ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクが『ヒーロー』になるまでの物語   作:猫禰捏涅

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救助訓練レース〜期末テスト編
31.救助訓練レース①


「一週間、ありがとうございました」

「おう!」

 

ホテルの前で深く頭を下げたネリエルに、ミルコがからりと笑う。

 

「色々と、本当にいい経験になったわ。新しいこと(・・・・・)もできるようになったし」

「まだまだ弱えけどな!まあ悪くはねえ!」

 

ミルコはバシバシとネリエルの肩を叩いて上機嫌だ。

今日はサポートのスタッフはおらずミルコとネリエルだけであり、そうなればこの二人がしんみりとした空気を出すはずもない。

 

「んじゃっ、私はパトロール行くから。またな!」

「うん、ありがとう!」

 

あっさりと手を挙げてネリエルに背を向け、ミルコがぴょんぴょんと軽く跳ねながら走り去っていく。市民達が構えるカメラがそれを追っていった。

ミルコに手を振るネリエルにも衆目は集まっているが、特に気にすることなく呼ばれていたタクシーの中へと乗り込む。

 

「……ふう」

 

ほどよい疲労と、確かに強くなった実感からくる充足感に、ネリエルは小さく微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アッハッハッハマジか!!マジか爆豪!!」

「笑うな!クセついちまって洗っても直んねえんだ、おい笑うなブッ殺すぞ!!」

「やってみろよ8:2(ハチニイ)坊や!!アッハハハハハハ!!」

 

職場体験翌日、登校してきた爆豪の髪の毛は、何故か見事な八二分けになっていた。

瀬呂と切島が大いにそれを笑う声と爆豪の『爆破』の音を背後に、ネリエルは芦戸に詰め寄られている。

 

「ニュース見たよ、ネリエル!すごいじゃん、(ヴィラン)退治に事故対応まで!!」

「ありがと、三奈ちゃん。実は、後でミルコと一緒に怒られちゃったんだけどね」

「えっなんで!?」

 

全く相手にされていなかったが、あの地方都市に拠点を置くヒーローがミルコに抗議していた姿を思い出す。

ビルボードチャートの順位こそ高くないものの、地元の市民に愛され真面目に働いている良いヒーローだったのだが、縦横無尽に街中を跳び回るミルコによって、派手な活躍の場をすっかり奪われてしまっていた。

 

「地元のヒーローの仕事を取りすぎたの。それと、警察の人にも活動を広げすぎって言われて」

「ああ〜!確かに、ミルコはそういうとこある!」

「そんだけ活躍してるってのがすごいんだけどさ。ウチは避難誘導とか後方支援で、実際交戦はしなかったんだよね」

「それでもすごいよー!うらやましいー!」

「私もトレーニングとパトロールばかりだったわ。一度、隣国からの密航者を捕えたぐらい」

「それすごくない!!?」

「大活躍だね、梅雨ちゃん!」

「ケロケロ、ありがとう」

 

冷静な蛙吹であれば、『蛙』の能力を存分に活かして活躍したであろうことは想像に難くない。

 

「お茶子ちゃんはどうだったの?この一週間」

 

蛙吹が近くを通った麗日に声をかける。

 

「とても、有意義だったよ」

「目覚めたのね、お茶子ちゃん」

「バトルヒーローのとこ行ったんだっけ」

 

麗日は一週間前よりも背筋が伸び、きりりとした立ち姿で構えを取っている。

ボッ、と繰り出した突きは非常に鋭く、麗日の成長が見てとれた。

 

「一週間で変化すげえな…」

「変化?違うぜ上鳴…女ってのは…元々、悪魔のような本性を隠し持ってんのさ!!」

Mt.(マウント)レディのとこで何見た」

 

峰田は何故か顔を青ざめさせながら爪を噛んでおり、上鳴が腕を掴んでそれを止めている。

 

「俺は割とチヤホヤされて楽しかったけどなー。ま、一番変化というか、大変だったのは…お前ら三人だな!」

 

