アストレアファミリアのハーレムクソ野郎   作:神崎せもぽぬめ

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第五話 神の宴

 

 

 

 

 ベル・クラネル

 Lv.1

 力  :H180→G291

 耐久 :I97→G210 

 器用 :H150→G255

 敏捷 :G289→E403

 魔力 :I0→I0

 

《魔法》

【 】

 

《スキル》

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)

・早熟する。

懸想(おもい)が続く限り効果持続。

懸想(おもい)の丈により効果向上。

 

 

 

 

 

「ま、まじかあ………」

 

 ヘスティアが読み取り、書き残したベルのステイタスは、驚異的なまでの速度による成長を遂げていた。

 

(いやいや、成長?これは最早、『飛躍』だ……!)

 

 問題はどう伝えるか。

 素直に伝えればいいのか?

 即席の強さは慢心を生み出す。でも伝えずに弱い敵ばかりと戦えば、ベルは強くなれない。『経験値(エクセリア)』の性質上、それは間違いない。

 

 うーん。どうしたものか。

 

 神ヘスティアは慎重に悩んでいたところ。

 

「貸してみろ」

「あっ、あー!待つんだアルフィアくん!」

 

 いつの間にかベルのステイタスを写した紙を奪い取られる。

 ま、不味い……!例のスキルがバレたらどういう反応をするか分からない……!!

 『速報!【剣姫】死す!原因は不明!』なんて明日には都市が大騒ぎしてもおかしくない!!

 

 ヘスティアは終末戦争(ラグナロク)の引鉄を引いたんじゃないかと焦りまくってると、

 

「ふん………ベル、なんだこのステイタスは。()()()()

「ええ!?」

「まだ足りん。この程度ではモンスター共に囲まれてすぐに死ぬ」

「き、厳しすぎないかなアルフィアくん!?」

「何を言う。中途半端に力を得て、強くなったと勘違いしている奴から死ぬのがダンジョンだ」

「た、確かに………」

 

 レベル7で元冒険者だったアルフィアの言葉にはやはり重みがあった。

 気付けばベルも、何故かヘスティアも息を飲みこんだ。

 

「それと駄女神」

「だ、駄女神ぃ!?」

「ベルに必要なものは成長速度についていく武器だ。私の財産を貸してやるから、調達してこい」

「ぶ、武器……そっか!ヘファイストス!」

 

 ヘスティアは声を上げ、テテテテ、と規則性のない歪なフローリングの上を駆け、食器棚の中を漁る。

 あれでもないー、これでもないー、と中を掻き回すと、目当ての物がようやく見つかった。

 『ガネーシャ主催 神の宴』と書かれた招待状だ。

 

「よし、ボクだってベルくんの為に、頑張るぞー!」

「おい、お前。その貧相な服で、神の催しに出掛けるつもりじゃないだろうな?」

「え?えーっと、そうだと言ったら……?」

「【福い(ゴスペ)───」

「わー!その痛そうなのはダメ!絶対!」

 

 結局金なしのヘスティアは、アルフィア(隠し財産41億ヴァリス)という金の成る木に齧り付くことになったとさ。

 

「何の成果も挙げられずに帰ってくれば、次は『福音拳骨(殴る)』からな」

「絶対痛いやつだ………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦────────♦♦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜。

 点々数多(あまた)と光を散りばめ、あたかも星の海のように輝く巨大な都市オラリオの中でも、一際異彩を放つ建物があった。

 

 象の頭を持つ巨人像が、白い塀に囲まれただけのだだっ広い敷地の中で、胡座をかいて座っている。

 象の大きさは30M(メドル)はくだらないか。見さらせと言わんばかりに威風堂々と胸を張るその姿は、見た者にちょっと変わった感情を喚起させることで有名であった。

 

 【ガネーシャファミリア】の本拠(ホーム)、『アイアム・ガネーシャ』である。

 

 その入口でもある巨大像の股間の中央を、多くの美丈夫達が笑いながらくぐっている。

 

