追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第24話(5)猛将の最期 -華燐と珠緒-

「...来たのか…コーキ…!」

 

 フェルカドは幸紀の顔を見て、思わず言葉を漏らす。

 

 一方の幸紀は、悠々と歩きながら、フェルカドの姿を見た。

 

「やはり、別働隊がいたか。華燐と珠緒を置いておいて正解だった」

 

 幸紀はそう呟くと、霊力で刀を引き寄せ、右手に握り直す。

 

 フェルカドは、幸紀を正面にして足を止める。彼の体からは、やはり黒い煙が漂い続けていた。

 

(若、申し訳ありませぬ。あとは、お任せします)

 

 フェルカドは天を仰ぎ、目を閉じると、改めて幸紀を睨んだ。

 

「ようやく戦えるなぁ、コーキよ…貴様の首、もらい受ける!!」

 

 フェルカドはそう声を張ると、真っ直ぐ幸紀へ走っていく。

 両腕もすでにない彼は、幸紀を蹴り倒すため、渾身の力で体を振るった。

 

「はああああっ!!!」

 

 フェルカドの裂帛の気合いがあたりに轟く。

 

 一方の幸紀は、何も言わず、フェルカドとすれ違いざまに、刀を振り抜いた。

 

 

 無数の剣閃がフェルカドの体に迸る。

 

 幸紀がゆっくりと刀を鞘に収めると、フェルカドの体は、黒い煙となり、晴れた空に散っていくのだった。

 

「さらばだ」

 

 幸紀は振り向きもせず、その言葉を発すると、重傷を負って倒れる珠緒と華燐の元へ歩いていくのだった。

 

「待っていろ、今、心愛たちを呼ぶ」

 

 

同じ頃 秋露城天守 城主の間

 城の最上階で防衛の指揮を執っていたポラリスは、星霊隊の勢いに対して、そろそろ防衛の限界を感じていた。

 

(今はこの建物の2階まで踏み込んできているらしい…ここもそう長くは保たないだろう…だがフェルカドなら…ここが落ちるより先に、バスを奪えるはずだ…!)

 

「せいやあっ!!」

 

 考えを巡らせるポラリスの耳に、日菜子の声が聞こえてくる。階段を駆け上がる音が聞こえてくるのと同時に、ポラリスのいる部屋の入り口が開き、日菜子、四葉が率いる、星霊隊の女性たちが入ってきた。

 

「ポラリス…!」

 

「今日こそは覚悟してもらいます!」

 

 日菜子と四葉が鬼気迫る表情でポラリスに言う。一方のポラリスは、余裕の表情で日菜子たちと向き合った。

 

「やれやれ、揃いも揃って恐ろしいことだな。だが、お前たちなど、すでに…」

 

 ポラリスはそう語りながら、彼女たちに背を向け、窓の外を見る。

 

 ひと筋の黒い煙が、風で流され、空へと舞い上がっていくのが、ポラリスの視界に入った。

 

(まさか…)

 

 ポラリスは、その煙で、何が起きているかを理解した。

 

(フェルカド、貴様…!)

 

「そこだぁ!」

 

 ポラリスの思いなどつゆも知らず、日菜子は桃色の気弾をポラリスに向けて放つ。

 ポラリスは殺気を感じてそれを回避すると、改めて星霊隊のメンバーたちの顔を見回す。

 そうして大きくため息を吐くと、呆れたように呟いた。

 

「…俺の負け、のようだな」

 

「…え?」

 

「さらばだ、星霊隊の女ども」

 

 ポラリスはそれだけ言うと、窓から自分の身を投げ出す。

 

 日菜子や四葉があわてて窓から下を見下ろすと、ポラリスは「悪魔回廊」の中に入った後だった。

 

 

30分後 11:30 秋露城公園

 

「いやあ、心愛が間に合って本当によかった!」

 

 バスの車内では、心愛が安堵のため息をつき、座席をベッド代わりにして横になる華燐と珠緒を見下ろしていた。

 

