アストレアファミリアのハーレムクソ野郎   作:神崎せもぽぬめ

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第三話 + 幕間二個

 

 

 

 

 

 

 さて、嵐の如く現れて去っていった『アルフィア義母(かあ)さん襲来』から一夜明け、翌日。その早朝。

 

「久しぶり、ベル。元気してたか?」

「うん!ユース兄さんこそ、元気だった?」

「朝から殺人的料理を食わされて胃と足腰が痛いし目も霞んでるが、一応元気だな」

「それは元気って言わないけど!?」

「まあ、そういう捉え方もできるな」

「そういう捉え方しか出来ないよ………」

 

 「これが都会(オラリオ)……!」と静かに戦慄している白兎系男子こそ、俺の弟分であるベル・クラネル。

 血は繋がっていないが、そんなのアルフィア義母(かあ)さんがいる時点で今更である。

 

 義母(かあ)さんが純粋培養していただけあって、その性格は極めて純粋、純情、エトセトラ。辞書で『素直』という単語を調べた時、類語で『ベル・クラネル』がでてくるんじゃないかと思うくらいである。

 

 まあ要するに。性格はまっっっっっっったく、冒険者に適してないのである。

 

 唯一、向いている要素があるなら……危機察知能力か?

 いつ唱えられるか分からない『福音(ゴスペル)』と共に過ごしてきた人生である。嫌な予感をキャッチする能力は、本家兎人(ヒューバニー)にも劣らないはずだ。

 

 だが、迷宮(ダンジョン)は何が起こるか分からない。

 将来有望な才能ある人間であろうとも、あっさりと命を落とす悪辣な場所なのだから。

 そして俺の目からするとベルの素質は………うん。ベルを1とすると、リオンは七百はある。そんくらいかな。

 

 いや凄い()()()()()()をしているんだけど、それが戦う才能に結びつくかと言われたら……否としか言えない。

 

 しかもしかも、義母(かあ)さんから昨日聞いた話によると、なんでも早速ミノタウロスに轢き殺されそうになったそうだ。ダンジョンさん、最近異常事態(イレギュラー)多すぎませんか?

 

 こりゃいかん。そう俺は決意した。

 故に今日、こうしてベルと神塔(バベル)の目の前で待ち合わせをし、一緒にダンジョンへ行こうとしたのだ。

 

 ちなみにアリーゼたちも連れていこうとしたが、みんなリオンの殺人兵器を食らってダウンした。………もう『竜の谷』にお前の飯ぶち込みに行こーぜ?古き竜達(エンシェントドラゴンズ)とか黒竜とかワンチャン倒せるだろ。

 

「それじゃ、行くとするか。昨日は5階層まで行ったんだったか?」

「うん……結局ミノタウロスに追いかけられて、全然攻略できてないから、本当に行っただけなんだけどね………」

 

 ミノタウロス云々の話。

 それを語るベルの顔が暗くなる。

 早速ダンジョンの洗礼を受けたのか、と先人として思う反面。何らかの心傷(トラウマ)になっていないか、と兄貴分として心配する気待ちもあった。

 

 ミノタウロスか……あんまり強いイメージはないな……俺は恩恵貰ったその日には倒せてしまったし。でも普通のレベル1なら強敵……かな?うん、強敵だわ。

 

 そう思って慰めの言葉を口にする。

 

「まあ、生きてるだけで大したもんだろ。というかよくミノタウロスから逃げ切ったな〜」

「そ、それなんだけど………」

 

 ん?なんだ?

 ベルの顔が赤く染まりだす。人差し指をちょんちょんして躊躇いをみせたが、ヤケクソ気味に声を上げた。

 

「あ、あああああ、アイズ・ヴァレンシュタインさんの情報って知ってる!?」

「………アイズ?なんでまた」

「じ、実は………」

 

 そこから滔々と語られたのは、ミノタウロスに追いかけられた昨日の一部始終。

 

 普段通ってるダンジョン2階層から思い切って5階層まで下ってみたこと。………この時点で既にツッコミたい気持ちを抑えて、次を促す。

 

 足を踏み入れた途端。いきなりミノタウロスに出くわし、追いかけ回されたこと。

 

「………」

 

 そして無防備な背中に必殺の一撃が……というところで強烈な風が吹き荒んだこと。─────次に目を開いたとき、ミノタウロスは切り刻まれていて、その向こう側にアイズが佇んでいたこと。

