっか……ありがとう、リラリ。」

胸の奥に温かいものが広がるのを感じながら、拳を握る。

 

ナイアがそんな二人を見て、軽く笑った。

「ま、俺たちの戦い方は俺たちが決めりゃいいさ。サイトのやつが何言おうと関係ない。」

だがその目は一瞬だけ鋭く光った。

「……でも、あいつが次に何を仕掛けてくるか、油断しないほうがいい。」

 

控室の照明が静かに明滅し、遠くで次の試合の開始を告げるアナウンスが響いた。

ハイネはリラリの手を取る。

「俺、まだ答えは出せない。でも……どんな戦い方でも、俺はお前を守る。」

「……はい、ハイネ様。」

リラリの瞳が優しく揺れる。

 

その頃、暗い観客席の奥。

サイトがひとり、指先で柵をなぞりながら笑っていた。

「いいねぇ……いい顔するようになってきたじゃないか。」

「……いつでも行けます。」

隣のバイトが小さく告げる。

「はやるなよ、バイト。……まだまだ遊びはこれからだ。」

 

舞台は整いつつある。

次の戦いが、また彼らを試すことになる。

 

―――

 

開始の合図と同時に、前方のチームが異様な動きを見せた。

敵陣にいたバイオロイドたちが突如、味方であるはずの人間に牙を剥く。

銃声と悲鳴が入り混じり、瞬く間に戦場は血と火花に染まった。

 

「そんな……! 制御がはずされてる!?」

ナナミが声を上げる。

後方に下がっていたナイアチームの面々は、遠くからその惨状を目の当たりにした。

 

バイオロイドは容赦なく人間を弾き飛ばし、踏みつけ、味方のはずの陣形を蹂躙していく。

「……まさか、パートナーを……!」

ハイネは息を呑み、リラリの肩がかすかに震えた。

「こんなの……許せない……」

リラリの義手が静かにブレードへと変形する。

 

その最中、観客席の高みでサイトが頬杖をつきながら首をかしげる。

「へぇ……あれ? もしかして人間って脆い?」

本当に不思議そうな顔で呟くその様子に、ナイアの瞳が冷たく光った。

 

「……聞いたな、全員。」

ナイアは一瞬だけ仲間たちを見渡し、鋭い声で命じる。

「作戦変更だ……全機体破壊する! 人間の救出はできない、やるぞ!」

「了解!」

その声に全員が即座に動き出す。

 

レントがガルドを前線に走らせる。

「すべて叩き潰せ! 迷うな!」

「承知!」

軽装のガルドが高速で駆け、暴走する異形型を大剣で切り裂く。

 

タイチとユウロが後方から援護射撃を開始。

「ユウロ、敵コアの位置を送れ!」

「座標送信……完了です!」

タイチは狙撃銃を構え、次々と敵のセンサーを潰していく。

 

ナナミはハンマーを握り直し、ミミミが前に出る。

「行くわよミミミ! 守って!」

「はい……!」

シールドを展開したミミミの後ろからナナミが一気に飛び込み、敵の脚部を粉砕する。

 

後衛ではハイネとリラリが連携し、後方から迫る敵を迎撃していた。

「……リラリ、怖いか?」

「いいえ……今はただ、あなたを守りたいです。」

リラリのブレードが閃き、迫る異形型を一刀のもとに両断する。

「俺も……俺も、絶対に守るから!」

ハイネは震える手で引き金を引き続けた。

 

暴走する異形型たちは次々と撃破され、ついに最後の一機がレントの大剣で叩き割られた。

戦場に一瞬、静寂が訪れる。

 

「……制御を外されたバイオロイドは、ただの怪物だな。」

ナイアが深く息を吐き、センドが肩を貸す。

「ナイア様、怪我は……」

「大丈夫だ。……けど、サイト……お前、どこまで腐ってるんだ。」

 

遠くの観客席。

サイトは笑顔で手を振った。

「いいね~! やっぱり君たちは強い! 次も期待してるからね!」

その笑顔を見上げ、ハイネは唇を噛む。

 

胸の奥に、確かな決意が生まれていた。

――次こそ、あの笑顔を打ち砕く。

彼らは再び立ち上がり、次の戦場へと備えるのであった。

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