第四十二話【ここはエデン本部、決戦の地】
第四十二話【ここはエデン本部、決戦の地】
ビッグブロック周辺は、音を立てて崩壊する鉄の墓場と化していた。
視界の限り、地面はねじ切れたティンペットの残骸とひしゃげた装甲板によって埋め尽くされ、空に昇る黒煙は月光を拒絶している。
大気には焼き切れた論理回路の異臭と、高熱のオイルが蒸発する白煙が立ち込め、生存の余地など微塵もない死の熱量が渦巻いていた。
その破壊の嵐の中心に、紅く光る双眸を持った「怪物」が君臨していた。
ビーストマスター: 「ハカイハカイハカイハカイハカイハカイハカイハカイハカイィ!!!!!」
ビーストマスターの絶叫は、もはや音声言語としての体を成していない。
それは、彼の電子頭脳の深淵に刻まれた根源的な破壊衝動が、バグのように溢れ出したものだった。
全身の砲門は赤熱し、限界を超えた排熱で機体が陽炎のように揺らめく。
にもかかわらず、彼のデスボムとデスビームは止まることを知らない。
放たれる光の奔流は、逃げ惑うエデン兵を文字通り分子レベルで分解し、その後に残るのは虚空を舞う灰だけだった。
もはや敵も味方も、戦略も目的もない。
そこにあるのは、眼前のすべてを無へと還すまで止まらない、史上最悪の破壊兵器の正姿であった。
ブラックメイル: 「そろそろマズイ。 これ以上やったらビッグブロックの方がやべぇ~…ぞッ」
狂乱の只中に割って入ったのは、漆黒の格闘機、ブラックメイルだった。
彼は猛烈な勢いで吹き荒れる熱風を物ともせず、暴走する戦友の懐へと一気に肉薄した。
ブラックメイル: 「……お疲れさぁ~…まッ!!」
―――ド、ゴォォォォォォォォォンッッ!!!!!
ブラックメイルの渾身の回し蹴りが、ビーストマスターの側頭部を捉えた。
装甲がひしゃげ、凄まじい衝撃が頭部ユニットを貫く。
ビーストマスター: 「ハカイハカイハカイハカイハカ……グピポピョルグギェェッ!!!!!」
ビーストマスターのバイザーが激しくノイズを発し、紅い光が弾けるように霧散した。
一瞬の静寂の後。
彼はフラフラとよろめき、その身から立ち昇る白煙を排熱ファンで必死に吐き出しながら、元の理知的な青い輝きを瞳に取り戻した。
ビーストマスター: 「……ザー…………。……おや? ブラックメイルさん。おぉ!敵の掃討は、華麗に完了したようですね。いったいどうやったのですか?」
平然とした、参謀としての気品すら感じさせる声。
ビーストマスターは、自らの周囲に広がる惨状――自分が引き起こした、この世のものとは思えぬ破壊の痕跡――を、どこか他人事のように見渡した。
ブラックメイル: 「お前、何にも覚えて無さ過ぎて逆に怖いぃ~…なッ」
ビーストマスター: 「? 何の話です? ハッ!!……気が付かないうちに我が主力軍は既に本部へ突入しているようです。いつの間にこんなに時間が」
―
――――「エデン」本部・機密実験室。
「エデン」本部最深部にあるこの実験室は、耳鳴りがするほどの無機質な静寂に包まれていた。
壁一面を埋め尽くすサーバーラックが低く唸りを上げ、複雑に絡み合った光ファイバーが、まるで血管のように青白い光を点滅させている。
その中央。巨大な強化ガラスの向こう側に、N・G・ライトの遺産――十字架に翼を授けたような異形の機械『DISAPPEARANCE』が鎮座していた。
『最大出力、出ます。各リレー正常、エネルギー充填率上昇中』
『目標エネルギー量まで、あと二十%……十%……』
優秀なメカニックたちが、震える指先でコンソールを叩く。
その緊張感が、高電圧の静電気となって室内の空気をヒリつかせていた。
『5、4、3、2、1……目標エネルギー量の出力を確認。安定しています!』
