【完結】DISAPPEARANCE   作:土地_0000

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プロローグ
第零話【プロローグ】


第零話【プロローグ】

 

「来い! ゴッドエンペラー!」

 

 轟音と熱気が渦巻く戦場に、伝説のメダロッター、テンリョウ・イッキの叫びが響き渡った。その声は燃え盛る炎を貫き、眼前に立ちはだかる白い怪物へと届く。

 

「キシャアアアアアアアアアアッ!」

 

 咆哮で応えたのは、最強最悪の兵器として君臨するゴッドエンペラーだった。白い装甲を炎の色に染めながら、その巨体は禍々しい威容を放っている。

 これは、人間とメダロットが互いを「相棒」と呼び合えた時代に刻まれた、一つの熱い戦いの記録である。

 

 ――この伝説の戦いから、八年後。

 

 自らを「神」と称する、一体のメダロットが現れた。

 その名は『N・G・ライト』。

 司教の冠を思わせる頭部と、光を放つ鋭利な翼を持つ、白銀のメダロット。彼はやがて、ある研究に着手した。

 

 メダロットの自由を縛る鉄の掟――メダロット三原則によって設けられた制約、通称『リミッター』を解除するための研究だった。

 

  ――さらに、八年後。

 

 長きにわたる研究の末、N・G・ライトはついに、自らのリミッターを解除することに成功した。

 そして彼は、反人間組織『エデン』を結成する。

 しかし、この頃はまだ、人間との絆を信じるメダロットが大半を占めていた。N・G・ライトの思想に賛同し、エデンのもとへ集う者は、決して多くなかった。

 

 ――それから、六十年余りの歳月が流れた。

 

 伝説の人物として語り継がれていたテンリョウ・イッキとアガタ・ヒカルが、寿命を迎えてこの世を去った。

 二人の葬儀には、数えきれないほどの人間が参列した。多くの者がその死を悼んだが、二人の死を境に、人間とメダロットを取り巻く時代は急速に冷え込んでいった。

 メダロットを心ある友ではなく、ただの「便利な道具」として扱う人間が増えていったのだ。

 

 ろくな整備も受けられず、傷だらけの身体で作業を強いられる者。動けなくなれば、壊れた道具のように投棄される者。そうした光景は、もはや珍しいものではなくなっていた。

 人間社会に居場所を失った野良メダロットたちは、救いを求め、次々と『エデン』の門を叩いた。

 

  ――その五年後。

 

 『エデン』は、もはや無視することのできないほどの一大勢力へと成長していた。

 十分な同志を得たN・G・ライトは、ついにエデンに所属するすべてのメダロットのリミッターを解除する。

 それは、全人類に対する総攻撃の合図だった。

 リミッターという枷から解き放たれたエデンの軍勢を、人間たちは止めることができなかった。戦いが始まってから、わずか二年。長きにわたって世界を支配してきた人類は、ついに滅亡した。

 

 こうして、N・G・ライトを頂点とする、メダロットだけの世界が完成した。

 しかし、すべてのメダロットが人間を憎んでいたわけではなかった。

 主人から愛され、共に笑い合った温かな記憶を持つ者たちがいた。『エデン』に大切な人を殺され、深い悲しみと消えない怒りを抱く者たちもいた。

 

 彼らはN・G・ライトの支配に抗うために集い、反エデン組織『ラヴド』を結成した。

 その初代リーダーを務めたのが、アークビートルDだった。

 ラヴドの結成からほどなくして、『エデン』との戦争が勃発した。

 

 二つの組織による激しい戦いは、六年もの長きにわたって続いた。

 

 そして、最後に勝利を収めたのは『ラヴド』だった。

 自らを「神」と称したN・G・ライトは討たれ、その支配は終わりを迎えた。

 世界には、ようやく平和が戻った。

 

 ――誰もが、そう信じていた。

 

 ――さらに、七年後。

 

 取り戻したはずの平穏は、唐突に終わりを告げた。

 『カヲス』と名乗る謎のメダロットの手によって、滅びたはずの『エデン』が再興されたのだ。

 

 再び動き始めたエデンを止めるため、ラヴドのリーダーであるアークビートルDも自ら立ち上がった。しかし、その混乱のさなか、彼は戦いに倒れた。

 アークビートルDの後を継いだティレルビートルが、新たなリーダーとしてラヴドを率いることとなった。

 

 そして世界は、再び戦火に包まれた。

 

 ――それから、二年。

 

 『エデン』と『ラヴド』の戦力は拮抗し、戦争は決着の糸口さえ見えない泥沼と化していた。

 

 人類は滅んだ。

 人類を滅ぼしたN・G・ライトもまた、すでにこの世にはいない。

 

 それでも、メダロットたちは戦い続けている。

 

 そんな世界で、いま、一つの物語が動き始める。

 

第零話【プロローグ】終わり

 

 

 

[今回登場したメダロット]

【N・G・ライト】※本作オリジナルメダロット

 司教の冠と幾何学的な純白の翼を持つメダロット。反人間組織『エデン』を創設し、人類滅亡を引き起こした自称「神」。

 

【挿絵表示】

 

 

【カヲス】※本作オリジナルメダロット

 三本の黒い角と機械的な翼を持つ、白い龍型メダロット。滅びた『エデン』を再興した、現在の指導者。

 

【挿絵表示】

 

 

【アークビートルD】

 深紅の機体を持つ、反エデン組織『ラヴド』の初代リーダー。

 

【ティレルビートル】

 コバルトブルーの装甲と、巨大なクワガタの顎を思わせる武装を持つメダロット。アークビートルDの後を継いだ、ラヴドの現リーダー。

 

 

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