このアカデミアには月に一回で試験がある。
これは生徒の寮の昇格や降格がかかわってくるかなり重要な試験でみんな真剣に取り組んでいる。
「ねえ、カイ君」
「なんだ、結?」
「試験勉強とかしないの?」
「俺はこれでもI2社のテストデュエリストだ。ここの試験ぐらい余裕だ」
「ふーん」
「それよりな」
「なに?」
「なんで俺の部屋に堂々といるんだ?」
そう、さっきから俺たちが話をしているのはイエロー寮の俺の部屋。
女子はブルー寮にしかいないのでここは男子寮。こいつがいていいはずがないのだ。
「いやー、部屋にいると虚ちゃんが明日の試験の勉強しろやら片づけをしろやらいろいろうるさいから抜け出してきちゃった☆」
俺は携帯端末で結に気づかれないように虚にメールで連絡した。
数分後、虚がそれはもういい笑顔でやってきて
「連絡ありがとうございます、カイ君。後でお礼をしにまいります」
そう言って結の顔をアイアンクローで引きずって行った。
次の日、つまり月一試験の日。
俺は登校し結と虚と他愛もない話で時間を潰していると試験が始まった。
試験監督のレッド寮寮長大徳寺先生がプリントを回し、合図とともに問題を解きはじめた。
試験を解いている途中に遊城が遅れて入ってきて先生に注意されて、問題用紙と答案用紙を受け取ったがすぐに居眠りし始めた。
周りの生徒はものすごく迷惑そうにしていた。
試験終了後、生徒たちは先を争うように購買に向かっていった。おそらく、今日発売のカードパックを買いに行ったのだろ。
今更新しいカード入れてもほとんど役に立たないってなぜわからないのだろう?
「カイ君、試験どうだった?」
「結か。別に問題なかった」
「ふ~ん。ねえ、カイ君はカード買いに行かないの?」
「今更デッキに入れてもほとんど意味ないだろ?むしろそれでデッキのバランス崩したら本末転倒だ」
「それもそうね。まあ、どっちみち私にはカイ君がくれたカードがあるしね」
「まあ、水精鱗関連のカードはお前しか持っていないからな。俺が持っていても仕方ない」
俺がこの間こいつにあげたのは二年前には渡し損ねた数枚の水精鱗モンスターとサポートカード、他数枚だけだ。シンクロ・エクシーズモンスターはまだI2社にあるから渡すわけにもいかない。
「さて、俺は昼食を食べに行くか」
「あ、私も行く!」
席を立ち、食堂へ俺が向かうと結が俺の腕に抱きついて来た。まったく
食堂で昼飯をすませて実技試験の行われる決闘場に来た。
しばらく、他の試験を眺めていたら見知った顔の試験をやっていたので観察する。
まず、明日香は、相手は同じブルーだが危なげなく勝利
明日香の取り巻き二人も勝利していた。
眼鏡は同じレッドのやつとなんというか面白みのないデュエルをやっていた。どうでもいいか。
結は、まあ、相手のブルー男子にご愁傷様とだけ言っておこう。
なにせ、自分のターンなのに結がメガロアビスとかリードアビスを召喚するし、海皇の重装兵や狙撃兵でセットカードとモンスターは破壊。アクアジェットとアビスコーン、アビスケイル系装備魔法で強化された二体によるオーバーキルだった。もう相手涙目ですよ。よく見たら万丈目の取り巻きのひとりだった。
虚は、《Theアトモスフィア》主体のデッキで圧勝していた。
《Theアトモスフィア》
☆8/風属性/鳥獣族/効果モンスター
このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に存在するモンスター2体と自分の墓地に存在するモンスター1体をゲームから除外した場合に特殊召喚する事ができる。1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事ができる。このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値分アップする。
