ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクが『ヒーロー』になるまでの物語   作:猫禰捏涅

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雄英高校入学編
プロローグ:2月26日


ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクには、前世の記憶がある。

 

前世のネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクは、『破面(アランカル)』という悪霊の一種である。

悪霊故に、本来は魂の調整者(バランサー)たる死神によって滅ぼされていなければならないところだが、紆余曲折あって生存を許されていた。

 

そのため、いずれ魂魄の寿命が尽きるか、悪霊たちの世界である虚圏(ウェコムンド)の厳しい生存競争や、他種族との戦いに敗れて死ぬかしなければ、その存在が消えることはないはずだった。

 

だが、どういった所以なのか『破面(アランカル)』のネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクとしての記憶はどこかで途切れ、しかし同じネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクとして、肉の体を得て現世に生まれ落ちた。

 

朧げな結末の『破面(アランカル)』としての記憶を持ったままの転生。

死神の斬魄刀(ざんぱくとう)によって斬られ、魂を浄化されて輪廻の輪に乗ったのか、それとも何か別の要因があるのか。

浦原喜助のような天才的な頭脳を持たないネリエルには、何も分からないままだ。

 

しかし何も分からないまま生きていくうちに、ネリエルは自身と同じく『破面(アランカル)』の魂を持ちながら現世に生まれ変わっている存在と出会う。

彼らは前世の記憶こそ持っていないものの_____ネリエルにとってその存在が、一縷の希望の現れを意味した。

 

「一護が……もしかしたら…一護も、この世界にいるかもしれない……!」

 

かつて、力を失って弱く小さな姿となっていたネリエル___ネル・トゥを護ってくれた、優しいひと。

 

死神代行であり、世界を救った英雄であり、ネリエルの希望そのものである彼も、同じくこの世界にいるのであれば探し出して会いに行きたい。

記憶を持っていなくてもいい。黒崎一護の魂なら、記憶などなくとも変わらず黒崎一護であるはずだから。

 

そう思った時にはネリエルはすぐに行動を起こし、この世界で最も情報を得やすい『立場』を探した。

そして最終的に辿り着いたのは、『ヒーローになるべき』という結論だった。

 

この世界は、総人口の約8割が何らかの“特異体質”である、超人たちの社会となっている。

“特異体質”____“個性”と通称されるそれは、人間の規格を容易に飛び越え、悪意を持って使われれば治安に混乱をきたす。

 

それを防ぐのが『ヒーロー』であり、この世界の中で人々から最も憧れられる職業だ。

『ヒーロー』になるには免許が必要だが、それを取れば“個性”を職務に使用する許可が得られる。自身の“個性”は人探しに役立てられると確信しているネリエルにとって最も魅力的な点だ。

 

黒崎一護とネリエルの生まれる年代は大きくずれているかもしれない。それでも、ネリエルが『ヒーロー』として有名になれば、さまざまな場所に名前が残る。

 

黒崎一護に記憶があるのならば、きっとそれが出会うきっかけになる。もし記憶がないのだとしても、警察と協力できる権限を持つ『ヒーロー』なら堂々と捜索できる。

 

さらに、ネリエルが『ヒーロー』を目指す理由の一つは、もし黒崎一護がいるのであれば、彼も『ヒーロー』を目指すだろうと確信していたからである。

 

「今度こそ……一護をちゃんと、守れるように」

 

前世で『ネリエル』の姿に戻った際、因縁の相手であるノイトラ・ジルガと戦った最後の最後で幼い姿に戻ってしまい、黒崎一護を守り切れなかったことはネリエルにとって苦い思い出だ。

 

今度こそ、そんなことにならないように強くなって、黒崎一護を守る。

出会えるかどうかは正直なところ分からなくても、ネリエルにとっての『ヒーロー』に恥じないよう自身を鍛える。

 

彼の隣に立つのに相応しい自分でいられるように。

それだけを願って、ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクは『ヒーロー』への道を歩み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高等学校_____そこはプロに必須の資格取得を目的とし、数多のプロヒーローを輩出してきた養成校であり、ヒーロー科は日本で最も高い倍率を誇る。

 

2月26日はそんな雄英高校の入学試験日であり、超巨大校舎の中へと幾人もの受験生達が足を踏み入れていく。

 

