僕が考えた最強のオリキャラでオバロ 作:Revak
「ありがとうございます、ストロノーフさん。これで冒険者として食っていけそうです」
「こちらこそ、私を助けてくれて感謝する。それでは、どうか元気で」
「はい、ありがとうございました!」
そうしてツルギはガゼフと別れた。
「よし、じゃあ宿行くぞ」
「わかったでござる!」
ハムスケがそう喋ると周囲の者たちが「喋った!」と驚いた。
この世界の魔獣系モンスターは基本喋らない。喋るのはよほど知性の高いモンスターだけだ。
「ささ、どうぞ某の背中に」
「いやそれは遠慮する」
「ガーン! でござる」
ツルギは普通にハムスケの背に乗るのは恥ずかしい。
カルネ村からエ・ランテルに来るまでは移動手段としてこれしかなかったので受け入れたし、人目もなかった。
だがここは街中で人の目が多数ある。そんなところで羞恥プレイは御免だった。
ツルギとハムスケはガゼフに教えてもらった宿に向かって歩いていく。
教えてもらったのはそこそこのランクの宿だ。貰った金があれば一ヵ月は泊っていても豪遊できるランクの宿だ。
十分ほど歩くと宿に着く。
中に入って受付に進む。
受付にはおっさんが一人座っていた。
「いらっしゃい。あんたのことは聞いてるよ、一人部屋でいいかい?」
「はい、一人部屋でお願いします……それと、使役魔獣がいるんですが魔獣用の部屋ってありますか?」
「使役魔獣? まぁ馬小屋で良ければ貸せるが……」
「ありがとうございます、じゃあハムスケ……使役魔獣にそう伝えてきます」
「伝えるって、会話できるのかい?」
「はい。ハムスケは話せますよ」
「そりゃすごいな」
そういうとツルギは一回宿から出る。
出てハムスケに「この宿の馬小屋で寝泊まりしてくれ」と告げる。
ハムスケは「わかったでござる!」と意気揚々と馬小屋へと向かっていった。
ツルギは宿に戻ると受付と話し一階で食事をとることにした。
一階は食堂になっており食事が出来るようになっている。
適当な席にツルギは座る。
座ると当然、視線を集める。
ツルギが美人だというのもあるがやはり異形の姿だというのが注目の原因だ。
だが胸に冒険者の証である銅のプレートがあるからか絡まれることはない。
というか戦士長推薦の亜人に絡む勇気がある者はいなかった。この宿には金以上の冒険者が何人か泊ってるが絡む勇気がある者はいない。
ツルギはパンと肉とスープを頼む。
少し待つと頼んだ料理がやってくる。
食べるマナーなんてなってないので好きに食べた。
その後店主に金を払い部屋の鍵を貰い二階へとあがった。
二階の奥の部屋に入る。
部屋は簡素なつくりだ。ベッドが一つに机と椅子が一つづつにチェストが一つ。
ベッドに横になる。
「……帰りたいな」
故郷に、日本に、〇〇県の〇〇市の家に帰りたいと思う。
だがそれはかなわない事だと思う。
この世界に世界移動に関する技術があるならともかく、そうでないのならば無理だ。
ミハカノシノツルギに世界を移動する技術はない。
存在しない原作内では世界と世界の切れ目を使って移動していた。いわば世界そのものに移動手段が備わっていたのだ。
だがこの世界にそんなものはない以上帰る方法はないだろう。探せばあるだろうが、そこまで躍起になって探してありませんでしたは嫌なので探す気にもなれなかった。
「後のことは……あと……考えよう……」
そうしてツルギは眠りについた。
■
翌朝になってツルギは冒険者組合に来ていた。
後ろには当然ふわふわと赤の書が浮いている。
「よし、赤の書。翻訳してくれ」
「わかった」
赤の書が持つ能力に言語解析がある。
これは呪われた言葉だろうと解析し翻訳できる能力だ。赤の書はあらゆる言語を理解することが出来るツールなのである。
ただあくまで読めるだけだが。
そういやなんで言葉が通じてるんだろとツルギは今更ながらに思うがまぁいいかで済ませた。