 彼ら彼女らは全員が全員、神。

 今日今宵、ガネーシャ主催で行われる『神の宴』の来賓たちでもある。

 

 

 『神の宴』とは仰々しく厳かな響きをしているが………そんなものは幻想に過ぎない。

 

『本日は良く集まってくれた皆の者!俺が!ガネーーーーーーーシャだァ!!』

 

 どの神が主催するのか、日程はいつなのか、コンセプトはなんなのか。その全てが不明瞭であり、全てはその時の神々の気紛れだ。

 ただ『祭、してぇー』と思った神が主催し、『おっ、おもしろそ〜っ』と思った神が何となく参加する。実態は恐ろしく適当な、つまりはいつも通りの神々の暇潰しである。

 

『積もる話はあるが、今年も例年通り三日後にはフィリア祭を開催するにあたり、各【ファミリア】に────』

 

 今回のガネーシャの意向は、フィリア祭の実施とそれにまつわる協力の要請だろう。

 もっとも、ガネーシャの馬鹿でかい肉声をいつも通りとばかりに聞き流し、神々は談笑を続けていたが。

 

「相変わらず賑やかね、ガネーシャは────ありがとう」

 

 【ガネーシャファミリア】の構成員が務める給仕人(ウエイター)から、女神アストレアは芳しく香るワインを受け取る。

 

 ファミリアの構成規模は都市最大とも言えるガネーシャ派閥はこの迷宮都市内で居を構える全ての神達に招待状を送った。

 そして神アストレアはこの神の宴に目的を持って参加した数少ない神の一柱(ひとり)である。

 

「こんばんは、アストレア様。今日は一段とお美しいですね」

「あらアーディ、こんばんは」

 

 給仕の格好をしていたアーディが気さくな笑みを浮かべて話しかけてくるのを、アストレアは微笑んで返した。

 

「アリーゼたちが贈ってくれたドレスなのだけれど……着る機会があって良かったわ」

「髪型もとても素敵です!」

「ふふ、ユースにね、結ってもらったの」

「ふわあ〜器用………いいなあー!」

 

 女性らしい、なだらかな線を描きながら、けれどしなやかな肢体を包んでいるのは、深い海色(みいろ)の衣。

 下に向かうにつれ濃く、胸元に近付くにつれ淡く彩られる青色のグラデーションドレスは、悩ましい彼女の曲線美をこれでもかと強調する。

 普段背に流れる胡桃(くるみ)色の長髪は、三つ編みで結われたシニヨンの形にアレンジされており、上品かつ清廉なアストレアの雰囲気にとても似合っていた。

 

 自身の短い髪に触れながら、アーディは感嘆する。

 

「うーん、この髪の長さでも出来るかなあ」

「私はあなたのそれも似合うと思うけれど、ユースに頼んでみましょうか。あの子、何故かそういうの上手いのよ」

「うむむ………なんかちょっと負けた気分になるので、自分でやります!」

「あら、そう?」

 

 「リオンの髪でいっぱい練習します!」とアーディが高々に言えば、アストレアは間もなく破顔した。

 

「あ、そうそう!アストレア様っ、今度ユースとデートしたいので、彼をお借りしますね!」

「………一応聞きたいのだけれど、どうして私に?」

「え、だって、他の人達はぜぇっったい『ダメ!』って言うじゃないですか!私は次のデートで、今度こそ!決めますッ!これはまあその、決意表明みたいな感じです!」

「そ、そう………頑張ってね?」

「はい!Xデーは、『フィリア祭』にしようかなと!私のテイムショーのシフトが終わったら、ユースを誘って、そ、それで………!!」

 

 太陽もびっくりなほど赤く顔を染めるアーディ。

 それを見てアストレアは苦笑した。

 だってその決意表明は決意の数であると同時に、失敗の数でもある。それは両手で数え切れないくらいに積み重ねたものだからだ。ちなみにアストレアは25を超えたくらいからは、数えるのを辞めた。

 最後のユースとアーディのデートは確か………別れ間際にアーディがユースに向かって『大好きビーム』と叫んでいたはず。タチの悪い呪詛(カース)でも食らったのかとユースは混乱し、『戦場の聖女(アミッド・テアサナーレ)』と『黄金の魔女(ヘイズ・ベルベット)』に治療を依頼しかけていた。

 

 まあ、今回は成功する……のかな?

