追放された最強の悪魔剣士の復讐道中記 -幸紀と星霊隊の24人の女たち-   作:晴本吉陽

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第2話(3)雷の霊力

「上!!」

 

 日菜子が声を上げる。四葉と晴夏も、日菜子に言われた方角に目をやると、赤褐色の肌の悪魔が1体、コンビニの屋上から、晴夏と四葉の頭上へ飛び降りてきていた。

 

「シネェ!!」

 

「危ない!!」

 

 日菜子が叫ぶと、咄嗟に四葉が晴夏を庇って飛び退く。直後、四葉と晴夏がいたところに悪魔と共に棍棒が振り下ろされ、地面のコンクリートが大きくへこんだ。

 

「こんのぉ!」

 

 日菜子はすぐさま自分の体に霊力を集中させ、籠手と脛当てを装備すると、霊力をまとわせた拳で悪魔の顔面を殴ろうとする。しかし、悪魔はそれをあっさり回避すると、日菜子を思い切り棍棒で殴りつけた。

 

「あぁぐっ!!」

 

「桜井さん!」

 

 日菜子は霊力で身を守ったものの、横から殴りつけられた衝撃で地面に倒れる。そんな日菜子を見た四葉は、すぐに霊力で自分の武器である剣を発現させると、遠くから悪魔に向けて剣を振るった。

 

「『真空刃《しんくうじん》』!」

 

 四葉の振るった剣から、白色の衝撃波が飛んでいく。悪魔はそれに気づくと、棍棒で衝撃波を叩き伏せる。

 棍棒と衝撃波が相殺し合うことで小さな爆発が起こった隙に、悪魔は一気に四葉まで近づいた。

 

「!」

 

 悪魔が棍棒を振り下ろす一撃を、四葉はかろうじて剣で受け止める。しかし、悪魔はすぐにもう一撃四葉に棍棒を振り下ろし、剣ごと四葉を頭上から殴りつけた。

 

「いやぁあっ!!」

 

「四葉!!」

 

 晴夏は倒れた四葉に声をかける。悪魔が晴夏を見下ろして睨みつけると、晴夏は息を飲み、後ずさった。

 

(なんとかしてふたりを助けないと!でも…こんなやつ倒せるのかよ…!?)

 

「シネェ!!」

 

 晴夏が考えているのをよそに、悪魔は晴夏に駆け寄って棍棒を振り下ろす。晴夏はなんとかそれを回避すると、悪魔を睨み返した。

 

「ちくしょう!こうなったらやってやるぜ!日菜子、四葉!オレが助け出す!よくわかんねぇけど、なるようになれ!」

 

 晴夏はそう言うと、右の拳を高く掲げる。

 次の瞬間、青白い光が彼女の拳に、落雷のように降り注ぐ。悪魔がその強い光と光景に怯んで目を閉じるが、すぐに目を開ける。

 直後、晴夏の手には、その寸前までなかったはずの武器が握られており、彼女の周りには青白い電気が漂っていた。

 

「お?」

 

 晴夏は自分の手に握られている武器を見る。晴夏のそれぞれの手には、一本の棒に、長さが非対称になるように短い棒が取り付けられた、二個でひと組の丁字型の武器、トンファーが握られていた。

 

(トンファーか!おじいちゃんの家で使ったことあるぞ!やれる!)

 

「キェエエエ!!」

 

 晴夏が自分の手に握られていた武器を見て確信していると、悪魔が奇声をあげながら晴夏の方に駆けてくる。晴夏の脳天に振り下ろされる棍棒を、晴夏は左手のトンファーで受け止めた。

 

「チェストォーッ!!」

 

 悪魔の動きが止まったその一瞬、晴夏は右手のトンファーで悪魔のボディーを殴る。彼女の右手には、青白い電撃が溜まっており、攻撃が直撃すると同時に、悪魔の体に電撃が走った。

 

「ギャァァァアア!!」

 

 悪魔が震えながら断末魔をあげると、次の瞬間、悪魔は黒い煙になって消えていた。

 晴夏は突き込んだ右手を自分の体の近くに戻し、構えてから周囲を見回す。そうしていると、ダメージから復帰した四葉と日菜子が、晴夏のもとに駆け寄ってきた。

 

「晴夏!」

 

「日菜子!四葉!大丈夫だったか!?」

 

 晴夏が2人に声をかけると、晴夏の手から武器であるトンファーが光の粒になって消えていく。晴夏は戸惑いながら2人に尋ねた。

 

「うわ!?トンファーが!どこ行っちまったんだ!?」

 

「大丈夫だよ。それは、霊力を集中させれば、また出てくるから」

 

「え、そうなの?」

 

 戸惑う晴夏に日菜子が言うと、晴夏は確認する。さらに四葉が続けた。

 

「そうです!霊力を集中させることで、各個人に専用の武器を発現させることができます!いつでもどこでも!」

 

「へー!なるほど、これでみんな悪魔と戦うんだな!」

 

 晴夏が納得していると、日菜子が感心した様子で声をかけた。

 

「にしても、晴夏、すごいね!」

 

「えぇ?オレ、またなんかやっちゃいましたぁ?」

 

「うん。霊力で戦うのって初めてなんでしょ?なのに、あんなに上手く霊力を使いこなして、悪魔をやっつけちゃうなんて、本当にすごいよ!」

 

「いやぁ~それほどでも~?あるかも~?」

 

 日菜子に褒められた晴夏は、調子に乗って鼻の下を伸ばしながら頭を掻く。そんな晴夏に、四葉も頭を下げた。

 

「…助けてくれてありがとうございます。でも、年齢間違えたのは許さないんですからね!強いからって勘違いしないでくださいよ!」

 

「へいへい、わかりましたよ、生徒会長ちゃん。ま、これからもお前らはオレが守ってやるからよ!」

 

 晴夏はそう言って四葉の頭を軽く撫でる。四葉はムッとしながらその手を払いのけた。

 

「セクハラです!反省文です!」

 

「おいおい、女同士だからセーフだろ~?」

 

「アウトです!原稿用紙6枚!」

 

 四葉の言葉に、晴夏が肩を落とすと、日菜子は幸紀と大きく距離が離れていることに気がついた。

 

「幸紀さん!みんな、幸紀さんに置いていかれちゃうよ、行こう!」

 

「あ、ちょっと待てよ、日菜子!」

 

 日菜子が走っていく後を、晴夏も走って追いかける。四葉もそんな晴夏を追いかけるのだった。

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