 

「……………」

 

 動揺しながらも御礼を言おうとしたが、手を差し伸べられた瞬間に頭が沸騰し、何故か全力逃走をかましたということ。

 

「………………」

 

 うん、俺がとりあえず聞きたいのは一つだけだ。

 

「………その話、義母(かあ)さんにした?」

「いやいやいやいや、恥ずかしくてしてないって!」

「………よかったな、ベル。アイズはまだ殺されなくて済むらしい」

「ゴメンなんでそうなったの!?」

 

 いや、ロキファミリアごと解体される可能性の方が高いかもしれん。

 

「まあ、冗談───ではないが───はさておいて、アイズ・ヴァレンシュタインの事は、俺が誰よりも詳しいぜ。多分」

「お、おおお!!」

「何せ、アイズは俺の姉貴だしな!」

「ふおおおお!!………ん?姉貴?兄さん21歳で、ヴァレンシュタインさんは16歳なのに?」

「………妹分の間違いだ!」

「…………え、そうなると僕とヴァレンシュタインさんは兄妹!?」

「それは発展しすぎだな」

「うん、僕もそう思ったよ」

 

 任せろ。

 アイズの好きなジャガ丸くんの種類(フレーバー)から作り方まで、全部俺が教えられるぜ!………いやそういう事を知りたい訳じゃないよな。

 

「何から知りたい?とりあえず今日着ている下着の色とかか?」

「そ、それは猛烈に知りたいけど………!!!つ、付き合ってる人とかいる!?」

「いやいないよ。絶対いない」

「やっ、やったあ!」

 

 最も、殺したい程()()()()()相手がいるけどな。良かったなベル、黒竜が恋敵(ライバル)だぞ?

 

「機会あったら、今度紹介するぞ」

「ほ、本当に!?」

「うん。俺が嘘ついたことあるか?」

「昔、甘くないって言って凄く甘いの食べさせた時」

「………うん、訂正する。俺がしょうもないこと以外で、嘘ついたことあるか?」

「それは、うん」

「ないだろ?……このことは義母(かあ)さんには内緒だぞ?」

「うん!うん!」

 

 と、ダンジョンへ続く道すがらに話していたところで。

 

「よし、雑談はこの辺にしとくか。着いたぞ3階層だ」

「う、うん………」

「大丈夫だって、ミノタウロス程度、200体くらい来ても問題ない」

「そ、そうだよね……」

「そろそろ来るぞ、構えろ」

「!!」

 

 そうやってベルは、得物である短刀(ナイフ)を構え始めた。刀身はおよそ20C(セルチ)、一瞥しただけでも分かる業物ではない、量産品のナイフ。駆け出し(ルーキー)の装備だ。

 

 パキッ。

 

 ダンジョンの外壁を破って出現しようとするモンスターの産声。

 外殻を砕いて現れたのは、犬頭のモンスター。『コボルト』。

 

『グルオァッッ!!』

 

 それが五匹。

 鋭い爪や牙を武器とする身軽なそのモンスターは、実験体としてノコノコと産まれてきてくださった。

 

「ベル。最初はお手本を見せる。しっかり学べよ?」

「っ、うん!」

 

 よーしお兄ちゃん、頑張っちゃうぞー!

 

 ベルのような短刀は……無いので、手刀で代用。こんなヤツらに聖剣は贅沢すぎるしな。

 

 レベル1になりたてのベルには脅威に見える『コボルト』の突撃は、俺にとっては幼子の徒競走を見守るような気分だ。

 散歩しながら道端の雑草を刈り取るように、右手で象った手刀で一薙。それを五回繰り返し、『コボルト』は自身の末路を知り得ないままに灰となる。小指の爪程度の魔石を遺して。

 

「こんな感じだけど、できるか?」

無理だけど!?

「え」

 

 な、何故だ……!?完璧なお手本だったのに……!!

