追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第21話(4)真相 -璃子と心愛-

数分後 公民館近くの草むら

 人がいない木と草の影にやってきた璃子と初音。遠巻きに聞こえてくる心愛の歌を聞きながら、連れてこられた初音は璃子に尋ね始めた。

 

「璃子ぉ!せっかく心愛ちゃんのライブ中だったのに!どうしてくれんの!?」

 

「平和になったらまた行けばいいわ。それより、私は大事なことを聞きたい」

 

 璃子は初音と正面から向き合って答える。初音が首を傾げると、璃子は息を吐いてから尋ねた。

 

「…あの日…2年前、私たちが襲われたあの日以来…あなたはどこで何をしていたの?初音、教えて」

 

 璃子が質問すると、初音の顔から表情が消える。璃子は言葉を続けた。

 

「どうしたの…早く答えてよ…!生きていたのなら、どうして私に会いに来てくれなかったの…!?私が医者になって、あなたが経理をやってくれるって、そう夢を語ったじゃない…!」

 

「…」

 

「今日のライブだってそう!あなた、いつも言ってたじゃない!『心愛ちゃんのライブに、人生で1回でいいから行ってみたい』って!それが夢だったって!今あなたの夢は叶ったのに、どうして少しも笑っていないの!?」

 

 璃子が叫ぶように初音に尋ねても、初音は無表情のまま何も答えない。

 そんな初音を見て、璃子は、納得したように、同時に諦めたように叫んでいた。

 

「あなたは…やっぱり死んでしまったのよ…!私が…私が逃げてしまったせいで…!!ここにいるあなたは…あなたじゃない!!」

 

 璃子の言葉と同時に音楽が止まる。

 拍手の音が遠巻きに聞こえてくる中で、初音は無表情のまま璃子を見つめた。

 

「気づいちゃったんだ」

 

 初音が小さく呟く。

 璃子がそれに気づいて身構えようとした瞬間、初音は一気に璃子に迫り、璃子を押し倒す。そして馬乗りになりながら、璃子の首を絞め始めた。

 

「っ…!」

 

「そう。この体はとっくの昔に死んでる。悪魔軍の改造治療により、この体は人間だったころの記憶を模倣するだけの、爆弾運搬ユニットにすぎない」

 

「人の命を…弄ぶな…!!ぁぐぅっ…!!」

 

 強気な言葉を並べる璃子に対して、初音は首を絞める力を強める。璃子は必死に初音の手を振り解こうとするが、それも叶わず、璃子の意識が徐々に遠のき始めていく。

 

「ぅ…」

 

「璃子先生!初音さーん!」

 

 そんな璃子の耳に心愛の声が聞こえてくる。璃子が声のした方向を見ると、ライブを終えた心愛が、草むらをかき分けてやってきているのが見えた。

 初音は心愛の方に振り向く。

 同時に、心愛も目の前に繰り広げられた異様な状況に気がついた。

 

「は、初音さん!?なにしてるの!?」

 

「逃げて…市子さん…!」

 

 璃子が声を振り絞るのも虚しく、初音は璃子の体を踏みつけると、心愛の方へと接近し、すぐさま心愛を羽交締めにした。

 

「うわぁっ!?初音さん!離して!!」

 

「貴様も道連れにしてやる」

 

「どういうこと!?ヤダ、離してよ!」

 

 必死に抵抗する心愛を無視して、初音は無機質に心愛を引きずりながら避難民たちがいる方向へと進んでいく。

 ダメージから復帰した璃子は、霊力で武器であるハンマーを発現させると、初音に駆け寄ろうとするが、初音は足を止めた。

 

「そこで止まれ。何もしなければ、お前と、この女だけで済ませてやる。抵抗するならば、あちらの避難民もろとも爆破してやる。起爆まであと1分だ」

 

 初音の無機質な脅迫がふたりの耳に響く。

 璃子の動きが止まる。

 心愛は必死に抵抗するが、初音の腕を振り解けない。

 

「璃子...先生...!」

 

「そのまま動くな」

 

 助けを求める心愛に対し、初音は冷淡に声を発する。

 璃子はハンマーを持った手に力を入れながら、その様子を見て立ち尽くしていた。

 

 

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