遠足から数日後の昼休み。
俺は大徳寺先生の錬金術の授業が終わったので、いつも通り結の弁当をいただくことにする。
周りでは十代と簪、明日香と翼、ジェンとマリアムももはや日常風景と化している光景として、お互いに弁当を作って食べていた。
ついでにそんな俺達を見て嫉妬に狂う眼鏡と万丈目を筆頭とした男子たち、そして興味津々の表情で見ている女子たちも日常の風景となっている。
「あ~、遊城十代くん。ちょっと校長室まで来てほしいのですにゃ~」
「へ?」
簪の弁当に会ったから揚げを口に加えた十代がその声に反応する。
「はあはっはっ!十代、短い付き合いだったな」
「ああ、万丈目君も呼ばれているのにゃ~」
「な、何い!?」
万丈目もか。となると・・・
「それから更識結さんに火渡カイ君。更識簪さん、布仏虚さん、布仏本音さん、金健良君、マリアムさん、三沢君、天上院さん、木宮君も呼ばれているのにゃ」
俺達は昼食を一時中断して校長室に向かう。
そこには大転寺校長と織斑先生、亮。そして、久しぶり、本当に久しぶりに顔を見た気がするクロノス教諭がいた。
「さて揃いましたね。では皆さんにお話しておくべきことがあります」
大転寺校長は真剣な声で話し始めた。
「まず、三幻魔というカードのことを皆さんは知っていますか?」
「三幻魔・・・」
校長の言葉にほとんどのやつは分からないという顔をしている。例外は俺と翼、そして生徒会メンバー位だ。
「三幻魔とはこの学園の地下深くに、封印されているという三枚のカードのことです。その力はかの三幻神に匹敵すると言われています」
「三幻神に匹敵するですって?!」
明日香がほぼ全員の心の中の声を代弁する。
「三幻魔は一度解き放たれれば、世界を破滅に導くと言われているカードです。その封印は地下の遺跡の七星門という七つの石柱によって守られています。その七つの石柱は七つの鍵によって開かれるのですが・・・」
校長はそこで言葉を切り、重いため息をつく。
「その七つの鍵が盗まれてしまったのです」
その言葉に全員が驚く。俺も少なからず驚いている。
そんな俺達に校長は落ち着くよう言い、再び話し始める。
「ただ、門を開けるためには鍵だけでは不十分なのです」
「というと?」
「門を開けるためには強いデュエリスト同士のデュエルを制し、勝ったものが門の鍵を開けることができるそうです」
「その話の信憑性は?」
結が問いかける。
「わかりません。私も理事長から聞いただけなので。しかし、この話を盗んだ犯人が聞き本校の実力者である君たちにデュエルを挑んでくるかもしれません」
それは十分あり得る話だ。
「ですから、くれぐれも注意してください。もし、それらしき人物にデュエルを挑まれても決して相手をせず、私たち教師に連絡してください」
「最後にいいか?」
「なんですか?火渡君」
「犯人の目星はついているのですか?」
「いいえ。ただ、彼らは『セブンスターズ』と名乗っているということしかわかりません」
「そうですか」
俺達はその後、解散して校長室を出て行った。
校長先生の話を聞いた後、私、天上院明日香は一度教室に戻った後ジュンコやモモエのところに戻って授業を受けた。
全部の授業が終わった後に先生から、学園に不審者が出入りしているかもしれないので一人で出歩かないようにと連絡があった。
多分セブンスターズへの対策のためでしょうね。
「はあ、セブンスターズかぁ」
思わずつぶやいてしまう。
私には、失踪した兄さんの手掛かりをつかむという目的がある。そのために今まで灯台の下で亮と情報交換をしていた。でも、それもこのセブンスターズの一件が片付くまでできない。
それを思うととても歯がゆく思う。
そんなことを考えているとドアがノックされた。
「はーい。誰?」
「俺だ。翼だけど」
え?翼?!