 

 だが、俺は学習する男である。

 過ちを素直に認め、首を横にブンブン振っているベルに、何が悪かったか聞いてみる。

 

「だって、今どうやって避けたの!?直前まで当たりそうだったのに、霧に斬りかかるみたいに当たらなかった………」

「『霧』に『斬り』かかる?ハハハ、ベルお前、もしかして余裕だろ?」

「全然違うけどね!?むしろ手品見せられてびっくりしてるし!」

 

 でも参ったな……今の避け方?は別に特別な事をしているつもりはない。『どうやって呼吸してますか?』みたいな質問に、どう答えればいいか悩む……が。もう、遠慮はいらないか。義母(かあ)さん流でやるか。

 

「ベル。とりあえず限界、超えてみるか」

「…………え?」

 

 ベルを俵抱きにして、俺は下へ突き進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

♦♦────────♦♦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリーゼ・ローヴェルたちが目を覚ました時、ユースは既に本拠(ホーム)から姿を消していた。

 

 恐らく今朝言っていた、弟分───ベル・クラネルとのダンジョンデート(?)だろう。めちゃくちゃ羨ましい。

 

 こうなったのも全部、リオンとかいうポンコツエルフのせいである。

 しかし当の本妖精(ほんにん)は『豊穣の女主人』という酒場へアルバイトをしに行ってしまったのでこの場にいなかった。

 仕方ないので、彼女の部屋の箪笥(タンス)の上から二番目の引き出しにある、クソエロい勝負下着をリビングに晒すことにした。

 リオンが密かに───ユース以外みんな知ってる───購入したそれを堂々と晒すその行為を嬉々として提案したのはライラだ。

 

「『黒より白の方が似合ってるよ By ユース』って添えない?」

「「「「「「「異議なし!!」」」」」」」

 

 

 それでいいのか、正義の派閥。

 

 無罪の男(ユース)を巻き込んだそれは悪辣極まりない。少なくとも1人の乙女(リオン)の心は死ぬし、1人の(ユース)の世間体も死ぬ。

 

 しかしこっちは殺されかけたんだ、と強く主張したい。

 

 そういう思いでアリーゼ達は泣く泣く(嘘)お仕置きをするしか無かった。

 

 神アストレアの微笑が苦笑いに変わったところで、アリーゼ達は本来の目的へと戻ってきた。すなわち、ユースの弟くんに会いに行くということである。

 

「外堀から埋める、ということですね?」

「ええその通りよ!」

「つまり、だれが『義姉』の座を勝ち取るか、というお話ですねぇ………」

 

 

 ────義姉ッ!!

 

 それは、甘美なる響きッ!

 擬似的な家族関係を相手に想像させる、最短にして最高の道ッ!!!!

 

 彼女たちは想像する。ベル・クラネルという少年に義姉として認識された後の未来を………っ!!

 

義姉(ねえ)さん……!』

『おいおいベル。そんなに気に入ったのか?』

『ご、ごめん!兄さんの奥さんだもんね……嫉妬しちゃうよね』

『いや奥さんじゃないんだが………まあ、そういうのも悪くないかもな』

 

 勝った!正妻戦争、完ッ!!

 

 だが、それに至るまでに、敵は多い!多すぎる!!

 

 すなわち、星乙女達が取った行動とは速攻ッ!!

 

()ッ────!!!」

「せェェェい!!!」

 

 人生における最速を更新した輝夜による抜刀は、事前に察知していたアリーゼによって止められるッ!!

 

「狙い通り!」

「ふふん、どうかな!」

「ぬぁっ!?」

 

 二人の攻防による膠着時間をセルティは予期していた。しかし、目の前に立ちはだかるのは、ノインッ!視野を広めていた彼女は、冷静そのもの……!!

 

「だが甘え!」

「みんなオシャレじゃないねぇ!」

「常に勝者は一人……ッ!!」

「掴み取って見せるッ!!」

「わ、私も負けない……!!」

「そうねぇ〜、私も”ホンキ”出しちゃおうかしら〜」

 

 ライラが、イスカが、リャーナが、ネーゼが、アスタが、そしてマリューが、それぞれ臨戦態勢に入る。

 

 彼女たちを支える執念とも言うべき乙女心。

 それにより、10人全員、120パーセントの潜在能力(ポテンシャル)を発揮するに至る……ッ!!!

 

 

『うおおおおおおおおッ!!!!』

 

 

 乙女の戦争が、今始まる!!!

