追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第12話(2)星霊隊、出撃

「でも、普通は数に限りがありませんか?倒しているなら減るのが自然で、毎日増えるなんておかしいですよ」

 

「そういわれても、実際に敵は毎日増えていきましたわ!増援が来ているとしか考えられませんわよ!」

 

 望の言葉に、キララが反論する。そんな一連の会話を聞いた菜々子が、思いついたように声をあげた。

 

「『作ってる』んだとしたら!?」

 

「え?菜々子、どういうこと?」

 

「単純な話だよ。仮にだよ?毎日メイドさんたちが倒すよりも多くの悪魔が作られてたら、そりゃ減らないよね?どこかにいる悪魔を連れてくるんじゃなくて、そもそも新しい悪魔がその場で作られてるんだったら、敵の数が無限でもおかしくないよ。何か仕掛けがあって、悪魔が作られてるんじゃない?」

 

 菜々子が自分の推理を述べる。確かに菜々子の推理には一理ありそうだった。

 

「じゃあ、その悪魔を作っている仕掛けをぶっ壊して、悪魔を全滅させりゃ勝ちってことだよな!簡単だぜ!」

 

 菜々子の推理を信じ切った晴夏が明るく言い切る。しかし、すぐに焔が言葉を返した。

 

「我々はこの数日間戦い通してきましたが、怪しい装置は見つけられていません。そもそもそちらの女性の推論が間違っている可能性もあるのではないかと思います」

 

「すみません、発言してもよろしいでしょうか」

 

 焔が発言を終えると、すみれが低い声で尋ねる。否定意見がないのを見てからすみれは話し始めた。

 

「怪しいもの、であれば、我々はここに来る途中で目撃しました。正面の山の横に、紫の煙が上がっているのを」

 

「悪魔軍は山から来てる…ってことは、そこで悪魔が作られてるっていうのも案外あり得る話じゃない?」

 

 すみれの発言を受けて、菜々子が周囲に尋ねる。先ほどまで反論していた焔も黙り込むと、清峰が話をまとめ始めた。

 

「現状、我々には他に手がかりもない。今は一旦その『紫の煙』を攻略目標に設定する。これによって悪魔軍の増援を止めたのち、敵の指揮官を撃破する。この方針で動いて欲しい」

 

 清峰が言うと、その場にいた全員が返事をする。清峰は幸紀の方へ振り向いた。

 

「幸紀、星霊隊の指揮はお前がやっているのだろう?」

 

「いいえ。そこの日菜子に任せていました。今回も彼女に委ねるつもりです」

 

「え!?」

 

 清峰の言葉に幸紀が答えると、日菜子が驚く。幸紀は気にせず、日菜子の方をちらりと見た。

 

「やれるだろう?」

 

「…はいっ!」

 

 幸紀の無茶振りにも似た言動に対し、日菜子は自信に満ちた表情で頷いて答える。そんな日菜子の様子を見て、四葉と晴夏も微笑んだ。

 日菜子は他のメンバーたちの方に振り向き、頭を下げた。

 

「私、桜井日菜子です!あの、初めましての人もいると思うんですけど、今回はよろしくお願いします!」

 

 日菜子の挨拶に対し、焔たち初対面のメイドは会釈をする。日菜子はそのまま作戦の立案を始めた。

 

「それじゃあ、さっそく煙のところに向かおう!すみれちゃん、煙の場所まで案内してくれる?」

 

「煙は2カ所から出ています。こっちから見て、山の左側と右側に。どっちからいきます?」

 

「両方とも同時に攻撃できないかな…?」

 

 すみれから言われると、日菜子は疑問を口にする。すぐに四葉が横から提案した。

 

「二手に分かれれば可能です!」

 

「ちょっといいかしら」

 

 四葉の提案に、璃子が前に出ながら言う。日菜子が璃子の方を向くと、璃子は話し始めた。

 

「二手に分かれるとしても、ここのメイド3人は動けないわ」

 

「何を言っているの…私たちはまだ…!」

 

「ダメよ。今だけは休んで」

 

 璃子に反論しようとする焔に、璃子が短く言う。一連の会話を聞いていた四葉はすぐに考えを切り替えた。

 

「メイドさんたちが動けないなら、ここを守る人も必要ですね…同時に2カ所攻撃するのは諦めた方がいいかもしれません」

 

「あ!思いついちゃった!」

 

 突然菜々子が声を上げる。日菜子は菜々子と向き合った。

 

「聞かせて、菜々子!」

 

「もう1台、うちらの仲間がここに向かってるんでしょ?その子たちにもう1カ所は任せちゃったら?」

 

 菜々子の提案に、全員が感心の声を上げる。しかし、すぐにキララが尋ねた。

 

「でも、どうやって連絡を取るんです?電話はつながりませんわよ!」

 

「我に任せよ!」

 

 今まで黙っていた紫黄里が手を上げる。彼女の傍には、ノートパソコンが抱えられていた。

 

「籠城していた際にこのパソコンを外部と通信できるように改造したのだ!まぁ籠城していたときには完成しなかったけど…今はバッチリだぞ!」

 

「もう1台のバスには麗奈も乗っている…元々機械だった彼女なら、電波の送受信もできるから、連絡は取り合えるわね」

 

 紫黄里の言葉に、璃子も思い出しながら話す。2人の会話を聞いていた日菜子は、力強く頷いた。

 

「決まりだね!私たちは正面から見て右側の煙を目指そう!その間に、紫黄里ちゃんはバスと連絡を取って!」

 

「了解した!」

 

 日菜子が指示を出すと、紫黄里は明るく返事をする。続けて四葉も指示を出した。

 

「望と心愛はここに残って!望はバリケードでここを守って、心愛は怪我人を手当てしてあげて!」

 

「りょーかい、生徒会長」

 

「任せて、四葉ちゃん!心愛の歌で、みんなを笑顔にしてみせるよ!」

 

 四葉から指示を受けた望と心愛は明るく答える。日菜子はそれ以外のメンバーたちに話しかけ始めた。

 

「璃子さんもここに残って負傷者の手当てをお願いします!あとのみんなは、私と一緒に煙を止めに行こう!そして、幸紀さん!」

 

 日菜子は幸紀にも声をかける。このタイミングで呼ばれることがわかっていたかのように、幸紀は小さく口角をあげ、言葉を発した。

 

「正面で敵を引きつければいいのだろう?」

 

「そうです!」

 

「それが聞きたかった」

 

 幸紀はそれだけ言うと、ひとり踵を返し、屋敷の外へと歩き始める。そんな幸紀の背中を見送った日菜子は、改めて全員に向けて声を張った。

 

「みんな!ここが正念場だよ!みんなで全力を出せば、悪魔になんか絶対に負けない!!私たちなら勝てる!!だから、頑張ろう!!」

 

 日菜子は拳を突き上げる。それに合わせて、他のメンバーたちも拳を突き上げ、声を上げるのだった。

 

「よし!星霊隊、出撃!!」

 

 日菜子は号令をすると同時に屋敷の外へと走り出す。そんな日菜子の後に、他のメンバーたちも続くのだった。

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