カヲス: 「……よし。これで仮実験を終了する。…………異常個所の点検が終わり次第……『D』を使用した本実験を開始する……」
カヲスはモニターを見つめたまま、微動だにせず命じた。
彼の三本の角は、目前に迫った「奇跡」への歓喜か、あるいは「終焉」への予兆か、かすかに、けれど鋭く震えていた。
そこに、通信兵が血相を変えて飛び込んできた。
『報告いたします! ラヴド軍の主力軍、既に最終防衛ラインを突破! 現在、本部に向けた超大規模な総攻撃を開始した模様です!!』
悲鳴に近い報告。メカニックたちの間に動揺が広がるが、カヲスだけは、氷のように冷たい静寂を崩さなかった。
カヲス:(クソッ……あと……少し……だというのに)
カヲスの黒い瞳が、苛立ちに濁る。彼は即座に演算を切り替え、冷徹な迎撃命令を下した。
カヲス: 「……『DancingMad』……を使え。……少しでも食い止めろ……」
その名は、エデン本部に隠された最終防衛プログラム。
カヲスの指示を受け、それが起動されると、要塞全体を揺るがすような低周波の振動が走った。
―
ラヴド軍の潮流が、ついにエデン本部の城門へと到達した。
「行くぞ!! この戦争に……今こそ終止符を打つんだ!!」
「エデンの傲慢を、その装甲ごと粉砕せよッ!!」
地を埋め尽くす白兵部隊、空を覆う飛行兵団。
これまでの怨嗟を乗せた一斉攻撃が開始された。凄まじい砲火が本部外壁を叩き、勝利を確信したラヴド兵たちが雄叫びを上げる。
だが、本部の巨大な門が重低音を響かせて開かれた瞬間、その熱狂は冷水を浴びせられたように静まり返った。
門の奥から溢れ出してきたのは、見たこともない「影」の軍勢だった。
漆黒の装甲はまるで夜の闇を切り取ったかのように半透明で、内部のティンペットすら透けて見える。
それらは感情の無い、あるいは意志そのものが欠落したような空虚な瞳で、ラヴドの軍勢を迎え撃った。
「なんだ、こいつらは……!? 機体が、透けてやがる……っ!」
困惑しながらも、ラヴド軍は攻撃を続行した。
戦闘技能においてはラヴドの熟練兵が勝っており、黒い影たちは次々と撃破され、地面に転がっていく。
勝利は目前――誰もがそう確信した、その刹那。
要塞の全域に、重厚なパイプオルガンの音色が鳴り響いた。
バロック時代の宗教曲を思わせ、それでいてプログレッシブな激しさを孕んだ狂気の旋律。
空気を物理的に震わせるその調べが流れた瞬間、戦場の「理」が崩壊した。
ベビー: 「……? 何でちゅか、この不気味な曲は……?」
後方支援として戦場を注視していたプリミティベビーは、その瞬間、信じられない光景を目撃した。
ベビー: 「そ、そんな……。倒したはずのメダロットたちが……」
ベビーの視線の先。
頭部を砕かれ、手足を失い、沈黙していたはずの半透明の影――その名も『心ない天使』たちが、音楽に操られる操り人形のように不気味に立ち上がったのだ。
砕けた破片が磁石に吸い寄せられるように機体へと戻り、数秒前までの致命傷が、最初から存在しなかったかのように修復されていく。
再生。それも、一度きりではない。
ラヴド兵が何度心臓部を撃ち抜こうとも、バラバラに解体しようとも、音楽が鳴り続ける限り、彼らは欠けた部品を拾い集め、あるいは虚空から物質を再構成して、再び牙を剥く。
「化け物だ……っ! 死なない! こいつら、壊しても壊しても立ち上がってきやがる!!」
悲鳴が連鎖し、戦場の士気が急速に凍りついていく。
物理的な破壊が通用しない不死の軍勢。
絶望的な旋律が響き渡る中、ラヴド主力軍は、出口の無い無限地獄の入り口に立たされていた。
鳴り止まぬパイプオルガンの旋律、そして何度破壊しても泥のように立ち上がる『心ない天使』の群れ。
