アカデミアに入学してから数日たった。
俺は相変わらず目立っているけど気にはしていない。入試でのオーバーキルと何度か行った授業のデュエルで数ターンでのワンショットキルのせいか誰も突っかかってこない。
というかあの深夜のデュエル以降サイバー・ダークを出すこともなく勝っている。なにかの意志でも働いているのか?
「ねえ~カイ君、一緒にご飯食べましょう?」
そして、授業が終わるたびに結が話しかけてくることが当たり前になっている。
あのデュエルの後改めて自己紹介なんかをして、互いに名前で呼ぶことになった。
「今日もお弁当を作ってきました」
そう言って結が出したのは重箱だった。
結がふたを開けると中には色とりどりの料理が並んでおり、食欲をそそられる。
もう午前の授業は終わり昼休みの時間だ。
食堂で食べることもできるが別に弁当持参でも問題はない。
「さあ、食べましょ」
「・・・」
最初はこいつの行動に驚いていたが、もう慣れた。ついでに周囲で俺をうらやましそうに見る男子の視線と興味津々の女子の視線も。
なぜか用意してあった俺用の箸で、まずミートボールを食べる。
冷凍食品のミートボールじゃなくて、自分で作ったもののようで食べた瞬間肉汁があふれてきて冷めているのにおいしい。
他の料理も手の込んでいるものばかりだ。
「それにしてもさっきの授業はおもしろかったわね」
「まあ、あいつが墓穴を掘ったようなもんだからな」
さっきのクロノス授業でフィールド魔法のことについて質問された眼鏡が上がり症のせいで答えられず、それをクロノスとブルーのエリート(笑)共が笑っていたのだが、遊城がクロノスに自分が勝ったことを言い、それを結が俺にオーバーキルされたことを付け足すという援護射撃。その腹いせにクロノスは俺を指名したが俺がフィールド魔法について完璧に答え、さらにクロノスの説明で足りていなかったこと、間違っていたところを指摘してやった。そのことでなぜか俺が授業を進めてしまった。
「お前も人が悪いな、傷口に塩をすり込むなんて」
「とどめを刺した人に言われたくないわよ」
授業の後クロノスは、まあ、強く生きろとだけ思った。
「ご馳走さん」
「お粗末さまでした。次は体育?」
「ああ」
デュエルアカデミアといっても普通の高校のように一般教養はある。
「それじゃあ、放課後私の部屋に来てくれない?」
「は?」
結の言葉に俺だけじゃなく食堂にいた全員が驚いた。
そして、放課後。
女子寮の結の部屋についた。
ここに来るまで誰にも会わなかった。もし会っていたら面倒なことになっていたな。
さっさと入るか。
土産も持ってきたし。
トントン
俺がノックすると
「開いているわよ。どうぞ」
その言葉に従って入ると
「ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ・た・し?」
バン!
落ち着け、落ち着くんだ。
いつものクールな俺に戻れ、今のはきっと何かの間違いだ。
いくら自分の部屋で、俺が訪ねてくることがわかっているのに結が裸エプロン、いや水着を着ていたから水着エプロンか、で出てくるなんて。
もう一度ドアを開ける。
「お帰りなさい。私にします?私にします?それともわ・た・し?」
「・・・選択肢がないぞ」
「あるわよ。一択なだけで。というより反応が薄くない?」
「これでも十分驚いている」
内心でドキドキしている。水着を着ていると分かっていても結はとんでもない美少女だからな。
「とりあえずちゃんとした服を着ろ。この季節に水着は寒いだろ」
「なあんだ。ばれていたのか」
「肩の方から少し見えていたぞ」
「あ~ほんとだ。私としたことが」
「お前が着替えるまで外で待っていてやるから、さっさと着替えろ」
俺は結に背を向ける、すると肩を掴まれバランスを崩していまい結の部屋の中に入ってしまった。そして、ドアが閉まってしまった。
「お、おい何をする!?」
「べ、べつに中で待っていてもいいわよ。部屋の外にいて、誰かに見つかったらいろいろとまずいでしょ?」
「そ、そうだが」
この体勢はいろいろまずい。
今、結が俺を部屋に引き入れるために俺の腹のあたりに腕を回しており、部屋に入ったときの勢いでいささか体勢が不安定になっている。
「わ、わかったからとりあえず離れ」
俺が離れようとすると
「あっ・・・」
なぜか結が俺を引き寄せようとして
「うお!?」
「きゃ!?」
そのままバランスを崩して倒れてしまった。
「くそ、大丈夫か?ゆ・・い・」
「いたた」
今の俺達の状況を説明すると俺がとっさに結が下にならないように抱え込んだのだが、その際に結のエプロンと水着がはだけてしまいいろいろまずい格好になっている。その結の体が俺に密着してしまっている。
「ゆ、結。早く退いてほしいのだが」
「え、ええ、そうね」
お互いに自分達の状況を理解し、どうにかしようと思うのだが思うように動けない。
「「・・・・・・」」
そのままお互いに動けないでいると
「お嬢様、お忘れ物をと・ど・・け・・・に」
部屋に入ってきたのは眼鏡をかけた三つ編みの女子生徒で、俺たちの同学年だと思われる。
「失礼しました」
その生徒はそう言ってドアを閉めて出て行ってしまった。
「「ちょっとまってえええええ!!!」」
今日は厄日なのだろうか?
