追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第1話(6)空から降ってきたのは

数分後 12:10 千年町駅

 1時間前に幸紀が来た時には小綺麗で、人で賑わっていた駅の改札は、改札機が乱雑に破壊され、人間の死体が転がり、割れたガラスの破片や、ガレキがあたりに散らばっていた。

 

「ひどい有様…この駅、少し前に改装されたばかりなのに」

 

 日菜子が思わず呟く。四葉も言葉を失う中、幸紀は眉ひとつ動かさずに改札機の残骸を踏み越え、階段を降りてプラットホームにやってくる。

 プラットホームにも多くの死体が転がっており、いくつかの電光掲示板は落とされ、時刻表やベンチも破壊されていたが、悪魔の姿は見えなかった。

 幸紀は破壊されていない電光掲示板を見上げる。同時にそこに表示されている文字を読み上げた。

 

「『現在悪魔の襲撃により地上線全線で運転を見合わせています。運転再開のめどは不明です』、か」

 

 幸紀が読み終えると同時に、文字は流れていく。幸紀の隣でその様子を見ていた四葉は、幸紀に提案した。

 

「この書き方だったら地下鉄は動いているかもしれませんよ!2、30分は歩くことになりますけど、近くに地下鉄の駅があったはずですから、そっちを目指してみませんか?」

 

 四葉の提案を受けると、幸紀はスマホをコートの内ポケットから取り出す。マップ機能で確認しようとしたが、なぜか接続できなかった。

 

(悪魔軍の電波妨害か…わかっていたが、不便だな。この小娘の言うことが真実か確認もできない。地理に疎い以上は、従うしかないか)

 

 幸紀はそう判断すると、小さく頷いた。

 

「四葉の案に従おう。案内してくれ」

 

「了解しました!」

 

 幸紀に言われると、四葉は明るく答える。四葉が振り向いて階段を登っていくと、幸紀もそれについていくようにして階段を登るのだった。

 

 2人が改札前まで戻ってくると、日菜子が辺りを歩き回り、何かを探している。幸紀はそんな日菜子に声をかけた。

 

「おい、日菜子」

 

「あ、幸紀さん」

 

「これから四葉の案内で地下鉄を目指す。何をしていたんだ?」

 

「妹を探してました!もしかしたらいるかもと思って…」

 

「いたか?」

 

「いいえ…」

 

 幸紀に尋ねられた日菜子は、俯きながら答える。幸紀は表情を動かさず、無愛想に指示を出した。

 

「…そうか。とにかく地下鉄に行くぞ、お前の妹もそこにいるかもしれんしな」

 

「…はい!」

 

 日菜子は顔を上げると、力強く頷く。そして、幸紀の前を歩く四葉の隣に立ち四葉と共に幸紀を案内し始めた。

 

「四葉ちゃんの言う地下鉄って、南矢倉(みなみやぐら)駅のことだよね?」

 

「そうです!」

 

「だったら案内は任せて!近道知ってるんだ!」

 

 日菜子はそう言うと、駅の出口の階段を駆け下りる。四葉と幸紀も、それに続いて階段を降りると、日菜子はちょうど階段を降り切ったあたりで足を止めた。

 

「本当はこのまま真っ直ぐいくのが近いんですけど、人通りが多い分、悪魔も多いと思うんです。だから、左の人通りが少なくて近い…」

 

 日菜子が話していると、どこからか人の声が聞こえてくる。日菜子は話すのを中断し、周囲を見回し始めた。

 

「え?なに?」

 

「この声はどこから…?」

 

 日菜子と四葉が戸惑っていると、幸紀は1人だけ声のした方向を見て呟いた。

 

「上だ」

 

「えぇっ?」

 

 日菜子と四葉は信じられない様子で上を見る。すると、空から1人の人間が、悲鳴のような声を上げながら、幸紀たち3人の頭上へ降ってきていた。

 

「どどど、どうしよう!空から女の子だよ!?受け止めないと!」

 

「でも受け止めたら私たちも怪我しますよ!?助けられるかもわからないですし!」

 

