結とカミューラのデュエルの翌日の生徒会室。
そこでは主を無くした生徒会長イスに簪が座りうつむいていた。
今の生徒会室にいるのは彼女だけで、他のみんなは授業に出ている。
その顔には涙の跡がいくつも残され、目は充血しているだろう。
そして、その手には彼女の姉を模した人形が大事そうに抱きかかえられていた。
カミューラのダイレクトアタックの直撃を受けた結。
とてつもない衝撃で煙が盛大に舞いその姿を隠す。
そして、煙がはれた後には、全身をボロボロにした結が倒れていた。
デュエルが終わり、カミューラの戒めから解放された簪はすぐに駆け寄ろうとしたが、結の体は光になり消えてしまい、代わりにカミューラの手に有った人形が結の姿に変わってしまった。
その人形をカミューラは愛おしげに撫でようとしたが、それは突然カミューラに放たれた水の球に遮られた。
エリアが実体化し、水霊術の力で攻撃したのだ。
カミューラの手を離れた人形はマリアムの指示を受けたシャーク・サッカーが素早く回収し、簪の手に渡った。
エリアとマリアム、シャーク・サッカーの見事なファインプレーで結の人形を取り返したが、それにカミューラは怒りを爆発させ、その口を耳まで裂けさせ、世にも恐ろしい形相で襲い掛かってきた。
そんなカミューラを吹き飛ばしたのは千冬だった。
目にもとまらぬ達人技の体術でカミューラを吹き飛ばした後、全員はなんとかカミューラの城から逃げおおせたのだった。
簪の頭の中には唯々後悔の念だけがあった。
あの時、自分が捕まらなければ姉はあの攻撃を防ぎ、次のターンに逆転していたかもしれない。
とても強くて、自慢の姉があんな卑怯なカードに頼る
「うう、ぐすっ」
自身が抱える人形に目を向ける。
姉はすぐ近くにいる。でも、しゃべらない、動かない、いつもの笑顔を浮かべて頭を撫でてくれない。
そのことが簪の心をどんどん苦しめていく。
「助けて・・・ヒーロー」
その言葉は無意識のうちに出たものかもしれない。
苦しくてつらくて、でも姉の仇を取りに行く勇気も出ない。
あのときに捕まった感覚と姉がとどめを刺される光景がフラッシュバックして動けない自分が恨めしくて。
そんな思いがごちゃ混ぜになった末にでた、小さな叫びなのかもしれない。
そして、その叫びは生徒会室のドアの前にいた
「よし。これで四十枚だ」
俺はデッキの調整を終えて、レッド寮の自室から抜け出す。翔と隼人は今、風呂に行っていていないから、行くのなら今だな。
『くりくり~』
「ん?相棒」
俺がレッド寮から出て湖へ隠れながら向かっているとハネクリボーが話しかけてくる。
すると、
「ぬわ!?」
「うわ!?」
いきなり誰かが飛び出してきた!ハネクリボーが伝えたかったのはこのことか?
「誰だ!?」
「それはこっちのセリフだ!って、その声は」
「その声、まさか」
「「万丈目(十代)!?」」
出てきたのは万丈目だった。
「何してんだよ、万丈目」
「万丈目さんだ。貴様こそ何をしている」
「お、俺はただ散歩してただけだ」
「ふん。嘘だな。おおかたカミューラのところに行こうとしていたのだろう?」
「う、そ、そんなこと・・・」
「いいや。そんなことある」
「「だれだ!?」」
いきなり聞こえた声に万丈目と振り返るとそこには、
「三沢!?」
「それにカイザー!?」
三沢とカイザーがいた。
「十代。万丈目。やはりお前たちもか」
「もってことは」
「ああ。俺とカイザーも今からカミューラとデュエルをしに行こうと思ってな」
「偶然鉢合わせた」
そうか。
「・・・やっぱりみんな」
みんな首を縦に振る。
「俺達はカイに留守を任されていた」
「なのに、むざむざ、クロノス先生と結君がやられるのを見ているだけだった・・・」
「・・・更識君に至っては妹さんまで危険に合わせて、しかも卑怯な手で・・・クソ!」
カイザー、三沢、万丈目・・・。
「ここで何もしなかったら俺はカイになんといって詫びればいいのだ」
「彼は俺をライバルと言ってくれた。その俺が・・・」
「・・・俺はやつとまともにデュエルしたことはない。だが、あいつは出ていくとき俺にも目を向けてくれた。俺にも学園を任せると言ってくれたんだ!」
「俺だってそうさ。カイに名指しで言われたんだ。学園を頼むって」
俺達は沈黙する。みんな許せないんだな。
あの時、何もできなかったことが。
「だから、俺がカミューラとデュエルをする」