緊張で体を震わせているもの、高揚に頬を赤く染めているもの、逆に青褪めた表情のものと様々な生徒達がいる中を、薄緑の髪をふわりと靡かせた少女___ネリエルが颯爽と歩いていく。

 

「あ、今日が一般入試の日だったんだ」

 

小さく呟いた言葉は誰にも聞かれることはなく、しかしネリエルの姿に道ゆく生徒達の目が次々に奪われていった。

 

「すげー…」

「え、めっちゃ可愛い!」

「どこの学校の人だろ?美人すぎね?」

「スタイル良っ!羨ましい〜」

 

ネリエルの髪型は、ゆるくウェーブがかった髪をオレンジ色のリボンで低めに結んだツインテールだ。

ともすれば幼く見えてしまうが、ネリエルの172cmという長身と、白いブレザースカートの下から伸びる長い脚、そして何より、水色のブラウスに窮屈そうに押し込められている巨大な胸がその印象を覆す。

 

「でか…」

「でっけぇ……」

「デカすぎんだろ……」

 

口々に呟く中学生男子達の視線は、全てとある一点に注がれていた。女子生徒達の視線もあり、そちらには羨望の感情が混じっている。

 

だがネリエルは周囲の視線や呟きを一切気にすることなく、灰緑の瞳で凛と前だけを見据えている。その視線がふと動いて、とある生徒の背中に留まった。

 

「すっごく緊張してる子がいる…大丈夫かな」

 

もさもさとした黒髪に大きな黄色いリュックと学ラン、ガクガクと震える脚を踏み出そうとしている男子生徒だ。

もし転びそうだったら助けよう、とネリエルは少し足を早める。

 

「あ、こけちゃう」

 

その男子生徒は踏み出した一歩目で見事につま先を引っ掛けてしまい、前のめりになる_____が、その瞬間、横を通った女子生徒が彼に触れ、男子生徒の体がふわりと浮き上がった。

 

「大丈夫?」

「わっ、え!?」

 

ストン、と茶髪の女子生徒の手によって男子生徒の体が地面に下ろされる。

 

「私の“個性”、ごめんね勝手に。でも転んじゃったら縁起悪いもんね」

「へ…ぁ……」

「あっ、よかった!」

 

少し遅れてネリエルは二人に駆け寄り、声をかける。

 

「へ?」

「あなたの“個性”、とっても素敵ね!」

「あ、ありがとう!」

「あなたも、こけなくてよかった」

「お…ぁ、へ…」

 

ネリエルにニコリと微笑まれた女子生徒と男子生徒が、揃って頬を赤く染める。

 

「すごく緊張してたから見てたんだけど、心配なんていらなかったね。カッコよかった!」

「えへへ、そうかな…」

「ごめんなさい、引き止めちゃって。気をつけてね!」

「あ…うん!」

「はひ、ぁ」

 

ネリエルの褒め言葉に女子生徒は照れ照れと頭を掻いた。

入試の時間に遅れるといけないのですぐに二人から離れ、手を振って先に歩いて行く。

 

「あの二人も受かるといいなあ」

 

楽しげにそう呟き、ネリエルは一般入試の生徒達とは別の方角へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

「キレイな人だったねぇ!」

「ううううううん!」

「高校生かと思ったけど…おんなじ受験生だったみたい」

「そっそそ、そうだね!」

「あはは、緊張するよねぇ」

「え…あ……えと……」

「お互い頑張ろう!」

 

女子生徒___麗日お茶子と、男子生徒___緑谷出久もそれぞれ入試会場へと歩いて行く。

 

そんな些細な出会いから始まるのが、彼らのヒーローアカデミアだ。

 

 

 




○ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンク
前世での大人形態時の身長は176cmだった。現在は15歳なのでおっぱいの大きさと共にナーフされて顔もまだ幼いが、これからおっぱいは二回りは大きくなるし身長も伸びる。
現時点でも男子生徒達の視線が吸い込まれてしまう魅惑のむちむちボディ。
一般入試での入学ではない。

○麗日お茶子
ネリエルのおっぱいに吸い寄せられる視線を外そうと頑張っていた。とてもいい子。

○緑谷出久
二人の女子と…喋っちゃった!!!(喋れてない)
テンパりすぎてネリエルのおっぱいは目に入っていなかった。もし目に入っていたら入試どころでは無くなっていたと思われるが、主人公なので何とか乗り越えていっただろう。頑張れ。
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