私は思わぬ客人に少し焦りながらドアを開く。
そこには翼がいて、横にはウィンが静かにたたずんでいた。
「ど、どうしたの?こんな時間に」
「いや、明日香から借りていたノート、返すの忘れていたから。明日必要だろ?」
そう言って彼が差し出したのは確かに私が貸したノートだった。
「ありがとう」
「おう。こっちこそありがとうな。このノートのおかげで助かった」
「・・・ねえ、翼」
「ん?」
「私に兄さんがいるって知っているわよね?」
私は翼に兄さんのことを話した。廃寮に行った時に少し当たり障りのないことを話したけど、今度は詳しく。
何で話したのか私でもよくわからない。でも、もしかしたらセブンスターズの件で兄さんのことを調べられず、このまま見つけることができないかもしれないという不安を何とかしたいと思ったから話したのかもしれない。
「・・・」
「ごめんなさいね。急にこんなことを話したりして」
いきなり身内の行方不明話を持ちだされたら誰でも困惑するわよね。
私ったら何でこんなことを話したのかしら?翼に慰めてもらいたかったの?
少し、自己嫌悪していると、
「え?」
「無理するな」
翼が私を抱きかかえた!?
「ちょ、ちょっと」
「いままで明日香は頑張ってきたんだろ。兄ちゃんのことを心配して。弱音を吐かずに。夜中に廃寮に一人で入ったりしてさ」
「・・・うん」
「だから、たまには他のやつ、結やカイ、十代たちに甘えてもいいんだぜ。俺も協力する。だから自分一人で抱え込むな」
「・・・うん」
翼の言葉は私の心の中にしみ込んでいく。
まるで、私の中にあった不安がそよ風に流されていくみたい。
しばらく、私は翼に自分の身を預けた。
でも、次の瞬間。私の目の前に強烈な光が現れ気を失った。
突然現れた光に目をつむり、次に目を開けたとき俺の目に飛び込んできたのはさっきまでいた部屋とは全然違う場所だった。
「ここは?」
周りは岩の壁があり、足元は光る床。そして、その床の下に少し見えるのは赤く燃えたぎる、
「溶岩!?まさかここって火山の火口?!」
「ようこそ。私のフィールドに」
俺が自分のいる場所に困惑していると、声が聞こえた。
声のした方を向くと、黒い服装に仮面をつけた男がいた。
「わが名はダークネス。セブンスターズの一人だ」
「セブンスターズだと?」
いきなり現れたってのか。
「貴様にはデュエルをしてもらう。貴様ほどのデュエリストならば七星門の鍵を開けることもたやすい」
「・・・俺がそんなデュエルを受けると思っているのか?」
もしデュエルをすれば三幻魔が復活してしまう。それだけは避けないといけないんだ。
「フッ、デュエルを受けなければ後ろの女の命がないぞ?」
「何?」
ダークネスの言葉に俺は後ろを振り向く。そして、そこには光の膜に閉じ込められた、
「明日香!?」
くそ、明日香もつかまっていたのか?
