バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第41話「侵入と、照れと、実践」

夜の帳が降りた頃。

タイチとレントは、黒服の影が行き交う街外れの倉庫――オルドの隠れアジトに潜入していた。

薄暗い通路を抜け、無人の端末が並ぶ情報室にたどり着くと、タイチが小声で呟く。

「……急ぐぞ、見つかる前に抜く。」

レントが頷き、端末に小型デバイスを接続。

スクリーンに次々と機密ファイルがコピーされていく。

その時、重い扉が開いた。

 

――バイオロイドを伴った、軍服姿のお偉いさんが現れる。

「侵入者だと?」

ユウロとガルドが即座に前へ。

ガルドの大剣が閃き、ユウロの小さな身体が光を帯びて高速展開する。

二人の手には、ナイアが開発したばかりの新兵器――“機械の心臓を止める武器”が握られていた。

ユウロが冷静に射出する光線がバイオロイドを貫き、その機体は悲鳴もなく動きを止める。

ガルドが一気に飛びかかり、最後の一撃で完全停止させた。

 

「……行くぞ。」

「応。」

二人は情報を抱えたまま夜闇を駆け抜け、息を整えながらレントの屋敷へ戻る。

そこで明かされたのは――オルドが秘密裏に行っている裏代理戦争の舞台の場所だった。

「……ここか。」

レントが地図を見つめ、タイチは険しい顔で頷いた。

「次は、俺たちも本気だな。」

 

―――

 

一方その頃、ナイア邸の一室。

ハイネとリラリが、妙に気まずい空気をまとって向かい合っていた。

あの時――教壇で口にした「パートナー」という言葉が、ずっと頭から離れない。

リラリは膝の上で手を組み、そっと視線を逸らす。

「……パートナー、という言葉……誇らしく、嬉しいはずなのに……何故か、ハイネ様の顔を見れません。」

ハイネは頬をかき、少し俯いて笑った。

「それは……照れだな。」

「……照れ、ですか?」

「俺も……照れてるから、あんま見ないでくれ。」

リラリはぱちりと瞬きをしてから、微かに笑った。

「……では、私も見ないようにします。」

二人の間に、ほんのりとした温かさと心地よい沈黙が流れた。

 

―――

 

そして――夜の訓練場。

「さぁ、今日もサバゲーだ! 全員集合!」

ナイアの声が地下に響き渡る。

今日の実践は特別だ。

センド、リラリ、ミミミも参加。

さらにはハイネ、ナナミ、ナイア自身もプレイヤーとしてフィールドに立つ。

 

薄暗いフィールドでペンキ弾が装填され、全員が構える。

ハイネは銃を握りしめながら、ふと思う。

(……そういえば、こいつら全員……人間に攻撃できるんだよな。)

それでも、不思議と恐れはなかった。

背後でリラリが控え、横でナイアとナナミが笑っている。

掛け声と共に、ペンキ弾が飛び交う愉快な戦場が、再び幕を開けた。

 

サバゲー訓練場は、まさに混沌だった。

通路を駆け抜ける兄弟たち、飛び交うペンキ弾、背後からの声――

「敵か味方かわからん!」

「通信! 通信を信じろ!」

誰かの叫びが飛び、ナイアの張り切った指示が飛び交う。

 

兄弟チームのコンビネーションは、まさに難敵だった。

遠距離・中距離・近距離が有機的に連携し、ハイネたちを翻弄する。

だが、負けていないのがハートシールド。

人とバイオロイドがタッグを組み、前線をじわじわ押し上げていく。

 

「前に出るぞ、センド!」

「はい、ナイア様!」

ナイアとセンドのペアは、体術を基本とした連携で敵陣を切り裂く。

ナイアが素早く組み付いて相手の動きを封じ、センドが隙を突いて強烈な一撃を叩き込む。

その鮮やかな連携に、ナナミが叫んだ。

「もうあんたら前線で戦いなさいよ!」

「いいじゃん、楽しいんだもん!」

ナイアは笑って、さらに組み付く。

 

一方のナナミは、ミミミと共に銃を構えて応戦中。

「右だよ、ナナミ!」

「わかってるって!」

ミミミが優しい声で指示を出し、ナナミは的確に引き金を引く。

ペンキ弾が敵を直撃し、ナナミがガッツポーズをした。

「お! こっちも行けるんじゃない?」

ナイアが茶化すように叫ぶと、ナナミは「うるさい!」と返すが、頬は少し緩んでいた。

 

そして最前線。

ハイネとリラリは、舞うように戦っていた。

これまでのように「守る」だけではなく、「勝つため、楽しむため」の戦い方。

リラリのスカートがひるがえり、ハイネの動きと重なって一つの流れを作り出す。

「……楽しいな、リラリ!」

「ええ、ハイネ様!」

二人の息は完璧だった。

 

試合が終了したとき、フィールドにはペンキまみれの笑顔が広がっていた。

兄弟たちが「愉快だった!」と口々に叫び、ハイネも息を切らしながら笑っていた。

 

―――

 

夜。

ナイアの通信機が震え、静かな声が耳に届く。

『ナイアか。――敵の尻尾をつかんだ。』

ナイアは一瞬目を細め、すぐにニヤリと笑う。

「了解。コレクション……いや、コレクター部隊、いつでも突撃可能さ!」

 

その声には、次なる戦いを待ちわびる高揚が混じっていた。

――愉快な戦場の後には、また新たな戦場が待っている。

ナイアの笑みは、夜の灯りの中で頼もしく光っていた。

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