カイザー。
「カミューラがしたことを俺は許せない。絶対に」
「それは俺も同じだ、カイザー」
「俺もだ」
みんな考えていることは同じか。でも、
「わるいみんな。今回は俺にやらせてくれないか」
「十代?」
「俺さ、さっき生徒会室に行って簪に会おうとしたんだ。でも、簪は涙を流しながらこう言っていたんだ」
――助けて・・・ヒーロー――
「俺はよく簪といっしょにヒーローもののテレビ見たり、話しをしたりするんだ。でさ、ある時言われたんだ。『私のヒーローになってくれる?』って」
あれはヒーローにヒロインが助け出される場面だった。
「その時、俺言っちゃったんだよな。『おう』って。何も考えずにさ」
みんな黙って聞いてくれている。
「今、簪はつらい目に合っている。もし、あのとき俺に何かできていたらこんなことにならなかったかもしれない」
簪が捕まる時に、体を張って守っていればもしかしたら何とかなったかもしれない。
「ヒーローってこんなにつらいんだな。守れないと。だから俺は今度こそ守って見せるんだ。簪にあんなつらそうな顔させたくない」
だから。
「だから、今回は俺にやらせてくれ!頼む・・・」
「「「・・・」」」
「・・・」
「・・・わかった」
「カイザー・・・」
「だがその前に一度お前のデッキを見せてくれ」
「え?」
「お前に対して失礼なことかもしれないが俺も何かしたいんだ。お前のデッキに合いそうな俺のカードを託したい」
「俺も見せてくれ。俺のカードならどんな状況にも対応できるはずだ」
「ふん。俺様のカードも恵んでやる。だから、必ず勝て」
みんな、
「ああ!わかったぜ」
俺は三人と一緒にもう一度デッキを組みなおすことにする。
「その話、俺も混ぜてくれないか?」
この声は?!
「ジェン!」
「よ」
片手を上げてこたえるジェン。
「お前もか」
「まあな」
ジェンも思いは同じなのか。心強いぜ。
「それと少し、悪い情報だ。湖のほとりに織斑先生がはっている」
げ!?マジで。
「やはりか。結君が独断でデュエルをしに行ったんだ。それくらいの対策はしているはずだ」
織斑先生は俺達のことを思ってやってくれているんだろうけど、今回は少しまずいぜ。
「だから、俺が織斑先生の気をそらしておく。四人はその隙に城に行け」
「え!?」
でも、それじゃあジェンが織斑先生の恐ろしい制裁を受けるんじゃ。
「大丈夫だ。これでも逃げ足には自信がある」
「・・・頼んでいいか?」
「ああ」
・・・ありがとうな、ジェン。
その後、俺たち五人でデッキをもう一度組み直した。
そして、
「できたぜ!」
「ああ」
「やったな」
「必ず勝て、十代!」
「これで負けたら、全員に何か奢れよ」
カイザー、三沢、万丈目、ジェン。ありがとう
待ってくれ簪。絶対に結を助けて見せるぜ!
「おい、クロノス先生を忘れているぞ」
「万丈目が本人を持っているんだから、忘れるなよ」
あ、わりぃわりぃ。
「なんか、しまらないな~」
茂みの中から湖の方を見ると、織斑先生が立っていた。その手にデュエルディスクを付けているけど、カミューラの城に行くべきかどうか迷っているみたいだ。
「・・・ライナ。頼む」
『了解!・・・・・・・えい!』
ジェンの指示に、ライナは光の球を織斑先生に投げる。それは一気に発光して閃光弾みたいになる。
「じゃあ、逝ってくる」
なんか字が違わなかったか?
ジェンは茂みを飛び出し、カミューラの城に行こうとするけど織斑先生はすぐにジェンにつかみかかる。
「織斑先生はさっきの閃光弾で目が見えないのではないのか?」
「おそらく気配で居場所を見つけたのだろう」
ジェンは織斑先生の手を躱して逃げていく。織斑先生もそれを追いかけていく。
「今のうちに行くぞ」
カイザーの言葉に俺達は茂みから飛び出して、カミューラの城に乗り込んだ。
「ようこそ。今夜の相手はあなた達かしら?」
奥まで進んで、結がデュエルしたところまで行くとカミューラが現れた。
「俺が相手だ!」
俺は名乗りを上げる。
「ふふふ、いいわ。昨日は人形を取られちゃったけど今回はそうはいかない。あなたたち全員を人形にして私のコレクションにしてあげる」
俺はデュエルをする舞台に上がる。
「勝てよ、十代!」
「君にすべてを託す」
「・・・君ならやれると信じている」
万丈目、三沢。そして、カイザー。
みんなの気持ち受け取ったぜ!