「サンキューね、心愛ちゃん。まじで死ぬと思った…」

 

「ありがとうございます」

 

「いいんだよぉ!ふたりとも、バスを守ってくれてありがとうね!」

 

 華燐と珠緒が礼を言うと、心愛は他のメンバーたちのもとに歩いていく。そんな心愛と入れ替わるように、幸紀がやってきた。

 

「あ…幸紀さん…ありがとうございました」

 

「フェルカドを倒してくれたのも、心愛さんがくるまでの応急手当てをしてくれたのも、幸紀さんなんですよね…ありがとうございます…」

 

 華燐と珠緒が幸紀に礼を言う。幸紀は首を横に振った。

 

「いや…奴は…お前たちでなければ倒せなかっただろう…俺がここにいると知れば、奴はこんな無茶はしなかったはず…だから、お前たちがいて良かった」

 

「え…っ」

 

「決戦の時は近い。早く動けるようにしておくんだな」

 

 幸紀はそう言うと、華燐と珠緒に背を向け、運転席へと歩いていく。

 隣同士で横になっていた華燐と珠緒は、お互いに顔を見合わせた。

 

「…よかったですね、華燐さん。やっぱり、あなたは、このチームに必要な人なんですよ」

 

「…そうなんだね。うん。自信持てた。もう、ウジウジ悩むのはやめる。胸張って、星霊隊の一員として頑張るよ!」

 

 珠緒の言葉に、華燐は満面の笑みを浮かべて話す。そんな華燐の笑顔に珠緒も微笑み返すと、珠緒はふと思い出した。

 

「そういえば、さっきおしゃべりしてるとき、何か言いかけてませんでした?」

 

「え?あぁ…あの、くだらない話題だから、そんな…」

 

「せっかく仲良くなれたんですから、話しましょうよ。私はなんでも大歓迎ですよ」

 

「ううう…じゃ、じゃあ…」

 

 珠緒の優しい眼差しに耐えきれなくなった華燐は、気まずそうに話し始めた。

 

「た、珠緒ちゃんって、彼氏いたりするぅ…?」

 

「え!?いたこともありませんけど?」

 

「え!?うそ!?おとなしくて可愛いから絶対いると思ったのに!モテる方法聞きたかったのに!」

 

「あー…幸紀さんに聞くのがいいんじゃないですかね?」

 

「…却下」

 

 珠緒の提案を、華燐は短く却下する。

 そうしてふたりは静かに笑い合うのだった。

 

 

隊員紹介コーナー

隊員No.18

名前:天道(てんどう)華燐(かりん)

年齢:19

身長:163cm

体重:52kg

スリーサイズ:B79(B)/W58/H85

武器:ヌンチャク

外見:日焼けした褐色の肌に、赤茶色の髪色

能力:触れたものを爆発させる

家族構成:父母姉

所属班:攻撃班

過去

「月暈神社」の巫女として戦う朋夜の友人として、周囲からは「強い女」「戦う女」「ガサツな女」といった評価を受けてきており、気がついたら本人も自分自身をそういうふうに認識していた。

朋夜のようなお淑やかな人間と比較されてしまうことからモテないと卑下してしまう傾向があるが、実は家事全般は結構得意。

 

 

隊員No.21

名前:青崎(あおさき)珠緒(たまお)

年齢:19

身長:158cm

体重:49kg

スリーサイズ:B85(D)/W59/H80

武器:ナイフ

外見:青髪でストレートミドルヘア、青いメイド服

能力:光に関連する霊力を少し扱える

家族構成:祖父祖母父母妹

所属班:医療班

過去

祖父の知り合いの伝手で、高校卒業と同時に清峰侯爵のメイドとして仕え始める。

社会人経験のない珠緒を指導してきたのが焔であり、珠緒にとっては完璧に見える焔は畏敬の対象。

ちなみに同い年の華燐のことは勝手に華燐の方が年上だと思っている

 

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