Fate/eastan phantasm   作:Astrad

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祭囃子の只中に

 翌日、早苗と一緒に朝から東京観光と洒落込んだ私たちは途中横浜に足を延ばしつつも秋葉原や神保町、銀座などを観光し、色々なものを買いながらも夜には両儀の屋敷に戻り、私は一人翌日の祭りの会場の手伝いをしつつ下見をし、簡易的な陣地作成をしていた。

 

「よし、これだけ仕込んでおけば大丈夫かな?」

 謎の赤毛の青年。どのようなバックボーンを持ちどのような能力を持っているかは知らないが、先生が拾ったのであれば何かしらの事情があるだろう。何かしらの暴走をするかもしれないし何かしらの勢力に追われているのかもしれない。最悪の場合は常に想定しておかねばならない。それがエルメロイ教室というものだ。

 

「おーい、紫音の坊ちゃん。こっち手伝ってくんねーかー。」

 仕込みをしていたところに設営の人達が呼んでくるし、力仕事は得意だから手伝いますか。そう思いながら返事をして呼ばれた方へ向かう。末那嬢は早苗が面倒を見ていてくれているから現場も安心して作業が出来る。前に手伝っていた時は末那嬢がふらふら歩きまわっていてその安全確保だけで手伝いできなかったからなぁ。

「はーい、今行きます!」

 

 設営の手伝いをしながら夜は更けていく。日付が変わるころには設営も完了し、各自家路に着き、私も両儀の屋敷に監督をしていた幹也さんと一緒に戻り、汗を流してから眠りにつく。

 

 

 次の日、夏祭り会場にて

 

「それにしても、すごい量の術式ね。まるで私たちをここから生きて帰さないっていうぐらいの殺意の塊だわ」

 遠坂凛が嘆息する。一つ一つは大したものではないが死角という死角に配置された術式は間違いなく敵対者の処理能力を埋める為に仕掛けられ、この中で戦闘するならば一流の魔術師であっても苦戦するだろう。

「問題ない、この術式の癖と配置を見るに紫音が設置した物だろう。」

 一瞬で見抜いたのはロードエルメロイⅡ世。彼は設置されていた術式を見つけ、それが教え子のものであるとまで看破した。

「成程、では先生はなぜ彼がここにいて、これを仕掛けたのだと思いますか?」

 why done itを問う遠坂凛にロードは答える。

「そうだな。まず最初に私たちが今着ているこの国の伝統的な衣装自体が、恐らく彼の作った礼装だ。それに、ごく小規模のものだが体温を一定に保つための術式が仕込まれている。こういったやり口は紫音の得意技だ。その上で、この術式はエルゴを見て用意したのだろう。」

「どうしてですか?」

「紫音の性格から考えるに、私が又トラブルに巻き込まれたのだと考えたのだろうな。どうせこの後、クライアントと一緒に来るだろうからその時に答え合わせでもすればいい。」

 

 それから暫くしてグレイは3つの足音を聞いた。1つは普通を感じさせる足音、1つは聞き慣れた足音。そしてもう1つは神秘を思わせるような足音。そして感じる。先のシンガポールで遭遇したムシキにも似たその圧倒的な神秘の気配。それは、紛れも無い神であったり神仙であったり紛れもない強き存在である。

 

 「初めまして」

 ひどく平凡さを感じさせる男性の背後に控えるのは一組の男女。一人はよく見る見知った顔、そしてもう一人の女性は圧倒的な神秘を宿した紛れもない神のようなもの。その護衛につけるにはあまりにも物騒すぎる2人の存在に瞬きしていると、

 「蒼崎燈子さんから紹介された、両儀幹也といいます」

そう男性は自己紹介したのだ。

 

 

 

 

 祭りの夜、私たちは先生と再会し、両儀の屋敷に

「お久しぶりです、先生、グレイさん、そして遠坂嬢。そちらの青年は?」

 挨拶しながらも青年を観察する。私の予想は当たっていたようで、相がグレイと同等、もしくはそれ以上に幻想に寄っているようだ。しかも、何か混ざっているのか?

 

「はい、僕はエルゴといいます。」

「成程、デカルトの言葉からとられた名前か。良い親を持ったようですね。」

「いえ「この子、記憶喪失なのよ」」

 話しだそうとしたところを遠坂凛が代わりに説明する。そうか、記憶喪失か。これは厄ネタ度合いが増してきたな。

「ほうほう、記憶喪失か。君、後で少し見せてもらってもいいかい?」

まじまじと目を見つめる。

「あ、はい。いいですけど」

あっさりと快諾をもらえたことで我に返る紫音。早苗に腕を引っ張られることで思い出す。そうだ、早苗の紹介を忘れていた。

 

「紹介します、彼女が「紫音さんの妻で現人神の東風谷早苗です、よろしくお願いします!」は?」

「は?」

「え?」

 一同が困惑に包まれる。実際、早苗という存在は紫音の会話に時々出ていたために知ってはいた。しかし、そこに現人神という単語は出ていなかったし結婚したという情報も一切出ていない。一同がフリーズする中、最初に戻ったロードがもう一度聞き直す。

「すまないレディ。聞き間違えたかもしれないのでもう一度言ってくれないか」

「はい、紫音さんの妻で現人神の東風谷早苗です!そちらはロード・エルメロイⅡ世さんでしたよね?私の紫音がいつもお世話になっています」

 

 そう言ってお辞儀をする早苗に幹也が言う。

「ちょっといいかな。紫音から結婚したとかそういった話は聞いていないんだけれど、いつ結婚したんだい?」

あくまでも現人神というワードには触れず、結婚というワードを冷静に指摘する幹也。次いでフリーズから復帰した遠坂が追撃をかける。

「ねえ、早苗さん。紫音からは結婚したとかそう言った話は聞いていないんだけど、いつ結婚したのかしら?」

「私も結婚した覚えがないんだけれどなぁ、せめて大学卒業後にしてくれって言ったはずだけど」

 

 ようやくフリーズから復帰した紫音が既成事実を作ろうとした早苗に突っ込みを入れる。

 嘘だと完全にばれてしまった早苗は笑いながら

「あっちゃあ、バレちゃいましたか。」

とでもいう始末。そう、彼女は自らを紫音の妻として、紫音を己の夫として照応しようとしていたのだ。

 

 そんなこんなで話をしながら一行は両儀の屋敷へと辿り着き、客間へと通される。

「どういう事?両儀は魔術を辞めた家って聞いていましたけど、霊地は明らかに手入れされているし結界も張られているようですけど」

遠坂は困惑の声を上げる。明らかに先ほどの話と食い違っているからだ。

 

「それは私の方で手入れしているからですね。両儀の家は古くからヤクザだったり色々な活動をしていますから、結界で最低限、奇襲を防ぐ仕掛けを用意しておいたんです。」

そういう紫音はどこか得意げであった。

 

「そういえば」

と、ロードが話を切り出した。

「ミス東風谷、先ほど私の聞き間違いでなければ君は現人神と言っていた。日本においてもこの言葉は人間の形をした神という意味であったはずだが、君も又、神の一柱ということで良いのかな?」

 その問いかけをする眼差しは鋭く、まさに略奪公と恐れられるにふさわしいものであった。

 




ロードを書くのが難しい...

ジェスター、どうしたい?

  • 即落ち
  • 逃走成功!
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