バイオロイドサーヴァント   作:fuu349ari

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第8話「初戦の火蓋」

合図の鐘が鳴った瞬間、訓練場の空気が一気に張りつめた。

人工の風が吹き抜け、砂塵が舞う。

模擬戦闘とはいえ、その熱気は本物の戦場と変わらない。

 

「リラリ、俺の後ろを頼む!」

 

「了解です、ハイネ様」

 

ハイネは呼吸を整え、前線を見据えた。

既にレントとガルドが地を蹴り、前方へと突進していく。

ガルドが大剣を抜き放つと、その巨体が放つ風圧だけで敵チームの前衛がたじろいだ。

 

「おお……すげぇ……!」

 

ナナミは横でハンマーを構えながら目を見張る。

その隣ではミミミが一歩前に出て、ナナミをかばうように立った。

彼女の表情には恐怖はなく、決意が宿っている。

 

「ナナミさん、私……戦います!」

 

「……あんた……ほんとに、やる気だね!」

 

ナナミは笑い、ハンマーを振りかぶった。

 

一方、後衛のナイアはセンドと共にゲームコアの前で防御壁を展開していた。

その様子を見て、敵チームの一人が舌打ちする。

 

「くそっ……あの防御を突破できるか……?」

 

「構うな、まずは前線を崩せ!」

 

敵チームのバイオロイドたちが一斉に突撃する。

その中には、鋭いブレードを持つ高速型もいれば、遠距離攻撃用のアームを備えたものもいる。

訓練場の地面が揺れ、砂塵が視界を覆った。

 

「リラリ、右から来る!」

 

「はい!」

 

ハイネの声に応え、リラリは滑るように横へ跳ぶ。

敵のブレードがすり抜ける寸前、リラリは義手でその刃を受け止め、肘を返して敵機の関節を叩き折った。

 

「こいつ……やるな!」

 

別の敵が銃撃を浴びせるが、リラリは前の戦闘で得た経験を活かし、最小限の動きでそれを避ける。

その間にハイネは援護射撃を行い、敵の視界を奪うように弾をばら撒いた。

 

前線ではレントが巨躯を翻し、ガルドと連携して敵を弾き飛ばしていく。

大剣の一撃が床を砕き、衝撃波が走るたび、敵陣が揺らいだ。

 

「タイチ、どうだ!」

 

「待て、ユウロが位置を割り出す!」

 

後方の高台ではタイチが指示を飛ばし、肩のユウロが羽を震わせて光を散らす。

その光はレーダーのように敵の位置を解析し、仲間たちの耳に情報を送っていた。

 

「右奥、隠れてるのが一機! 狙え!」

 

ナナミがすぐさま動く。

彼女のハンマーが振り下ろされ、地響きを立てて敵機を床ごと吹き飛ばした。

 

「やった!」

 

歓声を上げるナナミに、ミミミが微笑む。

だが次の瞬間、上空から閃光が降り注いだ。

敵チームの空中型バイオロイドが高高度から攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

「ナナミさん、上です!」

 

ミミミが叫ぶ。

ナナミは反射的にハンマーを構えたが、その前に青い閃光が走った。

リラリが跳び上がり、義手の先から放たれた高周波ブレードが空を裂き、空中型を真っ二つにする。

 

破片が散り、静寂が訪れた。

だがそれは嵐の前の静けさだと誰もがわかっていた。

 

「よし……まだいける!」

 

ハイネは汗を拭い、リラリと視線を交わす。

胸の機械の心臓が、また暖かく鼓動を刻んでいた。

 

空中型を撃墜した直後、訓練場の空気が揺らいだ。

敵チームのリーダー格が腕を掲げると、地面に潜んでいた複数のバイオロイドが一斉に跳ね上がった。

砂と煙が舞い、視界が遮られる。

 

「こいつら……隠れてやがった!」

 

レントが大剣を構え直し、ガルドがその前で防御壁を展開する。

だが敵の数は多い。

前衛のレントとガルドに殺到する敵たち。

鋭い刃が交錯し、金属音が鳴り響く。

 

「レントさん! 俺も援護に!」

 

ハイネが前に出ようとした瞬間、リラリがその腕を掴んだ。

 

「ハイネ様、後方からの奇襲があります!」

 

リラリが指差す方向から、敵チームの別動隊がゲームコアを狙って迫っていた。

ナイアとセンドがすぐに迎撃態勢を取るが、数が多すぎる。

 

「センド、頼む!」

 

「承知しました」

 

センドのシールドが強烈な光を放ち、飛来する弾丸を次々と弾き返す。

ナイアは笑みを浮かべながらも素早く銃を構え、敵の脚部を狙って牽制射撃を行った。

 

「君たち、後衛に敵が向かってる!」とタイチの声が響く。

ユウロが光を放ち、敵の位置をリアルタイムで解析する。

 

「リラリ、行けるか!」

 

「はい!」

 

ハイネの指示でリラリが前へと飛び出す。

義手の先端が変形し、高周波ブレードが唸りを上げた。

敵の一体を切り捨て、さらにもう一体の胴体を蹴り飛ばす。

リラリの動きは滑らかで、しかしどこか感情に突き動かされているようだった。

 

「……守りたい……!」

 

リラリの心にその言葉が浮かんだ瞬間、胸の機械の心臓が強く脈打つ。

感情の波が力となり、彼女の動きはさらに加速する。

 

「すげぇ……リラリ……!」

 

ハイネはその姿を目で追い、思わず呟いた。

敵の数は減りつつあったが、リーダー格のバイオロイドが最後の力を振り絞り、一直線にゲームコアへ突撃する。

 

「させるかよ!」

 

ナナミがハンマーを振りかざし、ミミミがその隣で小型シールドを展開する。

だがリーダー格は異常な耐久を誇り、ハンマーの一撃を受けてもなお進み続ける。

 

「ナナミさん、下がって!」

 

リラリが跳び込み、義手のブレードを敵のコア部に突き立てた。

火花が散り、轟音と共に敵が崩れ落ちる。

 

訓練場が静まり返った。砂塵が晴れ、ナイアがふっと息をつく。

 

「……勝ったな。初戦にしては上出来だろ?」

 

センドが胸を張り、タイチが大声で笑った。

「いやー、やるじゃん後輩!」

 

レントは無言で大剣を肩に担ぎ、ガルドと視線を交わすと、わずかに口元を緩めた。

 

ハイネはリラリの元へ駆け寄る。

「大丈夫か?」

 

「……はい、ハイネ様を守れて……良かったです」

 

リラリは胸に手を当て、またあの暖かい鼓動を感じていた。

ナナミもミミミの頭を撫で、笑顔を見せる。

 

こうして、彼らの初戦は勝利に終わった。

だがその戦いは、これから始まる数々の戦いのほんの序章に過ぎなかった。

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