相手の場のモンスター二体がそろった瞬間、その二体をリリースして《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》を召喚。それをアトモスフィアで吸収。伏せカードは《終焉の焔》のトークンをリリースして召喚した帝モンスター《邪帝ガイウス》で除去とかしていた。
相手のブルー男子、ってよく見たらこいつも万丈目の取り巻きは本気で泣いていた。虚もその姿にひいていた。
遊城の相手はなんとブルーの万城目だった。その内容を言うと、これはヒドイというものだ。
万丈目は《XYZ-ドラゴン・キャノン》と《VW-タイガー・カタパルト》を召喚したのだが、何をとち狂ったのか効果を使わず二体を合体。《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》という元の世界ではロマンカードと言われていたカードを召喚した。XYZの効果で遊城のモンスターを除去。そして二体で攻撃していれば勝てたというのに、ブルー生って実はあんまりすごくないのか?あんなのがトップとかレベル低すぎるだろ。
そのあと、遊城がハネクリボーを進化させ、反射ダメージをお見舞い。そのまま、攻撃力1000のフェザーマンを引き当て勝利した。
ほんと、訳の分からないデュエルだった。
そして、俺の番がやってきた。
相手は、入試トップであり、成績が俺と常に同着一位の三沢大地だった。
「お前が相手か?三沢」
「ああ。今日は俺が君に勝ってイエローの主席になってみせるよ」
何やら自信ありげだな三沢。
『それでは試験開始』
「「デュエル!」」
カイLP4000
三沢LP4000
「先攻は俺だ、ドロー!」
手札にカードを加えて、思案する。
三沢は対戦相手のことを研究して対応策を練ってくる、頭脳派だ。
成績も優秀で常に努力を怠らない姿勢は尊敬に値する。そんな三沢が自信ありげにしているのだ。俺のデッキを封じる手があるのだろう。ここは
「《ハウンド・ドラゴン》召喚。カードを一枚伏せてターンエンド」
カイ:手札4
ハウンド・ドラゴン
伏せ1
「俺のターン、ドロー!」
俺のデッキは光と闇属性のモンスター混合デッキと思われている。そして、墓地にモンスターを送り蘇生、または効果や特殊召喚のコストにして戦う。となると
「俺は《ライオウ》を召喚!さらに永続魔法を二枚発動!《強者の苦痛》と《次元の裂け目》!」
やっぱりか。《次元の裂け目》に《ライオウ》。前者は墓地に送られるモンスターをゲームから除外する効果をもつ永続魔法。そして後者はデッキからのサーチを封じ自信をリリースすることでチェーン処理に乗らないモンスターの特殊召喚を無効にし破壊する効果を持つモンスター。
どちらも俺のデッキにとってかなり相性が悪い。
しかも《強者の苦痛》という、相手のモンスターの攻撃力をレベル×100ダウンさせる厄介なカード付だ。
「やってくれるな、三沢」
「君に勝つにはこれぐらいしないとね。ライオウでハウンド・ドラゴンに攻撃!ハウンド・ドラゴンの攻撃力は強者の苦痛の効果で400ポイントダウンしている。太刀打ちできまい」
ハウンド・ドラゴン
攻1700→1300
「リバースカード発動。《威嚇する咆哮》。このターン相手は攻撃できない」
「防がれたか。カードを一枚伏せてターンエンド」
三沢:手札2
ライオウ
次元の裂け目
強者の苦痛
伏せ1
カイ:手札4
ハウンド・ドラゴン
「俺のターン、ドロー。《ライトロード・マジシャン・ライラ》を召喚。そして効果発動。攻撃表示のこのカードを守備表示にすることで相手の魔法・罠を一枚破壊する。ライラを守備表示にして次元の裂け目を破壊」
ライラが膝をつき持っていた杖から光が放たれ次元の裂け目に向かう。
「そうはいかないぞ。リバースカード発動。《天罰》。手札一枚をコストにモンスターの効果の発動を無効にして破壊する。そして次元の裂け目の効果でライラは墓地に行かず除外される」
空から落ちた雷がライラを破壊し、次元の裂け目に飲み込まれてしまった。
「どうだ、火渡。君の戦術はすべて見切っている!」
「なるほど。ならば俺はカードを一枚セット。ハウンド・ドラゴンを守備表示にして、ターンエンド」