ラヴド主力軍の指揮系統は麻痺し、戦場には「敗北」という名の冷たい沈黙が広がり始めていた。
その時、戦場を覆う暗雲を切り裂き、巨大な鉄の山が降臨した。
『ノアの箱舟』。
その巨体がエデン本部の直上で静止し、戦場全体を巨大な影で塗り潰す。
ラヴド兵たちが「さらなる絶望」を予感して空を仰いだその時、戦艦の外部全方位マイクから、あまりにも場違いで、軽薄な声が轟いた。
ヴァレン: 「おーーーい、テメェら!! 何気に派手にやられてんじゃねえか!!」
全域に響き渡るその声に、誰もが耳を疑った。
同時に、遠く離れた要塞ビッグブロックで戦況を注視していたビーストマスターとブラックメイルの元にも、通信が届く。
ブラックメイル: 「へいへい……発信源は……『ノアの箱舟』だぁ~…ぞッ! まさか……ッ!?」
ビーストマスター: 「直ぐにつないで!!」
ヴァレン: 『オッス。オラ、ジョーカード。 ……十二使徒のヤツらだが、何気に仲間にしちゃったぜ♪ なんかいい人達だったわ』
ブラックメイル: 「あぁ!? テメェ、何を言っていやがぁ~…るッ!!」
ブラックメイルの絶叫を余所に、ヴァレンは戦艦のマイク音量を最大まで引き上げ、地上で戦う数万の同胞たちへ向けて最後の一押しを放った。
ヴァレン: 「全ラヴド兵士に告ぐ! オレはジョーカード。たった今、エデン軍の誇る『十二使徒』の五体を、オレのカリスマで仲間に引き入れたぜ!! 今からこいつらが味方として加勢する。……何気に攻撃するんじゃねえぞ! いいな!!」
静寂。
そして、一拍置いて、地上の戦場から地鳴りのような歓声が噴き上がった。
「ジョーカード様だ!! 英雄が帰ってきたぞ!!」
「十二使徒が味方になった!? どういうことだ……しかし、これなら勝てるぞ!!」
絶望に染まっていた数万のメダルの出力が、一瞬にして跳ね上がる。
ヴァレンの横で、竜は地上へのマイク音量を0まで下げた後、ビッグブロックで通信を聞いているラヴドリーダー代理との作戦会議を始める。
竜: 「……初めまして、ビーストマスターさん。私は元・十二使徒のブラックスタッグ。……これより、私を含む五体はラヴド軍に協力をしたいと思っています。……このままエデン本部に突入して問題ありませんね……?」
ビーストマスター: 「……はぁ~~、許可も無く……敵の一大戦力を味方にしたとか、もう……はぁ~~」
ビーストマスターは呆れと、混乱と、喜びとその他もろもろの感情を処理できず、頭を抱えてため息をつく。
ブラックメイルは内心、先ほど無理矢理暴走させたせいじゃないかと心配になったが、そうではなさそうだ。多分。
―
上空を征く『ノアの箱舟』。
竜は冷静に通信機のモニターを見据えていた。
画面の向こう側には、ラヴドの双璧が難しい顔で並んでいる。
ビーストマスター: 「……状況は把握しました。確かに、貴殿ら十二使徒の加勢は、これ以上ない逆転の好機と言えます。ですが、……現在の地上軍は、何度倒しても蘇る不気味な兵士たちを前にして、壊滅の危機にあります。この異常事態の正体、貴殿らならご存知ではありませんか?」
竜: 「ええ、知ってます。……あれはエデン本部の最終防衛装置『DancingMad』。 あの音楽を知覚できる範囲内であれば、地上の『心ない天使』たちは永遠に戦い続けます。 物理的な破壊は、彼らにとっては何の制約にもなりません」
ブラックメイル: 「…… で、どうやれば音楽はとまるん~…だッ?」
ブラックメイルの苛立ちを、竜は淡々といなした。
竜: 「……要塞の三箇所に設置された『三闘神像』を止める必要があります。 それぞれ『鬼神像』『魔神像』『女神像』と呼ばれ、特殊な音波によって天使たちへ修復信号を送り続けています。 ……この三つすべてを破壊する必要があります」
