季節は廻り、冬になった。
アカデミアは今日より冬休みとなる。
生徒のほとんどが帰省する中、俺も寮の自室で荷物をまとめていた。
「カイく~ん」
そんな俺の元に荷物を手にした結が入ってきた。
「帰る準備はできた~?」
「大方終わった」
「そう。じゃあ行きましょう?みんな待ってるわ」
「ああ」
アカデミアの港の隣にあるヘリポートに結と行くとそこには、一機のジェット機と虚、明日香、遊城、眼鏡、亮、前田、三沢が待っていた。
「お!遅いぜ~カイ」
「お前らが早すぎるだけだ」
俺に一人の黒服の男性、海馬の使いの磯野さんが近づいてくる。
「火渡様、以上で全員がそろわれたのですか?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました。皆様どうぞ、ジェット機の中へ」
磯野さんも声に従い全員がジェット機に入る。向かう先は堂実野町の海馬コーポレーションだ。
ジェット機に乗ること約一時間。
目的地である堂実野町に俺達は来た。
今回ここに来たのは海馬に冬休みの間はここに来て新規カードの作成を手伝うよう言われていたのだが、それに便乗するように結もついていくと言い出し、さらにもともと連れて行く予定だった木宮から情報を仕入れた十代(月一試験の後から名前で呼んでくれと言われた)が一緒に行きたいと言い、海馬に連絡したら
「かまわん。何人でも連れてくるがいい。ただし貴様が認めた者のみだ。あのカスのようなやつは連れて来るな」
という御言葉をもらった。
その結果、何人もの人物に連絡を取ったところこのメンバーで行くことになった。
ちなみにあのカスこと
まっとうな人格ならともかくあの自己中心的な思考回路に加え、退学後も「あの勝負は何かの間違いだ!」だの、「オリ主の俺様を出せ!」と言い続けているので海馬も扱いに困っているらしい。
閑話休題
海馬が用意したリムジンに乗りながら海馬コーポレーションを目指す。
リムジン内では十代がはしゃいだり、結が俺に抱きついて来たり、眼鏡がガチガチに緊張したり、結と完備されていた飲み物をストローで一緒に飲んだり、前田と三沢が外を眺めたり、結とお菓子を食べたり、木宮と明日香がデッキについて相談したり、亮が自分のデッキを眺めたり、結の髪が乱れていたので整えやったり、虚が読書したり、結が俺に膝枕をしてくれと言ってきたのでしてやったりしているうちに到着した。
「「「「「どんだけいちゃついているん(ですか)(すか)(だ)(の)(だな)!!!」」」」」
虚、眼鏡、木宮、明日香、前田の言葉と
『カイ、最近あなた初期のキャラが崩れていますよ』
『クール系じゃなかったのか?』
『最近、結がお邪魔していろいろしていましたから』
『おかげでこんなことも無意識でやっちゃうようになっちゃったんだよね~』
『結の計画通りっていうことなのよね』
フェニス、ヒータ、ルカ、ルイ、エリアの言葉、そしてリムジン内の行動を振り返り少し愕然とした。
結は「計画通り」という扇子をかかげていた。
「・・・その扇子は何だ?」
「最近のマイブーム?」
首を傾げたその姿に不覚にもかわいいと思ってしまった。
社内に入り、海馬の社長室に通された。
海馬の隣には《
「ふぅん、かなりの人数になったな。まあ、いい。今回貴様らを呼んだのは新カードと新ルールのテスターとして働いてもらうためだ」
「具体的な内容は?」
海馬は手元のパソコンを操作する。すると、部屋の明かりが落ち、スクリーンが現れ、ある文字が浮かび上がった。
「KC-クリスマスグランプリ?」
その文字を木宮が読み上げる。
「もうすぐクリスマスです。それに合わせてわが社では大規模なデュエル大会を催すことになりました。それがこのKC-クリスマスグランプリです」
キサラさんが説明する。
「この大会は、参加者が制限時間内に大会会場である海馬ランドでデュエルを行い、勝ち星の最も多い者二人で最後にデュエルをしてもらうというものです。優勝者にはI2社が作った特別デッキ二組が贈呈されます」
「もしかしてその大会に出られるのか?!」
十代が興奮しながら問いかける。
「ええ。ですが火渡様、木宮様には大会に出てもらうことよりも重要なことがあります」
「え?」
「・・・なるほどな」
木宮は分からなかったようだが、俺はなんとなくわかった。
「つまり、カイ君と翼くんにはエキシビジョンマッチをやってもらうってことね?」
「はい。更識様の仰る通りです」
「俺はエクシーズ召喚、木宮はシンクロ召喚を使う。俺達二人がデュエルすることで二つの召喚の実演になるというわけだろ?」
俺の言葉にいまいちよくわかっていなかった連中、十代、眼鏡、前田は納得する。
「加えて、優勝賞品であるデッキにもエクシーズ召喚とシンクロ召喚のギミックがあります。ふたつの召喚の凄さがアピールされれば大会はさらに盛り上がることでしょう」
キサラさんが補足をする。
なるほど、これほどうまい宣伝はないな。
「じゃあ、俺と木宮は大会不参加だが他のみんなはどうする?」
「俺は出るぜ!新しいデッキを早く使ってみたいしな」