上鳴は轟の席の近くに集まっていた飯田と緑谷に水を向ける。

 

「そうそう、ヒーロー殺し!!」

「…心配しましたわ」

「命あって何よりだぜ、マジでさ」

「アドレスだけ来たときはビビったよ」

 

クラスメイト達からも次々と心配の声が上がる。

 

「エンデヴァーが救けてくれたんだってな!さすがNo.2(ナンバーツー)だぜ!」

「…そうだな、救けられた(・・・・・)

「うん」

 

轟、飯田、緑谷の三人の顔はやはり暗い。

 

「俺ニュースとか見たけどさ、ヒーロー殺し(ヴィラン)連合ともつながってたんだろ?もしあんな恐ろしい奴がUSJ来てたらと思うと、ゾっとするよ」

「でもさあ、確かに怖えけどさ、尾白、動画見た?アレ見ると一本気っつーか、執念っつーか、かっこよくね?とか思っちゃわね?」

「上鳴くん…!」

「え?」

 

上鳴が尾白に軽い調子で話す内容に緑谷が慌て、止めようとする。上鳴は飯田の事情にようやく思い当たったのか、口を押さえて青ざめた。

 

「あっ…飯…ワリ!」

「いや…いいさ。確かに信念の男ではあった…クールだと思う人がいるのも、分かる」

 

飯田は、“ステイン”に襲われ怪我をしたという左手をジッと見ている。

 

「ただ奴は、信念の果てに“粛清”という手段を選んだ。どんな考えを持とうとも、そこだけは間違いなんだ。俺のような者を、もうこれ以上出さぬ為にも!!改めてヒーローへの道を、俺は歩む!!!」

「飯田くん…!」

 

表情を引き締めた飯田が、ビシリと右手を突き出す。委員長としてクラスをまとめようと張り切る普段通りの様子だ。

 

「さァそろそろ始業だ席につきたまえ!!」

「五月蝿い…」

「なんか…すいませんでした」

 

 

 

 

 

 

 

「ハイ私が来た。ってな感じでやっていくわけだけどもね。ハイ、ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!元気か!?」

「ヌルっと入ったな」

「久々なのにな」

「パターンが尽きたのかしら」

 

職場体験という非日常から帰ってきて、まだ少し浮かれたような空気のままヒーロー基礎学の授業は始まった。

以前のような派手な登場ではなく静かに始まったことに生徒達が好き勝手なことを言うと、オールマイトは「尽きてないぞ、無尽蔵だっつーの」と反論していた。

 

「職場体験直後ってことで今回は遊びの要素を含めた、救助訓練レースだ!!」

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」

「あすこは災害時の訓練になるからな。私はなんて言ったかな?そう、レース(・・・)!!」

 

今回の授業は、たくさんの建物が密集し、さらにパイプやタンクなどの細かな障害物が多くあるのが特徴の運動場である。

 

「ここは運動場γ(ガンマ)!複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く、密集工業地帯!5〜6人で4組に分かれて、1組ずつ訓練を行う!私がどこかで救難信号を出したら、街外から一斉スタート!誰が一番に私を助けに来てくれるかの競走だ!」

 

オールマイトがススス、と爆豪を指差した。

 

「もちろん、建物の被害は最小限にな!」

「指差すなよ」

 

指差された爆豪は文句を言っているものの、初回のヒーロー基礎学の授業で彼が派手に建物を破壊したのは紛れもない事実で、その点には反論できていない。

 

ネリエルもその時のことを思い出しながら、「私も気をつけないとね」と言った。隣にいる耳郎が「ああー」と頷く。

 

「ネルも建物の床踏み抜いてたっけ。けっこうデカくなるもんなー」

「うん。でも、今回は…」

「今回は?」

 

オールマイトが組み分けを発表していく中、ネリエルは含みのある笑顔で唇に人差し指を当てた。

 

「…ふふ、秘密!見てからのお楽しみにしておいて!」

「えーなに?気になるじゃん!」

 