結の部屋を訪ねてきたのは布仏虚という名前の少女で、結の同い年の幼馴染で結のお手伝いさんらしい。
結の家、更識家に代々仕える使用人の家系らしい。
そもそも結の家、更識家は日本の表と裏から、さまざまな人材を輩出し国を支えてきた名門の一族で今は表では海馬コーポレーションの技術部を支え、裏では他国の機密スパイなんかを撃退しているらしい。一応、俺もそういう専門家の一族がいることを海馬から聞いていたが、まさか結がその一族だったとは、世間っていうのは狭い。
そして、布仏はそんな更識家の従者の家系ということだ。
俺を今日ここに呼んだのもそのことを説明するためだったらしい。
あの後、結はすぐに服を着て、布仏を追いかけた。
そして、部屋に連れ戻して事情を二人で説明。何とか納得してもらった。
「まったく。何をしているのですか?お嬢様は。火渡君に迷惑をかけて」
「ごめんなさい」
そして、結は布仏に説教を受けているってわけだ。
「もうその辺でいいだろう?布仏。本人も反省しているようだし」
「火渡君がそうおっしゃるなら。ですがお嬢様これからはこんなことがないようにしてくださいよ」
「はい」
やっと説教が終わったからか、結は安堵の表情を浮かべた。
「それにしても、更識がそんな名家ならなんで俺のことをお前たちは知らなかったんだ?」
「あなたのことは海馬コーポレーションとI2(インダストリアル・イリュージョン)社の中でもトップシークレットだったみたいでね。私もあなたとデュエルした次の日にお父さんから知らされたわ」
「ついでにその時に知り合いだということもお話ししました」
なるほど。
「いろいろ納得いったよ。つまりお前らの今の仕事は俺の護衛といったところか?」
俺の言葉に少し驚く二人。
「簡単な推理だ。お前らの家の生業から重要人物の護衛なんかもしているんだろう。なら、今ここにいる重要人物は俺だ。だから、お前らが何か仕事を言付けられていたらそれは俺の護衛だけだ」
「まあ、そのとおりよ。だから、あなたと一緒にいるのよ」
「お嬢様の場合は仕事だけではありませんよね」
「う、虚ちゃん!ここではお嬢様は禁止!」
「はいはい、結」
「む~」
流石幼馴染。仲がいいな。
「まあ、護衛をしてくれるのはありがたいが俺はそんじょそこらのやつに負ける気はない。だから、そう力むことはない」
「まあ、確かにただものとは思えない身のこなしよね」
「まあ、いろいろ親父に鍛えられたからな」
何回吹っ飛ばされたか。
「それはともかく今日は土産を持ってきた」
「え?ホント?」
「ああ、布仏もよかったらどうだ?」
「いいのですか?私まで」
「気にするな。布仏もここの生徒ならデュエリストだろ?だったらこれを見る資格も使う資格もある」
俺はここに来るときに持ってきたカードトランクを開ける。
「「なにこれ?!」」
二人の驚く声に俺は答える。
「新しいカード達だ」
今回はデュエルなし。そして虚さん登場です。この世界での更識家の役割を明かしました。
ISより大きな家になっちゃいました。
そして、最後に二人の強化フラグ。
虚さんのデッキはまだきめていませんが。
次回はデュエルします。では
オリカの案待っています。サイバー・ダークだけじゃなくそれ以外のカードでも大歓迎です。