バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第75話「みんなで未来を守るために」

機械獣との初対決を経て、世界はゆっくりと変わり始めていた。

戦いの熱は「争い」ではなく、「競技」として消化され、ハートシールド・コンバットは世界平和の象徴となった。

そんな中――一つの決断が下された。

機械獣たちを、戦いの世界から引き離すこと。

彼らは敵ではなく、誤解され、利用されていた存在だった。

その傷と恐怖を癒し、新たな居場所を与えるべきだ――そう考えたナイアの一声が、みんなの心を一つにした。

 

しかし! ナイア邸は、すでに満員御礼!?

「機械獣たちも、俺たちと一緒に暮らそう!」

――ナイアの提案は即決だった。

かくして、機械獣たちは保護され、ハートシールドとユグドラシル守護者の元へ引き取られることになった。

 

だが――誰もが気づいていた。

ナイア邸、狭すぎる。

機械獣が増えたことで、ナイア邸はたちまち戦略拠点兼大家族の家となってしまった。

 

ベータがゆったり眠るスペース、シグマの研究コーナー、兄弟たちの遊び場、そして機械獣たちの休息区――収まりきらないほどの賑やかさだ。

 

「……よし、引っ越すか?」

ナイアが大きく深呼吸をして言った。

「そりゃもう、完全にここじゃ収まんない!」

ハイネが笑いながら同意した。

場所はかつて政府が存在した巨大な広場。

ユグドラシルの根元だ。

人々の歴史と痛みを刻んだその地は、今や廃墟となっていた。

「ここを……みんなの居住区にするってのはどうだ?」

レントが図面を広げ、真剣な眼差しで話す。

 

「いいじゃん! 世界平和の象徴にもなるし!」

タイチも背中を押す。

 

ベータが静かに頷いた。

「ここで、新たな家族の根を育てましょう。」

ユグドラシルの守護者もまた、この提案に賛同した。

“世界を守る家族”の旗艦として、この地に新たな未来を建設する。

 

―――

 

最初の仕事は基礎工事。

廃墟だった政府区域を整地し、建設計画が始まる。

ユグドラシル守護者が施工管理を行い、ハートシールドの面々が現場を支援。

町の人々や兄弟も手伝いに来ている。

 

「ユウロ、次はどこまで運ぶ?」

「このパーツを、こっちです!」

「これじゃ機械獣たちと俺の部屋が被るな!」

「別にいいじゃん、部屋増えるんだから!」

 

笑顔と笑い声が工事現場に溢れ、賑やかさが建設の原動力になった。

 

―――

 

大工事は順調に進み、元政府跡地は少しずつ「未来の家」に生まれ変わっていった。

白く塗り替えられた壁、新しく植えられたユグドラシルの苗木、広場にはみんなで遊べるフィールドが設けられ、そこはかつての政府の姿とはまるで違う、笑顔と温もりに包まれた空間となっていた。

 

「これが……俺たちの新しい居場所だな!」

ナイアは高台からその風景を見下ろしながら呟いた。

兄弟たちが機械獣と走り回り、タイチがユウロと手を繋ぎ、ナナミとミミミが新しいカフェスペースでスイーツを頬張っている。

ハイネとリラリは花壇を作っていたし、レントとガルドは和風の庭の整備に余念がない。

ベータとシグマは揃って子供たちに未来予測とプログラミングを教えていた。

 

―――

 

だが、平和の象徴となったこの場所に、最後の影が差し込んだ。

かつての政府残党たちが、奪われた権力を取り戻すため、旧拠点に残した隠し兵器を起動させたのだ。

未完成だったはずのAI兵器群が、突如として意識を持ち暴走を始める――!

 

「来たな……!」

ナイアが構えると、すでに兄弟たちも持ち場についていた。

「これが……僕たちの家を守る戦いだ!」

シグマが叫ぶ。

仮想ではない現実の戦い。だが、皆の心はひとつだった。

 

兄弟たちは連携し、かつての兵器を止めるため戦った。

リラリの指揮により、ガルドとレントが正面から抑え、ユウロとタイチがサイドを抜けて中央コンソールへ侵入。

センドとミミミは包囲網を作り、ナナミが支援に回る。

そして、シグマとベータはネットへ潜り、暴走したAI兵器の中枢を直接シャットダウンへ。

最後に、ナイアが叫んだ。

「お前たちに未来を壊させるかよ! ここは俺たちの家なんだ!!」

 

AI兵器は無事に停止され、元政府は完全に機能を失った。

世界中がその一報を伝える中、ナイアは笑って言った。

「よし、これで心おきなく……住めるな! この家、未来の家族全員でな!」

「……その家、何人住めるんだ?」

レントが呆れ顔で問うと、ナイアは誇らしげに言った。

「全員だよ! 家族も、バイオロイドも、機械獣も、未来もな!」

 

そしてその日、ナイアの元に住まう者たちに、新たな家の名前が贈られた。

『ユグドラシル邸』――世界をつなぐ大樹の根元として。

 

―――

 

世界は少しずつ、しかし確かに変わっていく。

争いは競技に、武器は知恵に、そして機械たちも「家族」として受け入れられた。

今日もユグドラシル邸では、子供たちの笑い声と、誰かが「おかえり」と言う声が響いている。

 

「お帰りなさい。ハイネ。」

 

「ああ、ただいま。リラリ。」

 

――バイオロイドサーヴァント・完

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