バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第6話「選択の夜と誓い」

夕食の食卓に、いつものように皿が並んでいた。

ハイネは箸を持ちながら、目の前の味噌汁をただ見つめている。

母が心配そうに問いかけても、彼は曖昧な笑顔を返すだけだった。

隣では父が新聞を読みながら、時折こちらを見て眉をひそめている。

 

ナナミもまた、家族の囲む食卓で同じように無言だった。

彼女の視線は遠く、どこか決意を固める前の重さを抱えていた。

 

代理戦争への参加。

それは、普通の学生生活を捨てることを意味していた。

守りたいもののために戦うのか、それとも平穏を選ぶのか。

二人の心は揺れ続けていた。

 

夜。

ハイネはリラリを部屋に呼び、静かに向き合った。

カーテンの隙間から差し込む街灯の光が、リラリの新しいメイド服を照らす。

 

「……おまえは、どうしたい?」

 

ハイネの声はかすかに震えていた。

リラリは少しの間目を伏せ、やがて青い瞳をまっすぐに向ける。

 

「私は、ハイネ様を守りたいです。そのためなら、戦場にも立てます」

 

短く、しかし揺るがぬ決意を秘めた言葉だった。

 

「そうか……じゃあおまえのことは、俺が守るよ」

 

ハイネは優しく微笑み、リラリの肩に手を置く。

リラリはその手に自分の手を重ね、かすかに頷いた。

二人の間に、静かな誓いが生まれた瞬間だった。

 

一方その頃、ナナミはミミミと向き合っていた。

ミミミは不安げに目を伏せ、か細い声で呟く。

 

「私……怖いです。戦えないし……絶対に参加なんて……」

 

その時、窓の外にかすかな気配が走った。

黒服の影が揺れ、瞬く間にガラスが砕けた。

 

「来た……! ミミミ、下がって!」

 

ナナミは即座にハンマーを展開し、黒服の男たちと激しくぶつかり合う。

銃撃が飛び交い、家具が次々と破壊される。

 

「ミミミはね! あたしの大事な大事なパートナーなの! 絶対に壊させたりなんかしない!」

 

怒号とともにハンマーが唸り、敵を吹き飛ばす。

しかしナナミの腕や肩に傷が増えていく。

それでも彼女は止まらなかった。

 

恐怖に震えるミミミは、その姿を見て何かが変わった。

小さな手を握りしめ、胸にある機械の心臓を感じる。

 

「……ナナミを、守りたい……!」

 

震える声が決意に変わり、ミミミの体から光がほとばしる。

次の瞬間、黒服の一人を弾き飛ばした。

 

ナナミは驚き、そして笑った。

涙が滲んでいた。

 

「ミミミ……!」

 

戦闘は激しく、だが二人の絆は確かに強くなっていた。

やがて敵が退き、家の中に静寂が戻る。

 

「……参加しよう、ミミミ」

 

「はい……ナナミを守るために……」

 

こうして、二人……いや、四人は代理戦争への参加を決めた。

夜風が窓から入り、傷ついた彼女たちの頬を優しく撫でた。

 

ナイアの研究室で、ハイネたち四人は揃って立っていた。

リラリとミミミもその傍らに立ち、緊張の面持ちを浮かべている。

ナイアは腕を組み、少しだけ真剣な色を宿した瞳で皆を見た。

 

「……本当に、いいんだな?」

 

その問いかけに、四人は静かに、しかし確かな意志で頷いた。

ミミミも震えずにナナミの隣に立ち、決意を宿した瞳を向けている。

 

「じゃあ先に言っておく。黒服たちの狙いは兵器のデータだ。あいつらはリラリを破壊してデータを取り出そうとしている。つまり、この設計図の内容を知らないってことだ」

 

ナイアはモニターに映し出された複雑な回路図を指差し、軽く息を吐いた。

 

「今後戦うなかで、この兵器のデータを狙ってセンドもミミミもリラリも狙われることになる。まぁ……一蓮托生だ」

 

そう言ってナイアはにやりと笑った。

 

「だから勝とう! このデータが俺たちの武器であり、最大の弱点だ!」

 

その瞬間、場が固まった。

ハイネとナナミ、リラリとミミミ、そしてセンドまでもが同時にずっこけるようにため息をついた。

 

「弱点なのかよ!」

 

「だって! 盗られたら俺たち人間側も狙われるもん!」

 

「ナイア様はわたくしが守りますが、他の方は防御兵装は貧相ですからね」

 

「失礼な奴だな!? 俺だって一応、訓練すれば!」

 

思わず笑いがこぼれる。

緊張の中にも、不思議な一体感が生まれていた。

 

そして一行は学園の校長室へと向かう。

ナイアが扉をノックすると、校長は穏やかな笑みで彼らを迎え入れた。

 

「来たか……。君たちの決意、しかと受け取った」

 

校長は引き出しから三枚のカードを取り出し、彼らに手渡す。

 

「これは代理戦争参加者のみが使える、訓練場と寮のパスキーだ。ここなら誰にも狙われることはない。……ナイアくん、ハイネくん、ナナミさん、そしてそのパートナー達よ。健闘を祈る」

 

カードを握りしめた瞬間、胸の奥で何かが燃え上がるような感覚を覚えた。

リラリとミミミもその光を感じたように、胸の心臓を押さえて微かに微笑む。

 

こうして六人は、学園の裏側――代理戦争参加者が集う特別な訓練場へと足を踏み入れた。

未来を変える戦いの始まりを前に、彼らの足取りは迷いなく進んでいった。

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