あれから、数日がたった。先生がドクター・ハートレスの企みを撃ち滅ぼした後、我々一行は再集結し、冠位決議の場に乗り込んだ。その時に気づいたのは、冠位決議の場に乗り込んでいたライネス・エルメロイ・アーチゾルテと合流した。ライネス嬢は自分で手配していない私という存在に驚き、ついでに蒼崎燈子の息子であることにも驚いていたが、まあそこはどうでもいいことだろう。
帰りは冠位決議の場に来るために使われたポータルを通り、地上へと帰還した。その最中に私は冠位決議事態が”なかった事”にされたと聞いた。その後、私たちは未知の菌類の運び屋となっていないか確認するための1週間ほどの隔離機関に入った。隔離機関の間に、私はグレイの持つ礼装たるアッド。つまり、ロンゴミニアドを見てくれと頼まれた。どうやら、あの三つ目の獣の目を逸らす為に最後の一回を使ってしまったとのことだ。だが、結果として礼装は修復されていた。グレイの話によると、神となったイスカンダルの起こした奇跡かもしれないという事だ。
だが、問題はグレイの方だ。彼女の肉体は、冬木における第5次聖杯戦争の開始、すなわちアーサー王の召喚によってアーサー王化の進行が始まってしまった。先生によると、グレイはアーサー王を再現するための村で作られたアーサー王の肉体であるとのことだから、やはり聖杯戦争の開始が原因であろう。
隔離期間も今日で終わり、明日には日本へ戻るという日に、1人の来客があった。冠位魔術師にして私の母、蒼崎燈子である。取り敢えず、談話室に招きいれて茶を入れる。
「まさか、母さんが中立派の代表として来るとは思いませんでしたよ。」
「それはこっちの台詞だ、まさかお前がロードと一緒に霊墓に潜ってくるとはな。時計塔に本格的に入るつもりなら、中立派か民主主義派なら口を聞いてやるぞ?」
時計塔に入らないか、という勧誘をしてくる母上。確かに、時計塔に入りさらに多くの事を学ぶ機会を得るのも選択肢としては有りかもしれない。しかし、私は非道の行いを許せない。根源の為に人の命を踏みにじる者がいれば私は容赦なく襲い掛かり、その結果として先生に迷惑をかけるだろう。
「いえ、それには及びません。そもそも、
そうだ。英雄王からもらった情報や理論を使って、諏訪子様や神奈子様、そして早苗と幻想郷に行く。それがいま私の行くべき道だ。その為に私は神奈子様の眷属となり、人を超越したのだ。
「まぁ、そういう奴だよなお前は。探究者よりの性格だし能力はある、しかし性質が向いていない。だが、人間を辞めてまで何をやろうとしているんだ?」
母の眼が私を射抜く。その目は私の考えていることなどすべて見通しているように。実際に私が神の眷属になっていることも見抜かれているようだ。なら、打ち明けてみよう。
「そうですね。ではお話ししましょう、母さん。」
そう言いながら私は魔術に権能を載せ、私が生み出した風でこのフロアを覆う。あまりにも濃密なマナと神気、異変を察知した先生とグレイが談話室に入ってきた。
「何をやっている、紫音!」
「ちょうどいいから、先生たちも聞いて下さい。何故私が神の血を拝領し、眷属となったことを」
そうして紫音はここに来るまでの事、諏訪子様が眠りにつくことが多くなった事、それを解決する手段を探す為に冬木に赴き、その為に神奈子様の血を拝領することで眷属になったこと。そして、英雄王と相対し試練を乗り越え、その果てに幻想郷という世界を知ったこと。
ロード・エルメロイⅡ世は驚愕した。児戯とは言え英雄王の攻撃を凌ぎ、あまつさえ一撃を入れたことに。そして、弟子が人間を辞めた、その理由に。
蒼崎燈子は、息子が自ら進んで苦難の道を歩み続ける事に興味を持った。そして、幻想郷という世界にも。
「そうか、色々と言いたいことはあるし思う所もあるが、英雄王の言っていた事ならば嘘ではないのだろう。だが、どうしてお前達は私の予想を遥か斜め上に...」
そう言い残して、先生は気絶してしまった。グレイも何か言いたげにしていたが、先生を放置するわけにはいかず、担いで持ち帰っていき、あとには私と母さんだけになった。
「まあ、お前は何を言われたとしても止まらないだろうからな。それだけの事をするなら資金も必要になるだろう。教会のほうに伝手があるからお前に仕事を回すように頼んでおく。後は頑張れ、じゃあな。」
そういうと、母さんは帰って行ってしまった。まあ、一時的に停止されているだけで封印指定なのは変わらないし、時計塔のお膝元に長居は無用だろう。ま、これ以上するべきことはないし、片づけてから明日の帰国の為に荷物をまとめておきますか。
そうして私は立ち上がった。
この後紫音は日付が変わるとともに置手紙とⅡ世用の礼装を置いて日本に帰って冬木の監視をします。
次回は冬木に戻ります。
ジェスター、どうしたい?
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即落ち
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逃走成功!