【完結】DISAPPEARANCE   作:土地_0000

6 / 67
第五話【Don't be afraid】

第五話【Don't be afraid】

 

 

 クロとシロ、宿命を背負った二機の死闘は激化の一途を辿っていた。

 

 

 コンクリートの破片が弾け、火花が夜の闇に散る。

 シロが一気に距離を詰め、左腕の『スバル』を斜め上から振り下ろす。

 クロは右腕のマーブラーの重厚な装甲を盾代わりに受け止めるが、伝わる衝撃に足元の地面が爆ぜた。

 

シロ:「アッヒャッ! いいねぇ、熱いねぇクロぉ! 今の火花、見たかよ? まるで星たちが俺たちの結婚を祝福してくれてるみたいじゃないかぁっ!!」

 

 

 中心部から数十メートル離れた瓦礫の影。

 クロの指示通り退避していた三機に、その狂気じみた絶叫が届く。

 

ワンダ:「何、あいつ、発言も怖っ!!」

 

 死闘の最中、ワンダは気が付けばツッコミ口調になっていた。

 

ディスト:「……あはは。ワンダ、声が大きいよ」

 

 眼前で繰り広げられる壮絶な死闘。

 その圧倒的な光景にワンダとディストの視線が釘付けになる一方で、ひとりローラだけが、熱狂の裏に潜む新たな殺気を肌で感じ取っていた

 

ローラ:「2人とも、ボーっとしている場合ではないぞ」

 

 ローラが警告を発すると同時に、正面から三つの影が躍り出た。

 エデン軍の偵察部隊――『シアンドッグ』、『マゼンタキャット』、『イエロータートル』。

 恐らく、何らかの任務でここにいたのだろうと思われる。

 

マゼンタキャット:「ラヴドのカス共め、ここでスクラップにしてやる」

 

 マゼンタキャットの鋭い爪が展開される。

 

ワンダ:「うわわわ……、私、初実戦なんだけど!?」

 

ディスト:「い、いざとなるとやっぱり怖いな」

 

ローラ:「恐れるな。訓練通りに動けば負ける相手ではない。……行くぞっ!」

 

 双方が存在を認識すると同時に、弾けるように戦いが始まった。

 当然だ。エデンとラヴドが鉢合わせれば、あとはどちらかが死ぬまで止まらない。

 これこそが本来の彼らの日常。

 先刻のトゥルース達の反応が、いかにイレギュラーであったかがよく分かる。

 

 

 

 先陣を切ったのはローラだった。

 彼女は一度降格してしまったものの、この中では実戦経験のある唯一のメダロット。

 スキー型の脚部パーツで滑るように、真っ直ぐにマゼンタキャットへ肉薄する。

 

ローラ:「はぁっ!」

 

 ローラの鋭い回し蹴りを、マゼンタキャットは紙一重でバックステップしてかわす。

 そしてローラの着地を狙い、後方からシアンドッグがライフルを構えた。

 

シアンドッグ:「もらった!」

ディスト:「させないっ!!」

 

 ディストが自慢の機動力を生かして素早くローラの盾となる。ライフル弾が彼の左腕パーツに遮られる。

 同時にディストは撃ち抜かれた左腕の痛みに一瞬ひるむが、右腕の狙撃パーツをシアンドッグへ向ける。

 

ディスト:「ローラを狙わせるもんか!」

 

 放たれたビームは命中こそしなかったが、シアンドッグの脚部を掠め、バランスを崩させる。

 ローラはディストの援護をもらい、マゼンタキャットを追撃。凍結の力を宿した右拳が敵機の腹部を捉えた。

 

マゼンタキャット:「ぐっ……動けな……い……!?」

 

 マゼンタキャットの全身に白い霜が広がり、駆動系が完全にロックされる。

 援護しようとしたイエロータートルがコンクリートの破片を盾代わりに構えて前進するが、ワンダの合図が飛ぶ。

 

ワンダ:「ローラ、イエロータートルを止めて! 今のうちにディストの傷を治すから!」

 

 ワンダの手から放たれる温かな光がディストの左腕の歪みを即座に修復していく。

 すかさずローラが、盾に隠れたイエロータートルの背後へと跳んだ。

 

ローラ:「ここだっ!」

 

 背後からの強烈な打撃。イエロータートルがよろめき、その防壁に決定的な穴が開く。

 ディストがその瞬間を逃さず、フルパワーの射撃をチャージした。

 

ディスト:「これで、決める……!!」

 

 まさに、L班の連携が勝利を決定づけようとしたその時だった。

 

 

 ――ズ、ドォォォォォォォンッ!!