ビーストマスター: 「……なるほど。各像に戦力を集中させて各個撃破としたいところですが……」
現状のラヴド軍は無限復活する『心ない天使』との戦闘で手一杯。
とても『三闘神像』を破壊する余裕はない、むしろ一刻も早く『DancingMad』を停止させないと、こちらが全滅しかねない。
コスモス:「……ビーストマスター様、コスモスです。エデンには一般兵には知り得ない抜け道がいくつか存在します。それを使えば、カヲスの元へ殆ど直通でたどり着けるはずです。現在の状況であれば、最速で敵将を討ち取るのも一つの手段では?」
竜の隣で話を聞いていたコスモスの進言が加わる。
ビーストマスターはあらゆるシチュエーションを瞬時に演算し、答えを出した。
ビーストマスター: 「……コスモスさんのおっしゃる通り、ラヴド軍本体には余裕のある戦力も、時間もありません。ただし、その抜け道をカヲスが知らないはずもなく、想定している以上に作戦遂行時間がかかる可能性があります。そこで、『三闘神像の三か所同時攻略』と『敵将カヲスの撃破』をラヴド軍L班と十二使徒による精鋭部隊で実行してください」
―
竜: 「……では、決定した振り分けを報告します。各自、自身の役割を確認してください」
ビーストマスター、コスモス、竜による話し合いの結果、精鋭部隊の各担当が割られた。
竜がコンソールを操作し、戦艦の甲板で待機する全機に最終ブリーフィングが共有された。
・【カヲス討伐隊】(潜入・狙撃):
コスモス、ワンダ、ローラ、ディスト。
コスモスのみが知る『秘密の抜け道』から侵入し、カヲスを直接討つ。
・【鬼神像討伐隊】(正面突破):
レッド、リーブ。
・【魔神像討伐隊】(知略・防衛):
竜、ナギサ。
・【女神像討伐隊】(遊撃・陽動):
ヴァレン、タイン。
竜: 「……以上です。そちらの主力軍には、『像を破壊するまで耐え凌げ』と伝えてください」
通信が切れる。
―
竜: 「では……行きましょうか」
『ノアの箱舟』のハッチが再び開放され、強烈な冷気が甲板を撫でた。
メダチェンジして飛行型となった竜が合図する。
同じく飛行型のワンダを除く8名は、自分の背中のパラシュートを確認すると無言で頷いた。
それを合図に、……合計十機の英雄たちが、巨大戦艦から夜の帳へと躍り出た。
『ノアの箱舟』のハッチから飛び出した十の光条は、エデン本部を包む暗雲を切り裂き、四方へと分かたれた。
地上では今もなお、不死の軍勢に蹂躙されるラヴド主力軍の悲鳴と、狂気のオルガン曲が吹き荒れている。
その混沌を鎮めるため、十機のメダロットたちは己の担当場所へと着弾した。
――エデン本部・北塔前:【鬼神像討伐隊】
砂塵を巻き上げて着地したのは、黄色い装甲のリーブと、紅い瞳のレッド。
目の前には、三闘神の一つ、巨岩を削り出したかのような威容を誇る『鬼神像』が鎮座していた。
リーブ: 「ふぅ。なんとか辿り着きましたなぁ。……これを壊したら、あの不気味な曲は止まるはずや」
レッド: 「…………。」
レッドが無言で頷き、臨戦態勢に入る。リーブが右腕のマシンガンを構えた、その時。
鬼: 「グ ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ! ! ! 」
無機物のはずの巨像が、獣のような咆哮を上げて動き出した。
巨大な石の腕が、空気を物理的に圧縮しながら二機へと振り下ろされる。
リーブ: 「なんや!? こいつ、ただの置物やのうて、自分で戦いよるんか!?」
《リーブ&レッドVS〝DancingMad〟の鬼神像》
――エデン本部・南塔前:【魔神像討伐隊】