「「デュエル!」」
十代:LP4000
カミューラ:LP4000
「俺の先攻か。ドロー!」
これはジェンのカード。よし。
「モンスターをセット。カードを二枚伏せてターンエンドだ」
十代:LP4000
手札3
セット1
伏せ2
「私のターン。永続魔法《ミイラの呼び声》を発動。このカードの効果で私はモンスターがいないとき、手札のアンデット族モンスター1体を特殊召喚できるわ」
よく結たちが使う《ウォーター・ハザード》みたいな効果だな。でも、レベルの制限がないのはきついぜ。
「現れなさい、誇り高きヴァンパイアの王《ヴァンパイア・ロード》!」
ヴァンパイア・ロード
ATK:2000
「結君たちを苦しめたモンスター。早速出てきたか」
「やつを残しておいては、ジェネシスを呼ばれてしまう」
「さらに《不死のワーウルフ》を召喚!」
不死のワーウルフ
ATK:1200
「ヴァンパイア・ロードでセットモンスターに攻撃!」
セットモンスターにヴァンパイア・ロードが襲い掛かるけど、中から光が出てくる。
「な、なに?この光は!?」
光から現れるのは一匹の白い犬。
ライトロード・ハンター ライコウ
DEF:100
「ライコウのリバース効果発動!フィールド上のカード1枚を破壊する。俺が破壊するのは不死のワーウルフ!」
ライコウがワーウルフに飛びかかって破壊する。
「うまい!不死のワーウルフは破壊された時、同盟カードを召喚し、攻撃力を500ポイント上げる効果があるが」
「それは戦闘で破壊された時のみ。効果破壊なら問題はない」
助かったぜ、ジェン。
「その後、デッキからカードを三枚墓地に送る」
落ちたカードは・・・
E・HERO ネクロダークマン
ネクロ・ガードナー
スパークガン
「さらに罠カード発動!《ヒーローシグナル》」
天上にヒーロー達を呼ぶ、サインが現れる。
「ライコウの叫びを聞きつけ、来い!《E・HERO エアーマン》」
E・HERO エアーマン
ATK:1800
プロペラを着けたヒーローが現れる。エアーマンの効果はいつも頼りになるぜ。
「エアーマンの効果でデッキからスパークマンを手札に加えるぜ」
「カードを一枚伏せてターンエンドよ」
カミューラ:LP4000
手札2
ヴァンパイア・ロード
ミイラの呼び声(永続魔法)
「俺のターン!魔法カード《融合》発動!手札のフェザーマンとスパークマンを融合!雷と風と共に現れろ!《E・HERO ボルテック・ウイングマン》!」
雷と風を纏ったヒーローが暗い城の中を照らしながら舞い降りる。
E・HERO ボルテック・ウイングマン
ATK:2200
「ボルテック・ウイングマンの融合召喚に成功したとき、相手モンスターの表示形式を任意の数だけ変更することができる。俺はヴァンパイア・ロードを守備表示に変更!さらに、この効果によって表示形式が変更されたモンスターはエンドフェイズまで攻撃力と守備力が500ポイントダウンするぜ!」
ボルテック・ウイングマンが翼をはばたかせて、雷の風を巻き起こす。それに当たったヴァンパイア・ロードは体がしびれて膝をつく。
ヴァンパイア・ロード
DEF:1500→1000
「魔法カード《H―ヒートハート》を発動!自分のモンスター1体の攻撃力を500ポイントアップさせ、守備表示モンスターを攻撃した時、守備力を攻撃力が超えていればその数値分の戦闘ダメージを与える。俺はボルテック・ウイングマンを選択する!」
E・HERO ボルテック・ウイングマン
ATK:2200→2700
「モンスターの効果と魔法カードを組み合わせた見事なコンボだ」
「これなら大ダメージを与えられる」
「あの気味の悪いシンクロモンスターやインチキカードを使われる前に倒せ!十代」
「ボルテック・ウイングマンでヴァンパイア・ロードに攻撃!ライジングストリーム!」
雷と風を纏ったボルテック・ウイングマンがヴァンパイア・ロードに突っ込んで殴り飛ばす。
カミューラ:LP2300
「くっ、おのれぇ!罠カード発動!《ダメージ・コンデンサー》!戦闘ダメージを受けたとき、手札を捨ててデッキから受けた戦闘ダメージ以下の攻撃力を持つモンスター1体を特殊召喚する!私は手札の《馬頭鬼》を捨てて、《ヴァンパイア・バッツ》を特殊召喚するわ!」
ヴァンパイア・バッツ
ATK:800→1000(自身の効果)
厄介なモンスターを出されたぜ。でも、
「エアーマンで追撃だ!」
「ヴァンパイア・バッツの効果で破壊される代わりにデッキのヴァンパイア・バッツを墓地に送る!」
でも、ダメージは受けてもらうぜ。
「ぐぅ!?」
カミューラ:LP1500
「ターンエンドだ」
十代:LP4000
手札0
E・HERO ボルテック・ウイングマン
E・HERO エアーマン
「私のターン!《天使の施し》を発動!三枚ドローし、二枚捨てる。・・・チューナーモンスター《ペインペインター》を召喚!」
ペインペインター
ATK:400
チューナー、来る!