十代は先日やっとデッキができたらしい。デュエルバカのこいつのことだから一秒でも早くやりたいのだろう。
「僕も出てみるッス。どこまでやれるのか試してみたいッス」
眼鏡は制裁デュエル以降、自信をつけたらしい。その様子をどこか誇らしげに亮が見ている。
「俺はやめておくんだな。それよりもそのデッキのカードに興味があるんだな」
前田はどちらかといえばカードデザイナー向けの才能の持ち主だろうな。カードについての興味が強いからデュエルはあまりしたくないのだろう。
「私は参加するわ。デッキもだいぶ回せるようになったし、自分の力を試すいい機会だもの」
『私もがんばるよ!』
明日香の言葉にエリアルが元気よく続ける。
「俺も参加しよう。今のデッキの完成度を見てみたいし、これからのデッキ作成において貴重なデータがとれるだろう」
三沢も参加するようだ。
「私はちょっとパスかな。実家の用事があるのよ」
『残念ですね』
『私は出たかった~』
『エリアルとこの間の決着をつけたかったのに!』
結は実家の用事(なんでもこの大会の準備が結に一任されるようで次期更識家当主なのだからこのくらいはやって見せろと言われたらしい)で不参加。ルカ、ルイが残念そうに言う。エリアが言っている決着とは休みになる前のデュエルで明日香が結に勝ったとのことだ。その時はマインドオーガスにエリアが倒され、それがフィニッシャーとなったらしい。その時のリベンジをエリアはしたかったのだろう。デッキを変えてから結と明日香の戦績は五分五分になったらしいからな。なんで知っているかって?毎日部屋に来る結がそう言っているんだよ。
「私も不参加ということになるでしょう」
虚は結の補佐だろうな。ちなみに虚の精霊は未だ帰ってこない。早く帰ってきてほしいと虚が言っていた。
「俺はもちろん参加しよう。どんな相手が出てくるのか興味がある」
最後に亮がそう言った。
こいつは間違いなくデュエルバカだ。
「ふぅん、参加者は5人か。いいだろう。登録しておいてやる。火渡と木宮はここに残れ。段取りを決める。他は退室して近くのホテルに案内してやる。磯野」
「はっ。皆様こちらです」
そして、十代たちは退室していったのだが
「私は残っていいでしょうか?一応、段取りなら私も聞くべきだと思うので」
結だけはそう言った。
海馬が俺に視線を向けたので、俺は無言でうなずいておく。
「よかろう」
「ありがとうございます」
そうして、社長室には海馬、キサラさん、俺、結、木宮、精霊たちが残された。
「さて、ここからの話しだが」
「話しても構わない。どうせいつかは知られることだ。お前もそれが知りたくて残ったのだろう?」
俺の言葉に結は頷く。
「カイ君、翼くん。あなた達二人には戸籍が全くない。今は確かにあるけれども、私はいろんな方法であなた達もことを調べたわ。その結果、カイ君には数年前までの情報が全くなく、戸籍に登録されている情報も造られたもの。本物じゃないわ。翼くんに至っては今年の頭まで存在も痕跡すらなかった。あなたたちはいったい何者なの?」
いろいろな方法って絶対ハッキングだよな?
「ふぅん、そこまで調べたか。流石は次期更識家当主と言ったところか。我が社とI2社のメインコンピュータにハッキングしていたとは」
「私だけの力じゃありません。妹の協力無くしては無理でした」
簪か。確かにそう言う作業は得意そうだが、海馬コーポレーションとI2社のメインコンピュータにハッキングし、証拠を残さないってあの天才、レベッカ・ホプキンスに匹敵するんじゃないのか?
「まあ、いいだろう。火渡話してやれ」
「ああ。木宮」
一応木宮に確認を取る。
「俺もいいぜ。隠し事はあまりしたくないからな」
「そうか。じゃあ、話すぞ。俺たちのことを」
そこから少し長い打ち合わせが始まった。
打ち合わせを終えて、社長室を退室。
そのまま、用意されたホテル(名前は《シャイニング・ホワイト・ホテル》。正面玄関に
自分の部屋につくまで終始俺達三人は無言だった。精霊のみんなも気をきかせてくれたのか黙っていてくれた。
木宮はすぐにあてられた部屋に移動したが俺と結は俺の部屋に入った。
「・・・」
「・・・」
しばらくはお互いに無言だったが、おもむろに結が立ち上がり俺に近づいて
「うむぅ?!」
俺とキスをした。
「むぅ・・ん」
「ん・・・ぷはっ。うんやっぱりね」
キスを終えた結がそう言い、俺の目をまっすぐに見る。自然と俺も結の目を瞬きせずに見つめてしまう。
「火渡カイ君。はっきり言います。私、更識結はあなたのことが大好きです。愛しています」
それは分かっていた。あれだけ俺の部屋に押しかけ、抱きついたり、弁当を作ってきてくれたりすれば。でも
「もし、君が「自分は別の世界から来た人間」ということを気にしているのなら私は気にしないわ。素性や正体がなんであれカイ君はカイ君だもん。君は数年前のあの日、私が一目ぼれした人で、学生生活で更に惚れた人。私はあなたとずっと歩んでいきたい」
「・・・俺で構わないのか?」
「当たり前よ。私はこれでも人を見る目はあるんだから♪」
「俺は」
俺は結のことをどう思っているのだろう?
