ドアが開く。そこには当然早苗の姿があった。魔力の制御ができていないからかはたまた激怒によるものなのか彼女の周囲には揺らぎが見え、彼女の目は輝き、怒りと悲しみが混ざったような表情をしていた。
「助けてください神奈子様!」
思わず恐怖で神奈子様の背中に隠れようとするも神奈子様は私を盾にするように差し出した。もはやそこには覚悟を決めた漢はおらず、ただ恐怖に打ち震える一匹の哀れな兎がいるだけであった。
「どうして、こんな事を黙っていたのですか!」
言葉とともに繰り出されるアッパー。私は天井に叩きつけられそして落ちてきたタイミングでストレートを喰らい窓ごと庭にダイブした。
「ごめんなさい、だけど後悔はしていない」
命乞いをする為に土下座はするが断じてここは譲れない。
窓から飛び降りてきた早苗が泣き出しそうにながら言葉を紡ぐ。
「貴方はいつも、黙って自分だけが苦しめばいいと思っている。それを見る私の身にもなってください」
どうしよう、心当たりが多すぎて反論できない。
どうするか悩んでいるうちに彼女は私を抱きしめながら泣き続け、そのまま眠りについてしまった。
「ごめん、早苗。だけど私はこの行き方しか選べないと思う」
彼の消えかけていた埋み火は、突如起きた危機により再び舞い上がり、鎮まることはないだろう。
2004年1月下旬、私が神奈子様の眷属になり、聖杯戦争に乱入するための準備を始めてから半年近くが過ぎた。あの後、目を覚ました早苗からは正座の状態で叱られ、諏訪子様には神奈子様の眷属になったことで拗ねられてしまったがそこはしょうがない。
ともあれ準備はできた。早苗と戦いを重ねることで身体機能の把握や調節を済ませ、両儀さんの家の伝を頼って刃物から完璧に違法な飛び道具まで調達し、加工まで済ませた。まぁ準備の為に今までに人形作りや護符作りで貯めた貯金の大半を吹っ飛ばした挙句、あちらでの拠点として1部屋購入したマンションが想定以上に高かった為に貯金は100万円もない。まあ、命の代金としては安い方だ。
既に装備は虚数空間の中に放り込んでいるから後はあちらへの拠点に付いてから最終調整を行うだけだ。
そうして私は諏訪の地を旅立ち、特急と新幹線を乗り継いで冬木に降り立ち、購入したマンションにたどり着いた。
蝉菜マンション、今日から私が暫くの間聖杯戦争の拠点にする場所である。早速私は自室を陣地とするべく小規模な改造を行った。と言っても加工内容は敵意感知と人避け程度のものだが。
加工を終えた次の日から私は冬木の街を散策するようになった。とはいえ襲撃対象は既に決めてはいる。間桐の家だ。
かの家は聖杯戦争におけるサーヴァントや令呪のシステムを考案したという。私が求める資料の最優先するべき種類のものを有している他、純粋に外道に堕ちているおかげで容赦する必要はない。
決行は聖杯戦争開幕中の昼間。そこなら最悪サーヴァントの仕業にも出来るし後始末を教会に押し付けられる。
そう頭の中で皮算用をしながら冬木の街を歩いていたある日の夜
「ほう、よもやそれ程までに軽い考えでこの地に足を踏み入れたのか、雑種」
英雄王が、現れた。
そりゃあ、早苗さんは天然ものなので主人公よりは強いですよ。しかも惚れた女に全力出すのは難しいのでそもそも勝ち目がないという。
英雄王について:そりゃあ、こんな時代に神代の気配を漂わせている正真正銘の雑種を見つけてしかもそれが身不相応な願いを宿しているのだからノリノリで試練をプレゼントしに行くでしょう。 まあ、しっかりと満足させることが出来れば幻想郷についての情報とか、宝具とかいろいろ褒美として授けてくれるでしょう。 勝ち目?そこになければないですねー。
ジェスター、どうしたい?
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即落ち
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逃走成功!