後日談【エピローグ】
物語は幕を閉じた。
ここでは、戦いが終わった後の彼らの様子を少しだけ記しておこう。
・【純粋なる戦士】ディスト
フォー・パーツに選ばれた者であり、最終決戦で英雄ジョーカードと共にカヲスを倒したとされる彼。
戦後、ラヴド最高の戦士として称えられたディストに憧れを抱き、ラヴド兵士を志す者は少なくなかった。
実際に彼に会うと、その類まれなる純粋さに心を打たれる者も多く、後進のメダロットたちからも末永く慕われ続けた。
・【子連れの氷帝】ローラ
程なくしてラヴド軍を脱退。戦争の影響で困窮している者たちを救うため、一人旅に出る。
その後、彼女を追うようにベビーもラヴドを脱退し、合流した二機は共に旅を続けた。
ディスト同様、フォー・パーツの適格者として名を馳せた彼女に助けられた人々は、その慈愛によって生きる活力を取り戻し、強く明日を見据えることができたという。
・【トゥルースの長】デュオカイザー
戦後もトゥルースの主任として任務に邁進した。終戦後、膨大な量の情報操作を完遂。
さらにはエデンの政治を担うコスモスの補助も兼任することとなったため、その業務量は戦時中の数倍に膨れ上がった。
しかし、彼女が疲弊した様子を見せることは一切なく、周囲の兵士たちからは畏怖を込めて「怪物」と称された。
・【トゥルースの動】セルヴォ
相変わらずビートと二機で各地を奔走し、暗殺から潜入まで幅広く任務をこなした。
その働きは凄まじく、「歴史の節目には、必ずトゥルースが裏で関わっている」と噂されるほどである。
戦後の混乱に乗じて悪事を企てていた者の多くは、その命が尽きる直前、軽薄な「さて、」という言葉を耳にしたはずだ。
・【トゥルースの静】ビート
戦後もセルヴォと共に任務に就く。
自由気ままで軽率な相棒の不祥事を尻拭いさせられることも多々あるが、そのたびに酒(オイル)を奢らせることで、この腐れ縁を苦にすることなく楽しんでいるようだ。
直感で素早く行動するセルヴォと、静かに思慮を巡らせてから動くビートのコンビは、絶妙な均衡を保ち続けている。
・【最強】ビーストマスター
ラヴドリーダーから、新たにラヴド国の国王となった。
その冷静な判断力で的確な指示を出し続け、世界の平和への歩みに大きく貢献した。
なお、多忙な公務によって蓄積される莫大なストレスは、戦友であるブラックメイルが和らげているようである。
・【最凶】ブラックメイル
公式な国王はビーストマスターのみだが、実質的には彼も国王と同等の権限を持って扱われる。
思慮深い王とは対照的に、あらゆる難題に真っ向から挑む彼の根性は、世界の復興において大いに役立った。
また、万が一国王が暴走した際の唯一のストッパーとしての役割も、遺憾なく発揮されている。
・【次元の狭間へ……?】メッシュ
十二使徒の一員であり、ビッグブロックにてヴァレンを巻き込もうとして自爆した彼。
爆破後、あまりにも痕跡を残さず消滅したことから、戦死したのではなく自爆のエネルギーによって次元に穴が開き、「次元の狭間」に引き込まれたのではないかという説を述べる学者もいたが、それを信じる者は誰もいなかった。
・【紅い風】レッド
しばらく経った後、エデン軍を脱退して賞金稼ぎに転向した。
戦後の混乱期に犯罪を犯す者が増加したため、ラヴドとエデンの決定により賞金稼ぎの制度が新設されたのだ。
「何か風が吹いたと思えば、次の瞬間にはもう仕留められている」という逸話が生まれ、裏社会の住人からは『紅い風』の異名で恐れられた。
・【西のハンター】リーブ
彼も後にエデン軍を脱退。しばらくは穏やかなすすたけ村で暮らしたが、賞金制度の発足をきっかけに賞金稼ぎとなった。
敵兵を殺害することを主とした十二使徒時代とは異なり、標的を生け捕りにする独自のスタイルを確立。
ある日、同業者となったレッドと再会し、行動を共にすることに。最強のハンター・コンビの誕生であった。
・【悪魔的頭脳】竜
彼女もエデン軍を脱退し、十二使徒となる前に営んでいた探偵業を再開した。
しかし、縁の深いエデン国からの依頼が多く、実質的には「第二のトゥルース」のような立ち位置となっている。
一般から寄せられる依頼は難解なものばかりとなったが、彼女が解決できなかった事件は未だに一つとして存在しない。
・【さり気なる漢】タイン
自分探しの旅に出ると宣言してエデンを脱退したが、メンテナンスを一切行わずに無茶をしたため、道中で行き倒れてしまう。
そこを竜に拾われ、現在は彼女の探偵事務所で助手を務めている。
竜からは「使えないバカ」と罵られる日々だが、彼女がタインを手放すことは決してないだろう。
・【春風の神父】ナギサ
彼もまたエデンを脱退し、エデンとラヴドの国境付近に小さな教会を建てた。
戦後、心に傷を負った者は多かったが、詩的な表現を交えた彼の説教と、絶やすことのない春風のような爽やかな笑みは、多くの同胞たちの支えとなった。
・【癒しのシスター】ワンダ
ローラが旅立って程なくしてラヴドを脱退。ナギサの教会のシスターとなった。
喋りだしたら止まらないナギサに対し、彼女の的確なツッコミは教会を維持する上で必要不可欠な要素となっている。
シスターである彼女は今も、毎日のように、神ではなく死神に祈り続けている。
・【混沌の雲龍】カヲス
世間一般には戦死したと伝えられたが、コスモスの必死の説得により処刑を免れ、生存している。
現在はナギサの教会に密かに造られた隠し部屋にて、隠居生活を送る。
独りで思索に没頭する時間は彼にとって決して苦痛ではないようだ。
カヲスの提案により、教会の庭にはコスモスの花が植えられた。
・【神への原石】コスモス
亡きN・G・ライトの断片から生まれた新人格。
ラヴドで保管されている『白メダリア』と接触しライトが復活せぬよう、彼女は今でも細心の注意を払っている。
エデンを統治する者として多忙を極める毎日だが、時折暇を見つけてはナギサの教会をお忍びで訪れ、カヲスと密会することを密かな楽しみとしている。
・【〝記録〟より〝記憶〟に】宝条ルク
歴史的な記録には「人類最後のメダリンピック優勝者」として名を残すのみだが、彼女の金への執着、非常識な寝相、卓越した工作技術、そして底知れぬ食欲と優しき笑顔は、今もワンダの記憶の中で色褪せることなく輝き続けている。
・【何気なるギャンブラー】ヴァレン
かくしてヴァレンは死んだ。
しかし、黒メダリアが現存する限り、完全に消滅したとも言い切れない不確かな状態にある。
世界を消し去ろうとした事実は情報操作によって隠蔽され、皮肉にも「世界を救った英雄」として歴史に刻まれることとなった彼。もし死後の世界があるならば、彼はそこで、本当に望んでいた「宝条ルクただ一人の英雄」になれたのだろうか。
・【神か、邪神か】Night・God・ライト
N・G・ライト――本名、Night・God・ライト。彼は結局、現世に復活することは無かった。
しかし、コスモスと白メダリアが存在する限り、彼の復活の可能性は未来永劫、消えることはない。
彼が行った人類滅亡という大罪が、正義であったのか、あるいは絶対的な悪であったのか。
歴史がその答えを出す日は、永遠に訪れないのかもしれない。