追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第13話(4)屈辱

チーム分け

 

A:日菜子、晴夏、麗奈、菜々子、結依、弥生、咲来、江美、華燐、→囚われた清峰の救出に向かう

 

B:璃子、千鶴、水咲、雪奈、焔、真理子、キララ、珠緒→屋敷で待機

 

C:四葉、すみれ、望、心愛→屋敷で一般人を避難誘導

 

D:明宵、朋夜、紫黄里→屋敷で結界を展開

 

 

同じ頃 清峰屋敷前

 焔、真理子、キララ、珠緒の4人は、屋敷の前に立ち並び、正面の山から下りてくる無数の悪魔たちを受け入れる用意をしていた。

 

「いくら数が減ったとはいえ…多いですわね…」

 

 キララが思わず小声で呟く。それを聞いていた珠緒は、隣にいた焔に小声で尋ねた。

 

「め、メイド長、本当に、作戦はうまくいくでしょうか…」

 

「信じなければ始まらないわ。自信を持ちなさい」

 

 焔は毅然とした態度で珠緒の質問に答える。そうしているうちに、ランタンのようなものを片手に持った、額に一本の角を生やした悪魔、カザンが、山から降りてきた。彼の背後には、やはり無数の悪魔たちが続いてきていた。

 

「私が応対します。指示通りに動くように」

 

 焔は低い声で他の3人に言う。そうしているうちに、カザンは焔たちの前に部下を引き連れてやってくると、足を止めた。

 

「俺様がカザンだ!責任者はどいつだ!」

 

 カザンは粗暴な口調で、威圧するようにメイドたちに言う。珠緒が思わず怯むのをよそに、焔が一歩前に出て話し始めた。

 

「私がメイド長の…」

 

 焔が自己紹介をしようとするやいなや、カザンはランタンを持っていない右手で焔の頬を殴り抜く。不意を突かれた焔は対応できず、その場に崩れ落ちた。

 

「焔!」

 

 見ていた真理子が思わず焔に駆け寄ろうとする。すぐにカザンは焔の胸ぐらを掴みながら脅迫を始めた。

 

「おい、変な真似すんじゃねぇぞ?お前らの大切な上司の命は俺が預かってんだ。お前らが大人しくしてりゃあこっちだってそれなりの対応をしてやるよ」

 

「だからってなんで焔を殴るのよ!」

 

 カザンの言葉に真理子が言うと、カザンは焔の頬を再び殴る。そしてアゴを上げながら真理子たちを見た。

 

「お前らはメイドなんだろ?従者なんだろ?権力者に媚び諂って頭を下げんのが仕事だろうが。なんで俺様には頭を下げようとしねぇんだ。メイド長も、教育も悪いんじゃねぇのか、えぇ!?」

 

 カザンは理不尽を言いながら、ランタンを置いて焔の頬を叩く。そんな様子に、思わず珠緒は目を伏せ、キララと真理子は歯を食いしばったが、すぐに焔が言葉を返した。

 

「…失礼いたしました…カザン様…ご無礼を…お許しください」

 

 焔が言うと、カザンは満足したように笑い、焔から手を離す。焔は一度地面に倒れたが、すぐに立ち上がると、深々と頭を下げた。

 

「…それでは、皆様を中にご案内させていただきます…カザン様」

 

「へっ、やればできんじゃねえかよ。だったら初めからやれってんだ」

 

 焔は感情を奥歯で噛み殺すと、カザンに背を向け、悪魔たちを屋敷へと案内し始める。真理子、キララ、珠緒の3人も、焔と横並びになって屋敷へと歩き始めた。

 

 ものの数分もかからず、焔たちに案内されたカザンは屋敷の中に入る。悪魔軍との戦いで荒れた建物の中を見まわし、カザンは鼻で笑った。

 

「ふん、小汚ねぇトコだな。お前らメイドのくせに大して働いてねぇんじゃねぇのか?」

 

「テメェらが荒らしたんだろうが…!」

 

「あぁ!?」

 

「な、なんでもないですわ!!」

 

 カザンの言葉に思わず感情的になったキララだが、すぐに外面を取り繕う。カザンはそれを鼻で笑い飛ばすと、屋敷の外で控えていた部下たちにアゴで命令を始めた。

 

「おい!中を調べろ、片っ端からだ!」

 

「ヘイッ!!」

 

「ブッコワセェエエ!!」

 

 カザンが言うと、外にいた悪魔たちは屋敷の中に雪崩れ込み、目につく家具や、装飾などを破壊していきながら、広い屋敷の上の階や、他の部屋を目指して歩き始める。

 

「待ってください、なんでこんなことを!」

 

「お前らが変な罠を仕掛けてるかもしれねぇからなぁ!屋敷の隅々まで細かぁく調べなきゃなぁ!」

 

「でも」

 

「うるせぇな!一般人は避難させてやったろうが!まだ文句があんのか!!」

 

 カザンは振り向き様に怒鳴りながら真理子の腹に拳を叩き込む。真理子がうずくまると、すぐに珠緒と焔が真理子を手当てし始めるのだった。

 

「この…っ!」

 

「おおっと、妙なことは考えるなよ?お前らが俺に危害を加えようとした瞬間、俺はこいつを押す」

 

 キララの鋭い表情を見て、カザンは腰に巻いていたポーチのようなものから、何かのスイッチを取り出す。メイドたちの動きが止まると同時に、カザンはニヤリと笑いながら話を始めた。

 

「これがなんだかわかるかぁ?正解は爆弾の起爆スイッチだ。さて、どこの爆弾だろうなぁ~?」

 

「!!」

 

「押して確かめてみるか?」

 

「待って!!やめてください!」

 

 挑発するように言葉を並べるカザンに対し、焔は清峰の身を案じ、必死になって止める。焔の必死さを目の当たりにしたカザンは声を上げて笑った。

 

「ふはははは!待ってやるよ!その代わり、テメェらも妙な真似はするんじゃねぇぞ!そこで大人しくしてろ!」

 

 カザンが言うと、彼の部下の悪魔たちが、焔たちを取り囲む。焔はひとり、この状況に息を呑むのだった。

 

(このままではカザンに攻撃できない…日菜子さんたち、どうか、早く侯爵を救って…!)

 

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