ツルギは依頼掲示板を見る。
(……いい依頼ないな)
銅ランクで受けれる依頼は大したものがない。
街中の清掃。ドブ掃除。夜の墓地の見回り(一人ではなく銀級と同行)などだ。
しかも依頼報酬も安いので大した金にならない。
さてどうしよう、と悩んでいると赤の書が話しかける。
「我が主よ。依頼を受けるのではなく、モンスター退治をするというのはどうだ?」
「モンスター退治? ……あぁ、モンスターの討伐報酬を得るのか」
なるほど、とツルギは思った。
黄金と名高いこの国の第三王女ラナー姫が冒険者組合に提案したシステムがある。
討伐したモンスターの部位を持って行くことで報酬金が出るのだ。依頼で倒した場合はもらえない。
「じゃあ、トブの大森林にでも行くか」
そうしてツルギは冒険者組合を後にした。
■
「ここがあの女のハウスね」
「主。あの女とは?」
「ただのネタだから気にしないで」
十分後。ツルギと赤の書はトブの大森林前に来ていた。
目的は外周をぐるぐる回ることでモンスターが来ないか見張りつつ出てきたら戦闘という形になる。
直接中に入ってモンスターを虐殺するのはなしだ。生態系が乱れるし、組合にもそれはするなと言われている。
冒険者組合は対モンスターの組織だが無闇矢鱈にモンスターを討伐するのは生態系を乱すとして禁じられている。何もモンスターを倒すだけの組織ではないのだ。
「じゃあ適当に回ろうか」
そうして周囲をくるくると歩く。
歩くこと二十分。森からモンスターの手段がやってきた。
茶色い肌に牙を持つ人型の三メートルほどの亜人種のモンスターオーガ。
緑色の肌に子供程度の背丈と力を持つゴブリンの集団だ。
オーガ二体にゴブリン十二体の数である。
「じゃあサクッと行くか」
ツルギは剣を百本ほど生成する。
そして集団に向かって正確に射出。モンスターたちの胴体を貫いた。
一瞬で絶命。死体となった。
「じゃあ剥ぎ取り頼んだ」
「わかりました」
赤の書が念動力を行使する。
ゴブリンやオーガたちの耳が引きちぎられていく。
「よし。じゃあ暫く回るか」
■
夕方になってツルギと赤の書はエ・ランテルに帰還した。
冒険者組合に戻り引きちぎった亜人種モンスターの耳を組合に提出する。
しばらくたつと換金が終わり金貨一枚になった。
ツルギは礼を言って組合を出て、宿に戻る。
そして就寝した時──カンカンカンカンとけたたましく鐘の音が響いた。
「なんだ?!」
ツルギはがばっとベッドから立ち上がる。
何か異常事態だと思い慌てて部屋から出る。
買っておいた寝間着のままだが外行きでもぎり恥ずかしくない格好なので問題ない。
部屋を出て一階に降りるとそこにはこの宿に泊まっている冒険者たちの姿があった。
「すみません、何かあったんですか?」
ツルギがそう冒険者の一人に問いかけた。
「わからん。だがこの鐘は緊急事態を知らせる音だ。組合に急いだほうがいい」
「わ、わかりました」
ツルギも外に出て走って冒険者組合に向かう。
出てすぐ一緒に出た冒険者たちを追い抜く。走りの速度も速いのである。
五分と経たず冒険者組合に辿り着いた。
そこには既に多数の冒険者たちが居て、中心にはこの冒険者組合の組合長のプルトン・アインザックが居た。
「諸君、集まってくれて感謝する。単刀直入に言おう、共同墓地からアンデッドの群れが現れた! 今はどうにか『虹』と『クラルグラ』の面々に向かってもらって抑えている。職人は共同墓地への援軍と万が一の為の住人の避難に向かってもらいたい!」
(アンデッドの反乱か……大変だ)
「銅級と鉄級は避難誘導。残る者たちは共同墓地に向かってくれ!」
じゃあ自分も避難誘導に動くか、とツルギが思った途端組合長が口を開いた。
「それとミハカノシノツルギはここに残ってくれ」
「はい?」