初めて会ったときは、ただみていられなくて助けただけ。
だが、再会してから彼女とふれあい、いろんなところを見てきた。
肉弾戦やデュエルが強かったり、頭が良かったり、それでいて子供っぽいところがあって、いつも周りの中心になっている。
でも、その裏でかなり無理をしていたりすることもあることを俺は知っている。
更識家という名家に生まれ、次期当主として申し分ない才能を持ち、周囲の期待に応えるために自分を押し殺して振る舞っている。だが、そんなことをしていれば、いつかどこかで壊れてしまう。
一度、ルカとルイに相談されたことがある。
その時に結の支えになってほしいと言われた。
その時はよくわからなかったけど、注意してあいつを見てみれば、俺の前だと少し本当の自分を見せてくれていることに気が付いた。
たまに俺の部屋に来て、ベッドの上で少し愚痴を言ったりしていたが、虚にこっそり確認を取ったら、そんなことは幼馴染の自分以外には決し言わなかったのにと言っていた。
どうやら、妹の簪にも愚痴を言う姿は見せたことがないらしい。
俺が身元不明の怪しい奴だと分かっていても、そんな姿を見せていてくれたことを今日知ることができてうれしかった。
そんな彼女に俺は、俺は
「俺でいいのか?」
「もち。あなた以外は考えられないの」
「わかった」
俺は結の肩に手を置く。
「俺と結婚してくれ」
少し気が早いかもしれないが彼女の思いにこたえられる言葉は、これしかないと思い、自然に口から出ていた。
「はい」
そのまま俺たちはキスを交わした。
そのころの精霊たちの会話
ルイ「さてどうしょっか?」
ルカ「今晩は明日香さんのところに泊めてもらいましょう」
エリア「そうね。ここの部屋って広いから私たち五人が入っても大丈夫でしょ」
ヒータ「そうだな。カイにもやっと大事な人ができたんだしな」
フェニス「ええ。正直、毎日結さんが部屋にやってきたときから、こうなるのを今か今かと待っていましたから」
ヒータ「ああ。あの無自覚甘々空間は凄かったぜ」
ルカ「明日みなさんの反応が楽しみですね」
エリア「じゃあ、私たちも部屋に行きましょう。エリアルには私から言っておくから」
ルイ「はーい」
二人の部屋で何があったかは皆さんの想像にお任せします。
数日後、12月25日、クリスマス当日。
KC-クリスマスグランプリのエキシビジョンマッチの会場で俺と木宮は準備をしていた。
あの日から、俺と結が付き合いだしたことは周知の事実になっている。
最初はみんな驚いていたが祝福してくれた。
結の妹の簪も会いに来てくれて、結のことを祝福してくれて俺には「これからよろしくお願いします。お義兄ちゃん」と言ってくれた。
その後、簪は十代とヒーロー談義をしたりデュエルをしに行ったりした。あの二人も時間の問題じゃないのか?
現在、俺はデッキをチェックしている。
エクシーズ召喚の実演のため、今回は炎王デッキだ。サイバー・ダークは融合主体だからな。
そんな俺のところに結が来た。
「頑張ってね。エキシビジョンマッチとはいえ負けることは許さないわよ」
「当然だ」
「むこうじゃ、明日香ちゃんが翼くんに励ましの言葉を送っているみたいだけど」
「関係ない。勝つのは俺だ」
「いってらっしゃい」
「ああ」
軽くキスをして俺は会場に出て行った。
冬休み突入&KC-クリスマスグランプリ編開始!
昨日、もうすぐクリスマスだということに気づき書きました。
元々冬休みに大会はやる予定だったのですがクリスマスだし、やってみるかということでやってみました。
そして、ついにくっついたカイと結。あまり二人きりのシーンを見せていないのですが、作中でみんなが言っていたように結は毎日カイの部屋に行っていてスキンシップを取っていました。それを文章にするほどの文才が自分に無いのが悔やまれるくらいの甘々空間を展開し、カイを徐々に落としていったのです。まあ、カイもまんざらじゃあなかったでしょうね。
次回はカイVS翼の対決!初代ベイブレードの7話を思い出しながら書いてみます。
リアルの事情でクリスマスを過ぎてからの投稿になるかもしれませんがその時はすみません。
あと、オリカとしてレベル8のドラグニティアームズとシンクロモンスターのカードと炎王のエクシーズ、魔法・罠を募集します。
これからの展開上必要になって来るだろうと思われるので。
では、よいクリスマスを