「墓地の《馬頭鬼》を除外して《不死のワーウルフ》を蘇生!レベル4の不死のワーウルフとレベル2のヴァンパイア・バッツにレベル2チューナーモンスター、ペインペインターをチューニング!常闇を統べる高潔なる王よ、いまこそ愚か者たちを串刺しの刑に処せ!シンクロ召喚《
The Vlad Dracul(ザ・ヴラド・ドラクル)
ATK:3200
昨日のやつとは違ってちゃんとした人の形をしたモンスターだ。でも
「あのモンスター、とてつもない瘴気を纏っている」
「なんにしても、否な予感がする」
みんなもそう思うか。
「うふふ、このお方は我らヴァンパイアの英雄。その昔、刃向った人間300人を串刺しの刑にかけた素晴らしいお方よ」
げ、なんてことしたんだ。
「そうか!思い出した。あのモンスターはドラキュラ公と呼ばれたヴラド・ツェペシュ、ワラキア公ヴラド三世をモデルにしているんだ。かのヴラド三世はルーマニア独立のために戦った英雄と言われているが、敵を串刺しの刑にしてさらしたことから吸血鬼のモデルになった人物だ」
三沢、お前何でも知っているんだな。デュエルとあんまり関係ないだろ。
「さあ、覚悟はいいかしら?このお方のシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地のアンデット族モンスターを5枚まで選択して除外して、その枚数分だけ、フィールド上のカードを選択して破壊するわ。私が除外するのは不死のワーウルフとペインペインターの二枚。そして破壊するのはあなたのモンスターよ。エグゼキュターレ(ルーマニア語で粛清)!」
背中から翼が生えてそこから無数の杭が、ボルテック・ウイングマンとエアーマンを串刺しにする。
「まずい。これで十代の場はがら空きだ」
「うふふ、さっきのお礼よ。さらに
口から炎を出して、それが鋭い槍になって俺に向かってくる。
「墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動!このカードを除外することで、攻撃を1度だけ無効にする」
半透明な戦士が俺を守ってくれる。助かったぜ。
「そのカードは」
「ライコウの時に墓地に送っていたのさ」
ジェンには二度も助けられたな。あとで飯でもおごってやるか。
「く、私はカードを一枚伏せてターンエンドよ」
カミューラ:LP1500
手札1
ミイラの呼び声(永続魔法)
伏せ1
「何とかしのいだが、十代の手札は0」
「融合は手札消費が激しい。ここで何とかしなければ勝機はない」
「俺のターン!俺は《カードガンナー》を守備表示で召喚」
カードガンナー
DEF:400
「カードガンナーの効果でデッキからカードを三枚墓地に送ってターンエンドだ」
送られたカード
スキルサクセサー
沼地の魔神王
E・HERO クレイマン
十代:P4000
手札0
カードガンナー(DEF)
「私のターン。万策尽きたようね。私は《死者蘇生》を発動!墓地の《ヴァンパイア・ロード》をよみがえらせるわ」
ヴァンパイア・ロード
ATK:2000
「ヴァンパイア・ロードを除外し、現れよ!吸血鬼の偉大なる始祖《ヴァンパイア・ジェネシス》!」
ヴァンパイア・ジェネシス
ATK:3000
「ここであのモンスターだと!?」
「攻撃力3200と3000。まずいぞ!?」
「ヴァンパイア・ジェネシスでカードガンナーを攻撃!ヘルヴィシャス・ブラッド!」
ヴァンパイア・ジェネシスの血の雨に壊されるカードガンナー。
「カードガンナーが破壊された時、カードを1枚ドローする」
