Fate/eastan phantasm   作:Astrad

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採掘都市より淵を覗く

 列車より降り立ち、フリューの死んだはずの師匠と邂逅した私たちは彼の協力を取り付けることに成功した。そして、ゲラフと名乗った彼の師匠は幾つかの我々にとって生命線となる情報や物資を融通してくれた。

 

 そして今、我々はフリューの先導で歩みを進めていた。

 

「そういやぁ、さっき護符も作っているって言っていたが、どんな感じの護符を作っているんだ?」

 

「そうですね、魔眼殺しだったり呪詛除けだったり色々と作っていますけれど、そこの先生に一番多く提供しているのは強化魔術を保持者に付与する使い捨てのモノですね」

 

「成程なぁ、強化魔術を他人にかけるのは難しいっていうのにお前さん結構できるんだなぁ」

 予想外の賞賛に少し唇が緩む。しかし、次の瞬間フリューが歩みを止めたのを見て警戒態勢に入る。

 

「いやいやそんな警戒すんなって。目的地に着いただけだ」

 そういうと彼は先ほどの師匠からもらったナイフを取り出し、幻術を解除した。そこには人一人が通れるくらいの──―しかし、私とグレイなら問題なく進める程の漆黒の穴が広がっていた。

 

「こいつがショートカットルートっていう奴だ。さあ、行くぜ!」

 そういうと彼は身をかがめながら真っ先に入っていった。次に私が入り清玄殿、先生、ルヴィア殿にグレイの順番で進んでいく。

 

 トンネルを抜けた先は南国であった、と言いたいほどのジャングル。もし礼装に温度調節機能をつけていなかったら耐えられないほどの。後ろの方を見ると先生とグレイの2人は暑さに参りかけている。

 

「先生、グレイさん。これを飲んでください、体温調節を助ける薬です」

 慌てて薬を虚数ポケットから取り出して2人に渡す。2人が安定するのを確認して行軍を再開する。先ほどから何度も怪物に遭遇しかけているがルヴィア殿の索敵とフリュー殿の誘導によって何とか回避することに成功し続けていた。

 

 しかし、それは永遠には続かない。ルヴィアの持つ宝石が敵の反応を示した。

 

「そちら!」

 シダの下から這い上がってきた2次元の蛇のような怪物が空中に舞い上がり3次元に変化しながら紫電を放出する。しかし、それはルヴィア殿の防衛術式に吸収される。そして、敵が空中にいる間に短剣を抜き、一閃。私と彼女の連携で見事に迎撃する。

 

 その後も歩みは続き、時には酸の川を甲虫の上を歩いて渡る、とかいう事もあったがそこは全員を風で浮かして運ぶことでショートカットした。そうしてしばらく進んだ後、2度目の休息をとることになった。

 

 2度目の休息の時に、マナ濃度の上昇によって先生の体調が悪化していた。先生は魔術回路が少なく、かつこの場の誰よりも肉体が弱い。幸いにも、フリュー殿が薬を持っていたのでそれを飲んでもらいつつ、先生の礼装に少し改造を加えた。

 

「先生、大源からの魔力供給での身体強化と体内調整を強めに入れたので使ってください。少しはましになるかと」

 

「ありがとう、それとグレイの話だが.」

 そう、グレイは今仮眠をとっているがうなされているようだ。暗示をかけて落ち着かせる提案かと思ったが、彼女の情報についてだった。曰く、彼女の礼装たるロンゴミニアドは後1度使えるかどうかという事らしい。恐らく、魔眼蒐集列車での13拘束解放での聖槍使用が原因なのだろう。

 

(となると.現状代償なしの最大火力は私の流星群とルヴィア殿の宝石魔術といったところか。聖槍に頼るのは最終手段だな)

 

 やがて、彼女も目を覚まし移動を再開する。層を越えるごとに景色は一瞬で装いを変える。灼熱の火山地帯から極寒の氷雪地帯、横に稲妻が走る丘などの物理法則が通用しない、神代の世界を映し出していた。

 

 これほどまでに神代の様相を映し出す霊墓アルビオン、しかし私たちが通ってきた浅い層では既に資源の枯渇が始まっており、より稼ぎを求めるものはさらに奥深くへもぐっているとのことだ。しかし、それは年単位のアプローチを必要とするほどの高難易度のものであり、まともな方法では到底目的地にたどり着くことはできない。

 

 虚無の穴(ナル・ピット)、と呼ばれる存在。どれだけ視力を強化しても底は見えず、どれだけ聴力を強化しても落ちる石が地面に落ちる音も聞こえないまさに虚無の穴。フリューの師匠はこれに竜の心臓との縁を感じ取ったとのことだ。確かに、この大穴を落ちていけば大幅なショートカットになるだろう。

 

 フリューが取り出したのは滑空用の礼装、小源のみで作動する高性能かつ省エネの代物を各人に手渡したが私は礼装の機能に飛行・滑空の機能があるので断った。

 

「降りる前に少し練習をしたいものだが」

 そう礼装を身に着けた先生が口にするがそうは問屋が卸さない。ルヴィアの宝石が反応すると同時に地面から地響きと共に数多もの蚯蚓が這い出てくる。

 

「皆さん、行きますよ!」

 先陣を切って穴に飛び降り、背中を下にして腕を照準代わりに突き出す。

 

「照準固定、風の刃・氷の礫!」

 借り受けた権能を用いて数多の敵を穿つ。戦いが始まった。

ジェスター、どうしたい?

  • 即落ち
  • 逃走成功!
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