追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第3章 悪魔の掌の上で
第27話(1)女王と悪魔


前回までのあらすじ

「東雲幸紀は悪魔である」

 天正都の報道官に化けたテルギアは、全国報道で幸紀の正体を暴露する。幸紀はポラリスを倒したものの、テルギアの報道を耳にした星霊隊は、幸紀の正体を巡って混乱する。

 幸紀を信じるか否か、星霊隊のメンバーたちは決断を迫られていた。

 

 

6月26日 昼13:30 天正都 アカツキ国営放送局 第2スタジオ

 

「…ふん、余興にしては悪くない」

 

 全国報道の撮影を終えた報道官、一塚は、着ていたスーツを脱ぎ捨てる。直後、中年男性だった彼の姿は変わり、漆黒の肌に、赤い光の線が入った、銀髪の悪魔、テルギアの姿になる。

 テルギアは微笑みをたたえながら、徐に背後へ振り向いた。

 

「そうは思いませんか?女王陛下」

 

 テルギアの視線の先にいるのは、数人のスーツ姿の人間たちに守られ、白い豪奢なドレスに身を包む、気品に溢れた1人の女性だった。

 

「…それよりも、なにゆえ、わたくしをここに呼んだのです?『停戦交渉』と聞いて来てみれば、突然番組が始まり…本当に交渉をする気はあるのですか?」

 

 女王陛下はテルギアに対して冷静に尋ねる。テルギアの方も、そんな女王陛下に対して、満足げに微笑むと、穏やかに言葉を発し始めた。

 

「もちろんですとも。そのために、ここを選んだのですから」

 

「…あなたの要求は?」

 

「『東雲幸紀の抹殺』そのための、あなた方との同盟。そして、『繋世(けいせい)の石』の確保。この3つです」

 

「見返りは?」

 

「侵略の停止。さらに、悪魔軍があなた方の戦力に加わる」

 

「…」

 

「聞けば、この世界の国々は、覇権をめぐって軍事的に緊張状態にあるとか。あなたの治めるこの『アカツキ』の国も、決して楽観できる状況ではないのでしょう?そこに、我らが加われば、外国からの侵略も、悪魔軍の侵略も防ぐことができる。悪い話ではないはずですよ」

 

 テルギアは丁重な態度で女王陛下に対して提案する。一方の女王陛下は、眉を顰めていた。

 

「確かに、あなたの話を受けるメリットは多少なりとあるようです。ですが、1つ解せないのは、あなた方と東雲幸紀の関係です。同じ悪魔軍同士でありながら、なぜ?」

 

 女王陛下の質問に対し、テルギアは僅かに口角を上げてから話し始めた。

 

「早い話、あの男は裏切り者なのです。本来なら、我々はあなた方の持つ『繋世(けいせい)の石』さえ確保できればよく、侵略などする必要はなかった。だが、あの男は頑なに侵略を主張し、さらには人間も、悪魔も、無差別に攻撃し始めた。先ほどの映像はご覧になったでしょう?」

 

「…ええ」

 

「奴の行動原理は誰にもわかりません。ですが、双方に共通の敵であることだけは確かです。このままでは、あなたの大切な臣民にも、必要以上の被害が出ますよ?」

 

 テルギアはどこまでも丁寧な口調で女王陛下に尋ねる。女王陛下は、僅かに俯き、そして、顔を上げた。

 

「…今すぐ、全面的にあなたを信じることはわたくしにはできません…ですが、わたくしの使命は民を守ること…あなた方と協力することで、1人でも多くの民を守ることができるのならば…全てに協力することはできませんが、少しずつ、協力いたしましょう」

 

(そうでも言わなければ、殺すのでしょうから)

 

 女王陛下は、テルギアに対して、内心を押し隠しながら答える。テルギアはそれを聞くと、胸に手を当て、跪いて頭を下げた。

 

「ご協力いただき、光栄の至り。では、その証として、さっそくですが、あなたのお力を貸していただきましょう」

 

 テルギアはそう言って腕を広げて伸ばす。その先にあったのは、カメラと報道番組用のセットだった。

 

「あなたの口から、臣民に命じてください。『東雲幸紀を、人類の裏切り者を討て』と」

 

 テルギアは跪きながら言う。そんなテルギアの言葉を受け止めながら、女王陛下は、カメラの前へと歩いていくのだった。

 

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