十代:手札1
「
「く、ぐあああ!?」
十代:LP800
ヴラドの攻撃に吹き飛ばされそうになるけど何とかこらえる。
これが闇のデュエルのダメージ。こんなのを翼にクロノス先生、結は受けたのか。
「ターンエンドよ」
カミューラ:LP1500
手札0
ヴァンパイア・ジェネシス
ミイラの呼び声(永続魔法)
伏せ1
「十代!」
「遊城!」
「この声は・・・」
いきなり聞こえた声に入ってきた入口の方を見てみれば、簪を先頭に残してきたみんながいた。
「簪にみんな!どうしてここに?」
「十代が、いないって翔君たちが騒いで・・・」
あ、翔たちのこと完全に忘れていた。
「それでもしかしたらって思って湖にいる織斑先生のところに行ったら」
「こいつがバカやっていたってわけさ」
マリアムが自分の背中を指さしたからそこを見てみると、気絶したジェンがいた。
ジェン・・・。
「尊い犠牲だった」
「・・・ジェン、本当にありがとう」
きっと、織斑先生から逃げるだけじゃなく戦ってくれたんだな。俺達のために。
万丈目、三沢、カイザー。あとで俺たち全員でジェンに飯を奢ろうぜ。
「「「ああ!」」」
俺達はもう一度、友情を確認した。
「それで、貴様ら何をしたかわかっているんだろうな?」
そして、修羅も確認した。
「く、そ、それは」
「丸藤兄。最上級生の貴様までもまさかこのようなことをするとはな」
織斑先生はそういってカイザーをにらむ。
でも、カイザーはそれでもひるまずに言い返した。
「言いつけを守らなかったことは申し訳なく思います。でも、それでも俺は、俺達は我慢できなかった!」
カイザーの叫びに、みんな黙る。
「カイに後を託されたのに、俺達はクロノス先生に更識がやられていくのを見ていることしかできなかった。ここで何もしなければ俺達はカイのライバルとして、友として合わせる顔がありません」
「あいつは俺たちにとっての目標です。そんなあいつが大切にしている更識君をあんな卑怯な手で物言わぬ人形にされた」
「だから、俺達は黙っていることはできなかった。胸を張ってあいつに顔を会わせるために。覚悟を決めてここに来たんです」
カイザーに続いて三沢、万丈目が言う。
俺だって。
「織斑先生。俺も同じです。それに俺は前に約束したんです。『ヒーローになる』って」
「!?十代。まさか・・・」
「わりぃ、簪。勝手に聞いちまった。でもさ、俺はあの時何も考えずに『おう』って答えたんだ。でも、苦しんで泣いているお前を見て俺は心から思ったんだ。助けたいって」
簪も、そしてみんなが黙って聞いてくれる。
「俺はこのデュエルに勝つ。クロノス先生が言っていたみたいにデュエルはこんなふうに痛くてつらいことじゃない。ワクワクドキドキする楽しいことっていうことを証明したい。カイとの約束を守るためにクロノス先生と結を元に戻したいっていうのもある。でも、それ以上に簪のヒーローになるために、お前のようなみんなを苦しめる奴には絶対に負けられないんだ!!」
「十代・・・」
なんだよ、簪。また泣くなんて。俺は笑っているお前の方が好きだぜ。
「うん!」
よし、いつもの簪に戻ってきたな。
「・・・そうか。お前たちの覚悟はよくわかった」
織斑先生。じゃあ!
「勝て、遊城。そして二人を助けろ」
「おう!」
よっしゃあ!
「そして、明日から三日間懲罰部屋で反省文を書き続けてもらう。そこの三人もだ」
・・・。
「俺のターン、ドロー!」
『聞かなかったことにした!?』
そうでもしないとやってられないんだよ!
