追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち- 作:晴本吉陽
前回までのあらすじ
清峰屋敷は、悪魔軍の攻撃を受け陥落寸前だった。その中のメイドのひとり、珠緒は救援を呼ぶための脱出の途上、悪魔軍に攻撃を受けるが、幸紀たちに救われる。
同時に、別行動していた四葉たちも屋敷に合流し、清峰やメイドたちの窮地を救う。屋敷に立て篭もる人間たちの士気は一転して上昇しつつあった。
チーム分け
A:幸紀、日菜子、晴夏、菜々子、千鶴、→屋敷近くの森で合流
B:四葉、璃子、すみれ、望、心愛、紫黄里、焔、真理子、キララ→屋敷で合流
C:結依、弥生、雪奈、咲来、麗奈、水咲、江美→B班と別ルートで清峰屋敷へ移動中
D:明宵、朋夜、華燐、珠緒→天正都へ救援要請中
6月20日 22:00 心泉府 霊橋区 清峰屋敷
幸紀の運転するバスが、清峰屋敷の前にやってくる。先ほどまで無数の悪魔たちに埋め尽くされていたこの辺りだが、先にこのあたりにやってきた四葉たちによって悪魔は撃退され、さらに四葉と一緒にいた望の能力によって、屋敷の周りに5メートルほどの高さの岩の壁が出来上がっていた。
「は、ハルくん、この岩、何?」
バスの中で岩を見た千鶴は、不思議に思って晴夏に尋ねる。晴夏は平然と話し始めた。
「あぁ、先に着いた子の中に岩とかを操れる能力の子がいるんだ。多分その子が作ったんだと思うよ」
「へぇ…みんなすごいね」
千鶴が感心して相槌を打っている間に、バスがゆっくりと停止する。バスの真横には、屋敷への入り口のドアがあり、そのドアの前では、四葉が手を振っていた。
「着いたぞ」
幸紀がバスに乗っている他のメンバーに声をかける。中に乗っている女性たち、日菜子、菜々子、晴夏、千鶴の4人は、素早く動いてバスを降り、四葉のいる方へと駆け下りた。
「四葉!久しぶり!!」
「桜井さん!!また会えて嬉しいです!!」
真っ先にバスを降りた日菜子が、四葉と言葉を交わす。すぐに晴夏もそこに加わった。
「お!四葉ぁ!オレがいなくて寂しくなかったか?」
「頭痛のタネがなくて清々してました」
「おいおい、冷てぇなぁ」
四葉がメガネをかけ直しながら言うと、晴夏は肩をすくめる。四葉のことを知らない菜々子と千鶴は遠くでそれを見守っていたが、ふたりの背後から幸紀が合流した。
「あ、東雲さん!」
「久しぶりだな、四葉。それはともかく、互いに知らない顔もあるだろう。一度中に入って顔を合わせるぞ」
幸紀が冷静に指示を出し、屋敷の外にいた一行は、屋敷のドアを開けて建物の中に入る。
建物の中の廊下では、清峰、焔、真理子、キララの4人を、医師である璃子と、回復能力に関する霊力を持つ心愛が治療していた。そして、そこから少し離れた場所では、すみれ、望、紫黄里の3人が会話をしていた。
「幸紀…!」
璃子に包帯を巻かれていた清峰が、幸紀に気がついて声をかける。幸紀は小さく頭を下げ、言葉を発した。
「お久しぶりです、侯爵。遅くなりましたが、『星霊隊』、連れてきました」
幸紀が言うと、清峰は小さく微笑む。
「ふっ。私は遅刻にはうるさいタチだが、今日は許そう。9人も仲間を連れてきてくれたのだから」
「あと11人います。珠緒とともに
「20人…よく集めてくれたな、幸紀。これだけいれば悪魔を撃滅することなど….いつっ…!」
「侯爵!」
幸紀の報告に興奮した清峰の傷が痛む。焔がすぐに清峰のそばに寄るが、清峰の治療をしている璃子が首を横に振った。
「しばらくは安静にしていてください。拳銃をぶっ放すなんて論外です」
「だが…」
「医者の命令は絶対です。おとなしくしてください」
「…了解した」
璃子の圧に負け、清峰はおとなしくする。清峰は壁に寄りかかって座りながら、幸紀に状況を話し始めた。
「とりあえず、今の状況を伝えておこう。現在この屋敷にいる一般人は100人以上。それに対して、戦えるメイドはそこにいる3人しか残っていない。そちらの
「兵力が無尽蔵…?どういうことですか?」
清峰の言葉に、日菜子が尋ね返す。清峰の隣で治療を受けていた焔が清峰に代わって話し始めた。
「私がお答えします。といっても、ほとんど言葉通りの意味です。この数日間、この屋敷はずっと悪魔の攻撃を受けながらも撃退してきました。ですが敵の数は一向に減らない…むしろ増えているような気さえします」
「おそらくいろんな方面からの増援がここに来ているせいじゃないか、って私たちは思ってますよ」
焔の話した内容に、真理子が付け加える。その場にいた全員が黙り込んでいると、望がふとつぶやいた。
「でも、普通は数に限りがありませんか?倒しているなら減るのが自然で、毎日増えるなんておかしいですよ」
「そういわれても、実際に敵は毎日増えていきましたわ!増援が来ているとしか考えられませんわよ!」
望の言葉に、キララが反論する。そんな一連の会話を聞いた菜々子が、思いついたように声をあげた。
「『作ってる』んだとしたら!?」