【完結】DISAPPEARANCE   作:土地_0000

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第二十三話【不幸のメダロット~GILGAMESH !?~】

第二十三話【不幸のメダロット~GILGAMESH !?~】

 

 メダリンピック決勝トーナメント。その華やかな舞台の裏側で、ルクたちは切実な問題に直面していた。

 

 本来、この大会は三体一組のチーム戦が基本だ。

 規約上、二体での出場も認められてはいるが、それは圧倒的な戦力差を背負うことを意味する。

 予選ではヴァレンの捨て身のサクリファイスをワンダが超高速で修復し続けるという、

 心臓の止まるような薄氷の連携でなんとか勝ち抜いてきた。

 だが、世界中から化け物じみた強豪が集う決勝トーナメントを、たった二体で勝ち抜けるほど、この世界は甘くない。

 

ルク:「あーもう! なかなか『これ!』っていうメダロットがいないわね!」

 

 ルクは街角で“助っ人求む”という殴り書きの看板を掲げていた。

 だが、メダリンピックの決勝という修羅場に、野良のメダロットが首を突っ込むはずもない。

 ルクに言い寄る不届きな男たちはいても、戦力になる影は一向に見当たらなかった。

 

 三人が半ば諦めかけていたその時――。

 

「“助っ人求む人”求むッ!」

 

 喧騒を力技でねじ伏せるような絶叫と共に、一機のメダロットが大地を割らんばかりの勢いで歩み寄ってきた。

 夕日に照らされたその装甲は赤みがかったオレンジ。

 そして何より異様なのは、その肩と背から生えた、計六本の逞しい腕だった。

 

シュラ:「これなるはメダ世界一の強者、その名も『烈火の六道』シュラ!!!知ってる人は知っている、知らない人は覚えてね。名高いパーツを求めてやまず、西へ東へさすらう男!!ウワサのアイツが、ここに見参!!!」

 

 ドシン、と地響きを立ててポーズを決める六本腕の巨躯。

 

ルク:「キャー! ナニこれ、最高にカッコいい!!」

 

 ワンダとヴァレンが呆気に取られる中、ルクだけは目を輝かせて拍手を送る。

 彼女の直感が、目の前の「変人」が本物であると叫んでいた。

 

シュラ:「ヒャホーゥ!!! メダを見る目があるねぇちゃんだなァ!!! 助っ人探してるなら、俺ッ様にまかせな!!」

 

 

 話は早かった。

 シュラは「優勝した暁には、賞品のレアパーツをシュラに譲ること。金はこちらのものにしていい」という条件を提示した。

 生活費こそが生命線のルクにとって、最初は願ってもない提案だった。

 

ルク:「交渉成立! あたしは現金さえあればパーツには興味ないから。今日からアンタも私たちの仲間よ!」

 

シュラ:「ヒャホーゥ!!! 商談成立だな!!」

 

 ガシッ、ガシッ、ガシッ! と、シュラは六本の腕のうちの三本を使ってルクの手を豪快に握った。

 その様子を眺めていたヴァレンが、どこか懐かしそうに、けれど困惑した様子で呟く。

 

ヴァレン:「……なぁ、ワンダ。お前、こいつ何かに似てると思わないか? 何気に、昔のゲームに出てきた多腕の――」

ワンダ:「え、ゲーム? 何のこと?」

ヴァレン:「ほら、橋の上で待ち伏せして武器を奪っていく……ギルガメ――」

 

シュラ:「ヒャホーゥ!!! これからよろしくな、相棒!!!」

 

 ヴァレンが言葉を言い切る前に、シュラが残りの三本の腕でヴァレンの肩を激しく叩いた。

 

ヴァレン:「……あ、あぁ。(ツッコミを入れる隙がねえ、こいつやるな)」

 

ルク:「さぁ! 決戦に向けて前祝いよ! ホテルへ行くわよ!」

 

 ルクとシュラが意気揚々と駆け出していく。その後を追いながら、ヴァレンはワンダの背中にある翼をジッと見つめた。

 

