追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第17話(6)秘密-結依と江美-

「幸紀さん!」

 

「コーキぃ!」

 

 結依とサリーが歓喜の声を上げる。一方のポラリスは頭を抱えていた。

 

「はぁ…わかっていたことではあるが…無茶苦茶なやつだな、コーキ」

 

「また会ったな、ポラリス。今度こそは死んでもらうぞ」

 

 幸紀は結依や江美を気にせずにポラリスに向かっていく。一方のポラリスは、少し下がり、フェルカドを前に歩かせた。

 

「ふざけるな、こんなところで死んでいる暇はないんだよ。撤退だ!」

 

 ポラリスが悪魔たちに命令すると、悪魔たちは幸紀に背中を向けて走り出そうとする。そんな悪魔たちに、幸紀は刀を振るって斬撃を放ち、次々と黒い煙に変えるのだった。

 

「若!このままでは撤退できませぬ!ここは拙者が引き受けますゆえ、お逃げを!」

 

「させるか」

 

 幸紀が一気にポラリスへと駆け寄り、刀を振り下ろそうとする。すぐさまフェルカドは幸紀とポラリスの間に割り込み、幸紀の刀を自分の得物である大剣で受け止めた。

 

「若ぁっ!!」

 

「…恩に着る!退けえ!!」

 

 ポラリスはフェルカドに向けてそう言うと、悪魔軍の兵士たちをまとめてその場を去っていく。

 背中を向けたポラリスに迫ろうとした幸紀へ、フェルカドは大剣を振り下ろす。幸紀は足を止め、フェルカドの剣を受け止めた。

 

「くっ…」

 

「行かせはせんぞ…コーキィ!!」

 

 フェルカドは威勢よく言うと、幸紀にかける力をさらに強める。一瞬膝を曲げた幸紀だったが、すぐにフェルカドを弾き返した。

 ふたりが鍔迫り合いをしているうちに、ポラリスはその場から姿を消しており、幸紀はフェルカドに集中して向き合った。

 

「フェルカド…とか言ったか。おおよそ悪魔らしからぬ忠誠心だな。主人を庇って残るなど」

 

「ふふふ、貴様のような裏切り者にはわかるまい!」

 

「どうやらそうらしい」

 

 フェルカドの煽り言葉に対し、幸紀は冷静に答えると、素早くフェルカドの顔面を刀で突く。

 フェルカドはそれを剣で弾くと、返す勢いで大剣を横に振るい、幸紀の首を斬ろうとする。

 

(その首もらった!!)

 

 瞬間、幸紀は真上に大きく飛び上がった。

 

「!」

 

 幸紀の靴底を、大剣の刃が掠める。しかし、幸紀自身には何のダメージもなかった。

 そのまま幸紀は、空中で姿勢を変え、一回転すると、フェルカドの脳天を斬り裂こうと、重力の勢いも使って刀を振り下ろす。

 

(まずい…!)

 

 フェルカドはその攻撃で致命傷を貰わないために、何とか顔を引く。

 

 しかし、フェルカドはそれを回避し切れず、彼の左目へ、縦に幸紀の刀が奔った。

 

「ぬぉおおっ!!?」

 

 フェルカドは左目を押さえながら後ずさる。そんなフェルカドに追撃しようと、空中から音もなく着地した幸紀はフェルカドへ駆けていく。

 

「ふん!!」

 

 しかし、フェルカドは咄嗟に地面にあった、元々床だった木材を思い切り踏みつけることで、幸紀の視界を塞ぎ、その影に隠れる。

 

「ちっ」

 

 幸紀は刀を横薙ぎに振るい、目の前に立ち塞がる木材を細切れにする。

 ようやく幸紀の前に道が開けたかと思うと、その瞬間には、フェルカドの姿はもうなかった。

 

(『回廊』に逃げ込まれたか…これ以上の深追いは無用か…)

 

 幸紀は、悪魔が全ていなくなり、静まり返った周囲を見回してそう結論づける。彼は刀を鞘に納め、刀を光に変えるのだった。

 

 戦闘を終えた幸紀は、その場に倒れていた江美と結依に近づく。2人は、傷ついた体を庇いながら立ち上がり、幸紀の方に向き直った。

 

「幸紀さん…」

 

「助けられちゃいましたね〜…ありがとうございますぅ〜」

 

「本当にありがとうございます…!」

 

 結依と江美が礼を言っている間、結依の近くに浮かんでいたサリーは、幸紀に近づき、彼の首に腕を巻きつけた。

 

「コーキぃ…やっぱ私、あんたのこと大好きぃ…いつも助けてくれて、しかもめちゃくちゃ強くてぇ…元の体に戻れたら、また一緒に楽しも?」

 

「…江美、これはお前の霊力で分離したように見せてるんだな?」

 

「えぇ。でも、これからは結依さんの意思でコントロールできますよ」

 

「え!?」

 

 江美の解説を聞くと、即座に結依はサリーの方に視線をやる。直後、サリーの姿は音もなく消え去った。

 

「おぉ〜」

 

「これからは必要に応じて姿を出したり消したりできますからね。サリーさんとのコミュニケーションが必要になったら使ってくださいね」

 

「はい」

 

 結依と江美はにこやかに言葉を交わす。そんなやりとりを見て、幸紀はどことなく違和感を覚えた。

 

(こいつら…お互いの秘密を知り合っているのか?)

 

「どうしたんですか、幸紀さん?」

 

「お前たち、俺が来るまで何を話していた?」

 

 幸紀はストレートに2人に尋ねる。結依と江美はお互いに顔を見合わせると、少し微笑みあってから答えるのだった。

 

「『秘密』、ですよね〜」

 

「は?」

 

「そう。『秘密』、です」

 

「…」

 

「そんな怖い顔しないでくださいよ〜。歩きながら話しますから〜」

 

 明るく微笑む江美と結依に挟まれながら、幸紀は複雑な表情で歩いていくのだった。

 

隊員紹介コーナー

隊員No.4

名前:狭間(はざま)結依(ゆい)

年齢:19

身長:165cm

体重:52kg

スリーサイズ:B83(C)/W60/H90

武器:ボウガン&カギ爪

外見:鮮やかな赤い髪にベレー帽。左目が青で右目が黄色のオッドアイ

家族構成:父母

所属班:作戦班

過去

目立つことがなんとなく苦手で目立たず教室の隅で本を読んでいるうちに、読書が好きになっていた。

そんな性格なので、男性と関わったこともほとんどなく、サリーの記憶は彼女にとっては刺激的すぎて悩みの種。

目の色は元々両目とも青だったが、サリーに憑依された際に片目が黄色に変化した。

 

 

隊員No.12

名前:透破(すわ)江美(えみ)

年齢:23

身長:167cm

体重:53kg

スリーサイズ:B87(E)/W65/H90

武器:手裏剣など

外見:長い白髪に、黄色い眼鏡をかけている

家族構成:なし(孤児)

所属班:偵察班

過去

幼少期から両親がおらず、『皇牙衆』として引き取られて育ち、訓練を受けてきた。

忍びの修行で課せられた徹底した現実主義と『皇牙衆』への忠誠が彼女の原動力になっている。

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