東京から14時間ほど。ロンドンに降り立った私は迎えに来た人物より伝言を受け取り、薄闇に包まれたロンドン郊外の駅にて、ロード・エルメロイ二世とその内弟子たるグレイと合流した。
「どーも、お久しぶりです。ロード・エルメロイ二世、いや先生とお呼びするべきでしょうか?」
「どちらでもいい。だが…なぜもう戦闘用の礼装を着込んでいるんだ?」
ロードの困惑気味な声。だってしょうがないじゃないか、私の基盤は東洋であり、日本であるから西洋でかつマナ濃度が薄い地上ではどうしても使える手段が限られる。
「それは後でお話しさせていただきます。それよりも、そちらの可愛らしい方が先生の内弟子ですかな?」
話題を変えるためにグレイに話を振ってみる。うむ、話には聞いていたし前世の知識もあるが、相が幻想によっているな。竜の炉心でもあれば聖槍をいくらでも撃てるだろうに…
「は、はい。拙がグレイです、あなたは?」
「おっと、これは失礼。では名乗らせていただきましょう」
彼が一礼して名乗ろうとしたとき、あたりを濃い神秘を帯びた霧が包んでいく。3人は強化魔術を起動し、彼とグレイはロードを守る位置に移動する。攻勢用魔術を構築しようとした時、どことなく懐かしさを思わせるような汽笛が鳴り響く。続いて蒸気機関車のガチャガチャと表現すべき走行音が聞こえてくる。そう、魔眼蒐集列車が現れたのだ。
列車から現れた車掌はドクター・ハートレスへの雪辱を晴らすための助力を申し出てくる。しかし、尚も戦力の少なさからロードは決断しきれないようである。
「安心してください、先生。私とグレイさんが付いていますし、今の私ならフェイカーとかいうサーヴァントにも対抗する手段がいくつかありますから。」
対抗する手段がある、という部分に反応するロード。それに加え、フリューガーという魔術使いの傭兵と時任次郎坊清玄という修験者が列車から呼びかけることでようやくロードは列車に乗り込んだ。
「よし、これで6人だな。アルビオンへのアタックは最低5人からっていうのが鉄則だがこれなら余裕をもってアタックできるな」と、この場の人数と嚙み合わない発言をするフリューガ—殿。
はて、6人?自分と先生、そしてグレイ。後清玄殿とフリューガ—殿、どう考えても5人でしかない。
「あの、どう考えても5人しかいないように見えるのですが...」
あと一人は一体誰だ?もしかして車掌も一緒に来るのか...?などと考えながら問いかけてみると
「そういやボウズは初めてやったな。嬢ちゃん、入ってきてくれ」
清玄が背後のドアを振り返って呼びかけると、そこから金髪縦ロールの美少女が現れた。
ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト、この冥界行に赴く最後の6人目である。
客室に入り、各自適当な席に座ったところでルヴィアが口を開く。尚、私は3人掛けのソファにグレイと共に先生を挟むように座っている。
「そういえば、あなたの名前を聞いていませんでしたわ。見た所ロードと親しいようでしたがあなたを教室で見かけたことはありません。名乗ってくださるかしら?」
「そういやボウズの名前を聞いていなかったな。多分清玄と同じように日本から来ているんだろうが」
そうだ、名乗るのを忘れていた。ソファから立ち上がりドアの方に行ってから全員のいる方向に向き直り、高らかに名乗り上げる。
「我が名は蒼崎紫音。冠位魔術師蒼崎燈子が養い子にして地を司る洩矢の神に知恵を授かり、風雨を司る軍神タケミナカタに武を授けられ、血を拝領することで神の眷属となりし者である!」
その名乗りに、先生を含め全員が衝撃を受ける。
「ちょい待ってくれんか、神の眷属って言うたか今」
最初に衝撃から立ち直ったのは清玄殿、恐らく何かしらの情報を持っていたのだろう。
「ええ。今の私は神の眷属であり、それゆえに権能を行使できます。まぁ、東洋ならまだしも西洋に来るとマナ濃度が高いところでしか使えないですが、それは今から行くところを考えれば問題なしという所です。」
少し胸を張りながら答える。
「とりあえずあなたの事はわかりました。しかし、あなたがロードと親しい理由の回答にはなっていませんわよ?」
「ええ。私が先生と親しくさせていただいている理由は、あなたが聴講生であるように私も日本からインターネットを使って聴講させていただいているのと同時に、先生の礼装を作っているからです。ほら、先生がいつも持っている護符や着ているスーツ、あれは私が用意しているものです。」
「成程、そういった縁があったのですね。ロードが来ているスーツを仕立てたのが誰なのかよく話題になっていましたがまさかあなただったとは...」
ルヴィアは納得したかのように席に座りなおす。そこでようやくフリーズから回復したロードが苦虫を嚙み潰したような顔をしながら問いかける。
「ちょっと待て。お前が神々に育てられたのは知っていたがいつの間にそんな事をしていたんだ?」
「少し冬木の聖杯戦争に乱入する必要があって、それを話したら眷属にされました!後、ここに来る前に英雄王ギルガメッシュっていうサーヴァントと戦ってから来ました!」
その一言に更に白目を剝いて失神しそうになりながらも質問を続けようとするロードだったがフリューが質問を遮るように告げる。
「大体の能力はわかった。それ以上は後で話し合ってくれ、到着前に役割分担を決めておきたい。」
その一言で全員の意識が引き戻され、役割分担の話に入る。話の結果、警戒役が先生で地図役がフリューガ—殿、戦闘役が私とルヴィア殿。残りは臨機応変に対応するという事になった。そして、その話がまとまったころ列車が速度を落とし始めた。
「皆様、当列車は間もなく霊墓アルビオン。その最上層に到着いたします。残念ながら、当列車を以てしても安全にたどり着けるのはここまでとなります」
車掌の無念が滲み出るようなその一言に呼応するように、列車は停まり、そしてドアが開く。
皆が降りた後、車掌が一礼した。
「差し出がましい言葉ではありますが、皆様のご武運をお祈り申し上げます」
その言葉を最後に、神秘の列車は走り出し、乗った時同様の神秘の霧もまた姿を消していった。
戦闘用礼装:物理・魔術的な障壁や防護機能と身体に強化魔術をかけ続ける、デザイン的には藤丸が冠位時間神殿で着用していたやつみたいなものです。
主人公はロード・エルメロイの事件簿はアニメ版しか見ていないのに加え、strange fakeも知らないので彼の原作知識はこの場では対して役に立たないという...
ちなみに、主人公は結構な万能人なので大体何でも作れます。但し、貧弱な魔力しか持たないロードに恒常的な魔術礼装を用意するのは難しいので、使い捨ての護符の方に力を入れています。
本当は母親と再会させたかったんですけどどう頑張っても時系列が合わなくなってしまうので冠位決議の場まで取っておきます。
ジェスター、どうしたい?
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即落ち
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逃走成功!