 

 

 

♦♦───────♦♦

 

 

 

「ハァ、ハァ、勝ったッ!!勝ったのはこの私、ゴジョウノ・輝夜だッ!!」

 

 

 倒れ伏す仲間たち。しかし最後まで立っていたのは、輝夜だった。

 死闘である。

 今までの冒険が全て児戯にさえ思うほどの、死闘だった。

 

 やはり強敵だったのはアリーゼ・ローヴェル。

 時間経過で能力値(ステイタス)が上昇するという、はっきり言ってチートすぎるスキルを持ってるが故に、集中砲火を受けた─────それが輝夜の狙いとは知らずに。

 そして輝夜も自身の第二魔法【シカイ】を発動。消耗させた他乙女を一刀両断(峰打ち)で気絶させ、勝利したのだ。

 ちなみに【シカイ】は本編初披露である。それでいいのか?

 

「はっ、はっ、はっ、ユースは、未来の義弟はどこだ!?」

 

 血化粧を纏った輝夜は、ダンジョンを駆け巡る。

 

 義弟───すなわちベルは、駆け出しも駆け出し。冒険者歴半月未満のルーキーである。

 なので輝夜は1、2階層、あるいは3階層に狙いを定め、徹底捜索を続けた。

 

 だがいない。

 

 なので仕方なく下る。

 

 4階層。

 

 しかしここにもいない。

 なるほど、レベル6のユースがいるからと、適正を越えた階層へ向かったのだろう。そう推測した輝夜は更に下へ潜る。

 

 5階層。6階層。7階層8階層9階層10階層…………そして、12階層。

 

「は?」

 

 目の前にあったのは、ありえない光景だった。

 

 

「た、助けてェーっ!!!」

「逃げるなベル〜、大丈夫だって!たかが『インファントドラゴン』と愉快な仲間たちだから!」

 

 逃げるのは白兎。

 そして適度に傷つけられたモンスター達。

 最後にモンスターを追い立てるユース。

 

 しかし、選ばれたモンスターがおかしい。おかしすぎる。

 

 上層の実質的な階層主ともいえる希少なモンスター、『小竜(インファントドラゴン)』。

 新米殺しとして名高い『ウォーシャドウ』、動きは酷く緩慢だが威力のある攻撃を放つ『オーク』、その巨躯に相応しい怪力と悪知恵を持つ『シルバーバック』。

 

 それらが渾然一体となった怪物の宴(モンスターパレード)が、ルーキーを襲っていたのだ。

 

 

 

 

 

「ッ〜〜〜〜!?【ゴコウ】!【ゴコウ】!【ゴコウ】ッ!!!」

 

 

 本当に。

 本当に、一切の他意はなく。

 輝夜はただ純粋に、ベルを救った。

 

 

 そして結果的にベルに感謝され、ちょっと懐かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦────────♦♦

 

 

 

 

 幕間1

 

 

 

 

「「「「「「「「「けペッ」」」」」」」」」

 

 

 その一言を最後に、リオンを除いた星乙女達(アストライアーズ)は全員、気絶した。

 

「お、おかしい……!!今度はちゃんと()()()()()で綺麗に作ったはずなのにッ!?」

 

 リオンの料理のタチが悪いところ。

 まず失敗作はすぐわかる。色がおかしい────大抵はこの世の悪を煮詰めたような漆黒である────あとは匂いもおかしい。嗅覚が鋭い狼人(ウェアウルフ)のネーゼが鼻を潰そうとするレベルだ。

 しかし、最近、()()()()()()()()が多いのだ。

 それは色も匂いも、悪くない。というかむしろいい。パッと見、普通に成功したと思うレベルだ。

 

 嬉しくなったリオンは、味見(どくみ)をせずに、神アストレアに提供した。

 

 アストレアは驚いた。そして静かに涙した。子供成長は早いものだと、感動して涙を流したのだ!!

 

 そして一口食べ………送還されかけた。

 

 

 つまり、見た目とかで判別できない、味は据え置きのカモフラージュ能力を兼ね備えた、劇物へと超進化を遂げた。

 

 

 神殺しさえ容易く行うリオンの料理とは言えないおぞましき”ナニカ”。

 

 それはアリーゼ達第一級冒険者達の【耐異常】を易々と貫通し、気絶へと至らせた。

 

 しかし────!!