 日菜子と四葉が軽いパニックに陥る中、幸紀は1人、腰を落とすと、自分の下半身に霊力を集中させ、大きく空へと飛び上がった。

 霊力によって身体能力を一時的に強化した幸紀は、10階建てのビルの屋上よりも高いところにいる、空から降ってきている人間のもとへ近づき、その人間をお姫様抱っこのような要領で抱えた。

 

「えっ!?」

 

「降りるぞ」

 

「うわぁああ!!??」

 

 幸紀は驚く相手をよそに、重力に身を任せて地上に降りていく。幸紀に抱えられている方は、たまらず悲鳴を上げるが、幸紀は気にせず、地上に着地すると同時に、霊力で衝撃を軽減した。

 

「幸紀さん!?」

 

「無事ですか!?」

 

 日菜子と四葉が幸紀に声をかける。幸紀は抱えていた人間をゆっくり立たせてから、短く答えた。

 

「あぁ。問題ない」

 

「そっちの人は!?」

 

 日菜子は、幸紀に助けられたその女性に尋ねる。その女性は、明るい水色の短髪をしており、豊かな胸と細い腰で、幸紀と比べて頭ひとつ小さい、女性としては長身な体つきをしていた。

 彼女は、まだ自分の身に起きたことがよく理解できないような様子で、幸紀に頭を下げた。

 

「マジでありがとっした、お兄さん。お姉さんたち、オレなら大丈夫だぜ」

 

 目の前の女性の口から聞こえてくるのは、やや低い女性の声、しかし口調としては男性のそれだった。日菜子と四葉が戸惑うのと同時に、その女性も、自分の声を聞いて驚いたようだった。

 

「ねぇ、オレ、なんか声変じゃね?」

 

「いや、綺麗な声だと思いますけど…」

 

「そんなわけねぇって」

 

 彼女はそう思って喉に手を当てようとすると、その手が自身の胸にぶつかる。彼女は自分の体に目を落とすと、大きな声を上げた。

 

「なんじゃこりゃぁ!?えっ!?えっ!?これ、まさか、胸!?」

 

「大丈夫?」

 

「ちょっとお姉さん、鏡貸して!スマホでもいいから!」

 

 彼女は慌てた様子で日菜子に言う。日菜子が慣れた手つきでスマホを操作してから手渡すと、彼女はスマホの内カメラで自分の顔と体を目の当たりにし、声を上げた。

 

「う、嘘ぉ!?オレ、オレ、女になってる!!?」

 

 彼女は自分の姿を見ると、信じられない様子で大声をあげ、周囲を見回すのだった。

 

 

 

隊員紹介コーナー

 

隊員No.1

名前:桜井(さくらい)日菜子(ひなこ)

年齢:21

身長:166cm

体重:58kg

スリーサイズ:B88(E)/W59/H86

武器:籠手とスネ当て

好きなもの:鍛錬

嫌いなもの:人を傷つけること

特技:力仕事

趣味:鍛錬

外見:明るい金髪にピンクメッシュ、ポニーテール

能力:霊力で体を強化して格闘する

紹介

幸紀に助けられて星霊隊に加入し、リーダーになった女性。

困っている人がいると、自分がどんな状況だろうと助けずにはいられないお人よし。

菜々子という妹を探している。

 

 

隊員No.2

名前:千条(せんじょう)四葉(よつば)

年齢:17

身長:157cm

体重:45kg

スリーサイズ:B82(C)/W59/H84

武器:(両刃剣)

好きなもの:可愛いもの

嫌いなもの:ルールを破る人

特技:勉強(学校で3位、全国模試で偏差値61)

趣味:かわいいグッズ集め、クラシック音楽鑑賞

外見:高校のブレザーに赤いメガネ、暗い緑の髪をサイドテールにしている

能力:霊力自体は強くないが、剣と飛び道具のリーチを活かす堅実な戦い方

紹介

白鷺女子高等学校に通う高校2年生で生徒会長。

生真面目で責任感の強い性格をしていて、曲がったことを許さない、典型的な優等生タイプ。

怒ると口調がキツくなりがちで、厳しくすると決めた相手には素直になりきれないタイプ。

 

 

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