バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第21話「瓦礫の上の誓い」

異形型との戦闘が終わり、アリーナの床には無数の残骸が散らばっていた。

火花が散り、焦げた金属の匂いが鼻を刺す。

ナイアチームは中央の瓦礫に腰を下ろし、整備班が来るまでの間、しばしの休息をとることになった。

 

「……ひでぇ有様だな。」

タイチが額の汗を拭い、砕けたゲームコアの欠片を拾い上げる。

ユウロが彼の肩に止まり、穏やかな声を落とした。

「ですが、あなた方は無事でした。」

「……それが唯一の救いだな。」

 

ナナミはミミミを抱き寄せ、肩を震わせていた。

「ミミミ、怖かったでしょう?」

「……でも、ナナミさんを守れて……よかった。」

その小さな手がナナミの袖をぎゅっと握る。

ナナミは目を閉じ、強く抱き返した。

 

レントは鎧を脱いだまま大剣を磨きながら、ぼそりと呟く。

「……制御が外れたバイオロイド。あんなものが、これから増える可能性もあるのか。」

ガルドが無言で頷く。

 

ナイアは少し離れた場所でセンドと並び、戦場を見渡していた。

「……センド、見たか? あれがサイトのやり方だ。」

「はい。人間も、敵も味方も、ただ壊す対象としか見ていませんでした。」

「……胸くそ悪いな。」

ナイアは吐き捨てるように言い、額を押さえた。

 

そのとき、ハイネは瓦礫の上で膝を抱えていたリラリの隣に腰を下ろす。

「……大丈夫か、リラリ。」

「……はい、ハイネ様こそ。」

「俺は平気だ。でも……あんな戦い方、許せねぇよな。」

リラリはゆっくりと顔を上げ、震える声で言った。

「……バイオロイドは、人間のために在るはずです。それなのに……どうして、あんなふうに……。」

「……わからない。でも、サイトはそういうやつなんだ。」

ハイネはリラリの手を握った。

「俺は絶対に、あんなやり方はしない。お前も、ミミミも、ユウロも、ガルドも……みんな、大事な仲間だ。」

リラリの瞳に光が宿り、胸の奥で機械の心臓がかすかに鼓動する。

「……ありがとうございます。ハイネ様がそう言ってくださる限り、私は戦えます。」

「……ああ、頼りにしてるぞ。」

 

そのやり取りを遠くから見ていたナイアが、ふっと笑った。

「やっぱり、お前らはおもしれぇな。」

「なんだよ急に。」

ハイネが顔をしかめる。

「いや、さ。こんな状況でも、まだ互いを信じ合ってる。その力が……あいつを超える鍵かもしれねぇな。」

 

その瞬間、アナウンスが鳴り響く。

『次の試合は三時間後に開始します。参加チームは準備を——』

 

ナナミが息を呑んだ。

「次……もう、すぐなのね。」

タイチが頷き、レントが大剣を肩に担ぐ。

「休めるうちに休んでおけ。」

「……ああ。」

ハイネはリラリの手を強く握り、立ち上がった。

 

だが、観客席の最上段。

サイトはまたもや足を投げ出し、笑みを浮かべていた。

「いやぁ、いいねぇ……その顔だ。もっと見せてよ、もっと壊れそうな顔をさ。」

「……次は、どうしますか。」とバイトが問う。

「次はねぇ……もうちょっと面白いおもちゃを出そうかな。」

その不穏な笑みを、誰もまだ知らない。

 

―――

 

戦場の後処理が進む中、ナイアチームは短い休息を取っていた。

だが誰も、深く眠ろうとはしなかった。

次の戦いがもうすぐそこまで迫っている――それを全員が理解していたからだ。

 

「……三時間か。」

タイチが腕時計を見てつぶやく。

「短ぇな。」

レントが鎧の留め具を調整しながら応じる。

「武器もコアも、まともに整備する時間はねぇ。最低限で済ませるしかないな。」

 

ナナミはミミミの頬を指で拭っていた。

「……怖い?」

「いいえ……でも、さっきの戦場のことが頭から離れなくて。」

「私だってそうよ。けど、次は勝つ。ミミミがいるから勝てる。」

ミミミは小さく微笑んで頷いた。

 

ハイネはリラリと二人、控室の窓辺に立っていた。

外には修理用ドローンが忙しなく飛び交っている。

「……あんな戦い、俺はしたくない。」

窓の外を見たままハイネが呟くと、リラリが静かに首を横に振った。

「私たちは、あのようにはなりません。……あなたが、そう決めてくださる限り。」

「……リラリ。」

ハイネは言葉を探し、そして力強く握り拳を作った。

「なら、絶対に勝とう。俺たちは俺たちのやり方で。」

「はい、ハイネ様。」

リラリは一瞬だけ優しく微笑むと、その目を決意に光らせた。

 

ナイアは一同を見回し、低く、しかしはっきりと言った。

「……次の試合、サイトが何を仕掛けてくるか分からない。だが、ここまで来たお前らなら勝てる。俺が保証する。」

「……おまえ、いつになく真剣だな。」

ハイネが笑う。

「だろ? たまには頼りになるだろ?」

ナイアも笑みを返したが、その目の奥に鋭い光を宿している。

「サイトの顔、今度こそ歪ませてやろうぜ。」

「……ああ。」

 

やがて試合開始を告げるアナウンスが控室に響き渡る。

『出場チームは所定のゲートへ移動してください。繰り返します……』

 

それを聞いて、全員が立ち上がった。

タイチがユウロを肩に乗せ、レントが大剣を担ぎ、ナナミはハンマーを背負い、ハイネはリラリと視線を交わす。

「行こう、リラリ。」

「はい、ハイネ様。」

 

扉が開き、戦場への通路に光が差し込む。

その光を浴びながら、ナイアチームは一歩を踏み出した。

 

その先、観客席の最上段でサイトは再び笑っている。

「さあ、遊ぼうか。君たちと僕のおもちゃで、最高のゲームを。」

バイトが無言で隣に立ち、視線を戦場に向けた。

 

そして、戦いの幕が再び上がる――。

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