 

「ハァ……ハァ……!!リ、リオン………」

「ユース!?」

「お、おかわりはあるか……?は、腹減って仕方ないんだ……ハハッ」

「気は確かか!?無茶だ……っ、これ以上、無理をしてはいけない!?」

 

 ユースは限界に近かった。

 顔は青白く、異常なほど発汗し、目も虚ろである。

 そしてユースが話しかけているのは、外套(コート)掛けである。リオンと見間違いをしているのだ。

 

 神ならぬ身でも分かる、明確な嘘。

 欺瞞、虚偽、瞞着を嫌う潔癖な妖精であるリオンは…………その嘘を、嘘だと言えなかった。

 

 だって、こんなにも優しさに満ち溢れた想いは………リオンを想う、ユースの真心に違いないのだから。

 

 それを否定してしまうこと。それこそ、嘘だ。リオンはそう考えてしまった。

 

「ッ!!……ユース、覚悟はいいのですね!?」

 

 リオンは盛り付けた皿を見せつけるように、突き出した。

 覚悟を問う。

 

「はッ!覚悟なんて……要らないだろ………俺はただ……目の前の、リオンの料理を………喰らうだけ………ッ!!」

 

 そして獣となったユースは大鍋に沢山余っていたものまで完食し、震える足取りでダンジョンへ向かった。弟分との約束を忘れない、兄の鑑である。

 

 

 

 

 

 そしてリオンは。

 

 

「ミア母さん……これが、私の全力ですッ!!!」

 

「あんたは客を殺す気かッ!!!」

 

 

 店主のミア・グランドに殴り飛ばされた。

 

 サンキューミア母さん。

 あなたのお陰で、世界は救われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦────────♦♦

 

 

 

 

 幕間2

 

 

 アイズ・ヴァレンシュタインは深く考えていた。

 

「(ユースは女の人しかいないファミリアにいる………女好き?ロキと一緒?じゃあ………)」

 

 一日10ジャガ丸くんのところ、6ジャガ丸くんに減るくらい。悩んだ。

 

 ダンジョンに潜る時間も削って、深く深く考え込んだのだ。

 

「(下着の色とかも好きなのかな?)」

 

 めちゃくちゃ浅い結論が出てきた。

 

「(じゃあ、教えてこないと)」

 

 ごめん、なんで?

 

 あまりにも理論が跳躍(リル・ラファーガ)しすぎて、これにはリヴェリア母さん(ママ)も頭痛が痛い。

 

 そしてこの時点で、ユースがロキファミリアとアストレアファミリアの面々から壮大なヘイトが向けられることは確定した。

 

 もう歩く大災害だろ。

 

「ユース」

「ん?何?」

「今日の私の下着、赤色、だよ?」

「ふーん………は?」

「また明日来る、ね?」

「え、あちょっ、何言ってんだよアイズゥゥゥ!?」

「バイバイ」

「あ、うん。お疲れ様〜………いや『バイバイ』じゃねぇわ!……え、マジ!?ほんとに帰りやがった!………いやあの本当違うんです。私が命令した訳じゃないんです、だから皆さん武器を私に向けないでください私は皆さんの味方ですよ、お願いしますってうわもう無理だ話通じないし星々の追憶(アストレアレコード)されちゃうぅぅぅぅぅ!?!?」

 

 撃沈である。

 

 しかし、アイズは何を思っているのか、狂ったかのように毎日『星屑の庭』に通いつめ、自分の下着をみんなの前で堂々と宣言して帰る事を繰り返したのだ。

 もちろんユースもその分だけ殺された。お労しや……ユース………

 

 

 しかし日に日にボコボコにされ、肉塊に近付いていくユースを見たアイズは、流石に理解したようで。

 

 

「あのね、ユース」

「ヒッ!も、もう帰ってください………」

「わ、私、今日、履いてない、からっ!」

「……………ははっ」

「こ、これでいいんだよね……?」

「…………いい、天気だなあ」

「ユース、喜んでくれたらいい、な」

「…………スーッ………死ぬにはいい日だな。うん」

「じゃあね………また教えるからっ」

「…………何回も修羅場を乗り越えてる俺だから言える。

 

 

 

 

 俺は今日、死ぬ。」

 

 

 

 理解は遠く、平穏も未だ遥か彼方。

 

 この経験値はユースに深く刻まれ、何故かアイズ限定で下着の色が分かるようになってしまった(直感:EX)。

 

 墓まで持っていく秘密が一つ増えたユースだった。

 

 

 

 

 

 

 





 今回の勝利者、ゴジョウノ・輝夜。
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