カイ:手札3
ハウンド・ドラゴン
伏せ1
「俺のターン、ドロー。《異次元の女戦士》を召喚」
《異次元の女戦士》
攻1500
「異次元の女戦士でハウンド・ドラゴンを攻撃!」
女戦士がハウンド・ドラゴンを切り裂く。
「続いてライオウでダイレクトアタック!」
カイ:LP4000→2100
「カードを一枚伏せてターンエンド」
三沢:手札0
ライオウ
異次元の女戦士
魔法・罠
次元の裂け目
強者の苦痛
伏せ1
「俺のターン、ドロー」
カイ:手札4
伏せ1
「三沢」
「なんだ?火渡」
「お前は強いよ。今までここで戦ってきた奴のほとんどが俺相手にただ、攻撃力の高いモンスターを召喚して、なんの警戒もせず慢心し、一瞬で楽しむ間もなくやられて言ったやつがほとんどだった」
特にブルー男子生徒がな。
前に俺に突っかかってくるやつがいないと言ったが少しはいたのだ。
一度だけ私服姿の俺のことを面白く思わなかったブルーの数人がデュエルを挑んできたが全員ワンキルで潰した。なんなんだよあれは。攻撃力の高いモンスターだしただけで勝って気になって伏せカードもなし、あったとしても攻撃反応型で除去しやすかったし。
で、《ダーク・アームド・ドラゴン》や《
例外は結と木宮位である。
「だから、俺の手を封じ挑んでくるお前に俺も本気で戦わせてもらう」
「火渡。ああ、来い!」
「速攻魔法《異次元からの埋葬》を発動。除外されているモンスターを三体まで選び持ち主の墓地に戻す。俺は除外されているハウンド・ドラゴンとライトロード・マジシャン・ライラを墓地に戻す」
「(墓地に光と闇のモンスターを戻した?ライトパルサー・ドラゴンか?だが、ライオウがいる限り特殊召喚されたモンスターはすぐに破壊できる)」
「そして、俺は《サイバー・ダーク・キール》を召喚」
「なに!?サイバーモンスターだと」
キールの登場に三沢だけじゃなく会場の誰もが驚いている。特にここから見た限りじゃあ校長とブルーの三年生が一人身を乗り出すほど驚いている。
あれがおそらく資料で見た丸藤亮。ここの
確か、サイバー流という流派を学び、サイバーモンスターを使いこなすとか。で、その師範が校長。
そして、このサイバー・ダークモンスターたちはサイバー流の禁じられたカード達だったな。
まあ、それはどうでもいいか。何か言って来たら潰すだけだ。
「サイバー・ダーク・キールの効果発動。墓地のレベル3以下のドラゴン族モンスター一体をこのカードに装備カード扱いで装備する。そして、装備したモンスターの攻撃力分攻撃力を上昇させる。墓地のハウンド・ドラゴンを装備」
《サイバー・ダーク・キール》
攻400→2100
「攻撃力2100だと!?」
「サイバー・ダーク・キールでライオウを攻撃!そして、キールがモンスターを破壊したとき相手に300ポイントのダメージを与える」
「なに!ぐあぁ」
三沢:LP4000→3800→3500
微々たるダメージだがここから流れを掴む。
「罠発動、《リビングデッドの呼び声》。自分の墓地からモンスター一体を復活させる。甦れ、ライラ!そして、ライラの効果、守備表示にして次元の裂け目を破壊」
「くっ、次元の裂け目が。だがこのデッキにはまだ次元の裂け目が残っている。次のターンに引き当てて見せる!」
「ふっ、カードを一枚セットしターンエンド。そしてライラの効果でデッキからカードを三枚墓地に送る」
墓地に送られたカードは、サイバー・ダーク・エッジ、裁きの龍、死者蘇生
カイ:手札2
サイバー・ダーク・キール(ハウンド・ドラゴン装備)
ライトロード・マジシャン・ライラ
「俺のターン、ドロー」
三沢:LP3500
手札1
異次元の女戦士
魔法・罠
強者の苦痛
「よし、《次元の裂け目》を発動!(これであとは女戦士でライラを破壊すればまた火渡の戦術を止めることができる)」
やはり引いて来たか。流石だな。だが
「今回は俺の方が一枚上手だったようだな」
「何?」
「リバースカード発動。《マジックジャマー》」