 

 恋する乙女は、まさに未知である。

 『正義の裁定者』ではなく『恋バナの相談役』としてしか最近活動してない気がするアストレアとしては、祈る他ないと思った。

 

「うぅー、ちょっと顔熱くなってきちゃったので、休憩します!アストレア様、どうか今夜はお楽しみください!」

「ええ、お疲れ様」

 

 タタタッ、と走り去ったアーディの後ろ姿を見届け、アストレアは目的の人物をようやく探し始めた。

 

『おいおいおい、フレイヤ様来てんぞ?相変わらず胸がパネェ』

『それに比べてロキは………涙がちょちょぎれて止まら……あ、やべ、目が合った。わりぃ、俺、死んだ』

『はい乙〜』

『てかワイン美味えな。美味くねー?』

『デメテルママの葡萄使ってるんだってよ。そりゃ美味えわ〜』

『デメテルママの葡萄……なあ、これって実質母乳なんじゃないか?』

『お前、天才か?』

 

 アストレアの表情から微笑みが消えかかりそうなほど、どうでもいい情報の数々。

 

「(フレイヤが顔を出してる?珍しいわね……)」

 

 もう滅多に顔を出さないフレイヤが神の宴に参加していることに少し引っかかる。直感でしかないが、それでも神の直感だ。頭の片隅にでも置いておこうと、アストレアは結論した。

 

 アストレアの目的には、明日のフィリア祭について悪戯(ちょっかい)をかけようとする神々をリサーチすることも入っている。

 なるべく多くの神々と交流をしたいところだ。

 

 が、第一目的はやはり、と言ったところで………やっとあの女神を見つけた。

 

 身長はアストレアの胸ほどの高さ。

 漆黒の髪を二つに結わえた幼い容姿で、しかし不釣り合いに豊かな胸が主張している。

 そんな女神は、台座の上に立ち、元卓に並べられている料理をタッパーに素早く詰め込んでいた。

 

「あらま………」

 

 周りの神々が面白おかしく囃し立てるのは、恐らく承知の上なのだろう。

 アストレアも思わず口をまるくして見詰めた。

 

「こんばんは、ヘスティア。私もそれ、お手伝いしましょうか?」

「あ、あー!アストレアじゃないか!君ももしかして、立食形式(タダメシ)を確保しに来たのかい!?」

「そんなわけないでしょ、バカヘスティア」

「ヘファイストス!久しぶり!」

 

 ヘスティアから注がれる仲間視線を断ち切ったのは、真紅のドレスを纏う眼帯の麗人。鍛冶神、ヘファイストスだった。

 

 顔半分を覆う眼帯では隠しきれない呆れた表情をありありと見せ、ヘファイストスは頭を抱えた。

 

「ええ、久しぶりね、ヘスティア。もっとマシな姿を見せてくれたら嬉しかったのだけれど」

「ぬぁ!?つ、つい手癖で………」

「賭けてもいいけど、今の貴女を見て貞潔を司る『処女神』だってわかる人はいないと思うわ」

「そ、そんなぁ!」

 

 ヘスティアの雰囲気に釣られて、彼女のツインテールも心做しかしょもしょもと垂れ下がっているように見えた。

 

「あ、そうだった!アストレア!君に引き取って貰いたい子がいるんだけどー」

「その子が静寂を好む女王様だったら答えは一つね─────ごめんなさい」

「だよね………」

 

 引き取ってしまえば、多分一時間もしない内にアストレアの本拠(ホーム)『星屑の庭』は、『ボロ屑の庭』に劇的ビフォーアフターされてしまうだろう。

 いくらアストレアが夜空が好きだと言っても、毎晩屋根のない夜空の下で眠れる自信は無い。あと、ユースの胃が死んじゃいそうだ。

 

 なので心苦しいが、そのアル何某さんは、ヘスティアの元で養っていてほしい。本当に。切実に。

 

 アストレアの本気と書いてマジと読むような顔付きに、ヘスティアは頷くしか無かった。

 

 だから代わりに、ヘスティアへとある物を渡した。

 

「ヘスティア、私の子───ユースから貴女へ贈り物よ」

「これは……?」

 

 ヘスティアが受け取ったのは、紙の束だった。

 何やら細かく書かれているそれの題名は………『トリセツ』?