名指しされツルギは疑問を抱いた。なぜ自分を差した、と。
冒険者各位が行動に移り去っていく中、ツルギは疑問の中立っていた。
一人残るとプルトンがツルギに近づく。
「単刀直入に言おう。私は君が帝国の騎士を打倒した実力者だと知っている」
「そ、そうですか……それで、お、私に何を?」
「ああ。最低でも銀級の力を持っている君は例外として前線に行ってくれ。戦力を遊ばせている余裕はないからな」
本音を言えばプルトンはこんな亜人に頼りたくない。
だが今は猫の手も借りたい状況だ。だから頼る。
「わかりました、行ってきます」
瞬間ツルギは全力で走って去っていった。
「……は?」
音を置き去りにする疾走にプルトンは間抜けに顎を外した。
■
前線についた。
他の者たちを置き去りにしついたそこはアンデッドが湧き出ていた。
スケルトン、ゾンビ、ワイト、スケルトン・センチュピート等々。
そこに転がるは八つの死体。虹とクラルグラの死体だ。刺突武器でやられている。
「どっせい!」
ツルギは薙刀を生成し全力で振りかぶった。
妖力、魔力のようなものを込めて振るうことで衝撃波を発生させアンデッドの群れを吹き飛ばした。
「まだまだいるな!」
相手がアンデッド、生命ではないためツルギも張り切って力を行使する。
全力、とはいかないが五割ほどの力で暴れる。気分はまるで無双ゲームの主人公だ。
どんどこ敵を吹き飛ばしながら奥へと進んでいった。
スケルトンを吹き飛ばし、ゾンビを引き千切って奥へと進む。
鎧袖一触とはまさにこのことであった。
そしてモンスターを吹き飛ばしていると奥に辿り着いた。
「なんだ?」
見ればそこには黒いローブを纏った者たちが居た。数は六。
一人だけローブを着ているが顔を出しており頭髪がない男が居た。
「……あなた達が元凶?」
ツルギは近づきつつ問いかけた。
「……そうだと言ったら、なんだ? 亜人」
じろりと主犯、カジット・バタンデールが睨みつけた。
「なら倒す」
「やってみろ──来い、
空から巨大なモンスターが降ってくる。
全長四メートル。人の躯で構成された体。
骨の翼に竜を模した頭部と体。
中位アンデッドの中でも下位に位置するアンデッド、
刺突武器の無効化に第六位階までのあらゆる魔法を無効化する能力を持つ強敵だ。
「ど、ドラゴンのアンデッドか……」
実際は違うがツルギは外見からドラゴンのスケルトンのようなものだと判断した。
この世界に関する知識が少ないのである。
「さぁ、死ね」
カジットが己が持つ死の宝珠を使い命令を下した。
「ふん!」
ツルギは上の左腕を使ってぶん殴った。
「は?」
その光景にカジットは間抜けな声を漏らした。
有り得ない。自身が操る
「せぇい!」
ツルギは続けて右の上の手の薙刀で
ばらばらと残骸となった
「あ、ありえん……」
カジットはその光景に驚いて思考が止まるしかない。
ただの銅級の亜人種なんぞに
ツルギは薙刀を構え突撃する。
それに気づいたカジットは慌てて魔法を唱える。
「
強力な骨さえ溶かす酸の槍が放たれた。
ツルギは左手で殴る。肌が少し溶けた。
黒い輪が回転し酸に対し耐性を会得し始めた。
そのまま突撃しカジットの胸を貫いて殺害した。
すぐに引き抜き返す刀で残る五人も斬り殺した。
行動速度が圧倒的に速いため視認すら許さぬ速度だ。
「よし、これで事態は解決かな……」
ツルギがそう呟くとカジットの手から石がころころと転がった。
なんだろうか、と疑問に思いツルギは石を持ってみる。
その石──死の宝珠は沈黙を選んだ。
死の宝珠はいくつかの能力を持っている。そのうちの一つに人間種に限定した精神操作がある。
そう、人間種限定の力だ。見るからに亜人種、もしくは異形種のツルギには通じえない。
だから沈黙を選んだ。
結果、ツルギは隠し扉を知ることなく、ンフィーレア・バレアレは放置されることとなった。