ヴァレン:「……ワンダ。お前、何気にその翼で空を飛べて、何気に回復が得意なんだよな?」

ワンダ:「だから、何を今さら……。変なバグでも起こした?」

ヴァレン:「……いや。何気に緑色をしていれば完璧だったなと思って。……エンキドウ」

ワンダ:「意味わからん」

 

 

 

 

 翌日。

 スタジアムは、爆発せんばかりの熱気に包まれていた。

 

司会:『さぁ、お集まりの皆々様! これより第20回メダリンピック決勝トーナメントを開始するぜ!!! 今回の優勝賞品は、現金二千万円と――開発時威力調整前非売品版!伝説の右腕『リボルバー』だぁぁぁ!!!』

 

シュラ:「何ぃぃぃぃぃ!!!? 非売品版リボルバーだとぉ!!!」

 

 シュラがこれ以上ないほどに驚愕し、興奮に身を震わせた。

 

ルク:「え、なに? そんなに凄いの、それ?」

 

シュラ:「凄いも何も!!『最強のライフルパーツ』と噂される至高の逸品だぞ!!オークションに流せば一千万は下らねえ!!」

 

ルク:「……い、いっ……一千万っ!!?」

 

 ルクの瞳が、凄まじい勢いで「$マーク」へと書き換えられた。

 一千万。その響きは、彼女の「生活費優先」という理性を一瞬で焼き切るのに十分な魔力を持っていた。

 

シュラ:「ねぇちゃん……パーツは俺ッ様の物にするって約束、忘れてねえだろうな!!?」

 

 不安げに詰め寄るシュラ。

 ルクは一瞬、泳ぐ目を隠すように不自然な笑顔を作った。

 

ルク:「わ、わ、忘れてるわけないじゃん♪」

 

ヴァレン:「(何気に思いっきり忘れてたろ、今の反応……)」

 

ワンダ:「(嘘だ。絶対嘘だよルクちゃん。シュラさん、騙されちゃダメだよ……)」

 

シュラ:「良かった!! 信じてたぜぇ、ねぇちゃん!!」

 

 六本の腕を広げて歓喜するシュラを見て、ヴァレンとワンダは同時に頭を抱えた。

 この男、あまりに人が良すぎる。

 

ルク:「さぁ、出番よ! リボルバー……じゃなくて! 二千万のために、全力で行くわよ!!」

 

ワンダ:「(……いまリボルバーって言いかけたよね!?)」

 

 ルクの底知れぬ物欲が、新たなトラブルの種を蒔いた。

 不穏な火種を抱えたまま、史上最も賑やかで、最も胡散臭いチームが、ついに世界の頂点へと足を踏み出した。

 

 

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[今回登場したメダロット]

【シュラ】

 六本の腕を持つ武人型メダロット。レアパーツを求めてさすらう風来坊。テンションが上がると「ヒャホーゥ!!!」と叫ぶ。

※昔、掲示板などで交流のあった友人考案のメダロット。

 

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[機体解説]

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【キャラクター名】

 シュラ

 

【機体名】

 シュラ

 

【公式/オリメダ区分】

 オリメダ

 

【モチーフ(型式)】

 阿修羅(ASR)型メダロット

 

 

【パーツ】

[頭部]

 ホムラガミ/さくてき(おうえん)

[右腕]

 レッカミョウオー/ファイヤー(なぐる)

[左腕]

 ゴウエンニオー/ファイヤー(がむしゃら)

[脚部]

 フドーダチ/二脚

 

【備考】

 オリジナルメダロット。

六本の腕から繰り出される拳撃は炎を纏うことで強力無比な威力と化す!

また、炎は形を変えて敵に襲いかかることも可能で、鎖状となって拘束したり龍のように喰らいつくこともできる。

芝居がかった言動をし、一見素っ頓狂なヤツかと思われがちだが、その恐るべき実力を知る者からは非常に畏れられている。

 

【挿絵表示】

 

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第二十三話【不幸のメダロット~GILGAMESH !?~】終わり

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