一組目は緑谷、尾白、飯田、芦戸、瀬呂の五人が指名され、運動場の外周にそれぞれ配置された。

 

「じゃあ初めの組は位置について!」

 

他の者は巨大なモニターが設置された待機場所に座って観戦する。

 

「飯田まだ完治してないんだろ。見学すりゃいいのに…」

「クラスでも機動力良い奴が固まったな」

「うーん、強いて言うなら緑谷さんが若干不利かしら…」

「確かに、ぶっちゃけあいつの評価ってまだ定まんないんだよね」

「何か成す度、大怪我してますからね…」

 

ネリエルと共に耳郎を挟んで座る八百万が、心配そうにモニターを見上げている。

 

「俺、瀬呂が一位。トップ予想な」

「あー…うーん、でも尾白もあるぜ」

「オイラは芦戸!あいつ運動神経すげえぞ」

「デクが最下位」

「ケガのハンデはあっても、飯田くんな気がするなあ」

 

麗日の予想に蛙吹も頷いている。

そうしているうちに、オールマイトが救難信号を発信すると同時にスタートの号令がかかった。

 

瀬呂は『テープ』を射出し、芦戸は手から粘度の高い『酸』を出し、尾白と飯田はそれぞれ『尻尾』と『エンジン』でかなりの速さのスタートダッシュを切っている。

 

「ホラ見ろ!!こんなごちゃついたとこは上行くのが定石!」

「となると、滞空性能の高い瀬呂が有利か」

 

切島と障子の言う通り、瀬呂は『テープ』の射出と巻き取りを繰り返して建物の上を行っている。

 

「やっぱ瀬呂かなー」

「そうだね、有利すぎるぐらいかも」

「動き方が参考になりますわね…」

 

地上の障害物だらけの細い道を全て無視して、一直線に目的地へと向かっていく瀬呂だったが、突然、同じく空中を飛んでいく黒い影によって横を追い抜かれた。

 

「え!?」

「アレ…緑谷!?」

「なんだあの動き!!」

 

影の正体は、緑谷だった。尋常でないパワーを脚力にも適用しているのか、あちこちの建物を蹴り、タンクから飛び上がり、どんどんスピードを上げていく。

 

「すごい…!ピョンピョン…何か、まるで…」

「一週間で…変化ありすぎ…」

 

クラスメイト達が緑谷の動きに感嘆する声を聞きながら、ネリエルはちらりと爆豪を見た。

 

(爆豪くんの動きに似てる。緑谷くんの憧れはオールマイトのはずだけど…ロールモデルは、爆豪くんなのかな?)

 

そんなことを口に出せば、まだ人間(・・)の情緒に少々疎いネリエルでも爆豪から怒声が上がるのは分かりきっていたたため、内心で思うだけに留める。

 

しかし爆豪自身もそのことに気がついたのか、ギリギリと歯を食いしばって悔しげな表情をしていた。

 

「あ」

「あっ」

「あー!」

「落ちたな」

「綺麗にずっこけたね」

 

緑谷は途中までは順調だったのだが、途中でずるりとパイプの上から足を滑らせて、地面に落下してしまった。

 

結果、『TEPPEN』と書かれたタンクの上に最初に辿り着いたのは瀬呂で、クラスメイト達の大半の予想が当たったことになる。

 

「よーし、それじゃあ二組目!行ってみようか!!」

 

オールマイトからの講評の後、一組目の次に運動場の近くで待機していた、青山、口田、砂藤、常闇、葉隠が位置につく。

同時に、三組目の蛙吹、麗日、切島、耳郎、峰田、八百万が待機場所からぞろぞろと立ち上がった。

 

「じゃ、行ってくんね!」

「行ってまいりますわ」

「よーし、やったる!」

「頑張るわ」

「いってらっしゃい、応援してるね!」

 

ネリエルは最終組である四組目に上鳴、障子、轟、爆豪と共に入っているため、まだ観戦ができる。

 