しかも、その膜の下は溶岩だ。
『大丈夫です!明日香は気を失っているだけですから』
「エリアル。良かった一緒だったんだな」
『はい。でも私の力じゃこの膜を破ることはできません。ごめんなさい、グスッ』
エリアルは何もできない悔しさからか涙を流す。
「心配すんな、エリアル」
『え?』
「俺が必ず明日香を助ける。こいつをぶっ倒してな!」
『・・・わたしも頑張る』
俺は、いや俺だけじゃない。俺とウィンはダークネスをにらみつける。
「覚悟はできたようだな」
「さっさと終わらせてやるぜ」
「「デュエル!!」」
翼:LP4000
ダークネス:LP4000
先攻はあいつか。
「私のターン。モンスターをセット。カードを二枚伏せてターンエンド」
ダークネス:LP4000
手札3
セット1
伏せ2
まだ、あいつのデッキは分からない。でもさっさと決めるぜ。
「俺のターン!フィールド魔法《竜の渓谷》発動!」
フィールドは竜達が飛び交う渓谷に変わる。
「手札を一枚捨てて、効果を発動!デッキからレベル4以下の「ドラグニティ」を1体手札に加える。《ドラグニティ―ドゥクス》を手札に加え、召喚!」
ドラグニティ―ドゥクス
ATK:1500
「ドゥクスが召喚に成功した時、墓地に存在する「ドラグニティ」と名のついたドラゴン族モンスター1体を装備する。《ドラグニティ―ファランクス》を装備!そして、ファランクスの効果!装備カードとなっているこのカードを特殊召喚する!さらにドゥクスは自分フィールド上の「ドラグニティ」と名のついたカード1枚につき攻撃力が200ポイントアップする」
ドラグニティ―ドゥクス
ATK:1900
ドラグニティ―ファランクス
ATK:500
いつも俺が使う二体が現れる。ほんといつもありがとうな。
「魔法カード《波動共鳴》を発動!フィールドのモンスター1体のレベルをエンドフェイズまで4にする。俺はファランクスのレベルを4にする」
ドラグニティ―ファランクス
☆2→4
「レベル4のドゥクスにレベル4のファランクスをチューニング!集いし雨と風が、暴風となりすべてを飲み込む、シンクロ召喚!巻き起こせ嵐!《ドラグニティナイト―ジー・フンバオ》!」
暴風を纏う黄緑の甲冑の竜騎士が現れる。その手に持つのは身の丈もある巨大な薙刀。
ドラグニティナイト―ジー・フンバオ
ATK:2000
「ジー・フンバオが召喚に成功した時、自分の手札に存在する「ドラグニティ」と名のついたドラゴン族モンスターを任意の枚数だけ選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。そして、このカードの攻撃力は、装備された「ドラグニティ」と名のついたカードの枚数×600ポイントアップする!俺は手札の《ドラグニティ―ブランディストック》を装備!」
ドラグニティナイト―ジー・フンバオ
ATK:2600
「ジー・フンバオでセットモンスターに攻撃!風牙一閃!」
ジー・フンバオがその手に持つ薙刀でセットモンスターを両断する。
「ジー・フンバオは貫通効果を持つ!ダメージを食らえ!」
「ふん。罠カード発動《レインボー・ライフ》!手札を1枚捨てこのターン受けるダメージを無効にし、その数値分私のライフを回復させる。セットモンスターは守備力1100の仮面竜だ。よって1500ポイントライフを回復する」
ダークネス:LP5500
仮面竜
DEF:1100
万丈目も使うドラゴン族専用のリクルーター。つまりあいつのデッキはドラゴン。
「仮面竜の効果によりデッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。私が召喚するのは《黒竜の雛》だ」
黒竜の雛
DEF:500
あれは真紅眼を特殊召喚するモンスター。
このまま装備したブランディストックの効果でもう一度攻撃したらまたライフを回復される。でも、あの雛を残しておくのはまずい。
「ジー・フンバオに装備されているブランディストックの効果でジー・フンバオは1ターンに2回攻撃できる!風牙二閃!」
ジー・フンバオはもう一度薙刀を振り上げ、黒龍の雛に振り下ろし破壊する。
ダークネス:LP7600
「カードを一枚伏せてターンエンド」
翼:LP4000
手札1
ドラグニティナイト―ジー・フンバオ(ブランディストック装備)
伏せ1
くそ、早く決着をつけないといけないのにライフをかなり回復された。
「う、うん?」
『明日香!目が覚めたの』
「明日香!?」
どうやら明日香の目が覚めたみたいだな。
「エリアル?はっ、ここは!?」
『落ち着いて、明日香。実は・・・』