「なんだと?!」
「手札を一枚捨てることで魔法カードの発動を無効にし破壊する」
俺は手札にあった《ネクロガードナー》を墓地に送る。
そして次元の裂け目は発動を無効にされ破壊された。
「くっ、ならば異次元の女戦士でライトロード・マジシャン・ライラに攻撃。ターンエンド(くっ、序盤に手札を使いすぎた)」
三沢:手札0
異次元の女戦士
魔法・罠
強者の苦痛
「俺のターン、ドロー」
カイ:手札2
「魔法カード《サイバー・ダーク・リサイクル》発動。墓地の「サイバー・ダーク」と名のつくモンスター一体をデッキに戻し、二枚ドローする。墓地に眠るエッジを戻し二枚ドロー」
「いつの間に?まさか、ライラの効果か!」
「そうだ。さらに《壺の中の魔導書》発動。お互いにカードを三枚ドローする」
手札5
「《大嵐》を発動!すべての魔法・罠カードを破壊」
「(《強者の苦痛》と《スピリット・バリア》が)くっ」
「そして魔法カード《パワー・ボンド》発動!」
「「「「「「「「「「「「「「「「《パワー・ボンド》!!!??!」」」」」」」」」」」」」」」」
俺の発動したカードにまたしても生徒全員が驚きの声をあげる。
後から知ったことだがパワー・ボンドは丸藤亮が使う切り札のレアカードらしい。だからこんなに驚いていたわけか。
「手札の《サイバー・ダーク・エッジ》、《サイバー・ダーク・ホーン》。そして場の《サイバー・ダーク・キール》を融合!」
三体のサイバー・ダークモンスターたちが姿を現し一つの姿となる。
「現れろ!《鎧黒龍―サイバー・ダーク・ドラゴン》!」
機械でできた骨格を思わせるような姿をした龍が俺のフィールドに現れ、会場に咆哮をとどろかせる。やっぱりこいつは元気な奴だ。
鎧黒龍―サイバー・ダーク・ドラゴン
攻1000
「(サイバー・ダークの融合ということは)」
「こいつも当然、墓地のドラゴン族を装備できる。その前に、パワー・ボンドの効果。このカードの効果で融合召喚したモンスターは攻撃力が二倍になる」
鎧黒龍―サイバー・ダーク・ドラゴン
攻1000→2000
「墓地の《裁きの龍》を装備。その攻撃力分攻撃力アップ」
墓地から裁きの龍が現れてサイバー・ダーク・ドラゴンに装備される。
鎧黒龍―サイバー・ダーク・ドラゴン
攻2000→5000
「さらに墓地のモンスター一体につき攻撃力100ポイントアップ。今の俺の墓地にはモンスターが6体。よって600ポイントアップ」
鎧黒龍―サイバー・ダーク・ドラゴン
攻5000→5600
サイバー・ダーク・ドラゴンがさらなる咆哮をあげ、会場を震わせる。
「攻撃力、5600」
「三沢、次も楽しませてくれよ」
「ああ!来い火渡、いやカイ!」
「鎧黒龍―サイバー・ダーク・ドラゴンで異次元の女戦士に攻撃!ダークネス・ディストラクション・バースト!」
三沢:LP3500-4100→0
『勝者、火渡カイ』
「負けたよ、カイ。これで君がイエローのトップだな」
「俺はそう言うのに興味はない。ただ面白いデュエルができればそれでいい」
俺がそう言うと三沢は少し、あっけにとられた顔をするがすぐに苦笑しながら
「君はかなりの変わり者だね。まあ、いい。またデュエルしてくれるか?」
「ああ。お前とならまたいいデュエルができそうだ」
そう言って柄にもなく握手を交わした。
そして、観客席に戻った俺は次のデュエルを観戦することにする。
それは木宮ともう一人のシンクロ使い、皇剣のデュエルだった。
以上、VSエアーマンこと三沢でした。
今回はVSカイザーにしようか迷いましたが、流石に学年が違うから無理なのではという意見を知り合いからもらいまして、三沢にしました。同じ寮ですしね。
虚さんのデッキは私も使っているデッキで、トークンや下級モンスターを守りながら、アトモスフィアにつなげる感じです。
次回はVS転生者ですね。まあ、大体皆さんの予想道理になるでしょうけど。
あと、大学の試験なので一週間はどの小説も更新できないかもしれません。すみません。
最近、感想やオリカの案がこなくてさびしいです