「お、始まった!やっぱこの組は常闇じゃね?」

「砂藤も足は早いし、“個性”でさらにそれを増強できる」

「確かに!な、ネリエルはどう思う?」

「んー、順当にいけば常闇くんかな」

「だよなー!轟は?」

「俺も、常闇だと思う」

 

一組目はまだ帰ってきていないので、残っている五人のうち盛り上げ役が上鳴しかいない。

爆豪は我関せずといった様子で不機嫌そうにモニターを眺めており、必然的に上鳴が色々と話を振って轟と障子、ネリエルがそれに応えるという図になった。

 

「順当に、というのは…何かどんでん返しがあると?」

「青山くんも“個性”で一応滞空できるみたいだから、どうかなって」

「ああ、それもあったか」

 

ネリエルはモニターを見上げ、ちょうどスタートの号令がかかった二組目の様子を観察する。

 

(あの中で常闇くんは明らかに一番強い。でも、『黒影(ダークシャドウ)』には、大きな弱点(・・)がある)

 

青山の様子を追っているロボットカメラの映像を見ると、青山は『ネビルレーザー』を進行方向と逆に噴射することで、推進力を得ながら若干滞空し、距離を稼いでいる。

 

「青山なー!確かにあの“個性”は強えけど…あ、ほら!すぐ落ちちまってる。やっぱ常闇かなー」

「使いすぎると腹を壊すんだっけか」

「だいぶピーキーだよな!」

「そうだね、青山くんの“個性”はやっぱりお腹を壊しちゃうのが弱点だけど一撃の強力さを甘く見ることはできないよね!」

「うお緑谷!おけーり!」

 

ヒーローオタクであり、“個性”フリークであることがとうにクラス中にも知られている緑谷は、早く観戦したくて急いで戻ってきたらしい。訓練での疲労もあるだろうが、かなり息を切らしている。

 

「へっへっへ、やっぱ俺の得意分野よ!」

「むむ…道がもっと単純なら…いや、言い訳だ!精進あるのみ!」

「くそ、もうちょいいけたなあ…」

「くやしー!」

 

『助けてくれてありがとう』と書かれたタスキを誇らしげにかけている瀬呂と、悔しそうな飯田、尾白、芦戸も戻ってくる。

 

「今どんな感じー?」

「常闇が危なげなく一着!次着きそうなのが砂藤だな!」

「青山くんはお腹を壊しちゃったみたいで、歩いてるね」

 

『ネビルレーザー』の噴射で大きく跳躍しながら移動していた青山は、ゴールの建物まであと少しというところでお腹を壊してしまったらしく、青い顔でヨロヨロと歩いている。

 

(常闇くんの弱点は『光』で、青山くんならそこを突ける。青山くんが気づいているかはともかく…二人が同じ辺(・・・)に配置されたのも、たぶんわざとかな)

 

運動場γ(ガンマ)は正方形をしたフィールドであり、5人か6人を辺に振り分けるとなると、どこか一つか二つの辺に必ず二人が配置されることになる。

一組目では緑谷と瀬呂が同じ辺からのスタートであり、二組目は常闇と青山だ。緑谷と瀬呂の組み合わせには無いが、常闇と青山の組み合わせには作為的なものが感じられた。

 

「お、砂藤が二着で…口田が三着!」

「葉隠さん見失ったんだけど」

「あっ、あそこ!画面の右端にいるよ!」

「青山頑張れー!気張れー!」

「気張ったらヤバくね?」

 

クラスメイト達はわいわいと話しながら、各々好きなように応援している。

ネリエルはその様子を見て、そっと微笑んだ。

 

(誰からも、蹴落とす(・・・・)って発想が出てこないんだもの)

 

「…平和だなあ」

 

思わず漏れた呟きに、芦戸が振り返った。

 

「え、何ネリエル。急にどした?」

「ん、良い天気だなーって」

「もうだいぶあったかいよね。あ、終わったっぽいよ!」

「よし、じゃあ行ってくる!」

「いってらー!」

 