「魔法カード《壺の中の魔導書》を発動!互いに三枚ドローする」
十代:手札4
カミューラ:手札3
「(このカードは、カイザー、三沢、万丈目の。よし)俺は《サイバー・ヴァリー》を召喚!」
サイバー・ヴァリー
ATK:0
「あのモンスターは亮のカード!?」
「まさかカイザー。あんた十代に」
「ああ、俺達もただ見ていることなんてできなかった。だから俺達で十代のデッキを組み直したんだ」
「俺たちのカードを混ぜて、カミューラを倒すことのデッキにするために」
「カードを二枚伏せてターンエンドだ」
十代:LP800
手札1
サイバー・ヴァリー
伏せ2
「私のターン(蝙蝠からの情報に無かったライコウがいたのはそう言うことだったのね。しかもあのサイバーモンスターの効果は厄介。でも、それも無駄よ)。魔法カード《幻魔の扉》発動!」
「まずい!」
「あのカードを発動されたら結の二の舞よ!」
「うふふ。さあ、これでこのデュエルも私の勝ちよ。今度も青い髪のお嬢さんを生贄にしてあげましょうかねぇ?」
そう言って簪を見るカミューラ。でも簪は落ち着いているな。
「もうあなたの思い通りにならない。十代は必ず勝つ。みんなを守って!」
簪。ああ、その通りだ。
「悪いけど、あんたの思い通りにさせないぜ!罠カード発動!《神の宣告》!」
三沢の言った通り、カウンター罠を入れて正解だったぜ。
「なんですって!?」
「ライフを半分にして魔法・罠・モンスターの召喚、特殊召喚を無効にする。さらに手札のモンスター効果発動!来い《冥王竜ヴァンダルギオン》!」
闇の中から現れる、冥界を統べる竜。万丈目のやつよくこんなレアカード持ってたよな。
十代:LP400
冥王竜ヴァンダルギオン
ATK:2800
「ヴァンダルギオンは相手がコントロールするカードをカウンター罠で無効にした場合、手札から特殊召喚できる。そして、無効にしたカードの種類に応じて効果を発動させる。俺が無効にした幻魔の扉は魔法カード。魔法カードを無効にした時の効果は相手に1500ポイントのダメージを与える効果だ!」
「なんですって!?」
カミューラのライフは1500。そこに1500のダメージだから。
「これで十代の勝ちだ!」
「俺たちのカードが十代に勝利の方程式を与えたんだ」
カイザーのカードがカミューラを警戒させて、幻魔の扉を使わせて、それを三沢のカウンター罠で無効。とどめの万丈目のヴァンダルギオン。これで俺の勝ちだ!
「そうはいかないわ!罠カード《ダメージ・トランスレーション》。このターン受ける効果ダメージは半分になる!」
「なに!?くっ、行け!ヴァンダルギオン」
ヴァンダルギオンがカミューラを殴りつける。
「きゃあああ!!?」
カミューラ:LP750
「あなた達は私を本気で怒らせた!いいわ、あなた達に地獄を見せてあげる。私は永続魔法《魔力倹約術》を発動。魔法カードを発動するために必要なライフのコストをなしにする。そして《次元融合》を発動!互いの除外されているモンスターを可能な限り特殊召喚する。戻りなさい!《ペインペインター》《不死のワーウルフ》《馬頭鬼》!」
ペインペインター
ATK:400
不死のワーウルフ
ATK:1200
馬頭鬼
ATK:1700
「俺は《ネクロ・ガードナー》を守備表示で召喚する」
ネクロ・ガードナー
DEF:1300
「レベル4の不死のワーウルフと馬頭鬼にレベル2のペインペインターをチューニング!光に見放されし哀れな鬼よ、闇夜に潜んで、その邪悪なる存在を知らしめろ!シンクロ召喚!今こそ復活の時!降誕せよ、アンデットの神!The Evil Night Gaunts!」
昨日の結とのデュエルでも出てきたモンスター!
ついに出てきたぜ。
ATK:2700
「
ヴァンパイア・バッツ
ATK:800
「ヴァンパイア・バッツの効果で私のアンデットは攻撃力が200ポイントアップ。
ATK:3100
ヴァンパイア・バッツ×2
ATK:1700
ヴァンパイア・ジェネシス
ATK:3900
ATK:4100
「さあ、これでとどめよ!ヴァンパイア・ジェネシスでヴァンダルギオンに攻撃!ヘルヴィシャス・ブラッド!」
させるか!