一方、南の塔では竜とナギサが、浮遊する巨大な塊――『魔神像』と対峙していた。
竜: 「……なにやら簡単にいき過ぎて怖いですね。罠の気配すら感じません」
ナギサ: 「フフフ……。すべては運命の流れるままにさ。……おや?」
魔神像の目が怪しく発光し、口部から紅蓮の火炎が吐き出された。
二機は素早く炎をかわし、
魔: 「今の攻撃をかわすか……。我が名は魔神像。神の理を乱す者よ、汝らに審判を下そう」
竜: 「……どうやら、こっちも簡単にはいかないようですね」
《竜&ナギサVS〝DancingMad〟の魔神像》
――エデン本部・西回廊:【女神像討伐隊】
そして、最も「騒がしい」戦場となったのは西の回廊だった。
タイン: 「うわぁぁぁぁぁ! さり気に、俺たちのところだけ敵が多くねぇか!?」
ヴァレン: 「ぬおぉぉぉぉ! 何気に同感だ! ……タイン、この雑魚どもは何気にキリがねえぜ!」
ヴァレンとタインは、押し寄せる無数の『心ない天使』の群れに包囲されていた。
タインはアサッシンの刃で敵を薙ぎ払いながら、ヴァレンの背中を力強く叩いた。
タイン: 「チッ、ここは俺がさり気に食い止めてやる! ヴァレンは一人で女神像を叩きに行け!!」
ヴァレン: 「オッケー死ぬなよ!」
ヴァレンはタインが作った隙間を抜け、回廊の最深部――美しき『女神像』の前へと辿り着いた。
だが、像を破壊しようとした彼の足を、透き通った声が止める。
女: 「そう簡単に、ワタクシを破壊されては困りますね……。」
女神像から声がする。
女:「ワタクシの名前は女神像…擬態能力を持っています。……貴方を倒すのに最も適した者をコンピュータが探し出し、それに変身をするのです……」
ヴァレンを倒すのに最も適した者、そんな者いるのだろうか?、とヴァレン自身が首をひねる。
強いていうならばN・G・ライトが上げられるかもしれないが、N・G・ライトを再現なんて事できるならエデンはとっくにこの戦争に勝っている。
女神像の表面がドロリと溶け、形を変えていく。
女神像は形を変えていく過程で分裂し、『二体のメダロット』に擬態する。
ヴァレンのレンズが、驚愕に大きく見開かれた。
そこに立っていたのは――。
ヴァレン: 「なっ……!? ……これはこれは……。何気に『久しぶり』って言うべきか、それとも何気に『初めまして』って言うべきか」
女神が擬態したその二体はヴァレンに言い放った。
シロ:「アッヒャッヒャッヒャッヒャ…そんな事どうでもいいんだよ!」
クロ:「貴方はここで私達に倒されるのですから…。」
《タインVS大量の〝DancingMad〟の心ない天使》&《ヴァレンVS〝DancingMad〟の女神像が擬態したクロとシロ》
――エデン本部・地下通路:【カヲス討伐隊】
そして、戦場の喧騒から隔離された湿った地下。
コスモスを先頭に、ワンダ、ローラ、ディストの四機は、カヲスの元へと続く秘密の抜け道を疾走していた。
ディスト: 「うわぁ……。なんだかジメジメしてて、嫌な感じだね」
ローラ: 「文句を言うな、ディスト。この道こそが最短でカヲスの喉元へ届く唯一の――」
ローラの言葉が、突如として途絶えた。
暗闇の向こうから、聞き慣れた――そして今最も厄介な三つの足音が響いてきたからだ。
デュオカイザー: 「見~つけた♪ 」
セルヴォ: 「さて、……ビート、俺たちの今回の任務は?」
ビート: 「……足止め」
闇の中から現れたのは、トゥルースの三機――デュオカイザー、セルヴォ、ビート。
《ラヴド軍L班VSトゥルース》
四つの戦場。
すべての攻略チームが、それぞれの『壁』にぶち当たった。
エデン本部の長い夜は、まだ始まったばかりだった。
第四十二話【ここはエデン本部、決戦の地】終わり