青山がよろめきながらもゴールに辿り着いた。ネリエルはそれを見届けて立ち上がる。

 

「俺どこだっけ」

「上鳴は、西だ。俺は東」

「俺が南で…爆豪とオーデルが北か」

「うん」

 

四組目のメンバーの組み合わせは、ネリエルと爆豪が同じ辺からの出発で、他三人はそれぞれの方角にバラけている。

爆豪はネリエルに対して明確に対抗心を抱いているにも関わらず、二人が比較的近くに配置されているのはやはり意図的なものだろう。

 

「そういや、いつもはくじ引きなのに今日は違ったな!なんでこの組み合わせで、俺らが最後なんだろうな?」

 

運動場に向かいながら、上鳴がネリエルの考えていた点とは少しズレたところから疑問を呈した。

 

「ああ…そういえばそうだな」

「……前の組み合わせを考えると、おそらく……いや…」

 

障子は何か理由に思い当たったようだが、途中で言葉を切って黙り込んだ。

ネリエルは四組目の面子を見回し、「ああ」と声をあげる。

 

「私たちが最後なのは、たぶん体重か“個性”で運動場を壊す可能性が高い人たち、ってことじゃない?」

「ああ!なるほ…いや言うのかよそれ!?」

「言ってしまうのか…」

 

上鳴は頷いたが、途中でネリエルを凝視して焦った顔をする。障子もまたネリエルを見て、何とも言えない表情___マスクでほぼ隠れているが___をしていた。

 

「俺と上鳴、爆豪が“個性”の範囲攻撃…障子とオーデルが体重か?」

「うん。『救助』レースだけど、ちょっとぐらい運動場が壊れてもいいように最後になったのかなって」

「なるほどな」

 

轟が納得の表情で頷く。対して、上鳴はぶんぶんと首を振った。

 

「いやこの内容なら俺そんなん出さねーよ!?つかネリエル、お前それでいいの!?」

「え、どういうこと?」

「さすがに言うの躊躇うわ!ちくしょうツッコミが足りねえ!」

 

ネリエルが首を傾げると、上鳴は泣き真似をしながら障子にすがりついた。

 

「障子、手伝ってくれえ!!」

「俺もそういうのは苦手だ。口下手ですまん」

「いいよォー!!」

 

そう言いながら障子の触腕の下に潜り込んだ上鳴は、「ぬくい」と呟いている。

 

(まあ、私はあんまり関係なくなった(・・・・・・・)んだけど…)

 

ネリエルがそう思っていると、障子が上鳴を触腕の下から取り出して、位置につくようよう促す。

 

「じゃあ、また後でね」

「ああ」

「あ〜温もりが〜」

「早く行け」

 

それぞれの指定された位置へ向かうために分かれ、ネリエルはどんどん遠くなる爆豪の背を追う。

爆豪が途中でちらりと振り返り、「チッッッ!!!」と巨大な舌打ちをした。

 

「舌打ちって、そんなに大きくできるんだね」

「あぁ゛!!!?」

 

その音量に純粋に感心したネリエルの言葉に、爆豪が噛みつく。

 

「ごめん、特に他意はなかったんだけど」

「……チッ!!余計にムカつくわ!!!」

「そう」

「俺が一位んなるからな!!」

「お互いに頑張ろうね」

 

あっさりとしたネリエルの返答に、爆豪が眦を吊り上げる。

さらに怒鳴ることはしなかったものの、どすどすと足音を立てながらネリエルからできるだけ遠くへと離れていった。

 

(ああ言うけど…爆豪くんも、私を妨害したりはしないんだろうな)

 

「…ふふっ」

 

直接怒りをぶつけられても、そう思うとどうしても微笑ましくなる。ネリエルは爆豪に聞こえないように、こっそりと小さな笑い声を立てた。

 

 

 

 

 




レースの意図だとか組み合わせだとかは捏造です。まあでも、雄英ならこのぐらい考えててもおかしくないかなと。
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