「罠カード発動!《攻撃の無力化》」
渦が攻撃から俺を守ってくれる。何とか助かったぜ。
「チッ、カードを一枚伏せてターンエンドよ」
カミューラ:LP750
手札0
ヴァンパイア・ジェネシス
ヴァンパイア・バッツ×2
ミイラの呼び声(永続魔法)
伏せ1
「カミューラの場には最強のアンデット軍団。ヴァンパイア・バッツに攻撃すれば十代の勝ちだけど」
「あの伏せカードが厄介だ。カミューラのあの余裕。間違いなく対抗策だ」
「大丈夫」
「簪?」
「更識妹?」
「十代なら必ず勝つ。そしてお姉ちゃんたちを助けてくれる」
結の人形をその手に持ちながらそう言う簪。そう言われたら、やらなきゃ、
「ヒーローじゃないよな!俺のターン!」
まだだ。このデッキにはカイザー、三沢、万丈目だけじゃない。みんなの思いが詰まっているんだ。
「サイバー・ヴァリーの効果発動!ヴァンダルギオンと一緒に除外することでカードを二枚ドローする!」
十代:手札3
みんなのために、そして簪のために!
「《埋葬呪文の宝札》発動!墓地の魔法カードを三枚除外して二枚ドローする」
融合、スパークガン、壺の中の魔導書をカードケースにしまう。
十代:手札4
「いくぜ!魔法カード《ミラクルフュージョン》発動!チェーンして速攻魔法《非常食》発動!ミラクルフュージョンを墓地に送ってライフを1000回復させる」
十代:LP1400
「そして、墓地の水属性モンスター沼地の魔神王とHERO、クレイマンを除外融合!」
「この組み合わせは!?」
「あのHEROだわ!」
「最強のHERO《E・HERO アブソルートZero》!」
E・HERO アブソルートZero
ATK:2500
「まだだ!《
E・HERO エスクリダオ
ATK:2500→3100
「そして、二体の融合HEROを融合!」
Zeroとエスクリダオが一つになるべく、融合の渦に飛び込む。
そして、そこからまばゆい光が溢れてくる。
「ぎゃあああ!?な、何なの?この忌々しい光は!?」
「綺麗・・・」
これが俺の新しいHEROだ!
「光纏いてその姿をあらわせ!《E・HERO ジェネメント》!」
E・HERO ジェネメント
ATK:3200
闇を斬り裂くように現れた光のHERO。その姿は輝く黄金の鎧に包まれていてすっげぇかっこいいぜ!
「Zeroの効果発動!このカードがフィールドを離れたとき、相手モンスターを全滅させる。いっけえ、絶対零度―Absolute Zero!」
カミューラのモンスターは凍りつき全滅する。
「そ、そんな・・・(ヴラドの効果は手札が無ければ使えないし、ナイトゴーンもモンスターがいなければ蘇生できない。でもまだよ。私の伏せカードは《
「ジェネメントは墓地に存在する『E・HERO』1体につき攻撃力、守備力が100ポイントずつアップする。
E・HERO ジェネメント
ATK:4000
「さらに1ターンに1度、複数の効果の中から一つを選択して発動できる。俺は『E・HERO』と名のついたモンスターを1体墓地から除外することで相手フィールド上のカードを1枚除外する効果を使うぜ!」
「な、なんですって!?」
「墓地のエアーマンを除外して、その伏せカードを除外!エレメント・フォース!」
ジェネメントが放った光にカミューラの伏せカード、
「これでカミューラの手札と場に何もなくなった!」
「いっけぇ!十代!!」
おう!
「ジェネメントでダイレクトアタック!エレメンタリー・ゴーラウンド!!」
ジェネメントは身体を発光させ、両手に剣をだす。
その剣を構えて前方宙返りでカミューラに突進する。
「いやあああああ!!!」
カミューラ:LP0
カミューラのライフが0になった瞬間、後ろに幻魔の扉が現れる。
そこにカミューラは吸い込まれていく。
「いやよ!私には悲願が、ヴァンパイア一族を復興させるという使命があるの!なのに、こんなところでぇぇ!!」
そして、カミューラは幻魔の扉の中に消えて行った。
「うわ!?」
「わ!?」
万丈目と簪の声が聞こえたからそっちを見てみると、
「マンマミーヤ。ここは一体どこナノーネ?」
「クロノス先生!?」
「・・・?」
「お姉ちゃん!」
「わ?簪ちゃん?」
クロノス先生と結が元に戻っていた。
簪は結に抱きついている。
「よかった・・・本当によかったよぅ」
「あらあら、こんなに泣いちゃって。心配かけてごめんなさいね」
「ううん。それよりお姉ちゃんが元に戻ってよかった」
簪、よかったな。
「ん?おい!全員速くここから出ろ!」
織斑先生?何でそんなに慌ててるんだ?
