追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第13話(5)罠

チーム分け

 

A:日菜子、晴夏、麗奈、菜々子、結依、弥生、咲来、江美、華燐、→囚われた清峰の救出に向かう

 

B:璃子、千鶴、水咲、雪奈、焔、真理子、キララ、珠緒→屋敷で待機

 

C:四葉、すみれ、望、心愛→屋敷で一般人を避難誘導

 

D:明宵、朋夜、紫黄里→屋敷で結界を展開

 

 

その頃 星割山山頂

 夜の闇に紛れながら、日菜子率いる部隊が清峰の囚われている山頂を目指して草むらをかきわけて進んでいた。

 

「そろそろ山頂だよ!」

 

 山に詳しく、メンバーの先頭を進む弥生が、他の女性たちに報告する。それを聞きながら、ふと華燐がつぶやいた。

 

「いやぁ、ここまで悪魔もいなくてよかった」

 

「ね。ラクできてサイコー」

 

 華燐の言葉に、菜々子も歩きながら賛同する。そんな彼女たちの頭上から、風に乗っていた咲来が着地した。

 

「上から偵察してきました!悪魔はいません!侯爵も山頂にいます!」

 

「よし!このまま行こう!」

 

 咲来の報告を受け、日菜子は先に進む指示を出す。それに従い、星霊隊のメンバーたちは坂道をのぼり続ける。

 そうしているうちに、日菜子たちは獣道のような森の中を抜け、山頂の近くまでたどり着く。そこには、荒れ果てた簡易テントと、倒れている清峰の姿が見えた。

 

「お、侯爵だ!」

 

「麗奈、江美さんと一緒に侯爵のところへ!他のみんなは周囲を警戒しながら山を登って!」

 

 日菜子がハキハキと指示をすると、麗奈と江美が清峰のもとに歩いていく。同時に、それ以外のメンバーたちが周囲を見回して警戒した。

 麗奈と江美が清峰に近づこうとすると、直後、椅子に縛られている清峰がゆっくりとまぶたを開き、星霊隊の姿に気づくと声を上げた。

 

「来るな…!罠が仕掛けられている…!」

 

「えっ!?皆、一旦止まって!」

 

 清峰の言葉に、日菜子は戸惑いながら指示を出す。日菜子の指示に従って星霊隊の女性たちが足を止めると、清峰が話し始めた。

 

「爆弾だ…!私の近くに時限爆弾が仕掛けられている…!早く私を置いて逃げろ!」

 

「そんな!」

 

「いいから早くこの場を去るんだ!」

 

 躊躇う日菜子に対して、清峰は声を大きくして叫ぶ。日菜子が歯噛みをしていると、日菜子たちの背後から足音が聞こえてくる。彼女たちが振り向くと、無数の悪魔たちが日菜子たちに近づきつつあった。

 

「う、嘘でしょ…!?さっき悪魔を作る機械は壊したはず、どこにこんな数の悪魔が…!?」

 

 結依が思わず怯んで後ずさる。逃げ道を塞がれ、囲まれた日菜子たちは、逆に清峰のいる方向へとじりじり追いやられていく。

 

「くっ…カザンめ、ここまで読んでいたか…!すまない…みんな!」

 

 清峰は日菜子たちに謝る。日菜子たちが清峰のそばまで下がってくるなか、日菜子は首を横に振った。

 

「侯爵、謝らないでください!今、侯爵も助け出して、ここも抜け出します!」

 

「しかし…!」

 

「麗奈!爆弾を解除して!江美さんは侯爵の縄を!残りのみんなは、それまでここを守って!」

 

「了解!!」

 

 日菜子は一切怯まず、声を張って指示を出す。最後まで諦めようとしない日菜子の姿勢に、星霊隊の女性たちは威勢よく返事をし、それぞれの武器を発現させて、自分たちを取り囲む悪魔たちと戦おうとする。結依や弥生といった飛び道具が武器であるメンバーは、すでに悪魔に対する攻撃を始めていた。

 

「みんな…すまない…」

 

「謝ることはないですよ~。さ、さっさと逃げる準備をしましょ~」

 

 清峰の言葉に対し、江美が軽い空気で答えながら、清峰を縛る縄をほどき始めようとする。しかし、江美が縄に触れようとしたその瞬間、赤黒い電流が彼女の指先に走り、江美は咄嗟にその場を離れた。

 

「魔力による呪い…これは巫女のお祓いでないと解けない…か」

 

 江美は静かに、淡々と状況を分析する。その間に、麗奈も爆弾を解除し始めると、麗奈も冷静に状況を報告し始めた。

 

「爆弾のタイマーを発見。残り時間は2分57秒」

 

「解除間に合う!?」

 

「解除に必要な時間は最低でも5分です」

 

「そんな…!」

 

 麗奈と江美の報告を受け、日菜子は言葉を失う。すぐに清峰は諦めたように下を向いた。

 

「みんな…ここまでしてくれてありがとう…早く、できるだけ遠くに逃げてくれ…死ぬのは私だけでいい、早く…!!」

 

「お姉ちゃん、悲しいけど、ここは逃げないと、みんな死んじゃう..!今なら、一点集中すれば逃げ切れる、だから…!」

 

 清峰の言葉を聞き、菜々子が日菜子に言う。日菜子は、目の前に来ていた悪魔を殴り倒すと、俯き、顔を上げてから清峰に声を上げた。

 

「…侯爵…ごめんなさい…!!みんな!屋敷に向かって逃げ…」

 

 日菜子が言おうとした瞬間だった。

 

 あたりに一陣の風が吹き抜ける。星霊隊のメンバーたちがよろめいたその直後、日菜子たちを取り囲んでいた悪魔たちの首が次々に消し飛ぶ。

 

「え…?」

 

 日菜子たちが戸惑っているなか、直後、触れることもできないはずの清峰を縛る縄が、謎の力によって両断され、清峰の拘束が解かれた。

 

「!?」

 

「あ、こ、侯爵の縄が!」

 

 その様子に気がついた晴夏と華燐が、すぐさま清峰の肩を担ぐ。一連の状況を見た日菜子は、すぐさま指示を出した。

 

「よし、逃げよう!!急いで!!」

 

 不思議な状況を理解しきれない中、日菜子はただひたすら指示を出し、星霊隊のメンバーたちと共に山を降り、走って逃げていくのだった。

 

 

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