超合体 ランシェルファー   作:あずきなん

1 / 3

 今回が初投稿なためお見苦しい点があるかと思いますが目を瞑っていただけると助かります。


第1話  俺がやらなきゃ誰もやらん!

 

 

 

 

 

 第1話  「俺がやらなきゃ誰もやらん!」

---

 

 

 # 1.いつもの朝を、喫茶《R》へ

 

 午前七時半。

 カララン、と高く鳴る風鈴の音に合わせて、ドアの奥から開き聴こえてくるのは部屋全体を包むBGMのジャズ。

 

 模型とモーニングの店――喫茶《R》。

 

 

 横長のカウンターと三卓のボックス席。

 

 そしてその奥には模型、プラモデルがずらりと並ぶ棚が隅に設置されている。

 

 厨房からは香ばしいトーストと目玉焼きの匂いが立ち込め、嗅ぐと口の中から唾液がにじみ出てくるようだった。

 

「モーニング一型、失礼いたします……」

 

 銀のトレーを静かに置いたのは、白いシャツに黒ベスト、真面目な雰囲気の青年――七瀬達輝(ナナセ タツキ)(23)。

 寡黙で無駄のない動き。まるで高級ホテルのウェイターのようだ。

 

「こちら、モーニングセット一型、二型、そして一杯おかわり無料の艦長お手製コーヒーが二つになります」

 

「……艦長?」

 

 一人の客が質問する。

 

「ええ、“艦長”です」

 

「それでは、ごゆっくりお過ごしください。」

 

 そう言い終わると代金が記載された用紙をテーブルに添え、軽いお辞儀と共にすぐに去ってしまった。

 

 飲食店では当たり前である形式に近い行為には気にもせずカップルは早速それぞれが注文した食事に手を付けていく。

 

 すました顔でつぎの業務を行おうとした時、厨房の主が怒鳴った。

 

「おい、またそれ言ってんのか、達輝!」

 

 料理担当の加賀美健悟(カガミ ケンゴ)。達輝の高校時代からの親友で、喫茶《R》の料理長であった。

 

「変な名前増やすなよな!」

 

 そんな健悟に達輝は先程とは打って変わってとてもにやけた顔で言い返す。

 

「いやでもぉ~“艦長のお手製のブレンドコーヒー”はインパクトあるって~」

 

「いつもそう言うがなぁ…メニュー見て帰る客、俺もう何人見たと思ってんだ」

 

 そんな店員二人のやり取りを見て店内には軽い笑いが溶け込む。

 

「あっはっはっは、達ちゃん。またいつもの喧嘩かい?」

 

 ボックス席を陣取っている老女グループの一人が気さくに話しかけてきた。

 

「違いますよ登勢さん、これは店長と料理長の“経営会議”です!」

 

 達輝は胸張ってそういっているが奥の料理長は今にも襲い掛かろうかというような眼光で睨んでいた。

 

「さ、さぁ~てとぉ~…接客しないとな~」

 

 あまりのプレッシャーに達輝は業務を理由に早々とその場を後にするのであった。

 

 

 

 __________________________________________________

 

 

 

 午前のピークタイムが過ぎ店内には達輝と健悟だけになった店内

 

 

 「見てコレ! 最新の飛翔神ザイガ―TYPE-R! 羽の造形が劇中さながらすぎて、もう惚れ惚れしちゃう!」

 

 料理長は厨房から顔をヒョコッと出し、それとそれを交互に見返しながら苦い顔をする。

 

 「なあ、達輝。お前、接客中とオフの落差、どうにかならんのか」

 

 「おいおいその切り替えこそがプロの秘訣! 心に切り替えスイッチ!冷静沈着な店長モードと熱血ロボットファンモードよ!」

 

 「お前のテンションが上がるたび、俺の胃の調子が下がるんだが――」

 

 その瞬間、備え付けられているテレビからの声に二人は会話を止めざる得なかった。

 

 

《―― 現在中東エリアでは米国軍と現地のゲリラによる紛争が続いている模様。なお、軍は新型の人型兵器を用いて対応中 ――》

 

 

「……軍のロボって、ほんとに実戦に出る時代になったんだな、」

 

「ああ、少し前までは抗議のデモがあったくらいだってのに」

 

 人型ロボットの戦いは架空のお話............それも今では現実になってしまった。

 

---

 

 # 2.街の崩壊、空から降りたもの

 

 正午すぎ。

 

 仕入れ帰りに高台を歩いていた達輝は、街から放たれる異様な赤さに目を奪われた。

 

 それは突然の出来事だった。

 

 街が――燃えていた。

 

「……っ、嘘だろ……!?」

 

 駅前のビルが崩れ、瓦礫と煙が空を覆う。

 