 一番最初に書かれている事項を、ヘスティアは読んでみた。

 

「えーとなになに。

 

『灰色の大魔女王は、前提として”五月蝿い”のがとにかく嫌いです。それは環境音とか以外にも、声、服の摩擦音、表情、動き………当てはまる行為は多岐に渡るでしょう。もし当てはまったら『福音拳骨(ゴスペルパンチ)』が貴女を襲います。ちなみに傷を残さないギリギリのラインまで加減するけど、痛みがちゃんと奥に響くし、音速なので回避は不可能です。諦めてください』……………忠告遅いよ!もうボク、予告されてるんだけど!?」

 

 「でも、まだまだ序の口よ」と、アストレアは次のページを促す。

 

 いっぱいいっぱいなヘスティアはゴクリ……と冷や汗をかきながら次へと進んだ。

 

「…………『毎日三食与えてください。完食した際は、さりげなく褒めてあげる事を忘れずに。あまりにも露骨だと機嫌が悪くなって、ゴスペられます。

 あと食後にはティータイムを好みます。これをしておけばまず、機嫌が悪くなることはありません。忘れると、やっぱりゴスペられます。

 ただそうは言っても、理不尽な理由でゴスペられるので、やはり覚悟していてください』…………

 

 

 ごめん、これどこの魔王様?」

「残念だけど、一般的な最悪最恐破壊衝動女(ハイパーウルトラクレイジーサイコ)女神の眷属よ」

「全然一般的じゃないんだけども……!!というかこれ、ペットの飼育かな!?どっちが育ての親か分かんなくなってきたぜ!?」

「安心してヘスティア。私もよ」

 

 ヘスティアのツインテールがブンブンと荒ぶっているのを見て、アストレアは現実逃避をしたくなった。

 

「ま、まあとにかく、私はコレ、渡したから。それじゃあ────」

「待て待て待てェい!逃げるなんてらしくないんじゃないかなぁ!アストレアー?天界じゃあ、理不尽の塊(ヘラ)の被害者を守るためにヤンチャしてた君らしくないぜ!」

「や、やんちゃ………あのころは若かったから……その、ね?」

「えぇーい!ン億歳なんだから若いもクソもあるかーい!」

 

 アストレアは赤面した。

 確かにヘラというラスボスに立ち向かうの勇者的な立ち位置だったアストレアは、そりゃあ血の嵐が降ろうが関係なく切り伏せたりはしたが…………言葉での説得はもちろんした。しかしあまりにもヘラが何言ってるのか分からなかったため、仕方なく、そう、仕方なく!実力行使をしたに過ぎないのだ!

 アストレアの中の裁定長は、うんうんと腕を組んで同意を示していた。よって、正義は、我にあり!

 

 そんな中、コツコツ、と。

 靴を鳴らす楚々(そそ)とした音が、ヘスティアの後ろから近付いてくる。

 

「あら、面白そうなこと話しているわね。私も混ぜてくれる?」

「え……フ、フレイヤっ?」

 

 アストレアの視界に現れたその女神は、容姿の優れた神々の中でも群を抜いていた。一線を画してると言ってもいい。

 新雪を思わせるきめ細やかな白皙の肌。長細い肢体は宙を泳ぐだけで見るものを虜にする色香を漂わせており、小ぶりで柔らかい臀部とその上に乗るくびれた腰は、女神であるアストレアでさえ、直視することが危ういほど理性を揺らす。

 金の刺繍が施されたドレスは胸元が開いており、生地一枚に収まりきらない容量の胸の谷間を、外部に露出していた。

 