 

 

 背後の「死闘」から、常識外れのエネルギーの余波が押し寄せた。

 クロの『マーブラー』と、シロの『スバル』が激突し、爆発した膨大なエネルギー。

 

シアンドッグ&イエロータートル&マゼンタキャット:「……えっ?」

ローラ&ディスト:「……ハッ!?」

 

 嫌な予感のしたローラとディストは瞬時にその場で回避行動をとるが、態勢を崩していたエデン部隊は出遅れた。

 

 その直後、クロのマーブラーから放たれた無数の弾丸が降り注ぐ。

 断末魔すらなく、逃げ遅れたマゼンタキャット、シアンドッグとイエロータートルの頭部パーツが木っ端微塵に吹き飛ぶ。

 

 

シロ:「アッヒャー! 危ねえなぁ! 今の避けてなかったら、俺まであいつらみたいに消し炭だったぜ!」

クロ:「まだまだだ!」

 

ディスト:「トドメ横取りされた……」

 

 今まさに初陣の勝利を飾るビームを撃ち損ねたディストの呟きは、クロとシロの戦闘音にかき消された。

 

 

 かくして、L班の初陣は、宿命の二機の「規格外さ」を思い知らされる形で幕を閉じた。

 ボロボロになったクロとシロが、互いに銃口と剣先を向けたまま静止する。

 

クロ:「……ふぅ。お互い、これ以上は無理ですね。パーツの限界です」

シロ:「95戦……95引き分け。……アヒャヒャ! 最高に楽しかったぜ、クロ!!」

クロ:「……次こそは、終わらせます」

 

 シロは満足げに笑うと、闇に溶けるようにしてその場を去っていった。

 戦場に残されたのは、班長の無茶苦茶な強さに脱力する三機だけだった。

 

------------------------

[今回新しく登場したメダロット]

【マゼンタキャット/シアンドッグ / イエロータートル】

 エデン軍の構成員。クロとシロの衝突による「災害」に巻き込まれ、瞬時に破壊されたかわいそうな人たち。

------------------------

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

[機体解説]

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

=======================================================

【キャラクター名】

 ワンダ

 

【機体名】

 ワンダエンジェル

 

【公式/オリメダ区分】

 公式(メダロット2、4など)

 

【モチーフ(型式)】

 天使型メダロット(ANG)

 

【パーツ】

[頭部]

 チェラブボディ/フォースドレイン(ぼうがい)

[右腕]

 チェラブハンド/回復(なおす)

[左腕]

 チェラブアーム /復活(なおす)

[脚部]

 チェラブレッグ/飛行

 

【備考】

 チェラブボディはメダロット2ではフォースダウンだが、本作ではメダロット4のフォースドレインを採用

=======================================================

【キャラクター名】

 ディスト

 

【機体名】

 ディストスター

 

【公式/オリメダ区分】

 公式(メダロット3、4など)

 

【モチーフ(型式)】

 ザリガニ型メダロット(RAY)

 

【パーツ】

[頭部]

 バックビーム/ビーム(うつ)

[右腕]

 アウェイビーム/ビーム(うつ)

[左腕]

 フリービーム/ビーム(ねらいうち)

[脚部]

 ストリートバギー/車両

 

【変形後】

[変形後ドライブA]

 ビーム(うつ)

[変形後ドライブB]

 ビーム(うつ)

[変形後ドライブC]

 ビーム(ねらいうち)

[変形後脚部タイプ]

 車両

 

【備考】

 メダチェンジをまだ使いこなせていないので、少なくともこの作品ではレクリスモードの出番は無い

=======================================================

【キャラクター名】

 ローラ

 

【機体名】

 オーロラクイーン

 

【公式/オリメダ区分】

 公式(メダロット1、2など)

 

【モチーフ(型式)】

 雪の女王型メダロット(QUN)

 

【パーツ】

[頭部]

 ブリザード/フリーズ(なぐる)

[右腕]

 アイス/フリーズ(なぐる)

[左腕]

 フリーズ/フリーズ(がむしゃら)

[脚部]

 ソリスキー/二脚

 

【備考】

 近年メダロット作品ではオーロラクイーンの行動はフリーズショットによる射撃攻撃が主流だが、本作では初代メダロット登場時の格闘攻撃のイメージを採用

=======================================================

 

 

 

第五話【Don't be afraid】終わり

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。