 その中心に立つのは、複数の**黒いロボット**。人の形を模しながら、無感情に街を蹂躙していた。

 

「い、行きつけの模型屋が……あの電機屋も……!」

 

 達輝が呆然としていると、空から白い閃光が落ちてきた。

 

 ――それは、**白いロボット**だった。

 

 蒼白の装甲に黒の差し色、鋭角的なボディに背部はやや巨大なバックパックを付けていた。

  その姿に達輝は息をのんだ。

 

「うおっ……なにあれ、超カッコいい……!」

 

 白い機体は一度、高速で地上へと降下し、ブースターを噴射しながら敵機の進行を正面から迎え撃った。

幾度かビームをかわし、拳による格闘戦を試みるも、複数の敵機による集中砲火を受け、装甲の極一部が吹き飛びながら大きくよろめく。

 

 《警告:外部バッテリーとの接続が不安定。機体全体への電力供給、不安定――》

 

「嘘でしょ!」

 

 パイロットであろう人物はその状況に悲鳴をあげた。

 

 そして次の瞬間、巨大な爆発と共に衝撃が胴部からコクピットにまで響き、膝をついて地面に崩れ落ちた。

 

「おい、ウソだろ!? 今の直撃……くそっ――!」

 

 おもわず達輝は駆け出していた。

 

---

 

 # 3.遭遇、そして搭乗

 

 街を走り抜けていき、息も絶え絶えに倒れたロボットのすぐそばまでたどり着く。

 

 

 よく見ると倒れた機体のコクピットハッチが半開きになっていた。

 

「ハァ…ハァ……さすがに死んでない、よな?」

 

 高台から現地まで、かなりの距離があったのだろう息は切れ気味に、顔からは溺れるほどの汗が流れていた。

 

 不安になりながらも機体の腕によじ登り、コクピット内を確認する。

 

 中には、一人の女性、いや見るからに16,7歳ほどの少女が倒れていた。

 

 黒髪を高く束ねたポニーテールにそこから映えるピンクのメッシュ。

 すでに顔は汗と煤で汚れていた。

 

「大丈夫か!? ……!」

 

 すぐさま駆け寄るも少女は反応しない。

 

 敵が接近する足音が迫る中、達輝は決断するしかなかった。

 

 本当のところ、達輝はこの奇妙な事象に対して困惑、恐怖以上に興奮を覚えていた。

 

 夢にまで… 諦めるのが当たり前とも思えていた、巨大ロボットを前に。今までにない程胸が高鳴っていいるのを本人も自覚していた。

 

 

「俺がやる……!」

「やるしかねぇだろ、俺がやらなきゃ誰もやらん!」

 

 

 意を決し操縦桿に手をかけた瞬間、途端に機体が反応を示した。

 

    《代替パイロット認証――》

   《システム=オールグリーン》

 《外部バッテリーに代わり、輪廻転生炉、起動》

 

 機体の各センサー、カメラアイが緑に発光。同時に背部に取り付けられた大型バッテリーが火花を散り上げながら

強制排除される。

 

 排出の勢いは強く、衝撃がコクピットまで響く。

 

「……は!? 何がどうなってんだ!?」

 

 そしてモニターにはとある文字が表示される。

 

    《Ransh―Lfar》

 

「ん?らぁ……ランシェ、ルファー…?ランシェルファーか!よし…!」

 

 彼がレバーを引いた瞬間、機体が震え、モニターに警告と共に未知のフォーマットが展開される。

 

「立って……くれよな!」

 

 操縦法はまったく分からない。それでも、体が自然と反応するように機体はゆっくりと立ち上がり、目前に迫る敵機へと拳を繰り出した。

 

 パンチ、蹴り、回避。ぎこちないながらも、その動きは確かに「戦っていた」。

 

 応戦はするが現状の戦い方では決定打に欠けていた。

 

「くそっ、武器は!? 武器はねーのかよッ!」

 

 達輝が叫んだ次の瞬間、コクピット内のパネルが一瞬だけ光を放ち、機体全体から金色の粒子が放たれていく。

が、同時に達輝の体が震えるような大きな鼓動、胸は焼けるような熱さに襲われる。

 

「ぐっ……あ”ぁ”っ…つ……」

 

 不意の現象に理解が追いつけないが幸いにもほんの数秒程度で収まっていく。

 

「うぅ…はぁ……はぁ…一体何なん、だ……」

 

 「今の苦しみは何だっったのか」そう考えている間にも敵は弾丸をこちらに浴びせてきて、避けるしかない。

 

「あーーもう!剣でもなんでもいいから武器出せってんだ!」

 

 

 すると粒子が渦を巻き、機体の右手に金色の長剣が具現化された。

 

