バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第72話「仮想の戦場、現実の絆」

やっと平和になった──そう思った矢先だった。

 

元政府を名乗る一派が突如として声明を発表。新たに国家を立ち上げ、各国に対し宣戦布告を行ったのだ。

 

町中が再びざわめき始め、ハートシールドのメンバーたちにも緊張が走った。

 

「防衛線を敷こう。町の人たちを守るために。」

 

ナイアの一言で、彼らの役割が再び動き出した。

 

しかし、それと同時に世界中で別の問題が持ち上がっていた。

 

戦争ができない──そのことが、国同士の決定を阻む事態を招いていたのだ。話し合いでは解決できず、かといって戦争という手段も取れない。各国は混迷を極めていた。

 

その光景を前にして、ナイアは深く悩んでいた。

 

──ハートシールドという組織の立場から、世界に『機械の心臓を一時的に止める技術』を提供すればどうか。

 

それは、武力衝突の代わりにスポーツとして代理戦争を行う手段になり得るかもしれない。

 

誰も死なずに決着をつける方法として、理想的かもしれない。

 

だが。

 

「……それが、本当に“彼ら”のためになるのか?」

 

ナイアは一人、研究室の片隅で端末を見つめながら呟いた。

 

そこには、笑顔の兄弟たちの姿が映し出されていた。

 

──この未来が、ずっと続いてほしい。

 

だからこそ、その選択が正しいのか、彼にはまだ答えが出せずにいた。

 

「また一人で抱え込んでる。」

ジト目でハイネが呟く。

 

「悪い癖よね。」

ハイネに続いてナナミもため息混じりに言った。

 

「まぁ情報が情報だからな。」

タイチは肩をすくめる。

 

レントは真面目な顔で口を開いた。

「お前の技術は世界のためになる。だがそれを受け入れがたいなら、他の案を提示すべきだ。」

 

その言葉にナイアは驚き、そして笑った。

 

「じゃあ、何で決めたらいいか一緒に考えてくれよ~!」

 

こうして、ハートシールドによる『戦争の代替』の考案が始まったのであった。

 

―――

 

ハートシールドの『戦争の代替案』を模索する会議は白熱していた。

 

様々なスポーツや競技が検討されたが、その中でも最も現実的で、かつ革新的な案が浮上した。

 

「仮想世界で戦えばいいんじゃないか?」

 

ナイアの一言が、すべてを動かした。

 

実際に戦うのではなく、意識だけを仮想世界に移して行うゲーム。

それなら誰も傷つかないし、決着もつけられる。

 

「つまり、僕たちと同じ状態になるってことですね!」

シグマが目を輝かせた。

 

「仮想世界ならフィールドは自由自在です!」

ベータもすぐに賛同する。

 

まずはプレイヤーの体を保護するポッドの開発が必要だった。

その間に、シグマとベータが仮想フィールドの構築を担当。

ハイネたちはゲームのルールと内容を考案するチームに分かれ、兄弟たちも次々とアイディアを出していく。

 

「この方が面白い!」

「こっちの方が意地悪だ!」

「こうした方が気持ちいいです!」

 

楽しげな声が飛び交う中、ナイアは全員の意見をまとめ、開発を進めていく。

 

そして、完成したゲームの最終デバッグ。

そのためにナイアは一台のスーパーコンピューターを購入。

「兄弟たち全員をインストールしても大丈夫なサーバだ!」と笑いながら宣言する。

 

ゲームは想像以上の出来だった。

兄弟たちは大はしゃぎで遊び、開発に関わったメンバー全員が誇らしげだった。

 

「じゃあ、これを世界に公開しよう!」

ナイアの言葉に誰もが頷いた。

 

──かくして、新たな『戦争の代替』として、

ハートシールドが開発した仮想ゲームは世界に発表されることになった。

 

それは、仮想の戦場で結ばれる、現実の絆の物語の始まりでもあった。

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