ようやく2話、投稿させていただきます。
今回は短めの内容でお送りいたします。
第2話 ようこそ、喫茶《R》へ(仮)
# 1.帰還、そしてもうひとり
あれから約2時間後。
戦いの火は収まり、街は静けさと焦げた空気に包まれていた。
達輝は、半壊された公園を一人で歩いていた。
瓦礫と煙の残る路地。あの戦いがまるで夢だったかのような、現実離れした光景。
「はー……まだ心臓バクバクしてんだが……」
ビニール袋を片手に溜息をつく。
道を逸れてフラッと歩いたのは、好奇心か、気まぐれか
「ん~....」
物言わぬ表情でうつむいている。
が、次の瞬間_____
「あぁ~~~!夢がかなっっちゃった~~!!」
男は公園の中心で天を仰ぎ、恍惚とした顔で叫んだ。
幸い、辺りには人がいない。住宅街ではあるがあんな事《破壊活動》があった後だ。
大半は避難場所に移動しているだろう。
さすがのこの男も大衆の面前で大声を出すことは滅多にない。こんな状況だからやったのであった。
ふと、隅に目をやる。
そこで、彼は見つけてしまった。
「ん……? ……あれ、人じゃね……?」
半ば崩れた茂みの中、ぐったりと倒れる少女。
どこかの制服であろう衣装は焼け焦げ、薄い金髪のショートヘアが土に汚れていた。
達輝は警戒しながらも少女に近づく。
「お、おいっ!? ……って、生きてるのか?これ」
幸い、脈はある。呼吸も、浅いが確認できる。
「えー…………どうすっかな」
達輝は数秒だけ迷った後、深く息を吐いて少女を背負う。
「あらよっとっ」
「うちの店、喫茶と模型に……保護施設も始めるか?これもう」
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# 2.突っ込み、すっとぼけ、欲しがって
喫茶《R》は奇跡的に無事だった。
周囲の街並みが破壊される中、まるで何者かに守られたように、
店前に立てかけてた看板もそのままに。
「無事で良かったなぁ……って、思ってたらさぁ!」
達輝は倒れていた少女を背負って戻ってきていた。
金髪ショートの少女――
「達輝、いい加減にしろ」
厨房から仁王立ちで出てきた健悟は、思いっきり眉間にシワを寄せていた。
「だって! 目の前で倒れてたら助けるじゃん!? 人として!! 店として!!」
「店関係ねぇだろ」
「いや、いやほんと、これはさすがに人道的に助けるしかねぇじゃん?」
「見ず知らずの女の子を、な?」
「あーー、見た感じ、多分……うん、ヒロイン枠」
「何勝手にキャラ付けしてんだよ」
達輝は少女を休憩室のソファに寝かせ、健悟は煤まみれの顔を濡らしたタオルで拭う。
「ああっ、この“気弱そうな寝顔”! 将来語り草になるヤツだ!」
「お前ちょっと黙れ。俺が処置する」
健悟が淡々と毛布など必要なものを用意しながらつぶやく。
「……見た感じ軍の関係者とかじゃ、ねぇだろうな?」
「いやー……制服的に多分、学生。たぶん、ね? きっと、うん」
「そうじゃないにしてもこのナリで、もし“訳アリ”だったらどうすんだよ」
「そのときは、うちの厨房で皿洗いさせて更生させる」
「なんの話だよ」
「ちょうどバイトも一人欲しかったしさっ?しーーさっ?」
健悟はその発言に対してそっぽ向き、呆れた顔をするのであった。
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# 3.目覚めぬ少女に目覚めた機体
夜。
喫茶《R》に静かなジャズが流れていた。
身元不明の少女はまだ目を覚まさない。
達輝は彼女が気がかりになりながら、コーヒーを啜すすっていた。
(目が覚めたらプラモ布教してみっか☆)
けれど彼はまだ知らない。
この少女が、別の世界からの来訪者であること、自分が戦ったあの黒い機体のパイロットであったことを――
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――そしてその頃、空の上。軍の施設とは異なる高高度空域に浮かぶ秘密ドッグ。そこに格納された白い機体、ランシェルファーのメンテナンスが進められていた。
「本当に素人が起動して戦ったってわけね……」
機体の前に立つ女性の声。緑色のつなぎを着ているのは、“白い機体のメインメカニック”である祥鳳彩音。
後に回収した「臨時用仮設プラズマバッテリー」を横目にランシェルファーの損傷箇所を確認しながら、彼女は苦々しく呟いた。
「よりにもよって、輪廻転生炉が反応するなんて……あの男、いったい何者?」
彼女の視線は、戦闘ログに記録された金色の剣――堕天剣の映像に注がれてた。
そんなことをつぶやいているとカツッカツッという物音が収容スペースに響く。
「もう~、そんなにタブレットばっかり見てると目の奥がニョキーン!って伸びちゃうよ?」
彩音の隣に立ち、両腕をピンと前に出して「目が伸びる」表現をする女性がいた。
“祥鳳幸穂”、彼女は彩音の二つ上の姉であった。
「お姉ちゃん、私は“この子”を勝手に乗り回した不届き者を調べてるの!輪廻転生炉を起動できたのだってなにか裏があるはずだわ!」
「彩音ちゃんったら、その人をクワッ!カッ!って目で怪しむの。よくないな~」
幸穂の聞きなじみのない表現の仕方に不機嫌そうな顔つきも引きつってしまった。
「いつも思うけど、お姉ちゃんのその擬音とか表現って個性的だよね...」
「むふーっ!表現力豊かだといいたまえ!」
「ま、冗談はさておきっ。記録上最後の起動から15年も動かなかった炉心が今日また動いたんだよ」
そう言うと幸穂はランシェルファーの横を歩いていく。
足取りは軽やかで状況を把握していない者でも理解できるほどウキウキしている様子だった。
そしてある位置に着く、ランシェルファーの他に天井からライトで照らされているハンガーが3台分。
彼女はその場で大の字に体を広げ、まるで照明によって輝いた目で言い放つ。
「ようやく、ようやく完成するの」
「おじいちゃんと、あたし達の……“RS計画”はこれで完成するんだわ!」
# 4.出発点は唐突に
朝。
喫茶《R》の予備室――。
「……ん、う……」
少女が目を覚ました。警戒する様子もなく、ぼんやりと天井を見上げる。
「……私……は……?」
微かな声。まだ意識は朦朧としていた。
「生きて……る?」
「…………んぁっ?」
ベッド脇の椅子で寝落ちしていた七瀬達輝は、その声で目を覚ました。
「おっ……! 起きた! 目覚めおめでとうございますっ!」
思いっきり寝癖のついた髪をくしゃくしゃにしながら、笑顔を向ける達輝。
あまりに唐突で元気すぎる挨拶に少女は完全に目が覚めてしまった。
「いえ……あっえと」
辺りをきょろきょろ見渡した後、恐る恐る口を開いた。
「こ、ここ……どこ……?」
戸惑う様子も関係なく、達輝は待ってましたと言わんばかりの嬉しそうな表情で少女に告げる。
「いやぁ~、どうもどうも~」
「ようこそ、喫茶《R》へ」