 黄金比を摘出したような、完璧以上に完璧なプロポーション。

 

 儚げで美しい瞳は涼しく、相貌は後光を発するかのように凛々しい。

 

 オラリオに住まう二大派閥の片方、『美』を司る女神フレイヤが、長い銀髪を揺らしてやってきた。

 

「な、なんで君がここに……」

「面白そうだったからじゃあ、駄目?」

「別にだ、ダメって訳じゃないけど!」

「ならちょっとした用事があって来たわ」

 

 そしてフレイヤは、視線をアストレアへとずらした。

 

「なぁに?フレイヤ」

「ええ、ちょっと貴方の子───ユースを借りたいのだけれど………」

「用件によるわ」

「まあちょっとしたことよ………『暴喰』を連れて帰ってほしいの」

「…………今日は似たようなことを頼まれるわ…………」

 

 辟易した顔を隠さないフレイヤは、余程困っているようだった。

 アストレアは続きを促す。

 

「彼が来て、まぁ、うちの『戦いの野(フォールクヴァング)』で連日連夜戦い続けているのだけれど、ちょっとうるさすぎて眠れないのよね…………」

『………………』

 

 Lv8 『暴喰』ザルドの朝は早い。

 まず、朝起きて調理台へ行ってから仕込みを終えた食材の状態を確認。そして適切な調理を施す。

 その匂いに釣られてやってきた屈強な『強靭な勇士(エインヘリヤル)』の胃袋を満たし、治療師(ヒーラー)薬師(ハーバリスト)で構成された『満たす煤者達(アンドフリームニル)』の負担を肩代わりする。

 

 ここまではいい。

 問題はそこから。

 

 ザルド対フレイヤファミリアの構図となる、『洗礼』である。

 

 この洗礼には、普段参加しない幹部である【炎金の四戦士(ブリンガル)】、【黒妖の魔剣(ダインスレイヴ)】、【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】、【女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)】、そして【猛者(おうじゃ)】が参戦する。

 

 一国を容易く滅ぼせるだろうその超戦力に対し、ザルドは温いと言わんばかりに大剣を振るう。それだけでLv4以下の『強靭な勇士(エインヘリヤル)』は吹き飛び、幹部の第一級冒険者は叩き伏せられる。

 まともに撃ち合いができるのは【猛者(おうじゃ)】オッタルのみ。

 

 そして指数関数的に増え続ける患者の治療を、もう死んで三日目の魚のような瞳で癒し続けるのが【女神の黄金(ヴァナ・マルデル)】率いる『満たす煤者達(アンドフリームニル)』。

 

 フレイヤとしては、自分の子供たちの魂が輝き続ける様を観るのはとても楽しい事だが…………ちょっと昼夜問わず剣戟を打ち鳴らされるのは、勘弁願いたかった。

 あと、眷属たちがみんなボロボロで、とてもじゃないが護衛を頼める雰囲気じゃなかったので、気になる()()()にちょっかいを出しに行けないという悩みもある。というか、こっちが本音だった。

 

 

「フレイヤ……君も規格外の子供に困っているのかい?」

「……もしかしてヘスティア、貴女も?」

 

 二人は固く握手を交わした。

 

 美神?処女神?関係ないね!あの最強/最恐の我儘っぷりに比べたら!!

 

「そういうわけなの。何とかならないかしら?」

「そうね…………まあ、この件は問題無いわね。分かった、明日ユースに頼んでみるわ」

「ありがとう。…………この感謝は本気(マジ)よ」

 

 一転してヘスティアは裏切り者を見るような目付きになったが、アストレアは努めて無視を決め込んだ。

 

 

 

 

 神々の宴は始まったばかり。

 

 交差する神の思惑をよそに、今宵の月は妖しく、照り続ける。

 

 夜はまだ、更ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 Lv8ザルドとLv7オッタルの戦い。鳴り止まない剣戟。深くなるフレイヤの隈。積み重なる市民の苦情。増え続けるロイマンの胃薬。

 つまりロイマンはザルドと戦っていた……!?
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