エリアルが状況を説明してくれるみたいだな。
「私のターンだ。ドロー」
おっと、今はこいつとのデュエルの真っ最中だった。
「永続罠カード《リビングデッドの呼び声》発動!私が蘇らせるのは《黒竜の雛》!」
黒竜の雛
ATK:800
くそ。せっかくライフを回復させてまで倒したのに。
「そして、このカードを墓地に送り、現れよ!《
雛がマグマに包まれ、その体を大きく成長させていく。
やがてその姿を現し、咆哮を上げる。
ATK:2400
「魔法カード《マジック・プランター》を発動。リビングデッドの呼び声を墓地に送り二枚ドローする」
ダークネス:手札3
「
ATK:2400
レッドアイズは闇に飲み込まれ、その姿をより強大にさせる。
「
ATK:3300
「さらに速攻魔法《飛龍天舞》発動。自分のデッキからドラゴン族モンスターを4枚まで選択して墓地へ送り、自分のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまでこの効果で墓地へ送ったドラゴン族モンスターの数×300ポイントアップさせる。私はデッキの《
ATK:5700
「攻撃力5700ですって!?」
「バトルだ。ダークネスドラゴンでジー・フンバオを攻撃!ダークネス・ギガ・フレイム!」
ダークネスドラゴンの攻撃を受けたらライフが一気に900まで削られちまう。
「罠カード《燃える闘志》。このカードは装備罠だ。このカードを装備したモンスターは相手フィールド上に元々の攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターがいるとき、元々の攻撃力が倍になる!ジー・フンバオに装備!」
ドラグニティナイト―ジー・フンバオ
ATK:4600
「だが攻撃力はダークネスドラゴンの方が上だ!消え去るがいい」
ダークネスドラゴンの攻撃にジー・フンバオは耐えることができず、破壊され攻撃の余波が俺を襲う。
「くっ、ぐああああああ!!?」
翼:LP2900
な、なんだ?これ。体がまるで本当の炎に焼かれたみたいだ。ソリッドビジョンじゃないのか?まさか・・・
「ぐっ」
「言い忘れていたが、このデュエルは闇のゲームだ。受けるダメージはすべて実体となる。そして敗者は火山の底に落ち、死ぬ」
やっぱりか。くそ、GXの原作知識は二期からしか覚えていからないから、今の時期の事件は分からないけどこんな手の込んだことをする奴のデュエルなんだ。ふつうのデュエルのはずがない。
「私はカードを一枚伏せ、ターンエンドだ。しかし、通常召喚を行っていないこのターンのエンドフェイズに墓地の《
ATK:2400
「そして、ダークネスドラゴンの攻撃力も下がる」
ATK:3300
「さあ、あがいて見せろ。木宮翼」
ダークネス:LP7600
手札0
伏せ1
セブンスターズ編本格始動。
ダークネスさんかなり強くしちゃった。ちなみにレダメを二体召喚しなかったのは時期的にまずいかなと思いまして。
感想などお待ちしておりまーす。
次回予告
レッドアイズの猛攻に翼は新たなドラグニティで対抗。
なんとか逆転するもダークネスのさらなる切り札に追い詰められる。
ダメージで倒れた翼に明日香の叫びが届くとき、奇跡は起きる。
次回「青き風」
結「デュエルスタンバイ♪」
オリカ紹介
ドラグニティナイト―ジー・フンバオ
シンクロ・効果モンスター
レベル8/風属性/ドラゴン族/攻撃力2000/守備力1500
ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の手札に存在する「ドラグニティ」と名のついたドラゴン族モンスターを任意の枚数だけ選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。
このカードの攻撃力は、このカードに装備された「ドラグニティ」と名のついたカードの枚数×600ポイントアップする。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、守備力を攻撃力が超えていればその数値分のダメージを相手に与える。
//「ジー・フンバオ」は中国語で「暴風の薙刀」の意味。
速攻魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターを1体選択して発動する。
自分のデッキからドラゴン族モンスターを4枚まで選択して墓地へ送る。
選択したモンスターの攻撃力は、エンドフェイズまでこの効果で墓地へ送った
ドラゴン族モンスターの数×300ポイントアップする。