 

「あっ、まじ?ほんとに剣出て来ちゃったよ」

 

 敵もその事態に動揺しているのか動きが止まっていた。

 

「ふーん、よう~~しっ。んじゃあこっからは」

 

「反撃開始だ!」

 

 白色のロボット、ランシェルファーは獲物を携え、正面の敵に飛び掛かるのであった。

 

 

 

 

---

 

 # 4.勝利の一閃

 

 敵機が目前に迫る。

 

 達輝は剣を構え、叫ぶ。

 

「来いやゴラァァ!!」

 

 剣が唸り、黒い敵機を一刀両断。無造作に倒れ落ちた。

 二体目の砲撃をかわして接近、回転斬りで左腕を切断し刃を胸部に突き刺す。

 

「これならっ、行ける!!」

 

 三体目が背後から飛びかかるが、剣を軸にした飛び蹴りで叩き伏せる。

 

 とても初めて乗ったとは思えないほどの操縦技術であった。まるで、長年連れ添った愛機のように、機体は達輝に応えていた。

 

 そして――

 

「ここで終わりだっ! これが……必殺の……!命名!!“堕天切り”ィィィィッだっ!!!」

 

 金色の刀身が唸りを上げ、光を纏って伸びる。

 

「....!?」

 

「いっっけぇぇーーーー!!」

 

 最後の一機が回避する間もなく、その一閃は胴体を切り裂き、動力部を割いたのか大爆発を引き起こした。

 

 しかしその機体は爆発四散する寸前、緊急脱出装置が作動、小さな脱出ポッドが火花を引きながら飛び去っていった。

 

 達輝はその事に気づくこともなく、虚ろな目でただ戦闘の余韻に浸る。

 

 街を包もうとする炎が白い機体をぼやけた光で照らすのであった。

 

 

 

---

 

 # 5.追い出される英雄

 

だが、勝利の余韻は長くは続かなかった。

 

 必殺技の反動か、機体の発光が治まり、モニターに《ENERGY LOW》の警告が激しく点滅する。

右手にあった堕天剣は次第に亀裂が入り、ガラスの様に砕け粒子に戻ってしまった。

 

 次第に機体もガクンと膝をつき、静かに動きを止める。

 

「おっと?」

 

 達輝がハッチを開けようとしたそのとき、背後から女性の声がした。

 

「――あ、の、ね、なに勝手に乗ってるのよ」

 

 どうやら倒れてた少女は目が覚めたようだ。

 

「ひいっ!? え、あっ、起きた!? よかったぁ、ちょっと心配したんだ。」

 

「はぁ……まったく、民間人が軍管轄の機体に無断搭乗って、普通なら銃殺ものなのよ?」

 

「ええっ!? じっ、銃殺!? ちょ、怖い怖い!」

 

 

 

 少女はやや怯えた様子の達輝を無視しながら無理やり体をどかすと、コンソールを操作し現在の損傷状況を把握していた。

 

「最悪……こんな無茶な動かし方して……! この機体がどれだけデリケートか分かってないでしょ!」

 

 頭に手を付けながら「ありえない!」と言いたげな表情をしている。

 

「とりあえず……降りなさい。今すぐ」

 

 

「ひゃい」

 

 

  ドゴン!

 

「いってぇええええッ!!」

 

 達輝は問答無用でコクピットから放り出された。

 

「あっ、エネルギー少ないから動くかわかんないぞー」

 

 聞こえるように顔の前に両手を広げ声を張り上げたが少女は無視していた。

 

「ギリギリ…、帰れそうね」

 

 操縦席《シート》にボスッと収まった少女、祥鳳彩音(ショウホウ アヤネ)は、機体を再起動させるがブースターの出力が不安定で機体が揺らぐ。

 

 あまりの損傷具合に苛立ったのか、彼女は舌打ち一つすると街の救世主(?)を一瞥し何も言わずに飛び去っていった。

 

 

「せめて、名前くらい教えてくれてもいいじゃん……!」

 

 暗黒に染まりかけていた空を見上げながら、達輝はそうつぶやくのだった。

 

 

 

 

――――

 

 





 初めまして、こんにちは。第一話、いかがだったでしょうか。
今作が初投稿なわけですが構想自体は私が少年期(中学時代)から練っているものなので
ある程度引き出し、というかネタもありできれば年内にお見せしていけたらなとは考えております。

 投稿頻度については何とも言えず、順調にいけば1,2週にひとつ、悪ければ月にひとつ出せるかなといった感じです。
文章力などは乏しいのですが是非、これからよろしくお願いできればうれしい限りです。



(状況によって一部内容を修正する場合がございます)

 この作品は小説投稿サイト「エブリスタ」にも投稿しております。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。