「ここがさっきから揺れ始めている。おそらく、カミューラがいなくなったからだ。崩れるかもしれん」
げ、マジかよ。
「早く逃げるぞ!」
いそげええ!!
なんとか脱出できたぜ。
もう夜も明けたな。
「まるで悪夢を見ていたみたいね」
「ああ。カミューラのモンスターはどれも不気味だったからなおさらな」
お、そういえば。
「カイザー、三沢、万丈目、ジェンは無理そうだからマリアム!」
俺はみんなに駆け寄る。
「サンキューな。このカードが無かったら勝てなかったかもしれない」
みんなに借りていたカードを返す。
「役に立てたようでよかったよ」
「ふ、俺様のカードなんだ。当たり前だ」
「君と共に戦えてよかった」
「ジェンには私から言っておくよ」
さあって寮に戻って寝るかな。
「さて、お前たちには罰を受けてもらおう。更識姉も同罪だ」
げ、そうだった。
はあ、まあ、がんばるか。
カミューラ戦はこれにて終了です。タイトルとあまり内容がかみ合っていない。
十代がなんからしくないセリフを言いまくっています。なんでこうなった。次回から簪との交際がスタートしそうだ。
感想・オリカなど待ってまーす。
次回予告
行方不明になる生徒たち。
その真相を探るために十代たちは森の中に入っていく。
その奥にあった物は?
次回「女の戦い」
マリアム「デュエルスタンバイだ!」
オリカ紹介
E・HERO ボルテック・ウイングマン
戦士族・融合/効果モンスター
レベル6/光属性
攻撃力2200/守備力1000
E・HEROスパークマン+E・HEROフェザーマン
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このモンスターが融合召喚に成功したとき、相手モンスターの表示形式を任意の数だけ変更することができる。この効果によって表示形式が変更されたモンスターはエンドフェイズまで攻撃力と守備力が500ポイントダウンする。また、このモンスターが融合召喚に成功したターン、このモンスターは相手モンスター全てに攻撃することができる。このモンスターは直接攻撃することができない。
見た目はスパークマンにフェザーマンの翼を生やした感じで装甲の色は緑と黄色。
攻撃名は「ライジングストリーム」
『
シンクロ・効果モンスター
レベル8/闇属性/アンデット族/攻撃力3200守備力3100
アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上
このカードのシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地のアンデット族モンスターを5枚まで選択して除外する。除外したカードの枚数分だけ、フィールド上のカードを選択して破壊する。この効果はカードの効果によって無効化されない。
このカードがカードの効果でフィールドを離れる時、手札を1枚墓地へ捨てることで、そのカードの効果を無効化して破壊してもよい。
//カード破壊の効果の名前は、「エグゼキュターレ」で、意味はルーマニア語で「粛清」。羽ばたきと共に発した無数の杭でカードを打ち抜く。攻撃技は、「スケウェレッド・テーザ」で、意味はルーマニア語で「串刺し刑」。鋭い槍と化した炎を吐きだし、敵を貫く。
E・HERO ジェネメント
星10/光属性/戦士族/融合・効果モンスター/攻3200/守2500
『2体以上を素材とするE・HEROと名のついた融合モンスター』×2
このカードは上記のカードでの融合召喚かこのカードの効果でしか特殊召喚できない。
墓地に存在する『E・HERO』1体につき攻撃力、守備力が100ポイントずつアップする。
1ターンに1度以下の効果を選択、発動できる。
●『E・HERO』と名のつくモンスターを1体指定し、このカードをエンドフェイズまでそのモンスターとして扱うことができる。
●『E・HERO』と名のついたモンスターを1体墓地から除外することで相手フィールド上のカードを1枚除外する。
●『E・HERO』と名のついたモンスターを1体手札から捨てることで、墓地から『E・HERO』と名のついたモンスターを1体特殊召喚する。
このカードがフィールドを離れた場合手札・フィールドから『E・HERO』と名の付いたモンスター1体を墓地に送る事でエクストラデッキ・墓地・除外から特殊召喚する。
全身に黄金の鎧を纏った巨体のヒーロー。
攻撃名:エレメンタリー・ゴーラウンド
身体を発光させ、両手に剣を出現させ前方宙返りで突進する。
効果名:エレメント・フォース(全て共通)