バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第66話「面接、それは大人の試練?」

柔らかな夕暮れの中、ハイネは両親と食卓を囲んでいた。

「ハイネ、将来は何になりたい?」と父が静かに訊ねる。

「……ハートシールド?」

戸惑いを抱えた答えに、改めて思う。

ハートシールドは会社じゃない、でも俺が関われる何かだ──。

 

食事後、心を決めたハイネは、直属の上司であるレントとナイアに入社希望を告げた。

思わぬ突然の申し出に、二人は顔を見合わせてから真剣な表情に変わる。

「じゃあ、面接だな」

ナイアが笑い混じりに言うと、周囲についた兄弟たちは好奇心いっぱいの目を向けた。

 

広めの書斎のような部屋。

面接官席には、ナイア、レント、そしてAIのシグマがスクリーン越しに座っている──異例の面接会場だ。

 

面接官(ナイア):

「では始めに、志望動機は?」

 

ハイネ(緊張しつつ):

「僕はハートシールドとして活動してきて…その……もっと役に立ちたくて……本当に……ずっとここで働きたいです。」

 

面接官(ナイア):

「ふむ。ご希望の年収は?」

 

ハイネ(さらに顔を赤らめて):

「え、えっと……僕が自分のお小遣いでやりくりしてきた経験を考えると、ちゃんと安定した額を希望します」

 

言葉を飲み込みながらナナミが横で小さく頷き、ミミミは励ますように隣でそっと握手してくれる。

 

面接官(レント):

「ライフプランはどんなものだ?」

 

ハイネ(深呼吸して):

「ハートシールドとして学びながら、人とバイオロイドが共に暮らせる社会を築きたいです。そしていつか、僕が守った人たちの側に立っていられる存在になりたい。」

 

面接官(ナイア):

「次、ハートシールドとしてどんなことをしてきたか?」

 

ハイネ(握りしめた手を見つめて):

「人質救出も、笑顔をもたらす活動も、チームのためにできることを全力でやってきました。」

 

 面接室はしばし沈黙。しかし、ナイアの顔にはまぎれもない期待と信頼の色が浮かんでいた。

 

面接官(シグマ・AI):

「最終結果を伝えます……採用!」

 

ナイア(大声で):

「おう、採用だ!」

 

レント(穏やかに頷きつつ):

「元々、人となりは知ってたからな。あとは社会常識だけだった…それは今日、はっきり確認できた。」

 

シグマ(スクリーンに表示される文字):

『社会適合検査結果:常識人に認定します』

 

こうして、学生でありながら“社会人”としての第一歩を切ったハイネ。

翌朝、給料明細を見て家族の前で驚く。

 

「は!? この給与額!? 父さんより多いぞ!?」

 

照れ笑いと共に、ハートシールドという“職”を正式に得た瞬間だった――。

 

―――

 

ハートシールドメンバー全員が同時に“採用”され、途方もない給料が支給されるようになったと知るや、まるで夢のような気持ちで胸がいっぱいに。

「命、かけてるからな?」

ナイアが照れたように笑いながら言い放つ――その言葉が、信頼されていることの重さと喜びを感じさせた。

 

そんなある日、ナイアがにっと笑って言った。

「よし、もうみんな住めよ」

 

ナイア邸は、いつのまにか本物の“秘密基地”ではなく、みんなの“新しい家”になっていた。

 

それから家具の買い出しが始まり、チームは和気あいあいと店を巡った。

それぞれが選ぶ家具には個性とこだわりが詰まっていた。

 

レントとガルドは落ち着いた和風の家具を選び、畳敷きの空間に座卓や桐箪笥を配置。

 

タイチとユウロは木目調のシンプルなベッド&机セット。ユウロの義体にも似合い、兄妹感が自然に漂う。

 

ナナミとミミミは揺れるレースやパステルなファブリックで「お姫様部屋化」。

 

ハイネとリラリは白とグレーを基調にしたシンプルモダンな部屋。

リラリが優しく微笑みながらシンプルなスニーカーを置いた横に、ハイネのハイヒールが並ぶ。

 

 

兄弟たちは二段ベッドやソファベッドに興味津々で、はしゃぎながら部屋を選び、自分の空間を創り上げていった。

その姿はまるで、学園祭のワークショップで世界を作る子どものようだった。

 

―――

 

ある夜、家具が搬入され部屋が整ったリビングに、ナイアが思いがけず現れた。

手にはジュースとお菓子、そしてゲーム機が一台。

「ほら、これぞ友達の家だろ?」と笑いながら、みんなを集めた。

 

メンバーはそれぞれ部屋を案内し合い、

「ユウロの部屋、天使すぎる…!」

「和室で布団最高!」

「リラリの部屋、落ち着く……これ欲しい」

そんな笑い声が広がる。

 

ナイアは「そんじゃ、各部屋の番号で対決ゲームでもする?」とゲームの提案をし、兄弟と仲間たちはソファで笑いながら準備を始めた。

まるで小さな町を作ったような感覚。

それが、まぎれもなく“家族”のような安心感をもたらした。

 

―――

 

夜が更けて、照明が消えた後。窓の外には星々が静かに瞬いていた。

それぞれの部屋には、照明の柔らかな灯りと音もなく滴る夢の余韻が残されていた。

 

家具にも、それぞれの色が映えていた。

ナナミ部屋のリボン柄のクッション、ユウロの白いチェスト、レント部屋の畳と障子の落ち着き……

ひとりひとりの個性が、家という形の中で静かに息づいていた。

 

―――

 

ナイア邸はこうして、一つの拠点でありながら、“秘密基地”でもあり、そして“家族の家”でもある場所になっていた。

ここで過ごす日々が、やがて温かく、たしかな“絆”を育む基盤になるのだと、誰もが確信していた。

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